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四文字で魔法を創造して  作者: 斗樹 稼多利
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魔法の告白


 事件がひとまずの収束を迎えてから数日。帝都から国防軍の一部隊が容疑者の身柄を護送するためにやってきたのと同日、領主であるショウマ・カタギリがやって来た。

 先にレイトから事の詳細を改めて説明されたショウマは深く溜め息を吐き、一言だけ呟く。


「バカ者が」


 考え方は相容れないものがあったものの、一応は本妻であったマサヨと息子のツグトを失った悲しさが無い訳ではない。

 そんな複雑な心境が、表情だけでなくこのたった一言にも込められていた。


「彼らが保管していた証拠は消滅しましたが、他の証拠から彼らが黒幕であることは確実です」

「……それで、「しょうこをけす」という魔法を創るよう唆した相手については?」

「不明です。消える前に、帝都にいた頃に知り会った同志と言っていたそうですが……」


 帝都は国内で最も人が多く、同時に最も人の出入りが激しい。そんな場所から特定の人物を見つけ出すのは困難を極める。


「とにかく、探れるだけ探ってみるか。こんな魔法になると知っていて唆したのなら、黙ってはおれん」

「こちらでは周囲へ広がらないよう、今後も情報は秘匿します」

「頼んだぞ。それで、シューゴとタイガは?」


 巻き込まれていないと分かっていても、不安を表情や態度に出していなくとも、やはり心配していた二人の息子について尋ねる。

 特にシューゴは今回の調査で二人の気を引く囮役を頼んだだけに、余計に心配している。


「どちらも何ともありません。現在はお二人とも離れの方にいて、シューゴ君のお仲間も今日はそちらに待機させています」


 それを聞いたショウマは「そうか」とだけ答えるが、表情が少しだけ緩んだように見える。

 領主として優先すべきは他にもあると頭で理解しても、父親としての不安は拭えない。

 だが、それが人間であり父親として正しい反応だという事は、子供がいないレイトにも分かっていた。


「無事なら良かった。トウカが心配していてな、一緒に行くと言うのを説得するのに手間取ってしまったんだ」


 当主であるショウマが屋敷を空ける以上、後の事は残る二人の妻と次期当主のシューイチに委ねられる。

 これでシューイチに全てを任せられればシューゴとタイガの実の母親であるトウカを連れて来ても良かったが、実の母親と弟を一度に失った事もあって少なからずショックを受けているシューイチに全てを任せるのは酷と判断し、二人の妻に支えるよう頼んで出立した。


「親としては当然の反応かと。会われますか?」

「……そうだな。少々伝えなければならない事もあるから、会いに行こう」


 幾分か含まれている親としての私情を誤魔化すように要件の有無を口にしたショウマに、分かっていながらもその事は口にしないレイトは少しだけ笑みを浮かべて離れへと向かう。

 一方の離れの方では、レイトに代わって彼の側近から授業を受けているタイガをこの日の護衛担当のコトネとアカネが部屋の前で警護し、待機を言い渡されたシューゴ達は離れの傍で鍛錬をしていた。


「せいっ!」

「おらっ!」


 体を動かしたいカズトとシノブは「収納空間」に入れておいてもらった鍛錬用の武器で手合わせし、シューゴとトシキは芝の上に座って魔力の制御鍛錬をしている。


「……よく、本を読みながらできるね」

「動きながらよりは簡単だぞ」

「そうかもしれないけどさぁ……」


 同じ十五歳のはずなのにこの差はなんだろうと、世の理不尽に心の中で文句を呟いた。

 そこへ、レイトに案内されたショウマが数名の護衛と共に近づいて来るのが見える。

 手合わせをしていた二人は即座に中止して直立不動になり、シューゴとトシキも立ち上がってズボンを叩いて土と草を落とす。


「お久しぶりです、ショウマ様」


 何の用で来たのか分からないシューゴは、とりあえず仕事用の態度と言葉遣いで対応する。


「ああ、そうだな。ちょうどいい、一緒に来てくれ。タイガも交えて話したいことがある」

「分かりました」


 承知したシューゴはシノブとカズトから武器を預かって「収納空間」へ片付けた後、ショウマの護衛の後に続いて離れへと入る。

 その後、勉強中だったタイガと護衛中だったコトネとアカネと合流。

 大事な話があるとして勉強を中断させ、別室へ移った。


「まずは「月下の閃光」の諸君。こんな形で終息したとはいえ、囮の役割を果たしてくれた礼を言おう」


 囮の件を聞いていないタイガは驚きの反応を見せ、身を乗りだして問い詰める。


「えっ? なにそれ、僕聞いていません!」

「詳しくは後で説明する。今は話を聞いてくれ」

「……はい」


 ショウマに目と言葉で制されたタイガは大人しく引き、乗り出していた身を正す。

 それを見届けたショウマは話を続ける。


「ただ、今回の依頼にはタイガの護衛が含まれているため、留学が終了するまでは引き続き頼む」

「承知しました」

「それとタイガ。新たな次期カタギリ準男爵家当主にして次期領主代官はお前だ。向こうの学校を卒業後は、改めてこちらへ来てレイトの下で学んでもらう」


 思いがけない決定にタイガだけでなく、レイトとシューゴも驚きで目を見開く。

 本来次期カタギリ準男爵家当主であり領主代官に就く予定だったツグトがいなくなった以上、代わりを指名しなければならないのは彼らも理解している。

 だが、彼らの予想では婿入りの予定になっていたタイガではなく、まだ嫁入り先が決まっていないミユキが就任していずれは婿を取る形になると想定していた。

 ところが蓋を開けてみれば唯一空いているミユキでも継承権を放棄したマサヨシかシューゴを復帰させるのでもなく、婿入りが決まっているはずのタイガが新たな次期当主と領主代官に指名された。

 当然ながら、その采配に疑問の声が上がる。


「あの、父さん? 僕はオオキ男爵家に婿入りするはずじゃ」

「分かっている。実はツグトの良くない話が持ち上がってから、オオキ男爵とは話をつけていたんだ。ツグトが検挙された際はこちらが婿入りするのではなく、あちらが嫁入りする方向にできないかとな」


 それを聞いてレイトはその手があったかと頷く。

 実はこういった事は、決して前例が無い訳ではない。

 後継者に何かしらアクシデントが起きて後を継げなくなり、他家へ入る予定だった弟か妹が急遽後継者になるため婚約者が逆にこちらへ入ってくる形へ変更するというのは過去に何度か例がある。

 ショウマはそういった例に乗っ取り、タイガを新たな次期領主代官にして婚約者を嫁入りさせるように手を打っていた。


「幸いにもオオキ男爵にはもう一人娘がいる。そちらが婿を迎え、家を継がせる形にすることで納得してもらえた。見返りとしてその相手を探すように言われたが、アテはあるから安心しろ」


 説明を聞きながら、そういう手があったのかとシューゴとタイガは感心して何度も頷く。


「タイガは領主であり貴族家の当主に必要な基礎学習を受けている最中だ。その点からしても、レイトの後継者となることに問題はあるまい」


 経済学校や今回のような留学で学ぶのはあくまで貴族家当主や領主の仕事の基礎部分だけで、そこから先の応用はそれぞれの家や領地の特徴によって異なるため卒業後に学ぶ形式になっている。

 基礎学習しか学んでいないタイガならば、現時点からの変更にも大きな支障は出ない。

 少なくとも、貴族家当主や領地運営に関わる事を学ばない女学院に通っているミユキに後を託すよりも合理的な判断ではある。


「急な話で悪いが、頼めるかタイガ」


 真剣な表情で尋ねるショウマに、急な話に動揺して俯き気味だったタイガは一つ深呼吸をした後に表情と気持ちを引き締めて返事をする。


「分かりました。お受けします」

「うむ。レイト、そういう訳だ。また一から教えてもらうことになってすまない」

「気にしないでください。後継者を育てるのもまた、貴族の当主としての仕事ですから」


 通常なら再度教える手間ができて不満の一つでも出るものだが、そうした様子は微塵も出さない。

 むしろ教える相手が問題のあるツグトからまともなタイガに代わったことで、少し機嫌が良いようにも見える。


「うほん。さて、領主としての私からの話はここまでだ。ここからは父親の私として、話をさせてもらおう」


 わざわざ咳払いをして誤魔化そうとしているが、それがメインなのは誰もが察するほど分かりやすかった。


「シューゴ、タイガ。お前達だけでも無事で良かった。できればツグトとマサヨも無事であればなお良かったが、終わった事を悔やんでも致し方ない」


 あんなのでも妻と実の息子だったショウマからすれば、跡形も無く消滅してしまった事は悔やむべき事だったようだ。


「無事だったとしても、国防軍のお縄にかかってるだろうぜ?」

「ふっ。私はどうしても身内に対する考えが甘くなってしまうからな。罪を償う過程で改心してくれまいかと、つい思ってしまうのさ」


 シューゴの言葉に自身への皮肉も込めて心の内を晒す。

 貴族家の当主として妻と息子の不手際には厳しく対応しつつも、夫であり父親としては改心してくれまいかと願ってしまう。

 しかしそれは身内としては当然の反応とも言えるため、甘いと分かっていても決して否定できるものではない。

 そう考えると同じ父親から生まれた異母兄弟であるシューゴとタイガも、少し複雑な気分になってきた。


「だが、さっきも言ったように終わった事を悔やんでも仕方ない。お前達とシューゴの仲間達にはできるだけ迷惑をかけないように事後処理をするから、そこは安心してほしい」


 それは親としてよりも領主として言うべき事ではないかと思わないこともないが、親として言いたかったのだろうと解釈して誰も指摘しない。


「ところで父上。ツグト兄さんの婚約者の家にはどのような対応を?」


 あんなツグトでも一応は婚約者がいた。それがこんな形になった以上は、それなりの対応と見返りを相手から求められるのは当然。

 だが、例外というものはある。


「それについては問題無い。元々マサヨが選んだ相手だけに、その娘も似たような思想の持ち主だったようでな。今回の件で婚約が破棄になった途端、怒り狂ってこの地で文字数の少ない相手を蔑みながら甘い汁を吸うのを暴露したんだ」


 家族の目の前でそんな事をした以上、ハッと冷静になって自分が何を言ったのか気づいた頃にはもう後の祭り。

 娘の父親は激怒し、頭を丸めさせて寺院へ送らせた上で絶縁すると宣言したとのこと。


「間抜けな娘ですね」

「だが、その間抜けのお陰で相手への見返りは最小限で済んだ。娘がうちの領地に迷惑をかけるところだったと、向こうが幾分か引いてくれたからな」


 全く見返りが無いということはできないため、そこそこの額の金銭を迷惑料として支払うのと、まだ婚約が決まっていない幼い息子の相手探しをすることで手打ちとなったとショウマは語る。


「親も同じような思想、という訳じゃなかったんですね」

「うむ。他の家族にそうした様子は無かったから、相手もスムーズに決まるだろう」


 差別を嫌う風潮の強いチージア帝国では、そういった思想をした人物というだけで婚約に難色を示されることは珍しくない。

 それこそマサヨのように上手く隠して猫をかぶっているか、双方がそういった思想をしていない限りは。


「家の方はどうなんだ? 何かしら罰則とかは?」

「領内で被害が出ていた件についての叱責を受け、適切な事後処理と今後の管理体制の徹底をするよう言い渡された。後は私自身が一年間の減俸と数年は領内と我が家に対する国の査察が厳しくなるくらいだ」


 本人が関わっていないとはいえ、妻と息子が自身の領地でやらかした以上はショウマにも責任が発生してしまうのが貴族の厄介なところ。

 だとしても、今回の処分は比較的軽めの部類に入る。

 重いものだと領地の取り上げ、即座に当主の座を譲っての隠居、爵位の取り上げか降格、家の取り潰しといった処分が科せられる。


「安心しろ。シューイチが後を継いだ時に迷惑が掛からないように、今回の件は私が全て清算する。自身の失態を息子に尻ぬぐいさせないさ」


 父親としての威厳を感じさせる引き締まった表情に、シューゴとタイガだけでなくカズト達も頼もしさを感じてしばし見とれてしまう。


「各組合やギルドとの間に生じるであろう問題も私とレイトで対応しておくが、タイガはその対応方法を学んでおけ。あってはならないことだが、再び同じ事が起きた際に必要になるからな」

「分かりました!」

「しっかり記録にも残しておくから、ちゃんと後世にも伝えるようにするんだよ」

「はい!」


 ショウマとレイトからの言葉に、いかにも気持ちが入っているタイガはハキハキとした口調で答える。

 頼もしい父からの期待に応えようとしているのはシューゴ達の目から見ても明らかで、先ほどの父の頼もしさはこれを狙った演出だったのかとショウマへ視線を向ける。

 視線に気づきつつも何事も無いようにすまし顔をしているショウマは、用意されたカッフィに砂糖と牛乳を加えて飲んでいた。

 この後は特に今回の事件に関する話は無く、今後の予定を軽く打ち合わせした後に解散。

 ショウマはレイトとタイガを連れて仕事へ戻って行き、今日の護衛担当になっていたコトネとアカネはそれに付いて行き、シューゴ達はその場に残って一息入れる。


「はあ。なんつうか領地持ちの貴族って、想像以上に面倒で厄介なんだな」

「だから俺は冒険者になったんだよ。万が一にも、そういう家に婿入りしないようにな」

「僕も姉さんに引っ張られた形でだけど、右に同じく」


 貴族家出身のシューゴとトシキは貴族ならではの諸々の面倒事にうんざりした表情を浮かべ、本当に家を出て良かったと実感する。


「商会も商会で面倒だぜ? お得意先の顔を窺ったり、売れる商品とかの情報を仕入れたり」

「剣術道場とて同じ事。どこも運営……いや、仕事とは面倒事が絡むものです」

「本当に冒険者ってのは、自由な仕事なんだって実感するな」

「全部自己責任だけどね」


 仕事にあり方について喋っているうちに暗い雰囲気になっていき、なんとも言えない空気が漂いだす。

 そんな空気が真っ先に嫌になって動いたのはカズトだった。


「ああもう! こんな話はやめだやめ! シノブ、さっきの続きやるぞ!」


 無理矢理にでも空気を変えるためか、わざとらしく声を上げながら立ち上がったカズトはシノブを手合せの続きに誘う。


「承知。こんな気分は手合せで晴らすに限ります」


 同意したシノブも立ち上がり、二人は手合せの続きをするため外へ向かう。

 それを見送ったシューゴもトシキを誘って魔力の制御鍛錬の続きをやろうとしたが、誘う前にトシキの方からシューゴへ話しかけてきた。

 やたら神妙な顔つきで。


「ねえシューゴ君、一つ聞いてもいいかな?」

「なんだ?」

「今回の件で改めて思っていたんだよ。具体的に魔法名を書ければ、人や物を消滅させるような魔法も作れるんだって」

「それがどうしたんだ? 作りたい魔法のイメージと魔法名が一致すればするほど良いのは、当たり前だろ」


 今さら何を言っているんだと言いたげにシューゴが告げる。


「だったらどうして、シューゴ君は四文字なのにあんなに完成度の高い魔法をいくつも創り出せたの?」


 ずっと気にせず、というよりマナー違反だからと気にしないようにしてきた疑問点。

 シューゴが使える文字数が四文字だと知っている人物ならば一度は気にするこの疑問がどうしても知りたくなったのか、トシキはパーティーメンバーで初めて追及に動いた。

 問われたシューゴは何も言わず、口を摘んでその場に佇む。


「どう考えても四文字じゃ足りなんだよ。収納系の魔法も、回転する鋼の弾も、周囲に刃を出して串刺しにする魔法も、空中を動く盾も」


 「収納空間」、「螺旋廻弾」、「周刃貫刺」、「浮遊動盾」。

 どの魔法も五歳の頃に出会った老人から授けられた文字と、受け取った辞書なる本の知識が無ければ生み出せなかった。

 幼い頃はその知識を独り占めしたくてずっと隠し、今は何故こんな便利な文字が広まっておらず歴史にも残っていないのかが気になって下手に知られたら不味いと思って秘密にしている。

 仲間達も家族も特に気にせず過ごしてきたが、今回の事件で改めて文字数の多さが魔法の完成度に繋がる事を実感したトシキは聞かずにはいれなかった。

 ある予感が頭を過ってしまったために。


「もしも、もしもだよ? それに何か秘密があるのなら、シューゴ君も創れるんじゃないの?」

「……何をだ?」

「……人でも物でも何かを消滅させる魔法か、それと似たような魔法」


 それを言ってしまったトシキも、尋ねられたシューゴもしばし沈黙する。

 外から聞こえるカズトとシノブが手合せをしている掛け声だけが聞こえる中、シューゴは秘密を明かさなければならない可能性を考えつつ尋ねる。


「仮に創れるとしたら、トシキはそれを知ってどうするんだ?」


 場合によってはトシキが離脱するか、自分がパーティーを去る必要もある。

 返答次第ではそれも覚悟しながらシューゴは答えを待つ。


「別にどうもしないよ。僕は抜ける気は無いし、シューゴ君を追い出そうなんてしない。秘密を公開することもしない」

「じゃあなんで――」

「怖いんだ! 僕達が創り出す魔法は、創り方次第であんなにも恐ろしい事もできてしまうんだって実感して、それで……」


 理由は不明だが今回は領主館の中だけで済んだ。

 しかし、もしもあれがもっと広範囲に影響を与えていたらもっと多くの人や物が消滅していた。

 何の前触れも無く突然に。

 だからこそ感じた恐怖にトシキは不安そうな表情と声で、再度尋ねる。


「だから知りたいんだ。あんな怖い事をできる魔法を、シューゴ君はたった四文字で創れるの? そして創れるとしたらどうして?」


 マナー違反を承知で改めてトシキに問われたシューゴは、観念することにした。

 後でパーティーメンバー全員を集めて、ずっと誰にも話さなかった秘密を全て話そうと。

 だがその前に、せめてトシキの質問には答えようとしっかり目を合わせて口にする。

 初めて使った時からずっと使わずにいる、仲間達には見せておらず教えてすらいないシューゴが創った魔法の中で、当たりさえすれば最強にして最大の欠陥魔法の事を。

 嘘をついて仲間を欺くことがどうしてもできずに。


「トシキの言ったような魔法を創れるかについてだが、創れるか創れないかで言えば創れる。というか、ある」

「……えっ?」

「冒険者学校に入る前、十歳の頃に創った。一度試しに使ったきり俺自身も怖くて使っていない、狙った対象に当たればそれを跡形も無く完全に破壊する魔法が」


 文字の読み方がカッコよく思えて、言葉の意味がイメージする形に一致したからという理由で作り上げた四文字の魔法名。

 魔法盤に刻まれたその魔法名が過剰なイメージと合致してしまい魔法として完成してしまって以降、試し撃ちの一度しか使っていない魔法。

 あの時に狙ったのは空に浮いていた巨大な厚い雲。

 それを貫いて吹き飛ばしたのではなく、跡形も無く完全に破壊した魔法。

 その存在を初めて自ら明かした瞬間だった。


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