到着
私達がしばらく川辺で座って待っていると、イヨスタンの人らしい重装騎士達が数名程向かって来た。それと一緒に、ゾウのような召喚獣? が大きな荷車を引いてやって来た。そして私達の前で止まると、一番位の高そうな騎士が私に話しかけてきた。
「レイスウェルを討伐してくださったのはアナタでしょうか? 当地方の治安維持に御協力くださって感謝致します」
(この声……女性?? フルフェイスの甲冑だから顔が分からないけど……)
「あぁ、ハイ……あのぉ……」
「ん? どうされましたかな?」
私は勇気を出して聞きたい事を聞いてみた。
「私旅をしていて……その、随分前に道に迷ってここまで行き着いたんです。ここはどこか教えてくださいませんか??」
「ここはエビュツオ地方の帝国都市周辺です。どこから来た方なのかは存じ上げませんが、流石にエビュツオ地方は分かりますよね?」
「いえ……分かりません。遥か東洋の方から来ましたから」
「そうですか。では、こちらの地方でのギルド免許は持っていませんよね? 今回は伝書鳩の内容を見る限り自己防衛ですから、処分は致しません。ですが、今後も魔道士として召喚獣を使うのならばギルド登録が必須です。よろしくお願い致します」
「はい……分かりました」
「そちらの馬車の方は?」
「あぁ、自分は荷台の果物をイヨスタンに届ける為にここに居ます。途中で狐の方と合流して、護衛をお願いしていました」
「分かりました。では、レイスウェルの死体を積み込みますので少々お待ちください。イヨスタンに到着したら、こちらで責任持って査定と買取を致します」
「はい、分かりました。ありがとうございます」
私達が会話をしている後ろで他の騎士の方やゾウのような召喚獣が、レイスウェルと呼ばれているワイバーンを手際良く荷台に積み込んでいる。十分程で積み込みが完了し、私達は帝国都市へと向かい始めた。
「そういえば……魔道士様はなぜ旅を? 服装からして東洋の島国あたりから来たのは理解できますが……どうしてこんなに遠くまで来たのでしょうか。言語も違うはずなのに随分と上手く喋っていらっしゃいますし……」
「さぁ……何故でしょうねぇ〜」
「いや、私に聞かれましても」
「そうですよね……すみません」
「はい…………」
(ヤバい! とっても気まずい! どうしよ……ちょっと疑われてるみたいだし)
「あ……暑いですねぇ〜」
私は必至に言葉を絞り出した。
「そうですねー。すみません、ちょっと暑いんで頭の鎧外しても良いでしょうか?」
「え? あぁ、どうぞ」
騎士の方は、ゆっくりと甲冑を外して馬の横に引っ掛けた。出てきた顔は、ブロンド長髪の端正な顔立ちをしたお姉さんだった。
「あ、え!?」
「ん? 私の顔に何か付いていますか?」
「いえ、そうじゃなくて……肌が綺麗だなーって」
「ありがとうございます。騎士団は男ばっかりなんで、そういう気の利いた事言える人居ないんですよー」
「そうなんですね、ホントにご苦労さまです……」
「そういえば、イヨスタンに着いたらどこに所属するんですか? えぇっと……」
「あ、改めまして待宵しゃもです〜」
「すみませんねぇ……で、しゃもさんはどうするんですか? 所属」
「あのすみません……どういった配属先があるんですか? ホントに何も知らなくて……」
「えぇっと……まず、駆け出し冒険者達がよく就く『広域探索員』。これは色んな場所を上の職員の指導の元で探索したりする職業ですね。次に、一番人気がある『戦闘員』。これは、ギルドの依頼板に出された討伐依頼、探索依頼、その他雑務をこなしてお金を稼ぐ職業です。そして、『探索管理員』。これは、さっき言った広域探索員を指導する役割ですね。本人はあまり動かなくても良いので、怠慢な人に人気です。実力は必要ですが、試験さえ突破できれば楽に稼げます。最後に『掃伐員』。これは、戦闘員の上級版みたいな感じですね。かなりの実力が無いと厳しいです。とは言ってもまぁ……しゃもさんなら余裕でしょうけども。全部の職業を自由に選べると思いますよ」
「あぁ……そうなんですね」
「というかレイスウェルを倒せるんだから、掃伐員になったとしてもすぐにもっと上に行けると思います」
「もっと上なんてあるんですか??」
「はい。推薦が必要になりますが、王宮に仕える職業もありますよ。私もその一人です」
「え! そうなんですか!? 凄いですねぇ!」
「まぁ……両親が元々高レベルな掃伐員でしてね……エリートのハイブリッドなので、下手な戦績で落ちぶれる訳には行かないんですよ」
「あぁ、そうでしたか。大変ですねぇ……そういえば、あなたの名前を聞いていませんでしたね」
「おっと、そうですね。私の名前はヨーマス・ユオティア、よろしく」
「あぁ、よろしくお願いします」
「お、着きましたよ。アレが世界最大の帝国都市、イヨスタンです」
私はその一言で前を向いた。そこには、巨大な壁が見える。さらに内側には高層タワーが伸びていて、壁の上から顔を出していた。
「凄い……コレが…………」




