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私の心はおじさんである【書籍漫画発売中!】  作者: 嶋野夕陽
14章

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ナギちゃんの発着場

 アルベルトたちに〈武闘祭〉の話をすると、どちらも大喜びで一緒に行くことを決めた。やはり仲間たちにとって〈武闘祭〉は楽しかった思い出なのだ。

 それと同時に、ノーレンが参加したがっているという話には、アルベルトもコリンもそろって首を傾げた。


「ありなのか、それ」

「確か……、明らかに一級以上の実力者は出ちゃ駄目なんじゃなかったっけ」

「でもそれ、誰が判断してるです?」

「多分、冒険者じゃない人が出場する場合の条件だと思うんですよね。ほら、帝国のナーイルさんとかが出てたじゃないですか。あの場合多分、国が保証して、とかだと思うんですけど……。ノーレンさんの場合、事実二級冒険者なので……」


 ルール上は何も問題ない。

 そんなことを言い出したら、アルベルトが〈武闘祭〉に参加した時だって、ジーグムンドやレジーナは、実力だけならばすでに一級相当の冒険者であったはずだ。

 とにかくその辺りの話は、実際に現地に行って登録できるかどうか試してみるしかない。

 できてしまえばそれまでの話である。


 その日のうちに森の拠点へ戻ったハルカは、翌日には【ドットハルト公国】の〈シュベート〉へ出発することを仲間たちに伝えて、一緒に行く人を募る。

 その結果、今回はいつも通りタゴスが留守番を決めた。

 あんまり人混みは好きではないのだそうだ。

 レジーナは何か問題が起こるかもしれないからと同行。

 カーミラもお出かけと聞けば参加である。


 ただ今回、イーストンは留守番を申し出た。


「僕が行って、またあの子に見つかっちゃうと面倒ごとになるかもしれないから」

「あぁ……、そうでしたね」


 争いごとに積極的に参加しないイーストンが、以前〈武闘祭〉に参加していたのは理由があった。

 本来は吸血鬼を追いかけて街へ来ただけだったのだが、ひょんなことから貴族の少女を助けて気に入られてしまい、勝手に〈武闘祭〉にエントリーされてしまったのだ。

 しかも吸血鬼が逃げ出したのをきっかけに、途中で勝手に棄権して街から離れてしまっている。

 もし見つかったらと考えると、行きたくない気持ちも理解できた。


 そんなわけで、出かけるメンバーは決定。

 一応拠点に暮らしているユーリの血縁者であるナディムやシャディヤ、他にも畑仕事をしている者たちを誘ってみるのだが、誰も一緒に行くとは言わなかった。

 冒険者であるハルカたちは旅に出ることに慣れているが、元々街で暮らしているような人たちは、一生に一度別の街に行くことがあるかないか、といった暮らしが普通なのだ。

 ちょっとおでかけの気分で、よその街へ出かけたりしないのである。

 

 慌ただしく準備をして、翌朝早くに出発。

 余計な寄り道をしなければ、数日で〈シュベート〉へ到着するはずだ。

 通り道には一つ目の巨人、ブロンテスがいる巨釜山やら、モンタナの出身地である〈グリヴォイ〉があったりするのだが、今回は急ぎのため素通りする。


 街道を行く人々を怖がらせないように、できるだけ道から逸れて飛び、野営をするが、いざ〈シュベート〉付近に辿り着くとそうもいかない。

 街から離れた場所に着陸。

 とりあえずハルカとノーレンだけで先に街へと急ぐことになった。


 ノーレンが急ぐのは、大会への登録のため。

 ハルカが急ぐのは、連絡をくれたフォルカー伯爵を見つけるためである。

 一応〈シュベート〉は【ドットハルト公国】の首都であるから、フォルカー伯爵の屋敷もある。

 ハルカはノーレンが街へ入るのを確認したら、そこを訪ねてみるつもりであった。


「じゃあええと……、急いで行くなら空を飛んでいきましょうか」


 そう言ってハルカがノーレンに背中を向けると、ノーレンが「ん?」と首をかしげる。

 いつまでも背中に乗ってこないので、何かなと思いハルカは振り返り、不思議そうな顔をしているノーレンを見てようやく自分の失敗に気が付いた。

 二人で空を飛ぶとなると、モンタナやコリン、それにユーリを背中に乗せることが多かったので、自然とノーレンをおんぶしたまま空を飛んで向かうつもりになっていたのだ。


「あ、じゃあええと、これに乗っていただいて」


 改めて障壁を準備して、ノーレンと共に出発。

 街の近くへ差し掛かると、街へ入ろうとしている人たちが不安そうに空を見上げ、その間を数人の兵士たちが駆け足で移動しているのが目に入った。


「ノーレンさん、ちょっとすみません。いったん下りますね」

「あ、もう並ばなきゃいけないし、いつでも大丈夫だよ」


 これはまずいと思ったハルカは、ノーレンの許可を取って兵士たちの近くへ降りていく。

 すると兵士たちもそれに気づいて足を止めたようだった。

 先頭にいるのは髭面の男だった。


 その男は降りてくるハルカを見ると、なぜか安心したように息を吐いて笑った。


「あ、すみません、あの、竜に関しての確認でしたら……」

「分かってる、ナギだろう。……あ、俺のこと覚えてねぇか」


 改めてよく見てみれば、ハルカははっと思い出す。


「あ、ナスコさんですか」

「覚えてたのか、嬉しいぜ」


 髭面に、槍と斧が混ざったようなバルディッシュと呼ばれる武器を扱う、兵士のまとめ役。随分前、ドットハルト公国を通過する際にも、ナギのことで問題になって話し合いをしたことのある男である。


「国境付近の街でお勤めではなかったですか?」

「栄転したんだよ。ナギのことなら、一応フォルカー閣下から聞いている。別に咎めようって訳じゃなくて、場所の案内をしようと思って急いでたんだ。そうじゃないと街に来た人たちが不安がるからな」


 手紙に返事もしていないのに、一応準備をしておいてくれたらしい。

 ハルカは知らぬことだが、特級冒険者を含む【竜の庭】の冒険者が、度々大型飛竜を連れてあちこちに現れることは、結構な噂になっているのだ。

 国として、都として、今回〈武闘祭〉に予算を割くついでに、一応準備をしておくかと腰を上げたわけである。

 

「すみません、毎度お世話かけて……」

「相変わらず腰が低いなぁ、あんたは……。とりあえず、ナギのために用意した場所案内すりゃあいいか?」


 思いがけぬ再会であったが、これでナギのいる場所については問題なさそうである。

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― 新着の感想 ―
バ◯ル2世のように「◯プロス!!」と呼べば、遠くからでもナギちゃんが飛んで来れて、今回の下りられる場所があるかどうか確認して呼ぶ時に便利そうなんだけど そんな魔法や意思疎通は出来ないものなんだろうか?…
レジーナの暴れられる機会を決して逃さないぞと言う姿勢好きだわー
ありがとナス! すみません何でも
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