もうやめて、彼のライフはもうゼロよ! 4
一通り市場を見周ったあと、公園のベンチでお昼を食べることになった。
「で、何か分かりましたか?」
「とりあえず、フィエルテの肉が安すぎるってことは分かったわ」
するとため息を吐かれてしまった。
「今更ですか…」
「うっ」
ですよねー、私も今更ウチの領のこと知ったし。…でもそのジト目はやめてくんない?仮にも王妃だよ??
するとララさんが困ったように俯いてしまう。
「…わ、私もあまり知りませんでした」
「…」
今度は私がジト目をする番だ。
なに平民に責任感じさせてんのさ。せめてララさんがいない時か王妃の時に言ってよ〜。
…ま、今の今まで全然気づかなかったけど。ははは。
「…このバカ女は、フィエルテに使えている役人の娘なんですよ。」
「そうそう、だからせめて父親の職場のことくらい少しは知っとけってことだよ!」
マシューの咄嗟のごまかしのおかげでなんとかなった。
実際父親の職場ってゆうのは間違ってないよね!領主だから使えてないけど!
「そ、そうゆうことでしたか…。てっきり常識かと思って焦っちゃいましたよ〜」
「ははは、俺も全然知らなかったから大丈夫だろ!」
「そうですよ」
…リク、それは冗談だよな?
「それで話は戻るけど、このパン美味しいね」
「普通、調査の話の方に行かないか?」
「てへ」
そんな風に冗談を交えながらも、調査の方へ話題は移った。
「やはり、ほとんどの商品はフィエルテ産でしたね」
「やっぱりかー、私たちのとこもそんな感じだったよ」
一応まとめて仕舞えば、現状は関税が必要だけど、私が取った政策によってそこまで必要ではなくなるかも、ということだ。
つまり関税は必要ないだろう。
…それでいいように思えるが、よく考えたらフィエルテがまずい。
「はぁ…」
「どうしたんですか、アナさん?」
「いや…フィエルテのものを買う人がいなくならないかって」
「???」
どうやらララさんは分かっていないようだ。
私が取った制作により、自領のものを買う人が多くなる。ということは、フィエルテのものを買う人が少なくなる、ということだ。
「安くてそこまで新鮮じゃないフィエルテ産より、高いけど美味しい自領のものを買う人って多いと思うのよね」
「え、じゃあフィエルテの生産者が大変に…?」
「そうゆうこと」
本当に、面倒なことになったものだ。あーもう!税をなんとかする前に、フィエルテのことくらいちゃんと勉強しとけばよかった…。
だって、ちょっと考えればフィエルテに影響を及ぼすことくらい分かるはずなのに…。
頭を抱えながら自己嫌悪に陥る。とはいえ、ララさんの前でそんな姿を見せるわけにも行かないから心の中でだけど。
「どうしよう…。それって生産者を相手にした職業も大変なんでしょうか?」
「それはそうでしょうね」
ララさんが真っ青になってしまった。
…もしかして、お家が大変だったりするのだろうか。
「とはいえ、しばらくは保つでしょう。急にお客さんが減るわけではないでしょうし」
「でも、それってしばらくなんですよね?ずっとじゃないでしょう?」
「まぁ…それで職を失った方はお気の毒ですが」
お気の毒、か。それは分かるけど、でも…私はそれだけじゃ済まない気がする。
だって、間接的にとはいえ彼らを苦しめたのはーー私だもん。
職を失ったらどうするんだろう?この世界にはハロワなんて便利なものはない。
他の職業へつくというのも、この世界では困難なんだ。
「で、でも、次期領主様なら何とかしてくださるんじゃないですか?ほら、優秀だって噂はたくさん聞きますし…」
「それは諦めたほうがいいのでは?その次期領主様、今では王妃様をコケにしたバカと噂されていますよ?」
「…バカ?」
ちょっと待って、こいつ今私の弟のことをーーバカって言った?
「…なに言っちゃってんの?」
「え?」
「レオ…ン様が、バカなわけないでしょう」
お姉ちゃん、これに関しては見逃せないなぁ?
「レオン様より、他の元側近の方がバカでしょ。だって騎士(笑)は脳筋で女の子に暴力振るおうとした騎士の風上にも置けないような男だし、次期宰相とか…アレはヤバイでしょw」
「…ヤバい?」
「だって私が聞いた噂では、婚約者だった時の王妃様に、何度も何度も会うたびに暴言を吐いたんでしょ?バカ、人でなし、貴方はなぜ婚約者の座を降りようとしないんですか?だって。一番ヤバくない?」
実際それは私たちのやりとりだ。
「バカで、人でなしな婚約者とは貴方のことですね?貴方はなぜ婚約者の座を降りようとしないのですか、恥ずかしくないんですか」と、初対面の私に言ってきたのだ。
とりあえずこれが暴言だということを理解した当時の私は、ギャーギャー喚いた。
でも別に、私じゃなくても貴族の令嬢も同じ行動をするだろう。
だって不快すぎるから。しかも初対面からだよ?ありえなくない?
「そんな次期宰相サマは、最近全くと言っていいほど出てこないんだってね?」
「…それくらいの不祥事を起こしたら誰だってーー」
「きっと、ストレスでハゲて外に出られないって噂よ?ぷぷぷ、ハゲだってw」
「は、げ……グハッ」
軽い冗談のつもりのハゲという言葉は、思ったよりも彼にダメージを与えたらしい。
てっきり怒り狂うかと思ったが、予想外だな。
「…そういえば、ファンブックに代々ハゲなことが悩みって書いてあったっけ?」
リクがボソッと呟いた。…確かに髪が若干人より薄い気がする。
って、そんなことよりララさんどうしよう。
私がレオのファンってことで誤魔化すか?…意気消沈してるマシューのことは誤魔化せるかな?
「……」
そう思ったが、すっかり青褪めてしまったララさんを見て考えを改めた。
きっと、彼女はそれどころじゃないだろう、と。
いつもご覧くださりありがとうございますm(_ _)m
章について変えていたら、更新を忘れていました(寝過ごしたなんて言えない…)
変えたのは章タイトルと、名前をエピローグにしたくらいなのであまり気にしなくて大丈夫だと思います!現在の税金改革編はプロローグがありませんが、これも気にしなくて大丈夫です!
…あれ、気にするところが全くないですね?




