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第四試合 大蛇殺しと竜殺し

作品は完結させております。

安心してラストまでお楽しみ頂ければ幸いです。


たくさんのブックマーク、評価、コメント。

また誤字・脱字報告も全て受け付けしております。


よろしくお願いします。それではどうぞ!


第三試合の熱気が、未だ会場から消えていなかった。


方天戟。


その圧倒的な武力の前に、蜻蛉切が敗れた。


これで第一回戦の勝者は三振り。


王を守る剣――アロンダイト。


雷神の槌――ミョルニル。


そして、中華の鬼神を象徴する戟――方天戟。


三つの伝説が、すでに二回戦への切符を手にしている。


だが、まだ戦いは始まったばかりだった。


『さあ! 続いて第一回戦、第四試合です!』


実況の声が会場に響く。


『ここまでとは、また違った意味で凄まじい対決が実現しました!』


巨大スクリーンに、二つの紋章が浮かび上がる。


一つは、八つの首を持つ大蛇。


もう一つは、巨大な竜。


観客席がざわめいた。


『まず登場するのは――!』


低い太鼓の音が鳴り響く。


ドン。


ドン。


ドン。


舞台の奥から、一人の男が歩いてくる。


長い黒髪。


荒々しい赤い装束。


鋭い眼光。


男は舞台中央まで歩くと、足を止めた。


『日本神話より!』


男が観客席を見渡す。


『荒ぶる神、スサノオが振るった神剣――!』


観客席から歓声が上がる。


『天羽々斬!!』


さらに大きな歓声。


天羽々斬は、面倒そうに片耳を掻いた。


「……騒がしいな」


『対するは――!』


今度は巨大な鐘の音が響く。


ゴォォォン……。


舞台の反対側から、一人の青年が歩いてくる。


金色の髪。


整った顔立ち。


白銀の鎧。


青年は静かな足取りで舞台へ上がった。


『ドイツ英雄叙事詩より!』


観客席から歓声が起こる。


『竜を討ちし英雄、ジークフリート!』


青年が立ち止まる。


『その英雄が振るった名剣――!』


『バルムンク!!』


天羽々斬が青年を見る。


「……竜殺しか」


バルムンクは頷いた。


「ああ」


「俺は大蛇を斬った」


「知っている」


「なら話は早いな」


天羽々斬が笑う。


「どっちの怪物が強かったか、決めようぜ」


バルムンクも僅かに笑った。


「望むところだ」


『両者、前へ!』


二人が指定された位置へ移動する。


『それでは、それぞれ武器の顕現を!』


天羽々斬が宝珠を見下ろす。


「……これが俺の武器になるのか」


バルムンクも宝珠を見る。


「面白い仕組みだ」


二人が同時に宝珠を握った。


――瞬間。


眩い光が二人の手を包み込む。


天羽々斬の宝珠が形を変えていく。


光が伸びる。


柄が生まれる。


刀身が現れる。


やがて――。


一振りの神剣が、その手に収まった。


天羽々斬は剣を一度だけ振る。


風が唸った。


「……悪くない」


対するバルムンク。


こちらの宝珠も光を放つ。


光が細長く伸び、一本の剣へと変化する。


鋭く、美しい刀身。


バルムンクはそれを握り、構えた。


「これが……俺の剣か」


二振りの剣が、初めて舞台上で向かい合った。


『それでは――!』


会場が静まり返る。


『第一回戦、第四試合――!』


二人が構える。


『開始!!』


鐘が鳴った。


「――ッ!」


二人が同時に駆け出した。


先に動いたのはバルムンク。


一瞬で距離を詰める。


「はあっ!」


横薙ぎ。


天羽々斬が受ける。


ガァン!!


激しい金属音が響いた。


天羽々斬の足が僅かに下がる。


「……!」


バルムンクはそのまま剣を返した。


二撃目。


三撃目。


流れるような連撃。


天羽々斬は一つ一つを受け止める。


「速いな」


「そちらは重い」


バルムンクが踏み込む。


天羽々斬が剣を振り下ろす。


「――おらぁっ!」


バルムンクが横へ飛ぶ。


ズドン!!


床が砕ける。


「凄まじいな……」


「お前もな」


天羽々斬が剣を構え直す。


バルムンクも呼吸を整えた。


「ならば――次はこちらから行く」


再び踏み込む。


剣が閃く。


天羽々斬も踏み込む。


二人の剣が交差する。


一度。


二度。


三度。


火花が舞う。


「竜は――」


天羽々斬が剣を振るいながら尋ねる。


「どんな奴だった?」


「そうだな……巨大だった」


バルムンクが天羽々斬の斬撃を押し返し答えた。


「硬かった」


さらに斬り込む。


「そして――強かった」


天羽々斬が笑う。


「そうか」


剣を振り抜く。


「俺が斬った大蛇も同じだ」


バルムンクが弾き飛ばされる。


「……八つの首を持っていた」


バルムンクの目が僅かに見開かれる。


「八つ?」


「ああ」


天羽々斬が構える。


「一つでも厄介そうだろ?」


「……確かにな」


「それが八つだ」


バルムンクが苦笑する。


「それは厄介だ」


二人が再び向かい合う。


会場が静まる。


天羽々斬が剣を握り直した。


「お前は竜を斬って英雄になった」


「ああ」


「俺は大蛇を斬った」


「……」


「だが、ここではどちらも同じだ」


天羽々斬の目が鋭くなる。


「ただの一振りの武器だ」


バルムンクが笑う。


「その通りだ」


二人が同時に構え直す。


そして――。


「ならば、剣だけで決めよう」


バルムンクが言った。


天羽々斬が頷く。


「望むところだ」


再び二人が走る。


「うおおおおおっ!!」


「はあああああっ!!」


剣と剣が激突する。


ガァァァァン!!


一度。


二度。


三度。


斬撃が交差する。


バルムンクが斬り込む。


天羽々斬が受ける。


天羽々斬が振り下ろす。


バルムンクが受け流す。


互いの刀身が身体を掠める。


傷が増える。


血が流れる。


それでも二人は止まらない。


バルムンクが一歩踏み込む。


「これで――!」


剣を振り上げる。


「終わりだ!!」


渾身の一撃。


天羽々斬は退かなかった。


正面から迎え撃つ。


「――ッ!」


二振りの剣が激突した。


その瞬間。


バルムンクの刀身に、小さな亀裂が走った。


「……何?」


天羽々斬は構わず押し込む。


「俺は――」


さらに力を込める。


「大蛇を斬った」


バキッ!


亀裂が広がる。


バルムンクが目を見開く。


「くっ……!」


「そして――」


天羽々斬が吠える。


「ここでお前も斬る!」


バルムンクの剣が弾かれた。


身体が後方へ飛ぶ。


「ぐっ!」


バルムンクは何とか着地する。


だが、片膝をついた。


天羽々斬が追撃する。


一閃。


バルムンクの胸元が大きく裂ける。


「――っ!」


青年の身体が崩れ落ちる。


剣が手から離れ、床を転がった。


カラン――。


静寂。


バルムンクは、落ちた剣を見つめる。


「……俺の、負けか」


天羽々斬は剣を下ろした。


「ああ」


バルムンクは小さく笑った。


「そうか……」


そして天羽々斬を見る。


「だが――」


天羽々斬が顔を向ける。


「竜殺しの名は、譲らん」


一瞬の沈黙。


天羽々斬は口元を僅かに上げた。


「好きにしろ」


バルムンクは目を閉じた。


『――戦闘続行不能!』


実況の声が響く。


『勝者は――!』


一拍。


『天羽々斬!!』


会場が大歓声に包まれた。


天羽々斬は剣を下ろす。


そして、スクリーンを見る。


そこに表示されたのは――。


第二回戦


方天戟



天羽々斬


天羽々斬の口元が僅かに吊り上がった。


「……方天戟か」


その名を呟く。


「面白い」


一方、控室。


方天戟もまた、スクリーンに映し出された対戦相手を見ていた。


「天羽々斬……」


拳を握る。


「大蛇を斬った神剣か」


方天戟は笑った。


「神話の剣が相手とはな」


そして――。


「俺が叩き折ってやる」


第一回戦。


四つの戦いが終わった。


勝ち上がったのは――。


アロンダイト。


ミョルニル。


方天戟。


そして新たに天羽々斬が次なる舞台への進出を決めた。

お疲れ様でした。

読んで下さり感謝致します。


話数は少ないので更新は一日一話の更新となります。

更新時間:毎日12:00となっております。

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