始まり・6
この少女は何者なのか。
ここは深夜の墓地。身なりの良い少女が一人で偶然に通り掛かるような時間と場所ではない。つまり彼女もこの状況の関係者であると考えるのが自然だ。
だが突然現れたこの少女は、どのような役回でこの状況に関わっているのだろうか。
敵なのか、それとも味方なのか。あからさまに敵対者であるスリーピーホロウの騎士とは違い、彼女についてはその判断がつかない。
白いドレスの少女は、どこに隠し持っていたのかサッカーボールほどの大きさの丸い何かをどこからともなく取り出し、そして月明かりの下にかざした。
それは、白骨化した人間の頭部であった。
状況から考えて、おそらくあれは首なし騎士の頭だ。
まさか騎士とは無関係の他人の頭骨ということはないだろう。そんなものをこの場で持ち出されても意味はないし、アンカルヤも反応に困ってしまう。
「――安らかに眠れ」
少女は古い言葉でそう唱えると、頭骨を首なし騎士に向けて放り投げた。
到底、相手に届くとは思えない、弱々しい投擲だった。
しかしそれは重力に逆らい、まるで紐で吊るされているかのような不自然な軌跡を描き、アンカルヤの頭上を通り過ぎて騎士の手の内に収まった。
首なし騎士が、受け取った頭骨を首の上に乗せる。
途端に首から青白い炎が噴き出し、頭骨を包み込む。
炎の中に、頬がこけて目が落ち窪んだ陰気な男の顔が揺らいでいた。
黒の馬は雄叫びを上げて前足で地面を蹴り上げると、身を翻しアンカルヤに背を向けて走り出す。
そして墓地の中央あたりで大きく跳躍すると、そこにある大穴に頭から飛び込んだ。大量の土砂が、まるで水飛沫のように飛び散った。
騎士の姿は地中に消え、足の裏に響く蹄音は急速に遠ざかっていく。
程なくして、月夜の墓地は本来のあるべき静寂を取り戻した。
地の底に繋がる大穴は塞がり、浅い窪みが痕跡として残されていた。
命を脅かす脅威が去り、戦いの恐怖と緊張が抜けてアンカルヤの体がふらつく。
だが、まだ気を休めることはできない。
アンカルヤは斧を握る腕の調子を気にしながら、騎士から少女へと意識を切り替えた。
地の底に去っていく騎士を見送った白い少女が、その視線をアンカルヤに移す。
二人の視線が、青白い月光の中で交差した。
白い少女は、魔女の家から首なし騎士の頭骨を回収し、ここまで持ってきてくれた。その行動だけを見れば、彼女はアンカルヤの味方なのだろう。
だがこの少女は、どのような理由でアンカルヤを助けてくれたのだろうか。その目的がわからない。少なくともアンカルヤには、この状況で見知らぬ少女に助けられる理由に心当たりはない。
「なにか良くない事が起こりそうな不吉な夜が、貴方にはよく似合う。さすが死の女神の審問官ね。冷たい月の色に染まる貴方の姿は、とても素敵よ」
廃墟の墓地には明らかに場違いな、可愛らしい声。
決して大きな声ではないが、はっきりと耳に届く。発声についての教育と訓練を受けている者の声だ。
そして発言の内容から、この少女が審問官についての知識を持っていることも明らかだ。
死の神殿に不死者狩りの専門集団が存在することを知る者は多いが、実際にその姿を目にする者は少ない。だがこの少女は、一目でアンカルヤが審問官であると見抜いた。
おそらく、彼女は審問会に所縁のある人物だ。
アンカルヤの知らない審問官か、あるいは吸血鬼か。
この少女は、そのどちらにも見えない。
つまり、どちらの可能性も高いということだ。
どこか儚げな雰囲気を漂わせる、とても可愛らしい少女だ。
小柄で華奢な体つき。おそらく年齢は十歳前後だろう。
長い黒髪に、僅かに青みがかった黒い瞳。
身に纏うワンピースのドレスは、純白の生地が惜しげもなく用いられている。白っぽい布というだけならば珍しくもないが、これほどの純白となるとかなり希少だ。少なくとも、一般的な子供が気軽に袖を通せるような服ではない。
白い少女を観察して、アンカルヤはふと気が付いた。
彼女の存在は、『彼』の記憶の中にはない。ゲームにも、『彼』の書いた小説にも、このキャラクターが登場したことはない。
だが、アンカルヤの記憶の中に、引っかかるものがあった。
この少女の顔立ちは、アンカルヤが知るある人物と特徴が一致していたのだ。
しかし、それは絶対にありえない。
今ここに、その人物がいるはずがないのだ。
まだ幼い頃のアンカルヤが、鏡の中に見ていた少女。
吸血鬼に全てを奪われた、とある国の田舎領主の三女。
彼女の名は、リエナテ。
死の女神の審問官となり名を変える以前の、アンカルヤ自身だ。
淑やかな足取りでアンカルヤの正面に歩み寄った白い少女が、優雅に立礼する。
「こんばんは、神殿の狩人さま。あるいは、我が作者さまかしら?」
「私が作者であると知っているということは、やはりキミは……」
「察しはついているようね。そう、私はリエナテ。つまり、昔のアンカルヤよ」
状況が呑み込めず混乱する。
アンカルヤを主人公とした小説が現実化した世界に、アンカルヤがいるのはおかしなことではない。だが、アンカルヤが幼い頃の姿をしているのはおかしい。この小説の主人公はアンカルヤであって、リエナテではないのだから。
それに、『彼』もまたアンカルヤであり、つまりこの場には現在と過去の同一人物が同時に存在していることになる。この二人が、こうしてお互いに向かい合って言葉を交わすなど、本来ならばありえないことだ。
「やはりリエナテ、か。私は……いや、私がアンカルヤではないことを知るキミに、私がアンカルヤだと名乗るのもおかしなことだな。しかし、ならば私は何と名乗ればよいだろうか?」
「そうね。私たちは他人のはずなのに、同一人物でもあるのよね。特に貴方とあの子は紛らわしいから、貴方のことは『作者さん』、あの子のことは『アンカルヤ』と呼び分けることにするわ」
『彼』が自分の名前を思い出せない以上、多少の違和感はあっても『作者さん』は無難なところだろう。確かに『彼』は、アンカルヤをキャラクターメイキングした作者であることに間違いはない。
それはそれとして、彼女の言葉には他にも気になる点があった。
「ん? ――あの子というのは?」
リエナテとアンカルヤは同一人物のはずだ。しかし、彼女の言い方では、まるで別人のように聞こえる。
「ああ、そうか。貴方とあの子よりも、私とあの子のほうが紛らわしいわね。とりあえず、私とアンカルヤは別人だと思っておいて。実際には別人でもないのだけれど、そのほうがわかりやすいと思うから」
「しかし、それならばキミは何者だ?」
「私は、あの子の記憶。この現象によって実体化した、アンカルヤの古い記憶よ」
記憶の実体化など、ありえるのだろうか。
いや、こうして小説の文章が実体化しているのだから、記憶の実体化もありえないと否定はできない。
「記憶の実体化か。記憶の――?」
リエナテの説明を聞いて、『彼』はある可能性に気が付き、背筋が凍る。
「まさか……私も本物の私ではなく、この現象によって自分の記憶から再現された偽物なのか?」
「それは、疑問そのものに意味がないわ。私たちは今、生と死の合間で夢を見ているのよ。この世界と私たちは、その夢の実体化。夢の中の自分は本物なのか、それとも偽物なのか。貴方の問いは、そういうことよ」
「わかったような、わからないような……」
たとえ見えているもの、触れているもの、全てが幻だったとしても、今ここにある自分の心は本物だ。
そういうことなのだろうか。
「そもそも、自分が何者かを悩むなんて、素数や円周率を数えるようなものよ。無意味とは言わないけれど、それは暇人のすることだわ」
やれやれと、少女が首を左右に振る。
それは随分と大人びた仕草だった。
言動が歳にそぐわぬ少女である。
「それもそうだね。私自身については、それでかまわない。だがキミについては、もう少し詳しく教えてほしい。この世界では、私の中にアンカルヤの意識の存在が感じられないのだが、それは彼女の記憶であるキミがこうして独立して実体化しているからなのか?」
「いいえ。貴方の中にあの子がいないのは、私が実体化しているからではないわ。でも、あの子はあの子で、私や貴方とは別に実体化しているから、半分は正解ね」
アンカルヤの姿で実体化している『彼』。
アンカルヤの姿で実体化しているアンカルヤ。
そして、リエナテの姿で実体化しているアンカルヤの記憶。
この三人が存在しているらしい。なんともややこしい状況である。
「アンカルヤも実体化しているのか。しかし、彼女の姿が見当たらないのだが?」
「あの子なら、この世界にはいないわよ。ああ、でも心配は不要よ。あの子は特に危険な状況にはないから、当分はほっといて大丈夫。あちらは随分と気楽にやっているみたいだから、心配するだけ無駄よ」
そう言って、少女は鼻で笑った。
「そうなのかね? まあ、キミが彼女の身を安全だと判断しているのなら、私の心配など不要なのだろうが……」
この情報で気になるのは、『彼』とアンカルヤが別々に実体化しているというところだ。
ならば、『彼』が本来の姿で実体化することができれば、『彼』とアンカルヤは元の二人に戻ることができるのではないだろうか?
「……やはり、キミの話にはいろいろと気になるところが多い。それらの疑問について話を聞かせてもらえると助かるのだが」
しかし、『彼』が質問を口にする前に、リエナテに言葉を遮られた。
「――待って。その前にもう少しお話を楽しめるような場所に移動しようよ。私と貴方の最初で最後のデートの思い出が、馬に踏み荒らされた夜のお墓というのは乙女として許容できないわ。もっとも、貴方の選択次第では、この先もずっと一緒に過ごすことになるのだけれど」
デート?
選択?
一緒?
「ついてきて。せめて、この町で一番のレストランに案内するわ」
あの町に営業中のレストランがあるとは思えないが。
リエナテは、困惑する『彼』の返事を待たずに墓地の外に向かて歩き出した。
「――すまない。キミの言うとおり、この墓地は女の子を引き留めておくような場所ではないな。しかも私は質問ばかりで、気の利いた言葉の一つもなければ、助けてもらった礼すらまだ言っていなかった」
「気にしないで。さっきはデートと言ったけれど、私にロマンチックな言葉は不要よ。一応私も少女だし、そういう言葉に憧れる気持ちはあるけれど、それを貴方に求めて面倒くさい女と思われるのは嫌だから」
リエナテの言葉に、『彼』は小さく首を傾げた。
少女は自身を、アンカルヤの過去の記憶であると説明した。
しかし、そうであるなら、これまでの彼女の言動は不可解だ。
アンカルヤの記憶にあるリエナテは、もっと大人しい控えめな性格の少女だったはずだ。だがこの少女は、アンカルヤの過去の記憶を自称しているにも拘わらず、明らかにリエナテとは異なる人格を有している。
彼女の言動はリエナテよりも、むしろアンカルヤに近い印象がある。だがあくまで雰囲気が似ているだけで、決して同じではない。
リエナテはもちろん、『彼』やアンカルヤも、初対面の人物を一方的にデートに誘うようなことはしない。仮にデートを申し込むにしても、最低限、相手の同意は確認するはずだ。
彼女の性格は明らかにリエナテとは異なる。そして、『彼』やアンカルヤとも違う。
ならばこの少女は何者なのだろうか。
少なくともリエナテの様子から『彼』に対する害意は感じられないが、それだけではまだ彼女を信用することはできない。もう暫くは、慎重に様子を見る必要がありそうだ。
リエナテは墓地の門に差し掛かったところで立ち止まり、何かを思い出した様子で振り返った。
「忘れ物はないかしら? 一度離れたら、もうここには戻ってこられないわよ」
「ん? 戻れない? それは、なぜだね?」
『彼』の疑問に、リエナテが口ごもる。
「ん~、あ~、どう説明したらいいのかな? 私も変な奴から話を聞いただけで、よく理解は出来ていないんだけどね。この世界はとても小さくて雑な造りをしているらしいのよ。私たちが見たり触れたりできる部分だけしか存在しないんだって。だから私たちがこのお墓から離れたら、この場所は消えてしまうの」
変な奴とは、誰だ?
知覚範囲内しか世界が存在していない?
やめてくれ、謎を増やさないでくれ。
ただでさえ意味不明な状況がさらにややこしくなってしまい、『彼』は眩暈を覚えた。
「消えた場所は私たちが近付けば再生成されるんだけど、その際には環境の変化は保存されていないとか――要するに、このお墓から離れて、また戻ってくると、あの首なし騎士が復活しちゃうらしいのよ」
「――つまり、この世界では、その場を離れると環境がリセットされてしまうのか? それは厄介だな……いや、そうではないな。これは、何か失敗をしても無限にやり直しがきくということだ。ならば厄介どころか、かなり助かる仕様ね」
「そう都合よく利用できるとも思えないけれど。ところで最初の質問にまだ答えてもらっていないけれども、忘れ物はないのかしら? なら、さっさと町に向かいましょう」
そう言うと、リエナテは墓地の門を通り抜けて町に続く小道を進んでいく。『彼』は慌てて少女の後に続いた。
墓地と町を繋ぐ短い小道は、長らく整備されていないため草に埋もれている。だがリエナテは月明かりだけでも道を見失うことなく、確かな足取りで町に向かっていく。
人気のない暗い夜道で、黙って女の子の後ろをついて歩くというのも居心地が悪い。
『彼』は何か気軽な話題はないかと少し考え、取り合えず思いついた疑問を口にしてみた。
「ところでキミはなぜここに? わざわざ私を助けるために、ここまで来てくれたのかね?」
「私がここにいる理由は、貴方と同じよ」
同じ理由と言われても、困る。
『彼』は自分がここにいる理由を知らないのだから。
「気が付いたら、ここにいた。訳も分からず、この世界に放り出されていた。そういうことよ」
「ああ、そういう意味か。つまりキミも、この世界についてはよくわかっていないということだね」
リエナテはちらりと後ろの『彼』を振り返り、意味深な微笑みを見せた。
「そうだけど、あの変な奴から話を聞いている分、貴方よりはわかっているかもしれないわね」
「そうそう、それも気になっていたのだ。その、変な奴というのは何者だ?」
「自称、私たちの協力者だそうよ。でも、変な奴は変な奴としか言いようがないわね。貴方も実際にあいつを見れば、変な奴以外の感想は思い浮かばないと思うわよ」
その説明では、何もわからない。
「自称、協力者か。なんとも胡散臭いが、そいつは信用できるのか?」
「いいえ、まったく。だから、無視することもできない」
「なるほど」
「でもね、私が首なし騎士の頭を用意できたのも、こうして貴方と合流できたもの、変な奴の助言のおかげよ。そこは疑いの余地はないわ」
随分と怪しい人物のようだが、今のところ協力者であることを疑う言動は見られないらしい。
「変な奴の話が事実かどうかを私も少し調べてみたんだけど、環境が復元される現象については確かに確認できたわ。でも、いろいろと実験をしていたせいで、貴方との合流に遅れてしまった。できれば貴方があの悪霊と遭遇する前に、騎士の頭を用意しておきたかったのだけれど」
「いや、それでも助かったよ。あのまま首なし騎士と戦っていたら、無事で済んだ自信がない」
「そうね。結果的には間に合ってよかったわ。貴方がこの世界でも命を落としたら、蘇生の霊薬がどのような効果を見せていたかわからないから」
蘇生の霊薬については、不明な点が多い。ここで『彼』が二度目の死を迎えた場合、どうなるかは全く予想ができない。
毒のナイフに刺されて死んだはずの『彼』が、こうして生きているのだ。霊薬の効果はあったのだろう。だが、今のこの状況は、霊薬の効果だけでは説明がつかない。
霊薬による蘇生のほかに、何らかの現象が並行して発生していると考えて間違いはないだろう。
「その変な奴には、私も会って話を聞いてみたいな。紹介してもらえるかね?」
「もちろん、いいわよ。レストランに寄ったあとで、あいつのところに貴方を案内するわ」
そんなことを話している間に、二人は廃墟の町に到着した。
町を横断する広い通りを東に進み、やがて町の中央にある大きな十字路に差し掛かる。
「このあたりで大きなお店を見かけたのだけれど……ああ、あった。あそこよ」
リエナテが、十字路の角にある三階建ての大きな建物を指差す。
この町で一番のレストランに案内すると彼女は言っていたが、確かに小さな田舎町には似つかわしくない立派な建物だ。大きさだけではなく、外装にもこだわっていた形跡がみられる。
高くて尖った屋根。鮮やかかな彩色の痕跡が残る壁面。細かな装飾の施された出窓。
今でこそ朽ちた廃屋だが、往時はお洒落なお店だったようだ。
「――? 食事はできそうにないが、ここに何かあるのか?」
どう見ても、このレストランは営業中ではない。
リエナテが『彼』をこの廃墟に案内した理由がわからなかった。
「もちろん、ここには何もないわ。でも、これが私には最後のデートだから、せめて場所だけでもデートっぽい気分を感じてみたかったの」
そう言って、リエナテは楽しげに笑った。
この陰鬱な雰囲気の中で、よくデートを楽しもうなどという気分になれるものだ。
深夜の墓地に比べればまだましではあるが、廃墟の町もデートスポットには程遠い。漫画やアニメなどでは肝試しやお化け屋敷がデートイベントの舞台になることもあるが、本物の悪霊が彷徨う本物のゴーストタウンは完全にアウトだろう。
せめて気分だけでもデートを楽しみたいと彼女は言うが、やはり無理がある。
だが、女性との会話経験の少ない『彼』でも、さすがにそれを口に出して指摘するほど無粋ではなかった。
いや、この状況だからこそなのかもしれない。
先程、リエナテは気になる言葉を口にしていた。『彼』の選択次第では、この先も一緒に過ごすことができるると。これは言い方を変えれば、『彼』の選択によっては共にはいられないうことでもある。これに、最初で最後のデートという言葉を合わせて考えると、なかなかに不吉な気配が漂ってくる。
リエナテはこの状況を、生と死の合間に見る夢だと言っていた。もしかすると、記憶が実体化した存在である彼女は、この夢から覚めると消えてしまうのではないだろうか。これが初めてで最後のデートだという彼女の言葉は、おそらくそのままの意味なのだ。
だからこそ、この泡沫の僅かな時間に出来る範囲でやりたいことをしておこうと思っているのだろう。
そのような彼女の心境を思うと、『彼』はリエナテにどのような言葉をかければよいのかわからなくなってしまった。
これが初めてのデートなのは、『彼』も同じだった。
リエナテのような可愛らしい少女にデートに誘われるなど、とても光栄なことだろう。
だが、このデートには大きな問題があった。
場所が深夜の廃墟で、お相手が幼い少女であることだ。
人気のない深夜の廃墟に幼い少女を連れ込み、これをデートだと主張するのは問題がある。
まさか自分の人生初のデートがこのような犯罪まがいのものになるなど、昨日までの『彼』は夢にも思っていなかった。
人生とは、何が起こるかわからないものである。
平凡な男子高校生が、突然ゲームのキャラクターになってゲームの世界に迷い込み、理由もわからず殺されたと思ったら、本物のゴーストタウンで美少女とデートをしている。
『彼』はこれまでの出来事を振り返り、自分が置かれている状況の無茶苦茶さを再確認した。そのあまりの理不尽さには怒りすら覚える。
それでも、楽しそうなリエナテの後姿を見ていると、それも悪くないと思えてしまうのが不思議だった。
今回登場したリエナテですが、名前だけは第8話で登場しています。第8話の投稿は、2019年の7月です。こんな昔の内容、誰もおぼえていないですよね。




