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花小説  作者: 九重ツクモ


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バンダ【現代恋愛】

 僕のクラスにはお嬢様がいる。

 ちょっとやそっとじゃない。とんでもないお嬢様だ。

 そんなお嬢様は、何故かいつも僕にだけ妙に絡んでくるのだ。


「庶民のあなたには手が出せない高級チョコレートよ。私が恵んでさしあげるわ」

「一流シェフが腕によりをかけて作ったランチを持ってきたの。庶民のあなたは食べたことないでしょうから、食べてもよろしくてよ」


 いちいち嫌味な言い方だから、毎回遠慮している。

 見た目は悪くない……むしろとんでもない美少女なのに、印象は最悪だ。


「ねえ、何で僕に構うの」

「庶民のあなたが哀れだからよ」


 つんと顎を上げて言い放つ。

 むかつく。庶民にだってプライドはあるんだぞ!

 鬱憤が溜まりに溜まった僕は、彼女の鼻をへし折ってやりたい一心で、こう言った。


「僕のこと、好きなの?」


 思い切り煽ってやった。

 きっと彼女は顔を真っ赤にして怒るだろう。

 僕の予想通り、彼女はみるみる顔を赤くして、やがて耳まで赤くすると、あっという間に走り去ってしまった。

 呆気に取られたまま立ちすくんでいたら、彼女がすごい勢いで戻ってきた。


「わたくしに恥をかかせたのだから、責任を取って付き合いなさい!」


 顔を真っ赤にしたまま、相変わらずの言い振りで迫る彼女に思わず笑ってしまう。

 驚きより「可愛い」が先に立ってしまった。


「いいよ」


 自分でも驚くほどするりと、その言葉が口から飛び出す。

 僕のその一言に、彼女はさらに顔を赤くした。

【解説】

バンダの名前の由来は、サンスクリット語の「バンダカ」。

この言葉には「まとわりつく」という意味があるとされ、樹木などに着生して育つ性質にちなんでいます。

ラン科には着生植物が多いですね。

花言葉は「まとわりつく」のほか、「優美」「上品な美しさ」「華やかな恋」「個性的」など。

和名は「翡翠蘭」。

一般的に流通している品種は、鮮やかな紫色と網目のような模様が特徴的です。

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