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僕と、彼女と、ペンダント  作者: ミシェロ
第七章【家族】

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砂の匂いが焼けた空気に混ざり、雷の音が耳を震わせる。

彼女の槍が私の足を貫き、上を向くと、彼女は勝者の表情をしていました。


「チェックメイトだ。何か言い残す言葉はあるか?」


そう言って槍を引っ張ろうとした瞬間、私はそれを掴んで離さない。

彼女がさらに力を込めて掴んだ手を地獄に引きずるようにさらに力を入れると、槍は拮抗した。


「まだ、終わりではありません」


自分の声が、静かに頭の中でハッキリと響いた。


「あなたは、動物戦士でありたくなかったと言っていましたね。けれど今のあなたは融合で得た体を利用して、戦っている。よくも悪くも、あなたは今の自分を生きているのではありませんか?」


カリサの眉が動き、口の弾けたような音を立てる。


「お前に何が分かる。人間のままでいられたお前に私が受けた言葉の数々を分かるわけがないだろう!」

「熱っ……!」


槍に雷が走り、次の瞬間、刃が全身を駆け抜けるような音がした。喉が助けを求めるような声。

焼け焦げた布の匂いが鼻を突く。

それでも、この左手だけは離しません。


「それでも、私は今のあなたと分かり合えると思っています。まだ、間に合います」

「ふざけるな。負けを遠ざけたいだけの甘い理屈だろ」


左手の力を解きカリサが槍を引いた勢いにのけぞるのを見て庭に植えられたサザンカを思い出す。


「手を跳ねのけられてしまった以上、もう遠慮はいたしません」


足の感覚は、動かしても不思議と抵抗が返ってこない。時間がありません。

カリサへ当てにくい前傾で駆け出し、剣に花を添える。桃色に色を変えた剣を突く。


「っ……!」


雷の弾ける音に距離を取ると、カリサの体が稲妻に覆われていく。今更痛み何て怖くありません。

足を塗り終えた飽きたように剣が赤くなり、カリサの横へと迫る。


「やらせるっ、か」


花の剣が効いている。炎の残酷さを溶かし合わせ横腹に突き刺し、炎を流し込む。


「く……あぁっ……!」


開戦の銃が鳴ったように数千本の針が体中を駆け抜けていく。

カリサは大きく後退し、剣を引き抜くと、身にまとった雷が槍へと集まっていく。


「私がお前に、負けるわけにはいかない……」


その瞳に、なお自分のみで生きる意志が見える。腕に力を入れると熱が駆け抜ける。

左足は砂を蹴ってばかり。シオン様に見られていないことが何よりの幸運ですね。

私は剣を立て、静かにカリサの正面に揃えた。


「花は光を受け、罪を洗い流す――咲け」


赤・桃・白の花弁が剣を依り代に花を咲かせ、空気が踊り立つ。

カリサは雷を複数層に纏わせた槍を構え引き損なった足を構え直すと、ほぼ同時に技を放つ。


「翔雷尖!」

「彩花連舞!」


剣が滲んだ血の色へ変わるほどの連続した斬撃。足が忘れ物をしたように稲妻を放ってくる。

まだです。これだけでは、足りない。

世界が白く光った一瞬の後、何かが跳ねる音。

カリサの右腕が肩から先を忘れ、先が地面に転がっていた。隣に折れた槍を置いて。

肩が溶かされたように暖かい。違う。肌は雷を怖がったように姿がありませんでした。


「・・・なぜ殺さなかった」


彼女の声は乾いていました。


「言ったでしょう。私は、あなたと話し合いがしたいと」


私は剣を落とすと、花弁が風に散っていく。


「まだそんな甘いことを考えていたのか」

「人間関係でも、よくあることなんです。相手が諦めるとしても、自分が諦めるのは遠慮したいんです」

「相談した相手を、間違えたな」


カリサが遠くを見るように呟くと、ただ空を見上げていた。

けれど私には胸の奥に、何か冷たい血脈が芽生えた次の瞬間、地面が咆哮をあげた。


「中央から離れろ!」


エルメインさんの声が響き、足元から高圧の振動が伝わってくる。

砂の奥で何かが蠢き、音を立てて割れた。


ミカロやボルディミアスが闘技場の外へ駆けていく。

シオン様とエルジードさんが私の方へ駆け出す。相変わらず、私は助けられてばかりです。

腕を伸ばすと、黒い鱗の壁が塞いだ。

六つの顔を持つ巨大な蛇が、地を通して姿を見せる。


「殺せなかったのね、カリサ」


凛々しく凍るような声。そう、相談したのは貴方だったのですね。


「あなたでしたか、王妃様」


私は私の位置を示すように指差した彼女に剣を向ける。


「なぜ、彼女を利用したのです」

「あなたが知る必要はないわ。彼女と同じように私に従えばいいの」


その声と同時に、腕が揺れた。今になって彼女の雷が効いてきた、みたいです。

七本の剣が肌を貫いた。剣は戦いを楽しむように、血を垂らし次の肉を待っているように見える。

心が安心し温まるシャルが悪戯に私の肌による感触を確認するときのような感覚がした。


「どうやら、話す時間はないようね」


彼女は赤い線を描いた顔で笑って、私を抱きしめました。


「早く剣から離れてください!」

「気にするな。ただの気まぐれだ。妹なんだから、静かにしていろ」


叫んでも、彼女はどかない。血の温かさとともに、頬へ柔らかな口づけをすると、彼女の雲が晴れてしまった。

――また、彼女が私の肩を叩いた。気が付けば、私は三日月の笑みを浮かべていました。

剣を構え斬撃を放つと、蛇の三つの顔は刺身のように顔と体が離れていく。


「王妃様、遊びましょ」


王妃は虫を見ように冷ややかな目つきで笑った。


「あなたのような乱暴な女性、家族とは思いたくもないわ」


女はビンに入った緑の液体を喉に流し込むと、蛇の体に沈んだ。鱗が広がり、頭が七から八に増える。

鱗はカリサの身体を掴み、私は止む無く中央から離れた。


「完璧な私となるために、カリサもレチカも、シャルルローゼスも、身を捧げなさい」


その目には悲しさの刃こぼれ一つない。私は警告したのに、相変わらず甘いあまーいショートケーキなんだから。


「御母様!」


シャルが駆け寄り、必死に声を矢のように放つ。無駄だと思うけど。


「思い出してください、食事会の時を!」


当然のように王妃の口元が味の整っていないホタテを食べたように笑った。


「お前たちは私の養分として充分価値がある。それだけであって他に価値などないの」


蛇の弾丸が彼女の元へと飛んでいく。エルジードが箒を走らせ、シャルの体を抱えて空へ上がると、弾丸は壁を上り弾道を変えた。


「妹姫様、下がれ。アイツの意志は分かっただろ。俺や兄貴で決着をつける」


彼女の声が遠くで余裕綽々に響く。私は剣を握りしめ、シオン様の位置を確認する。

この距離なら、邪魔できないですね。やった。

剣で体を裂くとすぐに体が再生する。斬撃の速度を高めても、斬る止める治るが続く。

花属性なら、なんとかなるかも。


「止めてください、エイビス!」


相変わらず、敵にワインを送りすぎる。それともショートケーキの食べ過ぎか。


「清らかなる河川の中に一対の美しさを灯す。水鏡の一滴に似た儚さを刺す」


蒼白く色を変えた剣が光り露を揃え飛び上がった女に構える。

けれどその刃は、シオン様の剣に受け止められた。いいわ、私に譲ってあげる。


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