表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
部長が襲うので安心して寝られない的な話  作者: みずはら
[第2章]秘め事とか
11/44

(4)可愛いって?

「あら、……ちょっと、薫君」

 結局、洗いざらい白状させられ、「DMZ規則第二条。誰かに喋ったら、判ってるわね?」と凄まれ、しおしおになっている僕を見上げる蘭花。

「はい?」

 これ以上、何か?

 答えず、いきなり蘭花は、僕のネクタイを掴んだ。

「ちょっ! どうしたんですか?」

 いろんな意味で狼狽する僕。

 まさか! ちゃんと自白したのに、いきなり絞首刑とか?

「動かないでっ!」

 答えず、蘭花は、しかし、僕の予想に反してネクタイをほどく。

「も~、男の子なんだから、ネクタイぐらいちゃんとしなさいよね」

 ぶつぶつ言いながら、手際よく僕のネクタイを結んでいく。

 一気に身体の力が抜ける僕。と、同時に、別の意味で身体が強ばっていく。

 これって、まるで……

 首元でくすぐったい感じがし、あれこれ想像しながら何か変な気分になる。

 と、突然蘭花がネクタイを思いっきり絞めつけた。

「がっ! なっ――」

 何するんですかっ!

 しかし、気道が塞がり、僕の叫び声が空間を木霊することはなかった。

「おっ、蘭花~。また薫君が何かしでかしたのか~? ……って、極まってるって、蘭花っ! ネクタイはやばいって! 薫君死んじゃうって!」

 目の前が暗くなっていき、薄れる意識の向こうで裕樹が駆け寄り、慌てて蘭花の手を掴む。

 直後、僕の気道が確保され、脳が酸素をむさぼり、激しい頭痛とめまいの中視界が回復する。

 まさに、これぞ九死に一生を得るってやつだ。

「ぶ……長っ! ……ろす……気ですかっ!」

 激しく咳き込みながら、涙目で蘭花に抗議する僕。

 しかし、なぜか不機嫌さ全開の様子の蘭花は、僕を一瞥すると、

「もう、最悪っ。人のこと覗いたりしたんだから、当然よっ!」

腕を組みながら、そう吐き捨てた。

 いや、最悪なのはこっちだよ!

「まさか、薫君! 蘭花の着替えを覗いたとか? 勇気あるなぁ~。もし僕が階段上ってこなかったら薫君やばかったかもね~。ということで、命の恩人に、罪を告白しちゃおうか~」

 対して、こちらは楽しさ全開で僕を見下ろす裕樹。

 くそっ。この際、洗いざらい喋ってやる!

 そう思った僕だが、蘭花にギロリと睨まれ、口をつぐんだ。

 はいはい、第二条、拷問されたって喋りませんよ。銃殺も絞首刑も嫌ですからね。

「いやー、蘭花今日も遅刻してさー、担任に……って、あ~、今の無し無し。ほら、もう言わないから~、ねっ?」

 上機嫌の裕樹が付け加えるが、蘭花にエアガンを突きつけられ、慌てて口を閉ざした。

 なんだ、蘭花ってばエアガン向けるのは僕だけじゃなかったんだ。

 ……あれ? 何でちょっと残念なんだ?

 今日は思考がおかしいぞ、僕。


 その後、『あっ! あんたのせいで、皆行っちゃったじゃない! もう! ご飯付き合ってよね!』などと理不尽な事を言われ、手を振る裕樹を尻目に、連行されるように木之本のところにたどり着いた頃には、三キロは痩せていた。

 いや、本当に。

 食事中、蘭花は、持ち前の外面の良さで愛嬌をふりまき、木之本からは『おお、これが噂の……。可愛い先輩で羨ましいぞ』と小突かれる始末。

 まあ、こいつには夢見させておくとするか。


 それにしても、蘭花が遅刻か。

 最近の地震で、怖くて寝られなかったとか? ……いや、それは無いな。

 しょっちゅう遅刻してるっぽいが、まあ、さもありなんって感じだな。

 そんなことより、……好きな人いたんだな。こっちの方が意外だ。

 午後の授業中、何故か僕の頭は、蘭花のことで一杯だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ