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四文字で魔法を創造して  作者: 斗樹 稼多利
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異変


 鳴り響く鐘の音にシューゴとアカネだけでなく、近くにいた冒険者らしき人々が駆けだす。

 緊急警報が鳴った際、国防軍だけでなく冒険者にも協力要請が出る場合があるため、冒険者ギルドへ集まることが義務付けられている。

 それに従って二人も町中を駆けていき、ギルド前に集まっていた冒険者達の後ろへ並ぶ。


「現在、詳細を確認中です。分かり次第指示を出しますので、裏の鍛錬場へ移動してください」


 職員らしき男の呼びかけで鍛錬場へ移動する最中、シューゴとアカネは後からやって来たカズト達と合流する。


「おう、シューゴ来てたか」

「当たり前だろ。にしても、緊急警報が鳴るほどの事態ってどんな事態だよ」


 これまでに帝都で緊急警報が鳴ったのは約百二十年前の大雨による増水の時と、約七十年前の大火災の時の二回のみ。三回目となる今回は大雨が降っている訳でも火災が起きている訳でもない。

 何が起きているのかと不確かな推測や疑問や不安が冒険者の間で飛び交う中、慌てた様子の男性職員が現れて声を張り上げる。


「確認が取れました! 魔暴走、魔暴走が帝都西側より発生しました!」


 魔暴走という発言にざわめきが起き、戸惑いと困惑の声が上がり、本当なのかと訴える声がいくつも上がった。


「事実です! 現在国防軍が迎撃に当たるべく準備していますが、協力要請が出る可能性が高いと指示を受けています! その際、ランク毎に対応を割り振りますので待機願います!」


 通達すべきことを通達した職員は引き上げ、残された冒険者達はざわつく。

 ランクが高かったり腕に自信があったりする冒険者は戦線に出ることを考え、気合いを入れたり持ち物を確認したりし、ランクが低かったり自信が無い冒険者はどうなるのかと不安ばかりが募っていく。


「シューゴ、俺達はどうなるんだ?」

「分からない。なにせ魔暴走だからな」


 魔暴走とそれを防ぐための国防軍との連携については、シューゴ達も冒険者学校で学んでいる。

 前回から長い月日が経過した現在、当時と同じ対応をするとは限らない。


「ただ言えるのは、帝都周辺だからあまり強い魔物はいないってことだな」

「どうして?」

「そんなのが万が一にも領域の外に出たら、帝都なんてあっという間に崩壊だ。それを避けるためにも、拠点になる町は比較的安全な場所に造るのは当然だろ」


 シューゴの説明にカズト達だけでなく、それを耳にしていた全員が納得する。

 国の重要拠点であるからこそ、地理的にも付近に生息している魔物的にも安全な場所を選ぶ。住まいを探すため、少しでも生活環境や治安が良い場所を探すのと同じだ。


「それこそ、こっちが知らないうちにそんな魔物が発生しているか、魔物が進化していない限りは弱い魔物の方が圧倒的に多いだろ」

「つまりは予想外の事態が発生していない限り、どうにかなるって事ね」

「魔物の数にもよりけりだけどな」


 コトネの言葉にそう返したちょうどその時、先ほどの職員が慌てて戻ってきて声を張り上げる。


「通達します! 魔物のほとんどは弱い魔物ばかりと判明しました。ですが数が多いため、Bランク以上の冒険者は国防軍と協力して魔物への対応と西門の防衛に参加してもらいうことになりました!」


 この連絡にBランク以上の冒険者は威勢のいい声を上げる。


「CランクからEランクの冒険者は治安維持への協力を願います。Fランク以下の冒険者は避難誘導が必要になった時の対応と、各所への連絡要員としてここで待機を願います」


 ランク別での対応が伝えられ、Bランク以上の冒険者はすぐさま西門へ出発。

 Cランクと経験豊富なDランクの冒険者は町中の治安維持への協力に当てられ、残るDランクとEランクの冒険者は重要な施設や門を守る国防軍への協力に割り当てらられることになった。

 経験の浅いDランクとEランクで構成されているシューゴ達「月下の閃光」は北門の警備の担当することになり、指示を受けたシューゴ達は駆け足で北門へと向かう。

 町中は緊急警報が鳴っていることで混乱していたが、困惑する人々の間を軽いステップで縫うように駆け抜けていく。冒険者学校時代、町中を走って逃走を鍛えていたのが図らずも別の形で役に立っていた。


「まさか本当の逃走じゃなくて、こういう形で役に立つとは」

「何が功を奏するか分からないよな、世の中って」


 喋りながらでも道行く人々をしっかり避けて走り抜けていく。

 その姿に擦れ違った人々は一度は振り返り、ぶつかりそうになっても軽い身のこなしや巧みなフットワークで避けると軽く驚かれる。

 先に北門へ向かっていた冒険者達がシューゴ達に追い抜かれた時は、目を見開いて驚いていた。


「なんだかさっきの人達、通行人を避けるのに手間取っていませんでしたか?」

「あれくらいが普通よ。アタシ達の方が、異様に避けるのが上手くなっているのよ」

「あと、走るのもね」

「……これだけ動けるのに、どうして筋肉つかないんだろう……」

「気にしている場合か、走れ!」


 溜め息を吐きながら漏らしたトシキの呟きを流し、一行は走り続ける。

 そうして辿り着いた北門では、十数名の国防軍の隊員達が忙しそうにしていた。

 というのも、耳の早い商人達が万が一に備えて逃げようとして門へ殺到し、その整理に追われているからだ。中には既に魔暴走の発生を知った一般人も混ざっていて、余計に混乱が広がっている。

 忙しい所を悪いとは思ったが指示を受けなければならない立場上、代表してシューゴが指揮を執っている隊員へ声を掛ける。


「あの」

「なんだ! 今は忙しいんだ!」

「冒険者ギルドからの指示で応援に来ました」


 怒鳴られても冷静に返すと、声を掛けた隊員はハッとする。


「わ、悪い。多くの人員が魔暴走への対応へ向かってしまって、忙しくなってしまってつい」

「状況が状況ですから気にしませんよ。それで、俺達は何をすればいいんですか?」

「君達は……六人いるのか。だったら外の見張りに立ってもらおう。三人ほど隊員がいるから、分からない事があったら彼らに聞いてくれ」

「分かりました」


 指示を貰ったシューゴ達は関係者用の通路を抜けて外へ出て、そこにいた隊員へ声を掛ける。


「あの。こちらの見張りを手伝うように言われた、冒険者なのですが」

「ああ、よく来て……ってシューゴじゃねえか」

「マサヨシ兄さん!?」


 思わぬ再会をした兄弟に、カズト達だけでなくマサヨシの同僚も反応する。


「えっ? この人、シューゴの兄貴なのか?」

「ああ。三男のマサヨシ兄さんだよ。マサヨシ兄さん、彼らは俺の仲間です」


 カズトの質問に答えて仲間達を紹介するとマサヨシは笑みを浮かべる。


「そっかそっか、良かったな。お前、家じゃ本が友達だったから人間の友達がちゃんとできるか、少し心配してたんだよ」


 おおらかに笑ってシューゴの肩を叩くが、当のシューゴは少し不機嫌になった。


「しばくよ兄さん」

「おう、やれるものならやってみやがれ」

「よし言ったね。遠慮なく魔法も使うからよろしく」

「ごめんなさい、俺が悪かったです。だからお前の魔法は勘弁してください」


 急に下手に出たマサヨシの姿に、シューゴの魔法の威力を知るカズト達はそういう反応をするのも仕方ないと思う。

 一方でマサヨシの同僚達は、どんな魔法を使うんだろうと少しシューゴに興味が湧いた。


「で、俺達はどうすればいいの?」

「普通に見張っていてくれてればいいさ。この混乱に乗じて帝都に入り込もうとする不審者がいないかとか、逆に帝都から脱出しようとしている不審者が逃げてきたら捕らえるとか」


 混乱が更なる余計な混乱や事件を招くのは珍しくない。

 それが外部から持ち込まれないようにするのと、何かをやらかして外部へ逃げようとするのを阻止する。魔暴走が起きていない門での役割は、脱出しようとしている人の列の整理を覗けばそのくらいだ。

 説明を受けたシューゴ達はすぐに「収納空間」と「ほぞんばしょ」から各々の防具や武器を取り出し、素早く装備して見張りに立つ。

 そうしている間に他の冒険者達も到着したようで、念のために帝都を脱出しようとしている商人達の整理をしたり、門の上にある見張り台まで上って見張りをしたりする。


「しっかし、なんで魔暴走なんて起きたんだろうな? あそこ、そんなに魔物いたっけ?」


 去っていく商人の馬車や、大荷物を背負って子供の手を引く両親を見送りながらカズトが呟く。


「そんな話は聞いた事がないな。魔物が増えすぎれば、ギルドから魔暴走を防ぐための強制討伐依頼が出るだろうし」


 魔暴走を防ぐための対応は冒険者ギルドにもあり、魔物が増えればギルド側から強制的に討伐が依頼されることがある。

 少なくともシューゴ達が冒険者になってからそんな事案が発生したことは無いが、過去に何度か起きたことがあるとは学んでいた。


「だからこそおかしいんだ。魔物が溢れるほど発生しているなんて情報があれば、とっくに強制討伐依頼が出ているはず。それが出ていないのに魔暴走が発生するなんて、明らかに不自然だ」

「言われてみれば……おかしいわね」

「しかも帝都の傍なら、気づかないはずがないもんね」


 首を傾げるシューゴに同意するようにコトネとトシキの姉弟も不自然さに気づく。

 魔暴走の前兆である魔物の大量発生が起きていないのに、突然魔暴走が発生した。それも最も安全であるべき帝都の傍で。


「兄さん、国防軍では魔物の大量発生を知ってた?」

「そんなこと知ってたら、とっくに討伐隊が組まれてるっての。なあ?」


 マサヨシの言い分に同僚達も同意の反応を見せる。


「じゃあ、どうして魔暴走が?」

「分からない。全く原因が思いつかない」


 お手上げだとばかりにシューゴは小さく両手を挙げる。


「まっ、そこら辺を調べるのは国のお偉いさんや学者の仕事だろ。俺達は国防軍、お前達は冒険者なんだし現場で体張って深く考えないでいようぜ」


 あまり考えるのが得意でないマサヨシがそう言うと、彼の同僚達とカズトとシノブが同意するように頷く。

 言っていることは間違いではないのだが、何か釈然としないシューゴとコトネはこの脳筋がと心の中で密かに呟いた。


「そういやシューゴ、ツグト兄貴のことは聞いたぜ。なんか悪かったな、俺は何もしないで」


 思いだしたように切り出したのは、カタギリ子爵家のちょっとした騒動のような事件。

 あの件は既に国防軍内にも広まっており、マサヨシも何か知らないか聴取を受けたことがある。

 むしろ聴取で初めてその件を知ったマサヨシは、割と早めに無関係とされて通常勤務へ戻った。


「国防軍じゃ自由に動けないんだし、気にしなくていいよ」

「だからって弟達にいらん苦労させて、俺だけ何もしなかったのはな」

「仕事上、仕方ないって。なんなら、今からでもタイガの代わりにカタギリタウンの代官やる?」

「それだけは断る。向いてねえし、何より俺がそんな仕事できるはずがねえ」

「だろうね。そこ、慌てずに移動してください」


 軽口を叩きつつも与えられた仕事をこなしている最中、門の方が騒がしくなってきた。

 何か揉めているのかと様子を見ていると、一人の冒険者が駆けて来た。


「大変だ! 帝都南側でも魔暴走が発生して、魔物がこっちへ来ているらしい!」

『はぁっ!?』

「それだけじゃない。東側も同様に魔暴走で魔物が迫っていて、町中の警戒に当たっていたCランク冒険者まで狩り出されて対処をすることになったんだ」


 ただでさえ珍しい魔暴走なのに、それが複数個所同時に発生している明らかな異変に誰もが言葉を失う。


「こっちは何も起きていないようだな。連絡用にFランク冒険者を二人置いておくから、何かあったらすぐにここの責任者へ伝えておいてくれよ」


 そう言い残すと冒険者は走り去って行った。

 どこかしらへ北門は問題が無いことを伝えに行ったんだろうと思い、引き続き警備をしようとするとアカネが何かに気づいた。


「あれ、何?」


 指差した先には、遠くを飛行している何かがいた。

 方角的に帝都東側から飛んでいるようで、一直線にどこかへ向かっているように見える。


「鳥……じゃないな。翼が無いし」

「なんだろう? トシキ、ちょっと確かめてみてくれない?」

「うん。「とおくをみる」」


 文字通り遠くを見られるようになる魔法で飛んでいる何かを見たトシキは、信じられないような表情で驚く。


「えっ? あれ、人だよ?」

『はっ!?』


 鳥でも魔物でもなく、人間が空中を飛んでいる。

 あらゆる魔法を創造できるこの世界では、別に人が飛んでいてもそういう魔法を創ったということで納得できる。実際、変則的な方法だがシューゴも飛べるのだから。

 しかしこんな非常時に空を飛んでいるのは逆に不自然さを覚える。

 どこかへ報告へ向かうのでも、救援に向かうのでもなく帝都の外から同じく外のどこかへ向かっている。しかも飛んできた方向は、先ほど新たな魔暴走が知らされた東側。不自然に思わない方がおかしい。


「トシキ、どこへ向かっているか分かるか?」

「あの先には……魔物の領域がある!」


 魔暴走が起きた方角から離れた上にこれから向かう先が魔物の領域と聞いた以上、何かを知っているかもしれない可能性が浮上した。

 放っておくことはできない。


「おい、誰か報告だ!」

「俺が行く!」


 国防軍の一人が責任者の下へ駆けていく。

 その間にも見失わないよう飛んでいる人物を注視し続け、やがて魔物の領域付近へ降りていった。


「駄目だ、これ以上は僕の魔法じゃ見えない」


 あくまで遠くを見えるようにする魔法なため、見れる範囲には限界がある。

 魔物の領域付近に降り立ったところまでは見えたが、その後は範囲外の森の中へ入ったため後を追えなくなった。

 「きょうゆう」で視界を共有していたシューゴ達もそれを確認すると、ちょうど報告を受けた責任者らしき男性が駆けて来る。


「報告は聞いた! 怪しい奴とやらはどうした!」

「向こうの魔物の領域付近に降り立ったのは確かですが、それ以上は……」

「外見は!」

「遠目だったので、男か女かも分かりません」


 マサヨシから報告を聞いた男性は腕を組んで難しい表情をする。


「むう……。既に報告のため本部へ人はやったのだが、その前にある程度の情報を入手しておきたい。だがさすがに遠すぎる」


 北門から魔物の領域までの距離を考えると、ちょっと行ってくる感覚で行ける距離ではない。

 だからといって放置もできない。もしも本当に魔暴走に関わっているのならば、魔物の領域へ向かったのはそのためかもしれないのだから。


「高速移動ができる人員は各所への連絡要員として本部へ回していて、ここにはいないし。だからといって放置もできないし……」


 悩んでいる男性の様子を見かねたシューゴは小さく挙手し、自分が見てこようかと告げる。


「うん? どうやってだね?」

「ちょっと空を飛んで」

「あれ? シューゴお前、空を飛ぶ魔法創ったんだ」

「創ってはいないけど、飛べるには飛べる」


 マサヨシにそう返して「浮遊動盾」に乗って空中に浮かんでみせると、周りから小さく驚きの声が上がった。

 無詠唱に対するものか、防御魔法を飛行に利用していることに対するものかは不明だ。


「速度もそれなりに出るので、こいつでちょっと見て来ましょうか?」

「よろしく頼みたい。ただし絶対に無理はせず、戦闘も可能な限り避けてくれ。君がやるべきは情報を得て持ち帰ることだ、いいね?」

「分かりました」


 頷いたシューゴが飛び立とうとした際、不安そうなアカネの顔が目に入る。

 安心させるために笑って「すぐ戻るから」とだけ言い残し、可能な限り速度を出して飛んでいく。 今のやり取りについてアカネが弄られることになるとも知らずに。

 そうして魔物の領域へ向かったシューゴが空中から見たのは、帝都方向へ向けて進む魔物の軍勢と、それを離れた場所から煽っているソウヤの姿だった。


「くふふふふふっ。さあ進みなさい、そして無能共に教えてあげなさい。私の理論が如何に素晴らしく、間違っていないということを!」


 喜々として魔物を煽る様子から、今回の件の首謀者なのはすぐに分かった。

 しかしそれよりも重要なのは、この地でも魔暴走が発生して帝都へ魔物が向かっている事。首謀者の男が判明した事。この二点を伝えること。


「急がないと」


 ソウヤの外見をしっかりと確認して覚えたシューゴは、大急ぎで帝都へ引き返す。

 北門の近くでソワソワするアカネを落ち着かせながら待っていた一同は、シューゴが戻って来たことにホッとしたがそれも僅かな間。もたらされた情報に驚き、すぐさま迎撃態勢を整えるべく報告や準備に動き出す。帝都から逃げようとしていた商人達へもこの事は伝えられ、騒ぎ出すのを落ち着かせながら危険だから出ない方がいいと伝えて避難誘導を開始。さらにシューゴには首謀者と思われる男の似顔絵を描くよう頼むのだが……。


「ド下手だな、お前」

「分かってるよ、そんなこと!」


 描かれたのは似顔絵というより落書きと言っていい出来で、仲間達もマサヨシも責任者の男も覗き見た誰もかもが言葉を失う。

 シューゴ・カタギリ。彼に絵心というものは全く存在しなかった。


「お前これ、タイガとミユキの方がマシな絵を描くぞ」

「だから分かってるって!」


 せっかく首謀者の顔を見たのにそれを伝えられないとあって頭を抱える中、一人の国防軍の男性が挙手する。


「あの、俺に任せてくれませんか?」

「うん? どうするんだ?」

「俺の創った魔法なら、お役に立てるかもしれません」

「本当か! だったら頼む!」

「了解!」


 男は門の詰め所から紙を持って来ると、シューゴの額に手を当てて首謀者の顔を思い浮かべるよう言う。

 目を閉じたシューゴがソウヤの姿を思い浮かべると、男は「よみとり」と「かきだし」という魔法を使った。すると紙にシューゴの思い浮かべたソウヤの姿が描かれていく。


「おぉっ! お前、こんな魔法を使えたのか!」

「子供の頃に弟や妹の面倒を見ていた時に創った魔法なんです」


 こんな形で役に立つとは思わなかったと言う男の魔法により、ソウヤの似顔が完成した。 

 すぐさま追加報告で本部へ伝えるよう伝令役を走らせ、同時に迎撃態勢を進めていく。

 とはいえ、主だった戦力が先に魔暴走発生の一報があった方へ集められ、さらに続けざまに二箇所で発生したため碌な戦力は残っていない。国防軍は責任者である数名を除いて全員が経験の浅い若手ばかりで、冒険者もシューゴやシノブのようなDランクになって日の浅い面々が精々。

 不安な陣営での迎撃準備を一通り整えた一同の目に多くの魔物が映るまで、そう長い時間はかからなかった。


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