(1)脱出?
ドンドンドン
『開けなさい!』
薄暗い部屋。
僕の背中の後ろで、ドアを叩く音、っで、目の前では、PCの前で忙しく作業をする高山学園の制服を着た男女。
はあ~、またか。
はいはい、PCの前で作業しているのは南條結城、副部長、それでっ、こちらの様子をさっきから伺っているのは市ノ瀬蘭花、部長っ!
もう知ってるよな。
まったく、蘭花も懲りないなぁ。
僕は、ぞんざいな視線をPCの前の二人に向けた。
『薫君!まだ?』
蘭花が、落ち着き無くこちらを伺いながら、声を掛ける。
え?
僕?
気づくと、僕はPCに向かって何やら操作していた。
何てことはない、使い慣れたOSの画面が表示されている。
それだけ。
えっと、何するんだっけ?
今まで動いていた指が、はたと止まった。
『どうしたの? 薫君?』
蘭花が、顔を寄せる。
分かるわけ無いだろ!
ていうか、ドア大丈夫なのか?
『こっちは大丈夫よっ』
ドアの方を振り向くと、蘭花がドアの前で腰を下ろしている。
あれ?
じゃあ、今、僕の後ろにいるのは、誰?
『私のことかね?川上薫君』
現在、もっとも聞きたくない声音に、恐る恐る後ろを振り向く。
『残念だな、君とは、ここでお別れだ』
教頭の右手には、銀色に鈍く光る物。
エアガン?
本物?
教頭は、トリガーを引いた。
首筋に鈍い衝撃。
……!
『薫君?』
蘭花の声。
意識が遠のいていく。
もしかして、僕、死ぬのか?
『薫君!』
でも、最後に聞くのが蘭花の声ってのは、ちょっと良いかも。
くだらないことを考えながら、目の前が暗くなっていくのを感じる。
意識が混沌の泉に落ちようとしたところで、ハッと気付く。
ちょっと待て!
何かがおかしい。
これは、現実?
本当に?
じゃあ聞くが、僕は、一体どうやってあそこから脱出したんだ?




