王妃様は救いたい 1
「しすたーぁ、ほんよんで!」
「あ、ごめんなさい、ちょっと行ってきます」
シスターとフェリクスは子供に呼ばれて行ってしまった。
ちょうどいいと思って、私はなるべく小声でセオドリクに聞いてみた。
「…これからどうする?」
「え?なにが??」
「それ本気で言ってる?視察だよ視察」
「あぁ」
こいつ本気で忘れてたの?…流石にないよね?
「じゃあ子供達のとこ行こう」
「え?なんで??」
「視察しに行こう。シスターが何してるか見に行くんだよ」
「あぁ」
そう言えばシスターは読み聞かせをしてるみたいだね。何を読んでるんだろう?
「そして、お姫様は悪い魔女に連れて行かれました」
「ひどい!!」
「おひめさまかわいそう!」
「そこに勇者様が現れました!」
「がんばれー」
「わるいまじょをやつけちゃえ」
「ーーそうして、世界は平和になりました!」
「わーい」
「やったぁ!」
どうやら絵本を読み聞かせしているらしい。
懐かしいな〜、前世で幼稚園とか小学校で読んでくれたんだよね、先生が。小6になったら小1によんであげたりしたんだよな。
子供ってこんなふうに、アレは悪いことだ、コレは良いことだって学ぶんだよね。
「あ…聞いてました?」
「えぇ、面白い物語ですね」
「シスターで文字が書ける方がいたので、その方が書いた物語を書き写したものなんです。」
「へー、文字を」
「えぇ、没落貴族だったようで」
「そうなんだ」
それにしても、あまりこの世界では絵本とか本を見たことがない。本を書く人がいないからだ。
だからか、読み聞かせも見たことがない。読み聞かせとかがあれば、小さい頃から物語に触れることができるんだけど。
すると、広場にある大時計の音が聞こえてきた。
「あ、もうお昼ね」
「本当だ…じゃあ、私たちはそろそろ行くね、シスター」
「そうですね、お幸せに!」
「うん、また来るね!」
「素敵な結婚式をありがとう!」
名残惜しいが、私たちの本来の目的は視察だ。今日は飲食店も見に行く予定だったからね。
大きな食堂に着いて、セオドリクとさっきのことについて話していた。
「なぁ、子供達はどうやって生きていってるんだ?あそこに食料があるとは思えないが、子供達は不健康に痩せている風には見えない」
「うーん、誰かの寄付金じゃないかしら」
「誰が寄付するんだ?」
「あの子達の親とか」
「…誰か貴族の子供がいるかもしれないってことか?」
「それくらいしか思い浮かばないわ」
この世界では、前世のように手軽にできる寄付がない。それに、子供達も生活できるということを考えれば、貴族か商人かくらいだろう。
まぁそれは後々調査するとして、問題は…
「うーん、教会が孤児を引き取ってるからスラムの増加が抑えられるのかしら?」
「でも、表立って孤児を引き取ることなんてできないだろ。それに、引き取った孤児の生活費だって安くない。」
「そうよねぇ」
教会が孤児を引き取ればスラムの増加は抑えられるだろうし、孤児が起こす食料の窃盗事件も減らすことができる。
だけど、問題は教会にそこまでの力がないと言うことだ。
勿論、残念ながら国にもない。だって孤児院ひとつ作るのだってすっごい反発されるから。
「うーん、孤児が起こす窃盗事件は飢えの心配がなくて、善悪が分かれば辞めさせられそうな気がするけ…ど…あ!」




