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チー牛、ラッパーになる  作者: ねーじ
12/24

チー牛、feat.(フィーチャリング)する3

師匠は今度は全く知らない曲をチョイスした。


「聞いた事ないでしょ?とりあえず手拍子してみて」


「ウ……ウッス」


さっきと違って音が多いな。


 

ドゥッ ドゥッ タッ タッ ドゥッ ドゥッ タッ タッ

 

「な、なんかさっきよりシャカシャカして……む、難しいッス!」


俺はさっきのような手拍子が出来ない。


「なら手拍子じゃなくていいからドラムとかパーカッションが鳴ってるところでリズムとってもらえるかな?こんな風に」


そう言って師匠はさっきの曲に合わせて人差し指と中指を机に当ててトントンとリズムを刻んでいる。


はいはい。確かにそんな感じだ。

 

ドゥッ ドゥッ タッ タッ ドゥッ ドゥッ タッ タッ


これに合わせて

トントントントン、トントントントン


と指がテーブルに当たる音が聞こえる。



「じゃあこれの半分の手拍子をいれてみて?」


師匠の指の音に合わせて最初にやっていたように手拍子を入れ込む。


トントントントン、トントントントン


タン  タン   タン  タン


「そそ。それそれ!」


「おお!!」


確かにアレだけ複雑だった音から四拍子を探し出した。


「基本、曲って言うのはね繰り返しなのよ。1小節か2小節かもしくは4小節のパターンを繰り返してるのよ」


そう言って師匠は流れてくる音楽の低めのギターみたいな音を聞き取り、真似てくれた。


「ブーーン、ブーーン、ボーーン、ブーーン」


って音が繰り返してるでしょ?


「確かにッスね」


他にもドラムの音が鳴ってるがそれも繰り返しだった。


「流石は師匠!」


なんとなくわかりかけてきた。


師匠はバッグからB6サイズのノートとペンを取り出した。女の子のバッグにはこんな物が入っているのか?


師匠がノートを開くとびっしりと文字が書かれていた。

どうやらリリックが書かれているようだ。

師匠は常にリリックを手書きで書きだめているのだろうか?


師匠は空いているベースを開いてノートの罫線に縦線をいくつか書いた。


「音楽の授業よ。これが五線譜。覚えてるかしら?ここに『ド』とか『ミ』とかおたまじゃくしの音符を置いたわよね?」


「あーー、かろうじて覚えてますが、全然わからないッス」


「そうよね。でもいいわ。さっきのドラムの音とかベースの音をニュアンスで書いてみるわ」


そう言って師匠がさっきの『ブーーン』とか『ドゥッ』とかの効果音を書いていく。



ドッ ドッ タッ タッ ドッ ドッ タッ タッ

┌────┬────┬────┬────┐

│────┼────┼────┼────│

│────┼────┼────┼────│

│────┼────┼────┼────│

└────┴────┴────┴────┘

ブーーン  ブーーン  ボーーン ブーーン

タン   タン   タン   タン


ワタシの名前は   アイジェンだ   小

節とは?を教える  解説者 



手拍子のリズムに合わせて師匠がこの五線譜の下にリリックを書き、簡単な韻を踏んで見せる。


「おぉ~!師匠!めっちゃわかります!!」


この『小節』という言葉の『小』の部分は、前の小節の最後に食い込ませて、『節』の部分が2小節の頭になるって事か。



「これが小節よ。早い曲だろうと遅い曲だろうとこの1小節の中に必ず手拍子4つの『4拍』が入っているの。色んな音楽を聞いてこの4拍子をすぐに聞き取れるようにしてみるといいわ。歌手ももちろんこの四拍子や小節を意識しているのよ」


「そうなんッスね……テキトーに歌ってるわけじゃなかったのか……」


「一応余談だけど、ワルツってあるのわかるかしら?ダンスを踊る時の『ズン・チャッ・チャー ズン・チャッ・チャー』ってやつよ」



「鬼コーチが『アン・ドゥー・トロワ アン・ドゥー・トロワ』って手拍子しながらバレエダンサーにダンスさせるアレッスか?」


「鬼コーチかどうかわからないけどそれよ。あれば3拍子よ。小節を3拍で数えるの」


「ほーーん」


「わかってないでしょ?まぁ、聞き慣れる事ね」


「師匠!最後、突然雑ッス!」


「いいのよ。hiphopの場合はほとんどが四拍子だから!」


それから試しに色んな曲を動画サイトで聞いてみることにした。歌アリの方がわかりやすいから、という理由でカラオケの機械の横で動画サイトで音楽を聞いていた。


確かにラッパーも、テレビで観るアイドルの歌も8小節か16小節で曲に変化が出てきた。楽器が増えたり、メロディーが変わったりしていくのだ。


「すげぇ。師匠、流石ッス!」


一気に霧が晴れたような気分だった。




ついでに曲の構成についても教えてもらった。


「何度も言うけど大体の音楽はパターンがあるのよ。


・歌が始まる前の楽器だけが流れる『イントロ』

・歌のパートの『Aメロ』

・歌のパートで少し雰囲気が変わるところを『Bメロ』

・サビの部分はそのまんま『サビ』

・同じように2番の『A、Bメロとサビ』

・サビの後に楽器だけが入る『間奏』

・他にもサビでももっと盛り上がる『サビ2』

・最後に曲が終わるまでの『アウトロ』


いずれも基本的には4小節や8小節、16小節でできているわ。でも全部がそうとは限らないけどね。あくまで基本よ」


「な、なるほどッス。ネトラでは『Aメロ』を『1バース』って言うんでしたっけ?」


「ざっくり言うとそうね。『Aメロ』って言い方は日本特有のものよ。まぁ、チー牛はその程度の知識があれば十分ね。『サビ』のところを『フック(hook)』と呼びなさい」


「フックッスね」



なんとなく全容が見えてきた。



「まだその少なそうな脳みそに情報は詰まりそうかしら?」


「い、いける……ッス」


心配されているような雰囲気でしれっと師匠にdisられたが、なんとかまだいけそうだ。



「じゃあ次は『BPM』って言葉を教えてあげるわ」


「びーぴーえむ?」


「『BPM=beats per minute』よ」


「ななな、なんだって??」


師匠の英語の発音がめっちゃ発音が良すぎて聞き取れなかった。


「あぁ、ごめんなさい。ビーツ、パー、ミニットよ。『1分間に何拍子叩かれているか』って意味なの」


「はいはいはい。全くわかんないッス」


「うーーん、そうね。さっきの曲で試してみようかしら」


そう言って師匠はさっき流した「We will f○ck you」を流しだした。


「ワタシがヨシ!って言ったら手拍子をしなさいよ」


そう言って師匠はスマホを触りだした。


「ウン、ウン、ウン、ヨシ!」


師匠のgoサインで音楽に合わせて手拍子を始めると、師匠は手拍子を数えだした。たまにスマホをチラチラ見ていたが、突然「ストップ!」と言われた。


手拍子をやめた俺が何を意味していたのか尋ねた。


「今1分間に81回手拍子をしたのよ。つまりこれの曲は『BPM81』になるわ」


「BPM81……ですか。これ、知って何になるんッスか?」


「あくまで基本だけどhiphopはBPM80~100程度が多いわ。パリピが大好きなEDMは「BPM128系」と言われるくらいにBPM128が基本なのよ」


「そ、そうなんッスね」


「音楽をたくさん聞いて、ある程度BPMがどの程度か覚えておくとラップもしやすくなるわ」


「なるほど。ところで師匠……」


俺はめちゃくちゃシンプルな質問をした。



「師匠に最初に『ネットで韻を踏む=ネットライマー』って教わりましたが、『ラッパー……ラップ』って何ですか?」



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