前途多難はこのことか 4
「どうか、どうか…!」
「「えー」」
目の前で土下座とまではいかないが悲願するコイツの願いを、叶えなければいけないだろうか…?
いや身分的にはこっちが上だし、今の立場だって私達の方が有利なんだ。それでも、一応目の前のインテリ眼鏡は帝国の貴族なんだ…。
せめて、何か言い訳を考えなければ。
「あ、ほら!帝国の貴族サマに勉強を教えてもらうわけにはいかないでしょ、平民が!」
「そうだな、じゃあお帰りいt」
「いえ、募集用紙には身分を問わないと書いてあります」
「…ほ、ほら!子供達に教育上よろしくないことを教えるかもしれないでしょ!?」
「そうだな、じゃあお帰r」
「そのようなことは教えないと誓います!必要とあれば監視をしていただいて構いません」
「…せめて最後まで言わs」
「「ぐぬぬ…っ」」
「…もうしーらない」
なかなか手強いわね…!
でも、ここで負けるわけには!…ん?
「…あれ、雇用を拒む理由なくね?」
なんと、いつの間にか彼との口論で雇用を拒む理由がなくなっていた。
そもそも私が彼を嫌がったのは、子供達に変なこと教えそう、帝国の貴族なんて扱いがめんどくさい、彼は私達を侮辱した…から。
監視をつけても構わないとまでいうなら、監視をつければいい話。
扱いがめんどくさい…なんて王妃は傲慢。
私達を侮辱した…なんて、子供じゃないんだし、王妃だからこれくらいたくさんある。
…後半二つは私の我が儘じゃん。
あーもう!それくらい我慢して、コイツをいいように使った方が絶対いいって分かっちゃったよ。
「…いいわ、貴方を雇用する」
「本当ですか!?」
「ーーただし契約社員として雇うから、使えなくなったら即クビよ。それでもいいの?」
結局、契約社員として雇うことにする。
でも使えなくなったら即クビ、つまりは路頭に迷うことになる。だからあとは彼の返事次第。
「契約…」
「子供達に変なことを教えようものなら、契約を更新できないわ。それで路頭に迷っても責任は取れない」
「…もちろんです、精一杯働きます!」
彼は快い返事をくれた。
「ならいいわ。後日、契約しましょう!」
「はい!!」
「…え、雇用すんの?」
「「聞いてなかった の/んですか ?」」
「お前らが俺の話を聞かないからだろ!!」
そう言ってセオドリクは拗ねてしまった。いい歳してなにやってんだか?
「…で、どうすることになったの」
「契約社員として雇うことにしたって感じ?てゆうか、聞いときなよ」
「いや、お前達が二人で盛り上がるから…で、なんで雇うことになったのさ」
「そんなの、使えそうだからでしょ」
それ以外にないでしょ、何言ってんだか。
「あ、別に同情とかじゃないからね」
「知ってるよ…はぁ」
そう言ってセオドリクはため息を吐いてしまった。
これは…自己嫌悪をしてるみたいね。なんでだろ?
学校がうまく行っても今度はセオドリクか…。
前途多難はこのことか…はぁ。




