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王妃と王は詰んでいる? 2

次の日、少し気まずい空気…はもうほとんどないが、宰相から国についての説明を受けている。

この国では、最初は即位した後も前王のやり方を引き継ぎ、徐々に変えていくことが多い。なので私達が何かを言わない限り、今まで通りの政治を行うそうだ。


「この国は絶対王政なのね…」


「絶対王政って、王様が言うことが絶対の?」


「そうそう、立憲君主制じゃない方の」


この国、いやほとんどの国では絶対王政だ。

王を法で制限する立憲君主制の国は、はあまりないらしい。例外は貴族だけの公国ぐらいだろう。


だから賢人会というものがあり、彼らがストッパーになる。

賢人会では隠居した大貴族や前王といった、王が逆らいにくい重要人物がストッパーとなるのだ。


まぁ、私達の前王は辺境に雲隠れしたらしいけど。


「私達がある程度改革をしたら、立憲君主制にした方がいいかもね。」


「だね、前王が不正をしたのは法がなかったから、っていうのもあるみたいだし」


「にしても何で賢人会は動かなかったの?」


宰相に問いかけてみる。

正直それが不思議だったんだ。どうして賢人会というものがありながら前王が不正を行ったのか。


「…不正を始めたのは、当時の中立の立場の前王が亡くなった頃からなんです。賢人会はいくら隠居したとはいえ、貴族の集まりですからね…中立とは言えません」


「あー、でも貴族とはいえ派閥の対立もあるでしょ?そこが防止力になってたりは…」


「えぇ、ただ残念なことに若すぎたり亡くなっていたりと、同派閥の者しか集まらない時があります」


「…そっかぁ」


貴族は生まれる時期は必ず同じとは限らない。

同じ時期に貴族が生まれるのは、王子や王女、あとは有力貴族が生まれた時くらいだ。

だからセオドリクが生まれた年は貴族が多かった。王太子にお近づきになるためだろう。


「それが賢人会の落とし穴か」


「えぇ、ですが無くすわけにはいかないので…」


無くしたらやりたい放題だもんね、王様。


「賢人会のことについてはいいとして…現在の大きな問題はなんだ?」


「そうですね…まず、貴族が民に重税をかけていることでしょう。」


「確か、税をどのくらいかけるかは貴族が調節するんだよな。」


税金をどのくらいかけるかは、基本貴族が決めている。その年の民にとって税が苦しそうだったら、貴族が調節する…とか。

貴族の好きにさせないために、税金の管理を自分が出来るようにした王もいたけど、結局手が回らなくて貴族がやってた方がマシだったらしい。この国は大きいから税の管理は貴族がいた方がスムーズだろう。


「よく分からない税をかけたりと…ですが、御二方なら税を管理できるのでは?」


ちょ、いくらなんでもそれは無茶だよ!?…とは言えない。

どうしよう、このまま税の管理を任され詰み…


「いや、その前にそのよく分からない税…というのを聞かせてくれないか?」


ナイスぅぅぅ!!セオドリクありがとう。なんかもうほんとにありがとう!


因みにこの時セオドリクが送っていたのは、この後どうすんの…?という視線だったらしい。


「ああ、他領への嫌がらせで輸入する時、輸入する側から税金を取る、輸入税というものがここ数年使われていますね。」


「輸入税…?え、でもそんなの当たり前でしょ?」


「帝国でもよくあることだよ」


「そうなのですか!?」


あれ、ここじゃ輸入税ってか関税はないの?…あ、別に他領とそこまで物価の差はないもんね。

日本じゃ関税がないと国産のものが外国産に負けて、農家とか作る人に大打撃だから。

少し悩み始めた様子から、セオドリクも関税についてはよく考えてからじゃないとダメだって気づいたんじゃないかな。


「かん…輸入税については置いておくとして、他の大きな問題はあるか?」


「国が始まった当初の記録と比べてですが、スラムや犯罪者の増加でしょうか」


「どうして増加したかわかる?」


「いえ…ただ、教会が増えると少しですが治まりますね。」


「え、なんで教会?」


「それは分かりません。神々のおかげだろうと囁かれていますが、神など信じる方はほとんどいないでしょう。」


「そうか…」


教会が関わっているってこと?教会は、昔の大きな戦争を治めた力を与えた神々を祀るところだけど、今はほとんど廃れてるのよね。

まあ、比べられてるのがかなり昔だから、記録が残っていないだけかもしれないけど。


「前王様は昔の記録が残っていないだけだと仰っていましたが…」


前王と同じこと思ってたーー!!


「数代前と比べると、僅かですが増加が見られました」


「それじゃあ徐々にスラムや犯罪者は増加しているのね」


「そうなるでしょう…それから、平民と貴族の能力差です」


「能力差?…平民だからダメなんだという、アレか?」


「はい」


正直、記憶が戻った今じゃそんなの戯言としか思えないんだけど…でも態々宰相が言うってことは、ほんとに能力さが問題になってるってこと?


「にわかには信じられないのですが、本当に貴族出の方が能力が上と言われています。国で働いている平民も、貴族より下の階級で…」


「それは貴族が優遇されているのではないか?」


「私や他の者もそう思って調査をしたのですが、確かに能力差があるようで」


困ったように宰相さんが言う。


「同じ人間なんだからそんなことないと思うんだけど…」


「ですが、そのせいで貴族が平民を見下してもデマだとは言いにくくて…」


「そうか…」


「それ官僚のゴタゴタに繋がりそうね」


「…しかも一部の貴族が神によって能力を授けられている、平民は神に愛されないなどと言い出す始末」


「それは差別が生まれたのね…というか、また神なの」


「はい…そして差別によって、平民に重税をかけても良いと言う風潮が始まり、貴族の重税が悪化しました。」


「ということは、まず平民との能力差を解消しないとな」

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