第14話 広場で聞いた話
数日後の午後。
畑の仕事が早く終わったため、リオは村の広場へ向かった。
そこにはエマ、トーマ、カイルがすでに集まっていた。
「遅いよ、リオ」
エマが手を振る。
「ごめん」
「今日は何する?」
トーマが聞く。
「分からない」
「じゃあ、走ろう」
「また?」
エマが笑う。
四人で広場を走っていると、少し離れたところで大人たちが話しているのが見えた。
「何話してるのかな?」
リオが足を止める。
「農家の話じゃない?」
カイルが答えた。
村の大人たちは、畑の収穫時期や作物について話しているようだった。
そこへガイルもやってきた。
「父さん」
「遊んでるのか?」
「うん」
リオは大人たちの話を指差した。
「あれ、何の話?」
「次の収穫についてだ」
「収穫って、家ごとに違うの?」
「作っているものが違えばな」
ガイルは子供たちにも分かるように話してくれた。
同じ村でも、すべての家が同じ作物を育てているわけではない。
豆を多く作る家もあれば、麦を作る家もある。
野菜を多く作る家もある。
だから収穫の時期も少しずつ違う。
「じゃあ、村の人たちはみんな違うものを作ってるんだ」
「そういうことだ」
リオは少し驚いた。
自分の家の畑しか見ていなかったから、村の中にもいろいろな畑があることを意識していなかった。
「じゃあ、足りないものはどうするの?」
エマが聞く。
「他の家から分けてもらうこともあるし、行商人から買うこともある」
「なるほど」
カイルが頷く。
トーマは難しい顔をしていた。
「つまり、俺が芋をたくさん作ればいい?」
「食べることしか考えてないでしょ」
エマが笑う。
「大事だぞ」
トーマは真面目に答えた。
ガイルも笑っている。
「そういう考え方も悪くない」
四人は笑った。
しばらくすると、大人たちの話も終わった。
村の広場には、また子供たちの声が戻ってくる。
リオはベンチに座りながら、周りを見渡した。
いつも見ている広場。
でも、今日は少し違って見える。
ここにはいろいろな人が集まる。
畑の話をする人。
買い物の話をする人。
子供たちが遊ぶ場所でもある。
村の中心には、村の生活が集まっている。
「リオ、帰らないの?」
エマに声をかけられた。
「うん。帰る」
立ち上がる。
今日も特別なことがあったわけではない。
でも、昨日まで知らなかったことを一つ知った。
それが、リオには少し嬉しかった。




