カラー【異世界ファンタジー】
とある小さな町の教会に、美しいと評判の修道女がいた。
本人は至って慎ましやかでありながら、そのあまりの美しさに、彼女を目にした者は誰もが心を囚われてしまうという。
そんな噂が広まり、彼女を一目見ようと全国から多くの人々が集まるようになった。
やがて、こんな噂も広まるようになった。
「彼女に会った後は、何故か体が軽くなる」
この噂のおかげで彼女は聖女と呼ばれるようになり、ますます教会に訪れる人々は増えていった。
そんな、当の彼女はというと——。
「ねえ神ちゃんさあ、いつまでこうしてなきゃならないの。浄化は別にいいんだけどさ、毎日笑顔で顔がつるんだけど」
「ちゃん付けやめてください。ほら足を閉じて! はしたない!」
彼女は神の愛し子。
信心が薄れた世の中で、穢れを受けるようになった人々を浄化する力を持っている。
「教会に人を呼んで信仰を取り戻すのがあなたの使命なんですからね。ちゃんとやらないと、遊んで暮らせるようにするという契約もなしですよ!」
「えーー。神ちゃんけちくさーい」
見た目だけは美しいのに、という神の呟きを無視して、彼女は大きな欠伸をする。
彼女は世間で言われるような聖女とは、ちょっと、いやかなりかけ離れているのだった。
【解説】
カラーの名前の由来は、ギリシャ語で美しいという意味の「カロス」からという説と、修道女の襟の形に花姿が似ているからという説があります。
花弁に見える部分は苞。真ん中の芯のように見える部分に小さな花が集まっています。
花言葉はどれも「華麗なる美」「乙女のしとやかさ」「清浄」など、美しいものばかり。
実は里芋の仲間で、和名では和蘭海芋と言います。




