貴族はお金でできている 6
ゴトゴトと馬車に揺られながら、次期宰相だった男がいる屋敷へ向かう。
本当はわざわざ王妃と王が向かうのはどうかと思うけど、これはリクが提案したことだ。
もしここで私たちの要求を突っぱねたら、流石に調査に同行なんて無理がある。
とはいっても王太子のことで散々揉めた私と、最後の最後に裏切ったリクという完全に敵と認識されているメンツなんだよな…。
揉めなきゃいいけど。
「なぁ、一応聞いとくけどマシューのこと知ってるか?」
「マシュー…?あ、マッシュルームの愛称?」
「んなわけあるか…。そのマシューのために今向かってんだろ?」
マシューのため?…あー、そういえば帝国の貴族が来たときにチラッと聞いた気がする。
「えーと、帝国の貴族の従兄弟さんでしょ?」
「わざとやってんの?俺の元側近で宰相候補だったマシュー・アイスフォーゲルだよ、水色頭の」
「冗談よ、あの盛大に裏切られた攻略対象でしょ?」
流石にあいつは覚えてる…名前までは知らなかったけど。
あのマシューという男は、卒業パーティーで断罪した元宰相候補だ。
特徴は水色の髪で、毎回私と口論になるクールキャラ。
彼はバカ娘が友人の婚約者であることが嫌で、私は鬱陶しい彼が嫌いで口論になるんだ。
「そういえば、彼は宰相の息子さんなのよね」
「アイスフォーゲルは代々宰相を出してる一家なんだよな」
「それから水色の髪が特徴なんだっけ?」
「覚えてるじゃないか…。」
失礼な、流石にそれくらい有名な話は知ってるっての。
…あれ、そういえば私の知ってる貴族って実家くらいじゃ…やめよう。
そんな雑談をしていたらお屋敷についた。
ずっと疑問だったんだけど、なんで貴族ってこんなに豪華な屋敷を建てたりとお金を注ぎ込んでるのに、平民に全く怒られないんだろう?
「ようこそお越しくださいました!」
「お出迎えありがとう」
うわー、王妃になるとこんな感じにお出迎えとかされちゃうんだね!
いや、公爵令嬢の時もされてたからあんまり変わんないか?
「マシューの姿が見えないが…?」
「申し訳ありません…。マシュー様は部屋に籠られています」
「そうか、では部屋まで案内してくれ」
「はい…!」
どうやらマシューは部屋に篭っているようだ。成人してるしヒキニートってこと?
…とゆうかいい加減突っ込みたいんだが、案内してくれる人はなんでそんなに涙目なの?
突っ込んでいいのか突っ込んじゃダメなのかよく分からないまま、目的の部屋についた。
すると、案内してくれた人はついに泣きそうになってしまった。
「…両陛下、マシュー様をどうかお許しください!どうか、なるべく楽に逝k」
「「ちょっと待ったーー!」」
なんでそうなるの?え、なんでなの??
「なんで私たちがマシューを殺すという流れになっているんだ!?」
「え、それは卒業パーティーの時に…」
「いや、恨んでないよ?ただ今日は顔を合わせにいくだけだから!!」
「え?」
「「えー」」
どうゆう風に思われてたの…。通りでなんかみんな悲痛な面持ちだったわけね!
「はぁ…あ、開けるぞ」
ガチャ ガチャガチャ
鍵が掛かってた。
「ありゃりゃ、これは諦めるしかなかしら?」
「アナはなんか思いつかないか?」
えー…あ、いいこと思いついた。
「雪だるま作ぅーr」
「やめなさい」
「ヒャい」
ほっぺたつねられちゃった。いヒャい。
残念ながら雪だるまはダメらしい。
ふざけていると、案内してくryが呟いた。
「これ以上両陛下を困らせるわけには…!」
ドカンッ
なんと扉をキックで壊してしまったのだ!
…この扉って頑丈だと思うんだ、キックでボロボロに壊せるものなのかな?
「「「え…」」」
「これでも腕には少し自信があるので」
しばらく3人で呆然とした後
「「…どこが少しだぁぁぁぁぁぁぁ!!」」
とリクと叫んでみた。これは不可抗力だと思う。
だって普通、扉が開くとかでしょ。なのになんで扉だったモノがそこら中に散らばってんの…?
案内ryの怪力に驚きながらも、そういえば中は(いろんな意味で)大丈夫かと心配になり、目線をそちらに向ける。
「って、え?」
これには驚くしかないだろう。
だって壊れた扉の先には、今にも窓から飛び降り自殺でもしそうな、茫然とした面のマシューがいたのだから。




