チー牛、feat.(フィーチャリング)する5
さて、自分は今書いてしまうか、ほうじTさんのリリックを見てから待つべきか……
ほうじTさんも最近よく韻乱闘城で見かける常連だ。
どこか別のサイトでやっていたらしく、最近韻乱闘城に引っ越してきたらしい。雑談スレで「ここは管理人さんのおかげで全員の平均値が高い」と言っていたな。流石は師匠!褒められてますよ!
吐愚呂妹さんと村井・ムーンライトさんはリアルでもcrewを組んで曲をアップしたりしてるらしいが、ほうじTさんは多分俺と同じネトラがメインだろう。一体どんな仕上がりになるのか想像がつかない。
吐愚呂妹さんのリリックだけ送られてきていたら方向性もすぐわかっただろうが、村井・ムーンライトさんのリリックのせいで俺は方向性を見失ってしまった。
仮にほうじTさんも同じ心境だとすれば、ほうじTさんも俺の出方をうかがっているのでは?
となるとやはり、先に俺が真面目なリリックを書いて吐愚呂妹さん側の方向性であることを示せばほうじTさんも察してくれてちゃんとした内容になるだろう!
よし!
そうなれば直ちに書き始めよう!いつものように書けばうまくいくはずだ!!
と意気込んだところで師匠からメッセージが届いた。
「―――――――――――――――――――――
一応確認だが、これまで通りのようなリリックを書くだけではダメだからな?作ったものをただ喋るだけのラップでもダメだぞ?
『フロウ(flow)=歌い方』も求められる。
曲に合わせて抑揚を付けたりしないといけない。
最近はフロウ重視で韻が軽視されがちだからな。チー牛、お前はライマーだかな?それを忘れるな?
何を言いたいか分かるか?
「フロウだけでいいのか?」という意味だ。
『韻によって作り出されるメロディー……すなわちライムフロウ』
それで魅せてナンボだ。
バカみたいに韻踏めよ?
あと、既に完成されてる人のリリックあれば送ってくれ。見てみたい。
―――――――――――――――――――――」
師匠、やっぱりどこかから見てますか?
師匠のメッセージのタイミングがタイムリー過ぎて怖い。
てか、師匠はリアルとネット上では口調が違うな。俺には正体バレてるのに、それでも喋り方はこれまで通りなのか。なんとなく寂しい気持ちになった。
ひとまず師匠の言いつけ通り、既に送られてきた2人のリリックを師匠に送った。
「―――――――――――――――――――――
吐愚呂妹
独学で書く詞 止まっていた罪
この場で発信 驚愕的パンチ
どうやって勝つ気? ようやく転換期
文学で脚韻 音楽で脚韻
脳が描く作品 高学歴100人
集めても敵わぬ創作的な踏み
お預けは無理 道楽でhappy
獲物はチキン お腹はちきれる
吐愚呂妹さんのは「AUI」の3文字で最後まで踏み続けてる感じですね!少しパンチ弱いかなぁ~って感じです。
村井・ムーンライト
ばあやがぁたしに託した押韻見聞録
首から下げ練り歩く竹下通り〜池袋
喉が渇いたら角ハイジンジャーエール!
悪そうな奴ともこれで大体信じ合える
味変なら定番&鉄板のタピオカ割り!
伝播した顔と電波が伝票代わり
ぁたし、村井朋でっせ。※報奨金多め
歯向かうなら月に変わってお仕置きよ!めっ!
村井さんのはリリックはよくわからないですが韻が独創的な感じです。
―――――――――――――――――――――」
師匠にメッセージを送信し、自分のリリックに取りかかろうとしたら、また師匠からメッセージが届いた。師匠ったら、寂しがり屋さんなのかな?と思いながらメッセージを開く。
「―――――――――――――――――――――
チー牛、てめぇ!その耳は何のために付いてんだ?!
吐愚呂妹さんのリリックを良く聞いてみろ!!
独学で書く詞
止まっていた罪
この場で発信
驚愕的パンチ
どうやって勝つ気?
ようやく転換期
(文学で脚韻)
音楽で脚韻
脳が描く作品
高学歴100人
(集めても敵わぬ)
創作的な踏み
お預けは無理
道楽でhappy
(獲物はチキン)
(お腹はちきれる)
( )←かっこ以外の部分はほぼ同じ音だろ!それに音源を聞けば一目瞭然だろ!!
これが『ネトラとラップの違い』なんだよ!!
―――――――――――――――――――――」
そんな感じで師匠からのお説教タイムが始まった。
確かにネトラだとスルーしてしまいがちだが、ラップすると見事に韻がハマっている。
こういう事も踏まえてふざけたリリックを書こうものなら師匠からさらにお説教されそうだ。
俺はリリックを書きつつラップしてフロウを考えてみたり、逆に先にフロウを考えてそれにリリックを当てはめてみたりと試行錯誤した。
やはりラップするという事は視覚よりも聴覚に訴えかけなければいけないのだな、と思った。それでいてリリックの内容も蔑ろにしない努力……リリックの完成までにかなり時間がかかった。
「完成したら師匠に報告せよ」と言われていたので、まずは師匠に報告することにした。
まぁまぁの力作だと思った。師匠にリリックの出来の確認をしてもらおう!
「―――――――――――――――――――――
「師匠、完成しました!」
「そうか。なら明日の18時に今から言う指定の場所に行け。わかったな?」
(あれ……?なんか思ってたのと違う反応だ……いや、それよりこれ、ヤバいヤツじゃね?俺は怪しい取引に関わらせられたりするんじゃ……いやいや、師匠はヤ○ザじゃなかったはず……)
「りょ……了解ッス」
―――――――――――――――――――――」
翌日、師匠から指示のあった場所に行った。
指定された場所は田舎の駅前だった。師匠の家の近くなんだろうか?師匠が迎えに来てくれたりするのか?
本当に何も聞かされてないので俺はこれから何をすればいいのかわからなかった。とりあえず師匠にメッセージを送ってみよう。
「―――――――――――――――――――――
「師匠、着きました」
―――――――――――――――――――――」




