吾輩は犬である
『吾輩は犬である。名前はまだ無い。』
昔、読んだ小説の一文を取ったものだ。
原文は猫だったが……
「おい、犬!!!仕事!!!働けよ……グズでノロマなんだから……」
先輩は強い口調で言った。
彼の2倍の年齢で働いてる。吾輩にはきついものだ。
この世にはキメラというのが存在する。
だが、このキメラというのも最近、できた言葉だ。
そう、最初は……
24年前……
「化け物!!!化け物だ!!!逃げろ!!!」
『今日、未明……犬の姿の子供を発見……すぐに、施設に入ることに』
今日もこのニュースで持ち切りだ。
入った施設はうるさかった。周りの人らではない。
報道取材と言った者達が園の外から喚いている。
「ねぇ、おじさん……わかる?キメラなんだよ?働けてるだけで感謝しなきゃなんだよ?なに、ボサっと立ってるのさ……店長に言ってクビにしてもらうよ?」
『キメラ』……
そう、言われて嬉しいかった。
ただ、今や言われても何も思わない……
『吾輩は犬である。名前はまだ無い。そう、無いのである。』
36歳……化け物、もとい、キメラ、種族第一種『犬』
家畜より上の存在と揶揄された。
そんな、覚えは無い。
吾輩は、犬である。名前は……つけられなかった。
18年前……ある程度、キメラが出てきてから法案が可決された。
キメラ法:セカンドチルドレンからの異種族配合型人種通称『キメラ』を虐めても良いものとする。
また、『キメラ』は行政に従い月にお金を振り込まれるものとする。
命ある。民を救う決断として発表に基づき4月1日から我が国民を、命ある。我が『人間』を救う方法だと考えた決断である。
「セカンドチルドレン……第2の子供……」
国の方針としてキメラは虐められた。
お金ももらえる。のだろう……
なら、ファースト……1番最初に野に放たれた者は?
異種族配合型人間の犬は?
吾輩は、キメラではなく、化け物でもなく、なんと呼ばれる?
「これだから、『キメラ』は働けなくて困るよ」
「すみません」
とっさに謝罪の言葉が出た。
また、過去のことばかりに苦しめられている。
吾輩は、犬である。名前はまだない、キメラでも無い……
ただの、『化け物』だ




