王妃様は救いたい 2
私はピンと閃いた、背後で怒号が飛び交う中で。
「なんか異世界ってさ、ラノベとかじゃ大抵平和とは言えないじゃん?それ、なんでだと思う?」
「え?…えーと、イライラするから争いが起きるんじゃないの?」
「その争いの元ってなんだと思う?」
「そりゃ、人間関係が上手くいかないからとかじゃない?俺も異世界でイライラすること結構あったし」
「じゃあ日本は?」
「え?…あれ、なんで日本の方が人間関係ってうまく行きやすいんだろ」
セオドリクも思ったみたいだ。
こいつも言ったみたいに、日本では争いとかはあまり見かけなかった。…勿論、表に出さないだけで裏では悪口めっちゃ言ってるとか、自殺に追い込むとか不正とかetc…。
とにかく、それでも表立った争いはない。
でも、こっちは違うんだ。貴族は本音を隠しても悪意は隠しもしないし、城下へ降りれば喧嘩はあちこちから聞こえてくる。
今だって、他の客の迷惑も考えず騒ぐ奴らが1人、2人…。
「あっちで行く学校っで、やって良い事と悪い事が解るようになるんだよ」
「善悪…?」
「そう、母さんに言われたことだけど、学校は社会の縮小図なんだって。そこでアレをやったら嫌がられる、コレをやったらハブられるって覚えるの」
「あー、確かに自分が大丈夫だと思ったことでも、実際皆んなの前でやったら引かれて、もうやらないって誓ったりしたんだよね」
「そうそう。そこで気を使うとか、協調性と言った人間関係に必要なことを学べるの。良くも悪くも集団生活だからね」
「そっか…。確かに異世界の人達って協調性あんまないよね」
日本では縮小図って言う予行練習の場所があるから良いけど、こっちではそんなものがない。
だから、善悪が分からない人達は人間関係がめちゃくちゃになる。そして争いが起こるんだ。
「でも善悪って言い得て妙だな」
「でもそんな感じでしょ?おとぎ話の善悪が一番分かりやすいし」
「分かりやすいって?」
「だって、結局善悪なんていかに大衆受けするかでしょ。なら、おとぎ話だったら捻くれて考えなきゃ善悪の代表よ」
「確かにそうかもな。で、結局教会は何に関わってるんだ?この感じを見るとわかったんだろ?」
待ってましたと言うように、私はニンマリ笑って見せた。
「教会でやってた読み聞かせよ」
「読み聞かせ?…シスターがやってたやつだろ?」
「そう、さっき言った善悪の代表みたいな物語の読み聞かせ。効果はバッチリでしょ。」
「確かに善悪がいかに大衆受けするかだったら、何人かで聞く読み聞かせって効果的かもな。よく分かんなくても皆んながこう言ってるからこうなんだろうって思いやすそうだしな。」
そう、セオドリクの言う通り読み聞かせは子供が束になって聞いていることが多い。
だから悪者ばかり応援してたら浮いてしまうし、よく分からなくても他の子が語るから「そうゆうものなんだ」と思うだろう。
「でも、誰に読み聞かせをするんだ?孤児を引き取れるとこなんて一握りだろ?」
「多分だけど、平民の子供じゃない?大きい所じゃ子供に読み聞かせとか、お預かりみたいな事をしてるんじゃないかな。聞いたことない?」
「アーナー…それ、授業で習ったでしょ」
「残念な事にアナスタシアは全く勉強してない」
「…そ、それでも俺より頭はいいじゃないか」
「ねぇ、嬉しくないんだけど?」
正直、褒められてる気がしない。
無理矢理取ってつけたような理由だし…。
「で、でもさ、平民の子って言っても数人じゃない?善悪を伝えられるのって」
なんか話を逸らしやがった。
セオドリク、お前ドヤ顔むかつくけど甘いな。
「その数人の子供が何人のも平民に教えたら?」
「…確かに友達に教えればある程度の人数にはなるかも」
「それから、大人になったら子供に教えたりすれば、次の世代にも教えることができる。でもま、どんどん教えは薄れるけど」
「それでも教会が関わってるな」
友達から友達へ、子供から子供へってね。
その中には犯罪者になるかもしれなかった人も含まれているはずだ。
「じゃあさ、結局何すればいいのかな?」
そこで、貴方が私に頼る?




