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花小説  作者: 九重ツクモ


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13/27

セルリア【異世界恋愛】

 ついに、この日が来た。

 初めて彼女……シスルを見かけたのは、とある夜会でのことだった。

 ダンスなど一切興味なさそうに、会場の隅でひたすら料理を口にしている彼女から目を離すことができず、それからずっと、夜会のたびに目で追っていた。

 そんな彼女と、やっと結婚できる。

 ここに至るまでの紆余曲折は、筆舌に尽くし難い。

 シスルに婚約を申し込んだは良いものの、何の手違いか、婚約者になったのは彼女の姉、エラだった。

 どうにもならないままエラとの初顔合わせを迎えた時、私は正直に自分の想いを告げた。

 すると、エラはこう言ったのだ。


「この入れ替わりは、きっと両親の仕業でしょう。彼らは正攻法では絶対に認めない。ここは一つ、大芝居を打ちませんか?」


 私とエラは計画を立て、私は見事、結婚式直前で婚約者に逃げられた哀れな男となった。

 こうして、シスルとの結婚が叶ったのだ。


 白いベールで顔を隠した彼女はとても美しく、言葉にならない。

 手をそっと差し出すと、彼女の美しい手が掌に重なった。

 鼓動があまりにうるさくて、彼女に聞こえてしまいそうだ。


『お膳立てはしてあげるけれど、自分の気持ちは自分できちんと伝えなさいよ。まあ、シスルならあなたの気持ちが本当かどうか、すぐ分かるだろうけれど』


 偽装駆け落ち直前、エラはそう言っていた。

 何故と問えば、「シスルはとても鼻が良いの」と謎な答えが返ってきただけだった。


『シスルを不幸にしたら、絶対に許さないから』


 エラは最後にそう付け加えて、姿を消した。

 なのにシスルの前に立つと、緊張して何も言葉が出ない。

 果たしてこんな調子で、彼女のことを幸せにできるだろうか。

 いや。必ず。

 絶対に幸せにしよう。

 そう、私は固く誓った。


【解説】

セルリアは別名「頬尾を染めた花嫁」と呼ばれ、故ダイアナ妃のウエディングブーケにも使われたことで有名な花です。

「ほのかな思慕」「可憐な心」「秘めた愛」など恋愛にまつわる花言葉が多く、栽培が難しく知識が必要なことから「優れた知識」という花言葉も存在します。

ドライになると苞が開き、ホワホワした種が見えてとても可愛らしい花。

私が一番好きな花です。

今回はルリタマアザミの侯爵視点のお話として書いてみました。

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