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帝国都市イヨスタン

 大きな壁の近くに行くと、巨大な門があるのが見えた。門兵が十名程いる。私達が接近すると、一人の重装兵が声を掛けてきた。

「お疲れ様です、ヨーマスさん」

「ん、お疲れー。とりあえずレイスウェルの死体持ってきたから鑑定士連れて来といてくんない?」

「ホントにレイスウェルの死体があったんですか!? てっきり配送員の見間違いかと……」

「いや、マジだよ」

「えぇ……ヨーマスさんが加勢したんですか?」

「いや、そこの大きな狐に乗った異国の旅人が一人で倒した」

 ヨーマスさんはそう言うと私の方を見た。

「……あ、どうも」

「あぁ、はい……」

「って事でさ。通してくれるよね? そこの荷馬車の積み荷はもう確認済みだから。果物しか入ってなかったよ」

「分かりました。では、お通りください」

 重々しい門が上に開くと、その先には信じがたい光景が広がっていた。

「わぁ……凄い…………」

「そりゃあ……イヨスタンは世界一の規模の帝国都市ですからね」

 そこには中世風な世界からは想像できない程に、高く大きな建物が広がっていた。もちろん現代のタワマンやオフィスビルとは違った外観だけど、ここからでも見える中心地に立つ建物はダントツで高く大きかった。

「さぁ、行きましょう。センターギルドへ」

「はい……」

 私は周囲の雰囲気に圧倒されながらも弱々しく返事をした。大狐も、少し動揺しているように見える。壁の外側付近は割と普通の中世の町並みといった感じで、子どもたちが元気に走り回って遊んでいた。何人かは、私達へ軽く挨拶をしている。ヨーマスさんは、それら全てに笑顔で手を振って返していた。やはり悪い人では無いのだろう。

「あの……センターギルドって、あの中央の高い建物の事ですか??」

「ん? はいそうですね。ただし、あの建物全てがギルドという訳ではなく……一階からニ解のこちら側がギルド。反対側はモンスターの死体買取の査定場や、その他ギルド管轄の業務を行う場所です。三階より上は帝王の住居やその他諸々の重要な施設となっていますが……あまり深くは教えられませんし、しゃもさんはまだ知る必要も無いでしょう」

「あぁ、すみません。深く聞きすぎましたかね?」

「いえ、構いませんよ。ここに来たのは初めてなようですし、あんなに高い建物も見た事が無いでしょう。不安になるのは当然の事です」

「お気遣いありがとうございます……というか、街中で召喚獣乗り回しちゃって大丈夫ですかね?」

「大丈夫ですよー、レイスウェルのような見た目の召喚獣は怖がられるので引っ込めて貰っていますが……その子は可愛い感じなので出したままで大丈夫です。暴れる様子も無いですし」

「分かりました……」

 しばらく中心の塔へと歩いていると、橋が見えてきた。どうやら、塔を囲むようにして円形の大濠が出来ているみたい。その大きな橋を超えると、建物の雰囲気が一気に変わった。黒っぽい建物が多くなり、歩いている人も大人ばかりになっている。全員礼装だ。そして誰も談笑していない。

(ここからはビジネス街って感じなのかな……??)

 周囲の雰囲気に圧倒されていると、ついに中心の塔に到着した。

「さて、入りましょうか」

「はい。あの……この子はそのままで良いですか?」

「ハイ、構いませんよ。そのサイズなら十分入れます」

「分かりました……」

「じゃあ、皆は先に馬と荷車を返してから南駐在所で待っといてくれる? 私はしゃもさんと手続きやっておくからー」

 すると、騎士団の方々が威勢良く返事をした。そのまま促されて建物の中に入ると、若干暗めの広いカフェが広がっていた。受付カウンターでは数名の職員が事務作業をしている。ヨーマスさんはカウンターに近づくと軽い挨拶をして、私のギルド承認に関する手続きの申し込みをしてくれた。

「さあ、しゃもさんもこちらへ」

「あぁ、ハイ」

 私は大狐から降りると、カウンターへと歩いて行った。

「えぇっと……待宵 しゃも様で間違いないですね? では、まずは魔力総量の検査をさせて頂きますので……こちらに手を触れてください」

 カウンターのお姉さんは、タブレットのような謎の板をカウンターから軽く滑らせて私の前へ差し出した。言われるがままに手を触れると、カウンターの内側にあるブラウン管テレビのような機械に写った画面が変化した。

「こ……コレは…………」

「どうされましたか……??」

「あの……しゃもさん。失礼ですが年齢は……」

「えぇ!? あぁ、まあ二十代とだけ」

「これはすごいですねぇ……あなたの魔力総量は、数百年生きた魔族にも到達するレベルです。こんな数値は初めて見た……通常は高くても千くらいの数値しか出ないのですが、画面には三万と出ていますね」

「そう……ですか」

「えぇっと……まあ本来はこの後に実力試験をするのですが…………まあこの数値なら試験は不要ですね。役職を選んでください」

 ヨーマスさんをチラッと見ると、唖然とした表情をしていた。どうやらヨーマスさんでも驚くレベルの数値らしい。イマイチよく分からないが……

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