番外編⑷「再会する幼なじみ――三回戦、かつての仲間が今度は敵になる」
今回の番外編⑷では、強豪・私立明成学院との二回戦を三対一で突破した翌日の学校生活、そして三回戦の対戦相手決定までを描きました。
二回戦で球場中を驚かせた、
『四番、ファースト、高橋君』
というまさかのスターティングメンバー。
エースの肇が先発せず、黒崎蓮と早川慶介が五回までマウンドをつなぎ、六回から肇が登板するという作戦は、真悠や眞衣はもちろん、クラスメイトや他学年の生徒たちにとっても大きなサプライズとなりました。
そのため翌日の学校では、肇の周囲に生徒たちが集まり、質問攻めに。
しかし、あの作戦には「自分一人ではなく、野球部全員で甲子園へ行きたい」という肇の想いがありました。
そして二回戦の余韻が残る中、決定した三回戦の相手は――県立星陵高校。
その選手名簿を見た肇は、二人の名前を発見します。
二番・三塁手、水瀬拓真。
九番・中堅手、榊原航平。
二人は、小学生時代に肇と同じ少年野球チームで白球を追いかけていた仲間でした。
かつての仲間と、高校三年生最後の夏に再会する。
しかも今度は――敵として。
肇にとって特別な意味を持つ三回戦が、いよいよ始まろうとしています。
二回戦翌日の朝。
強豪・私立明成学院を三対一で破ったことで、学校中の野球部への注目は初戦の後よりもさらに大きくなっていた。
特に話題になっていたのは、勝利そのものだけではない。
『四番、ファースト、高橋君』
試合開始前、球場中を驚かせたあのスターティングメンバーだった。
普段なら背番号一を背負い、先発投手としてマウンドに立つ肇。
それが二回戦では、四番打者でありながら一塁手として試合開始を迎えた。
そして黒崎蓮、早川慶介が五回までつなぎ、六回から満を持して肇がマウンドへ。
そのサプライズ継投は、試合を見ていた生徒たちの間で大きな話題となっていた。
肇が校門を通った瞬間――。
「高橋!」
「おっ、来た!」
「昨日の四番ファースト!」
「お前、何だったんだよ、あれ!」
「びっくりしたんだけど!」
肇は思わず立ち止まった。
「朝からそれかよ」
「当たり前だろ!」
同じクラスの男子生徒たちだけではない。
他のクラスの生徒。
二年生。
さらには一年生まで集まってくる。
「俺、最初故障したのかと思った!」
「俺も!」
「投げられないからファーストなのかと思った!」
「なのに六回から普通に投げるし!」
「しかも抑えるし!」
質問が一気に飛んでくる。
肇は苦笑した。
「ちょっと待てって。一人ずつ聞けよ」
「じゃあ俺!」
一人の男子生徒が手を上げる。
「最初から作戦だったの?」
「そう」
「マジで!?」
「俺から一条監督にお願いした」
「高橋から!?」
再び周囲がざわついた。
肇は頷いた。
「俺は四番として最初から出る。でも、五回までは蓮と慶介に投げてもらいたかった」
「何で?」
「ここから先、俺一人で全部投げられるわけじゃないから」
少しだけ生徒たちが静かになる。
「甲子園まで行くなら、他の投手の力も絶対必要になる。蓮も慶介もずっと練習してきたし」
「それで先発を黒崎に?」
「うん」
「六回から高橋?」
「そういうこと」
別の生徒が言った。
「でも宮坂は?」
「大智には先に話してた」
「じゃあ宮坂だけ知ってたんだ!」
「交代する本人だからな」
「俺たちは全員騙されたのかよ!」
「騙したって言うなよ」
肇が笑う。
周囲にも笑いが広がった。
「でも、すげえ試合だったよな」
「明成に勝ったんだぞ」
「次も頼むぞ!」
「甲子園行ってくれよ!」
肇は笑顔を消し、真っ直ぐ答えた。
「行く」
その一言だけは、冗談ではなかった。
◇◇◇
一年生の教室でも、話題は同じだった。
「真悠ちゃん!」
「何?」
「昨日の試合、本当に知らなかったの?」
「知らなかったよ!」
肇の双子の妹の一人、真悠は吹奏楽部の友人たちに囲まれていた。
「お兄さんなのに?」
「家でも何も聞いてないもん」
「『四番、ファースト、高橋君』って聞いた時、真悠ちゃん固まってたよね」
「だって普通に先発だと思ってたから!」
真悠自身、兄がファーストを守れることは知っていた。
しかし地区大会、それも強豪・明成学院との二回戦。
当然、エースである肇が先発すると思っていた。
「故障したのかと思った?」
「一瞬思った」
「東雲先生も驚いてたよね」
「先生も知らなかったみたい」
真悠は昨日の光景を思い出す。
そして六回。
『ファースト、高橋君がピッチャー』
そのアナウンスが流れた瞬間、球場中から起こった大歓声。
「あれは格好良かったけどね」
真悠が小さく笑う。
「やっぱりお兄ちゃんのマウンドって特別だった?」
「……まあね」
少し照れながら答えた。
◇◇◇
一方、眞衣も同じだった。
「眞衣!」
「はいはい。昨日のことでしょ?」
「まだ何も聞いてない!」
チアリーディング部の仲間たちに囲まれる。
「お兄さんから聞いてなかったの?」
「全然!」
「家族にも秘密だったんだ」
「たぶん一条監督たちと野球部の一部だけだと思います」
「私、本当に故障かと思ったよ」
「私もです!」
眞衣は笑った。
「でも六回から出てきた時、びっくりしました」
「スタンドすごかったよね」
「はい!」
眞衣は嬉しそうに頷いた。
「次も応援します!」
「もちろん!」
「三回戦も勝ってもらわないと!」
その時だった。
「そういえば三回戦の相手、今日決まるんじゃない?」
「たぶん今日の昼には分かると思います」
眞衣もまだ知らない。
次の対戦相手が、肇にとって特別な学校になることを。
◇◇◇
昼休み。
職員室。
「東雲先生」
同僚教師から声を掛けられ、千鶴が顔を上げる。
「はい?」
「昨日の試合、驚きましたね」
「ああ……高橋君のことですか?」
「そうそう。最初ファーストだったでしょう?」
千鶴は苦笑した。
「私も驚きました」
それは嘘ではない。
家でも肇から何も聞かされていなかった。
「一条先生、ずいぶん思い切った采配をしましたね」
その会話を聞いていた一条監督が顔を上げた。
「一応言っておきますが、最初に言い出したのは高橋ですよ」
「えっ?」
教師たちが驚く。
千鶴は心の中で思った。
――やっぱり肇だったのね。
「高橋君が?」
「はい。黒崎と早川に五回まで任せたいと」
一条監督は淡々と説明する。
「もちろん最終的に決めたのは私です。ただ、あいつなりにチーム全体のことを考えたんでしょう」
校長も話を聞いていた。
「いいエースになりましたね」
「まだまだですよ」
一条監督は即答した。
「甲子園へ行くなら、もっと成長してもらいます」
千鶴は静かに微笑んだ。
家での肇とは違う。
野球部のエース・高橋肇。
少しずつ、本当の意味でチームを背負える選手へ変わり始めている。
◇◇◇
午後。
授業が終わり、野球部員たちはグラウンドへ集まった。
しかし今日は、練習開始前にミーティングが行われることになっていた。
「集合!」
「はい!」
一条監督の前に選手たちが集まる。
十一人の女子マネージャーも後方に並んだ。
肇。
晃大。
和誠。
宮坂大智。
藤堂拓海。
桐生翔。
神谷悠斗。
長谷川颯太。
相馬健吾。
さらに黒崎蓮、早川慶介をはじめとするベンチメンバー。
全員が揃った。
「まず」
一条監督が話し始める。
「昨日はよく勝った」
「はい!」
「特に黒崎」
「はい!」
「先発としてよく試合を作った」
「ありがとうございます!」
「早川」
「はい!」
「途中から難しい場面だったが、よくつないだ」
「はい!」
一条監督は肇を見る。
「高橋」
「はい」
「お前もよく投げた。打撃も良かった」
「ありがとうございます」
「ただし」
来る。
肇はそう思った。
「昨日の勝利は、もう終わった」
「はい」
「明成学院に勝ったから甲子園へ行けるわけじゃない」
選手たちの表情が引き締まる。
「次を負ければ終わりだ」
「はい!」
一条監督は一枚の紙を取り出した。
「三回戦の相手が決まった」
空気が変わった。
肇も監督を見る。
「三回戦――県立星陵高校」
その瞬間だった。
「……え?」
肇の表情が変わった。
晃大が気づく。
「どうした?」
肇は答えない。
「高橋?」
一条監督も気づいた。
「何かあるのか?」
「監督」
肇は確認するように尋ねた。
「星陵って……あの星陵ですか?」
「どの星陵だ」
「……選手名簿、ありますか?」
マネージャー長の小宮山美月が資料を持ってくる。
「これ」
「ありがとう」
肇は受け取った。
相手校の登録選手一覧。
上から名前を追っていく。
そして――。
肇の指が止まった。
「……やっぱり」
「誰かいるのか?」
和誠が横から覗く。
肇が指差した。
「二番、サード――水瀬拓真」
そして、もう一人。
「九番、センター――榊原航平」
二人の名前。
肇は間違えるはずがなかった。
晃大が尋ねる。
「知り合い?」
「うん」
「どこで?」
肇は名簿を見つめながら答えた。
「小学校の野球部」
「え?」
「二人とも、小学校の頃に俺と同じチームだった」
周囲がざわつく。
一条監督が腕を組んだ。
「詳しく話せ」
肇は頷いた。
◇◇◇
小学生の頃。
肇は地元の少年野球チームに所属していた。
その頃から投手として投げることが多かった。
そして同じチームにいたのが――。
水瀬拓真。
榊原航平。
水瀬は当時から内野手。
特に三塁守備が得意だった。
強い打球にも逃げず、身体の正面へ入る。
そして打撃では器用さがあり、右方向にも打てる。
「拓真は昔からサードだった」
肇が説明する。
「守備、上手い?」
神谷が尋ねる。
「かなり」
「打撃は?」
「嫌なタイプ」
「嫌なタイプ?」
「ホームランを狙うっていうより、こっちが嫌なところに打ってくる」
晃大が反応する。
「二番らしい打者か」
「そう」
一条監督がメモを取る。
「もう一人は?」
「航平」
肇は九番・中堅手の名前を見る。
「昔から足が速かった」
「センターなのも納得か」
和誠が言う。
「守備範囲が広い。小学生の頃から外野の間を抜けそうな打球を普通に捕ってた」
「打撃は九番だぞ?」
「だからって油断しない方がいい」
肇は即答した。
「航平は足がある。塁に出したら面倒だと思う」
一条監督が頷いた。
「なるほど」
「それと」
肇が続ける。
「二人とも俺の球を知ってます」
一瞬、静かになる。
晃大が肇を見る。
「昔のだろ?」
「もちろん。でも投げ方の癖とか、俺が追い込んだ時に何を投げたがるかとか……昔から一緒だったから」
「それは少し厄介だな」
一条監督も真剣な表情になる。
だが肇は――。
笑っていた。
「高橋?」
「すみません」
「何がおかしい?」
「いや……」
肇は名簿を見る。
水瀬拓真。
榊原航平。
小学生の頃、同じユニフォームを着ていた仲間。
泥だらけになってボールを追った。
勝って喜んだ。
負けて泣いた。
何度も一緒に練習した。
やがて進学先が分かれ、それぞれ別の道へ進んだ。
「楽しみだなって」
肇が言った。
「昔の仲間と、高校最後の夏に戦えるんですよね」
和誠が笑う。
「そういうことか」
「はい」
「でも相手だぞ?」
晃大が言う。
「分かってる」
「手加減するなよ」
肇が晃大を見る。
「するわけないだろ」
その目は、すでにエースのものだった。
「絶対勝つ」
◇◇◇
同じ頃。
県立星陵高校。
野球部のミーティング。
三回戦の相手が発表されていた。
「次は――高校」
監督が学校名を告げる。
その瞬間。
一人の選手が顔を上げた。
二番・三塁手。
水瀬拓真。
「……マジか」
隣に座っていた選手が尋ねる。
「どうした?」
「いや」
拓真は対戦資料を見る。
そして名前を見つける。
四番。
高橋肇。
「やっぱり肇だ」
少し離れたところにいた九番・中堅手の榊原航平も気づいた。
「拓真」
「航平も見た?」
「ああ」
二人は顔を見合わせる。
「まさか三回戦で当たるとはな」
航平が笑う。
「しかも肇、エースで四番だぞ」
「知ってる。高校通算五十五本だろ?」
「二回戦、途中から投げたらしい」
「相変わらずだな」
拓真は少し懐かしそうに笑う。
小学校時代。
三人で何度も野球をした。
「覚えてる?」
航平が言う。
「何を?」
「肇、昔から負けず嫌いだっただろ」
「覚えてる」
「練習試合で負けただけで、次の日一人で走ってた」
「いたな」
二人が笑う。
しかし――。
すぐに表情が変わる。
「今度は敵だ」
拓真が言う。
「ああ」
「打つぞ」
「もちろん」
航平も頷く。
「昔の仲間だからって遠慮しない」
「肇も絶対そう思ってる」
三人の少年野球時代の仲間。
今度は別々のユニフォームを着て、同じグラウンドへ立つ。
◇◇◇
その日の夕方。
吹奏楽部にも三回戦の対戦校が伝えられた。
「県立星陵高校です」
千鶴が部員たちへ伝える。
「また応援準備を進めます」
「はい!」
真悠は学校名を聞いた瞬間、何かを思い出していた。
「……星陵?」
「真悠ちゃん?」
「どうしたの?」
「ちょっと待って」
兄が小学生だった頃。
自分も何度か試合を見に行ったことがある。
そして聞き覚えのある二人の名前。
「もしかして……」
真悠は練習後、すぐに肇を探した。
◇◇◇
校舎を出たところで肇を見つける。
「お兄ちゃん!」
「真悠?」
真悠が走ってくる。
「三回戦、星陵なんでしょ?」
「そうだけど」
「拓真君と航平君って、もしかして――」
肇が驚いた。
「覚えてるの?」
「少しだけ!」
「いるよ」
「やっぱり!」
真悠の目が大きくなる。
「二人とも?」
「拓真が二番サード。航平が九番センター」
「すごい……」
真悠は驚きながらも嬉しそうだった。
「小学校の時、一緒だった人と高校最後の夏に試合するんだ」
「うん」
「どんな感じ?」
肇は少し考える。
「楽しみ」
「それだけ?」
「それと――」
肇が笑う。
「絶対負けたくない」
「やっぱり」
真悠も笑った。
◇◇◇
夜。
帰宅した肇は千鶴にも三回戦のことを話した。
「小学校の頃のチームメイト?」
「うん」
「二人も?」
「二人」
肇は相手校の資料をテーブルに置く。
「水瀬拓真。二番サード」
「こっちね」
「それと榊原航平。九番センター」
「この二人と一緒に野球をしていたの?」
「小学校の頃ずっと」
千鶴は資料を見る。
「だったら、肇のことも知ってるのね」
「かなり」
「投手としても?」
「もちろん」
「それは厄介じゃない?」
肇は笑った。
「俺も二人を知ってるから同じだよ」
「なるほど」
千鶴は少し微笑む。
「でも、嬉しそうね」
「分かる?」
「顔を見れば」
肇はソファにもたれた。
「小学生の時、一緒に甲子園見ながら話してたんだ」
「何を?」
「いつか高校でも野球やろうって」
千鶴は静かに聞く。
「同じ高校になるとは限らないけど、高校野球は続けようって」
「それが本当に実現したのね」
「うん」
ただし同じチームではない。
今度は敵。
「絶対打たれたくない」
肇が言う。
「拓真にも航平にも」
「向こうも同じこと思ってるんじゃない?」
「たぶん」
「だったら、いい勝負になりそうね」
「うん」
肇は練習ノートを開いた。
『初戦突破 ○』
『二回戦突破 ○』
そして――。
『三回戦突破』
まだ丸はついていない。
「次はここ」
肇が指差す。
千鶴が頷く。
「昔の仲間が相手でも?」
「関係ない」
肇は迷わず答えた。
「試合が始まったら敵だから」
そして少しだけ笑った。
「試合が終わったら、また話したいけどね」
三回戦。
県立星陵高校。
二番・三塁手、水瀬拓真。
九番・中堅手、榊原航平。
そしてエース兼四番、高橋肇。
かつて同じ少年野球チームで白球を追いかけた三人が、高校三年生最後の夏に再び同じグラウンドへ立つ。
ただし――今度は敵として。
甲子園へ行くためには、昔の仲間を倒さなければならない。
高橋肇の最後の夏。
三回戦は、これまでとは少し違う特別な一戦になろうとしていた。
番外編⑷「再会する幼なじみ――三回戦、かつての仲間が今度は敵になる」を最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は二回戦の試合そのものではなく、その翌日の学校で広がった反響と、三回戦へつながる新たな展開を中心に描きました。
やはり学校中で一番の話題となったのは、肇の「四番・ファースト」での先発出場。
エースである肇がマウンドにいない。
その事実に、球場で応援していた真悠も眞衣も、クラスメイトも他学年の生徒たちも驚きました。
そして六回になった瞬間、
『ファースト、高橋君がピッチャー』
と告げられ、ようやく作戦の全貌が見えてきます。
黒崎蓮。
早川慶介。
高橋肇。
三人でマウンドをつなぎ、宮坂大智も予定通り六回から一塁へ。
肇一人の力ではなく、野球部全員で掴んだ二回戦突破だったからこそ、翌日の学校で肇が語った「俺一人で全部投げられるわけじゃない」という言葉にも、これまで以上の意味が生まれました。
そして物語は、早くも三回戦へ。
次なる相手は県立星陵高校。
そこで肇を待っているのは、見知らぬ相手だけではありません。
二番・三塁手――水瀬拓真。
九番・中堅手――榊原航平。
小学生の頃、肇と同じ少年野球チームに所属していた二人です。
かつては同じユニフォームを着て、一緒に勝利を喜び、敗戦に悔しがりながら野球を続けてきた三人。
しかし、それぞれが違う高校へ進んだことで、今度は別々のユニフォームを着て対戦することになりました。
拓真は三塁手として堅実な守備と器用な打撃を磨き、二番打者へ。
航平は昔からの俊足を生かして広い守備範囲を持つ中堅手となり、九番から相手をかき回します。
そして肇は――エースで四番。
三人とも、小学生だったあの頃から野球を続けてきました。
「いつか高校でも野球をやろう」
昔交わした言葉が、高校三年生最後の夏という最高の舞台で実現します。
ただし、勝者は一校だけ。
肇が甲子園へ進むためには、かつての仲間である拓真と航平を倒さなければなりません。
そして拓真と航平にとっても、肇は絶対に越えなければならない相手です。
試合前は昔の仲間。
試合が始まれば敵。
そして試合が終わった時、三人はどんな言葉を交わすのか――。
肇の練習ノートに書かれた次なる目標、
『三回戦突破』
その文字には、まだ丸がついていません。
甲子園への三つ目の関門。
高橋肇、水瀬拓真、榊原航平。
かつて同じチームで野球をしていた三人による、高校最後の夏の特別な一戦が始まります。




