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幻想世界の紀行録  作者: TaYa
迷宮島の放浪者たち
61/71

終わり・2

 アンカルヤたちの進む先に、高さ十メートルを超える岩の崖が東西に立ちふさがっている。

 崖の上から落ちる滝は、水量こそさほど多くはないものの、落差が大きく迫力があった。

 深くえぐれた滝壺から南東へと流れる川は、北に向かう一行の右側を流れている。

 両岸は川の流れに削られて、かなり低い。川はアンカルヤたちの歩いている道から二メートルほど下を流れている。水は透明で、川底に水草が揺れているのが見える。時折、魚の鱗に陽の光が反射してキラッと光る。


 やがて一行は、滝の下に到着した。

 道の上に敷かれた石や木の板が、滝の水飛沫でできたぬかるみにまみれている。これらの板は足元の滑り止めのために敷かれているようだが、半ば泥に沈んでいる上に苔で覆われており、ほとんど用を成していない。

 風に運ばれてきた水飛沫に衣服が濡れて肌に張り付き、冷たくて気持ち悪い。

 アンカルヤは崖の真下から滝口を見上げる。こうして間近から見ると、崖の高さをより実感させられる。これを今から登らねばならないと思うだけで、足が重くなる。

 滝から少し離れたところに、崖上に向かう登坂路がある。崖の斜面を削って作られた登坂路は、スイッチバック方式で何度か折り返しながら崖の向こうに続いていた。

 登坂路の登り口の傍らに、木や草を刈り取り、地面を均したスペースが作られていた。そこには日と雨除けのためのシンプルなテントと、使い古された荷車が数台に、大小様々な木箱が無造作に積み上げられていた。


「この場所は?」

「遺跡街と第一採集基地を行き来する荷物の昇降設備です。一時的な荷物の集積場で、この上にあるクレーンで荷物の上げ下げを行うのです」


 なるほど。確かにこの崖を荷車を引いて上り下りするのは、どう考えても無理だ。

 崖上を見上げると、そこに何か木組みの人工物が見える。あれがクレーンなのだろう。


「こうして滝を見上げていても、水に濡れるだけです。早く登ってしまいましょう。上に着いたら小さな小屋があるので、そこで小休止をとります」


 一行はアマギリイナに促されて、登坂路に足を進めた。






 崖の岩肌を削って作られた登坂路は、人一人がやっと歩ける程度の幅しかなく、傾斜もきつい。

 一行はアマギリイナを先頭に一列に並び、細い上り道を慎重に進んでいく。

 大柄なロウギスはこの狭い道に苦労するのではないかとアンカルヤは心配していたが、予想に反して彼は危なげなくしっかりとした足取りで歩を進めている。

 逆に最も小柄なリフィリシアが、かなり危なっかしい。崖に張り付くように両手を岩肌に添え、すり足で一歩ずつ両足を揃えて慎重に進んでいる。腰が完全に引けていた。顔色も青ざめている。

 登坂路には、一応ところどころに体を支えるための杭やロープが設置されているが、転落防止の柵はない。万一にも足を滑らせたら、崖下に真っ逆さまである。

 一歩進む度に、少しずつ崖下の地面が遠くなっていく。登坂路も半ばを越える頃には、怖くて下を見ることはできなかった。

 足元は濡れた苔と岩で滑りやすくなっている。アンカルヤも何度か靴底が滑り、その度にヒヤッとさせられた。とても心臓に悪い。


「今日はツイてないね。風向き次第では、足元がこんなに濡れることはないんだけど」


 最後尾のサリイユが愚痴る。

 彼女の言葉のとおり、ときおり風に乗って滝の水煙が登坂路まで流れてくる。水に濡れた服が体に重くまとわりつき、動きを阻害されてとても鬱陶しい。


「討伐隊も、この道を通ったのかい? あの大人数でここを通過するのは、大変だったのではないか?」


 アンカルヤの質問に、先頭のアマギリイナが振り返えらずに答えた。


「そうですね。安全を確認しながら班ごとに区切って進みましたから、結局全員が通過するのに半日以上かかりました」

「ここ以外に、もっと歩きやすい道はないのかね?」

「ありますよ、この崖を避けるルート。ですが、かなりの遠回りになってしまいますので、通過に半日かかっても、この道が最短のルートなのです」


 アマギリイナの説明によると、この登坂路は遺跡街でも以前から問題視されているらしく、ここから少し離れた箇所で崖を南北に削ってなだらかな登坂路を作る計画が進んでいるそうだ。だが残念なことに、その道はまだ完成していない。






 一行は慎重に時間をかけて、全員無事に崖上に到着した。

 皆が揃って深く安堵の息を吐く。

 それからアンカルヤは、崖の上の景観に目を見張る。

 森は、ここで終わっていた。

 崖から北は、無数のなだらかな丘が連なっている。岩がちな丘の表面は色彩に欠ける冬草に覆われていて、ところどころまばらに低木が生えている。そして丘と丘の間の低地には、いくつもの湖とそれらを繋ぐ川が見える。

 その景色の先には、白い雪を頂いた巨大な円錐形の山がそびえていた。

 

 南を振り返ると、十数メートルの崖上から広大な森林を見下ろすことになる。

 ここからそこそこ離れたところに、小さく第一採集基地が見えた。基地は森の中心にあるように感じていたが、こうして見ると森の北端に位置していることがわかる。

 基地からさらに南に目を向けるが、さすがにゴブリン討伐隊の野営地までは見えなかった。

 南の地平線に煙は上がっていないので、『火炎球』による森林火災は鎮火したようだ。

 眼下に広がる眺望に、アンカルヤは自分たちの進んできた道程の長さを実感した。


「森は、ここまでなんですね」


 リフィリシアが疲労の滲む表情で、ぼんやりとそう呟いた。


「そうですね。理由は気候か土壌かわかりませんが、ここがこの島の森林限界です」


 崖の上には、荷物の上げ下ろしのための木造のクレーンが三台、しっかりと組み上げられた石積みの土台の上に設置されている。クレーンは大きなものが一つと、それよりも一回り小さなものが二つ。荷物の大きさによって使い分けるのだろう。見たところ、動力は人力のようだ。

 クレーンから少し離れた所に、平屋建ての木造の小屋がある。その傍らにはちょっとした畑と鶏小屋があり、木の柵で囲われた小さな庭では物干しに吊るされた洗濯物が風に揺れている。なんとも生活感漂う情景だ。

 小屋のドアをアマギリイナがノックする。

 しばらくしてドアが開き、目付きの悪い若い男が姿を見せた。


「……誰だ?」

「女子会所属のアマギリイナと、他四名です。第一採集基地から遺跡街に向かう途中です」

「女四人に大男が一人か。ああ、話は昨日の連中から聞いている。お前たちが帰還部隊の後続だな?」


 先に遺跡街に向かった帰還部隊がここを通過した際、後から続くアンカルヤたちのことを予め伝えておいてくれたらしい。


「はい、そうです。ここで少し休んでも?」

「この小屋は狭い。裏に焚き火を用意するから、そっちで休め」

「ありがとうございます」


 このクレーン設備は六人のプレイヤーで管理していて、この小屋は彼らの詰め所らしい。

 確かに、その六人にアンカルヤたち五人を加えると、この小さな小屋には収まりきらないだろう。


 小屋の裏側に回ると、木を縦に割って作ったベンチが三つ、間を空けて三角形に配置されていた。その中心には枯れ木や枯れ葉が集められている。案内してくれた男が、慣れた手付きでそれに火を着けた。


「全員、びしょ濡れだな。風向きが悪かったか。運のない連中だ。ここでしっかり乾かしていけ。俺たちは小屋に控えているから、用があれば……あと、出発する前にもひと声掛けろ」


 そう言い残して、管理人の男は小屋に戻っていった。

 彼は口調こそぶっきらぼうだが、とても親切な男だった。






 三つのベンチに、それぞれアマギリイナとサリイユ、アンカルヤとリフィリシア、そしてロウギスという組み合わせで腰を下ろした。

 一行は焚き火を囲み、暖を取りながら足を休める。水飛沫に濡れて冷えた体に、火の熱が染みる。


「まだ昼には少し早いですが、ここで昼食をとっておきましょう」


 アマギリイナとサリイユが雑嚢を開いて昼食の用意をはじめる。

 ロウギスもそれに続いて、自分のカバンからパンや干し肉を取り出した。

 アンカルヤが視線でリフィリシアに問いかけると、彼女は首を左右に振った。二人共、朝に錬金術師の焼き菓子で一日分の食事を終えている。疲労は感じていても、空腹は感じていない。


「私とリフィリシアは朝のうちに昼の分の食事も終えている。食事はキミたち三人でとってくれたまえ」

「大丈夫なの? この後、まだ結構歩くよ?」


 サリイユが少し心配そうに尋ねる。


「ああ、例の焼き菓子か。便利だな」


 ロウギスの一言に、アマギリイナがピクリと反応する。


「――焼き菓子?」

「あ、いや。なんでもないぜ?」


 しまったといった様子で、ロウギスが慌てて言葉を濁す。それで誤魔化せているようには見えないが。

 彼は視線をアンカルヤに向け、表情で、済まない口が滑ったと謝罪した。

 アンカルヤは、かまわない、気にするほどのことではないと頷いた。実際、アンカルヤは焼き菓子のことを秘密にする気はなかった。言い広める気もなかったが。


 クレーンと小屋は川から十メートルほど離れた位置にある。すぐ近くから聞こえてくる滝の水音を聞きながら焚き火で暖を取っていると、小屋の方から先程の男がやってきた。その手には、大きな鉄のヤカンを提げている。


「白湯を持ってきた。カップがあるなら出せ」

「――白湯?」

「なんだ? 雑草茶のほうがよかったか?」


 男が鼻で笑う。


「雑草茶?」


 聞き慣れない言葉にアンカルヤが首を傾げると、サリイユが説明をしてくれた。


「本当に雑草を使ったお茶じゃなくて、手持ちの香草を適当にブレンドしたお茶のことだよ。とても雑なお茶で、味のアタリとハズレの差が大きいんだけど、殆どはハズレでひどい味だから雑草茶と言われてるの。その点、ただのお湯ならハズレがなくて安心ね」


 アンカルヤたち五人はそれぞれのカップを差し出し、白湯を注いでもらった。

 白湯は鉄の味と匂いがしてあまり美味しくなかったが、その熱で体は内から温まった。


「この辺りはどのような様子ですか?」


 アマギリイナが白湯の注がれたカップを手に、管理人の男に尋ねた。


「どのような、とは?」

「ここに来るまでに、誰ともすれ違いませんでした。普段と比べて、人通りが少ないようですが」

「確かに、今日は遺跡街から採集基地に向かう奴は見ていないな。だが、朝に採集基地から遺跡街に向かう奴がいた。遺跡街にゴブリンの目撃情報を伝えに行くと言っていたな」

「やはり、人通りが少ないのは、ゴブリンが北上してきた影響でしょうか?」

「ゴブリンの目撃情報が増えたのは昨日からだ。影響が出るとしても、これからだろう」

「この辺りにもゴブリンが?」

「いや、まだこの辺りでは連中を見かけていない。だが時間の問題だろう。今後の状況によっては、ここも増員の要請が必要になるかもな」


 南は森で、北は丘。この小屋は、第一採集基地からも遺跡街からも距離が離れている。もしゴブリンの襲撃があっても、他に救援を求めることは困難だろう。

 それに懸念はゴブリンの襲撃だけではない。この場所は崖や川に近すぎる。地震による崖崩れや川の増水など、自然災害の危険も想定される立地だ。

 崖の上下で荷物をやり取りするための施設なので、崖の間際にあるのは仕方がない。しかし、ここまで川に近い必要はないはずだ。


「何故、このようなところに登坂路やクレーン設備を? 川が近すぎるのでは? 天候によっては増水などの危険があると思うが」

「お前は見ない顔だな。ここに来るのは、はじめてか? なら、ここのことは知らないか」


 管理人の男が滝の方を指差した。

 その指先を視線で追うと、滝口付近に石積みの土台や木の柱など、そこに何かが設置されていた痕跡があった。


「川の近くにクレーンを建設したのは、その動力に水力を利用するためだ。だが当初の期待ほど効率も良くなかった上に、お前が先程言ったように去年の春先の増水で流されてしまった」


 今ある三つのクレーンは、水力式クレーンの再建までの暫定的な設備なのだそうだ。

 しかし肝心の水力クレーンは増水対策に手間取り、設計段階で足踏み状態らしい。

 そうこうしているうちに、ここより西にクレーンを必要としない緩やかな登坂路を造る計画が持ち上がる。そちらが完成すれば、このクレーンは破棄される可能性が高い。

 この小屋については、新しい登坂路の側に移設して中継基地として再利用するという案もあるようだ。


 管理人の男は白湯のヤカンを焚き火の横に置いて、小屋に帰っていった。

 ロウギスたちは昼食を手早く終えて、今はカップを片手に焚き火で暖を取っている。

 アンカルヤはベンチから立ち上がると、南を振り返った。そして地平線まで広がる森を見下ろし、これまで歩いてきた道程を思い返す。


「森がどうかした?」


 森に向けられたアンカルヤの視線に気が付いたサリイユが、彼女の横に並んで森を見下ろす。


「それとも、この森が変なことが気になるのかな?」

「変? いや、違和感はないが」


 そもそも、アンカルヤは森林に詳しいわけではない。この森に何かおかしなところがあったとしても、それに気付けるとは思えなかった。


「迷宮島は、海底火山が盛り上がってできた島なんだよ?」

「――あ、そうか。森の何処か一部が変なのではなく、この森そのものがおかしいのか」


 この島は過去に一度も大陸と地続きであったことがないのだから、確かにこの森は奇妙だ。


「そうなんですか? よくわかりません」


 リフィリシアも、崖下の森を見下ろして不思議そうにしている。


「ここは昔は海の底だった。だとしたら、この森の動植物は何処から来たのだろう? この生態系の由来がわからない」

「あ、そっか。う~ん、無人島の植物というと、渡り鳥が種を運ぶという話をよく聞きますが」

「草花の種子ならともかく、狼や鹿といった動物まで鳥が運んできたと考えるのは無理がある。サリイユに言われるまで気が付かなかったが、確かにこの森はおかしい」


 二人が並んで首をひねっていると、サリイユが得意げな顔で南の森を指差す。


「わからないかな? なら、ヒントをあげるね。この森の植生は、資源としての利用価値の高い植物に偏っているの」


 それは、ヒントというよりも答えそのものだった。


「なるほど。この島に迷宮を造った連中が持ち込んだのか」

「そう推測されています。過去にはこの島に馬や牛なども持ち込まれていた痕跡が残っています。ですが家畜として持ち込まれた動物のいくつかは無人島となった後の島の環境には適応できずに絶滅してしまったようです」


 アンカルヤとリフィリシアはなるほどと納得したが、ロウギスはまだその答えに納得がいかないようだ。


「狼の遠吠えを聞いたことがある。この森が資源活用を目的とした人工の環境であるなら、なぜ害獣が存在する?」

「それは、草食動物が天敵のいない環境で過剰に繁殖し、森林資源を食い荒らすことを予防するためと思われます」

「そうか、バランスを取るためか」

「なんにせよ、それは迷宮が造られた大昔の話だよ。この森はもう人の手を離れて自立している。今はもう、人間のための森ではないよ」


 そう言ってサリイユは眼下の森に穏やかな視線を向けた。






 昼食を終え、焚き火で温まりながら休息をとっている間に、濡れていた体と服は乾いていた。煙の匂いが染み付いてしまったが、濡れたままでいるよりはましだ。

 そうこうしている間に、太陽は空の頂点に差し掛かろうとしていた。

 そろそろ休息を終え、移動を再開してもよい頃合いだろう。

 アンカルヤは小屋の裏にテントを設置し、コートハンガーに吊るしていた黒い中折れ帽を頭に乗せた。それからテントを片付けて、バックパックに括り付ける。

 出発の準備を終えて焚き火の側に戻ると、ロウギスとアマギリイナが興味深い会話を交わしていた。


「――プレイヤーの全員が一斉にこの世界に転移したのではなく、転移の時期に個人差があるようだが、なにか理由でも?」

「確かに私たちの転移には時間差がありますが、その理由は不明です。ちなみに、最初の転移がいつのことなのかはわかりませんが、記録に残っている最初に迷宮に到着したプレイヤーについては、今から二年と少し前の転移だそうです」

「随分と俺の転移と開きがあるな」

「ですが、この転移現象については、そろそろ打ち止めではないかと予想されています。王冠物語はマイナーなパソコンゲームなので、プレイヤーの数はそれほど多くはありませんから」

「そういえば、『最初の一歩』の実績解除も100%ではなかったしな」


『最初の一歩』は王冠物語で最初の実績であり、これはキャラクターメイキングを終えた時点で解除される。この実績が未解除であれば、王冠物語を購入後に一回もプレイをしていないということを意味する。その場合は当然のことだが、この世界での実体化の基準となる最新のセーブデータも存在しない。つまりこの世界に転移する条件は王冠物語の購入ではなく、実際にこのゲームをプレイしていることなのだ。


 二人の会話を横に聞きながら、アンカルヤはこれから進む北の方角に意識を向けた。

 なだらかな丘が遠くまで連なり、無数の湖が青い水を湛えている。

 その景色の向こうに、ひときわ大きな山が見える。この島の中心に位置する火山だ。

 火山といっても、この山は第三紀から第四紀にかけては一度も噴火したことがない。その頂は雪に白く染まるのみで、そこに噴煙は見られない。

 アンカルヤがこれほど大きな火山を目にしたのは、この山が初めてだった。その迫力に圧倒される。

 大自然の威容に目を奪われていると、その山裾に小さな黒い模様のようなものが見えることに気が付いた。


「あれは……」

「どうかした?」


 アンカルヤの小さな呟きに、サリイユが反応した。


「ふむ。あの山裾の中央付近に、なにか黒い模様というか、カビの汚れのようなものが見えるので、それが少し気になっただけだよ」


 すると、何故かサリイユが大爆笑をはじめる。

 自分の言葉の何処に笑いの要素があったのかわからず、困惑するアンカルヤ。


「カビ! 汚れ! 言い得て妙だね。未だかつて、アレをここまで的確な言葉で表現した人はいないと思うよ、うん」


 アンカルヤの発言に馬鹿受けしているサリイユに、アマギリイナが深いため息をついた。

 リフィリシアとロウギスも、サリイユの様子を何事かと疑問に思いながら、山裾に注目する。


「ん~。ああ、アレのことか。確かに黒い何かが見えるな」

「ホントだ、山裾に何かありますね。あれは、何でしょうか?」


 未だに爆笑を続けるサリイユの頭を軽く叩き、アマギリイナは再びため息をついた。


「あれが、遺跡街です」


 彼女の一言に、アンカルヤたちは息を呑む。

 三人は、ついに目的地を視界に捉えたのだ。


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