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私の心はおじさんである【書籍漫画発売中!】  作者: 嶋野夕陽
14章

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1691/1712

ナギちゃんと一緒に遊ぶ日

 武闘祭は予選が終わると一日間が空くことになる。

 その間にも闘技場では催しが行われているのだが、ハルカは今日の一日をナギを構ってやることに決めた。武闘祭で連日一人でお留守番させているので、空いた時間くらいは遊んでやりたい。

 折角だからと、ナギを見守ってくれている兵士たちの長、ナスコに話を聞いて、魔物がよく出る地域を教えてもらい、一緒に狩りに出ることにした。


 参加するのはナギ。それからその背中に乗った応援部隊の、ユーリ、コリン、レオン、テオドラ。

 そしてハルカとレジーナに、ついていくと決めたカーミラ。

 最後に、モンタナとアルベルトの三組である。

 流石に大会に出ている面々と、一応そのチームメイトであるエリはついてこない。


 一番強そうな魔物を倒して連れてきた方が勝ちで、罰ゲームはなし。

 折角他の国に来たのだから、遊びや訓練ついでに、【ドットハルト公国】の治安向上に協力しようという目的である。

 ナスコが示した場所は丁度【ドットハルト公国】と【独立商業都市国家プレイヌ】の間にある山脈であったので、ある意味どちらの国にとってもメリットとなり得る冒険である。


 朝の早い時間から、ナギに乗ってビューンと空をひとっとび。

 北方へ向かって、山の中腹辺りで解散する。

 同じ場所で集合という約束をして、ナギがあっという間に遠ざかっていくのを見送り、ハルカたちもそれぞれ別の方向へと歩き出す。

 ナギはともかく、地上部隊は上手く良い魔物と出会えるか微妙なところだ。

 大物は早々出てきたりはしない。


 ただ、実際のこの辺りの山脈は険しく、東西に延々と続いているため、人も滅多に寄り付かない。時折山から下りてきた魔物が人里に被害を出すことがあるせいで、山脈付近にはあまり村が作られないくらいだ。

 山脈を越えれば真っすぐ南北に移動できるところを、ほぼすべての旅人が、東側の【プレイヌ】と【公国】をつなぐ切れ目か、西側の【神聖国】と【公国】をつなぐ切れ目を通っている。

 かつて帝国から侵略してきた、〈不敗〉のドットハルト将軍ですら、山脈を調査して、それ以上の侵攻を諦めたほどである。


「たまには山の散歩も気持ちいいわね、お姉様」


 お嬢様のような格好で、日傘を差しながらとんとんと器用に歩いていくのはカーミラだ。

 足場が悪くて移動に苦戦した結果、ついに先行するレジーナについていくために、たまに空を飛ぶようになったハルカとは違って、根本的に運動神経がいいようだ。いくら戦闘が苦手と言ってもその素養はあるあたり、流石吸血鬼の王たる血筋を引く、ロイヤルお嬢様である。


「……そうですね」


 一応同意はしているけれど、なんとなくスペックの差を感じるハルカである。

 この体パワーはある。能力も高い。ただし、中身がへぼい。

 山歩きには随分慣れたつもりでいたが、本当に人の手が入っていない山というのは意外と手ごわいものだ。

 大竜峰はもっとごつごつとした岩肌が見えた地面だったが、ここは植物の根が隆起していたりして歩きにくい。

 『そういえば、大竜峰も麓付近はこんな感じだったな』とハルカが思い出していると、足元を小動物が走り抜けていき、少し離れたところでハルカを見上げてから、森の奥へと姿を消した。

 つい和んでしまったハルカであるが、この世界、あまり油断ばかりもしていられない。


 ハルカは消えていった小動物の足音に耳を傾け、背後から飛び掛かってくるのを障壁で防ぎ、ついでに捕獲。

 気配のようなものを感じることは相変わらず難しいけれど、音がしていたり姿が見えていたりする生き物の動きを、ある程度予測したり把握したりすることくらいはできるようになった。

 先ほどの狐のような小動物も、草食の穏やかな獣にしてはあまりに爪が鋭かった。

 襲ってきたということは、案の定魔物である。


 ハルカは障壁で囲んだ魔物の首を、魔法でチョンと落とすと、枝に括りつけて、血抜きをしながら山歩きを再開した。


「お姉様も慣れてるのね?」

「まぁ、流石に……」


 喋りながら歩いていると、少し先にいるレジーナが、足を止めてじっとハルカの方を見ている。

 何も言わないが、表情が『おせぇ』と言っているようだった。


「すみません、今行きますので」


 ハルカが少しばかり浮き上がって後を追いかけると、すぐ横をカーミラがトン、トンと跳ねるようについてくる。


「あっ」


 苔が生えていて滑ったのか、ややバランスを崩したカーミラを、ハルカはさっと支える。


「ありがとうございます、お姉様」

「いえ、足元滑るみたいですね……。レジーナ、もう少しゆっくりでもいいですか?」

「……わかった」


 レジーナは一瞬眉間に皺を寄せたが、小さくため息をついて了承。

 自分のペースで歩けないことは若干のストレスであるが、別に命がかかっているわけではない。


「でも、そんなのじゃなくて、一番でかい魔物仕留めるぞ」


 レジーナはハルカが血抜きをしている獲物を指さして文句を言う。

 ナギやアルベルトに、でかい魔物を自慢されるのは気に食わない。

 仲間内でもそんな競争心があって、レジーナは意外と今回の狩りには気合いを入れているようであった。

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― 新着の感想 ―
レジーナも楽しめて(?)いるようで何より
ロイヤルお嬢様。 そしてハルカはイケメン
そういえば耳が刃になってるウサギにホワホワしてたら首切られてた事もありましたね… あの頃と比べればおじさんも成長してるんだ
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