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第三試合 中華の鬼神と日本の猛将

作品は完結させております。

安心してラストまでお楽しみ頂ければ幸いです。


たくさんのブックマーク、評価、コメント。

また誤字・脱字報告も全て受け付けしております。


よろしくお願いします。それではどうぞ!


『――第二試合、終了!』


ミョルニルの勝利を告げる声と共に、会場が再び大きく沸いた。


これで勝ち上がったのは二振り。


王を守る剣――アロンダイト。


雷神の槌――ミョルニル。


まだ始まったばかりだというのに、すでに二つの伝説が敗れ去った。


エクスカリバー。


グングニル。


観客たちは、次に誰が姿を現すのかと期待に胸を膨らませていた。


『さあ! 続いて第三試合です!』


スクリーンに、巨大な二つの武器のシルエットが浮かび上がる。


『ここまでの二試合とは、一味も二味も違う!』


会場の照明が赤く染まる。


『中国史上、最強の武将の一人――呂布奉先!』


巨大な影が舞台裏に現れる。


長い髪。


鋭い眼光。


赤を基調とした戦装束。


そして、その手にはまだ何もない。


男は観客席を見渡すと、不敵に笑った。


『その武勇を象徴する武器――!』


一瞬、照明が消える。


『方天戟!!』


歓声が爆発した。


方天戟は、口元を吊り上げる。


「俺を呼ぶには、随分と騒がしいな」


その声には、自信という言葉では足りないほどの確信があった。


自分こそが強者。


それを疑ったことなど一度もない。


『そして対するは――!』


今度は、静かな和太鼓の音が響く。


ドン。


ドン。


ドン。


スクリーンに、一人の武士が映し出された。


黒髪。


質素な甲冑。


無駄な装飾は一切ない。


ただ、背筋だけが異様なほど真っ直ぐに伸びている。


『徳川家康に仕え、数々の戦場を駆け抜けた猛将――本多忠勝!』


観客席から歓声が上がる。


『その武勇を象徴する天下三名槍の一つ――!』


男がゆっくりと歩き出す。


『蜻蛉切!!』


歓声。


しかし、方天戟の登場時とは違った。


方天戟が「自分こそが最強だ」と全身から放っているのに対し、蜻蛉切はただ静かに歩いている。


舞台へ上がる。


方天戟と向かい合う。


「……お前か」


方天戟が言った。


「日本の槍というのは」


蜻蛉切は頷く。


「そう呼ばれていた」


「俺は方天戟だ」


「知っている」


「なら話は早い」


方天戟が笑う。


「俺とお前。どちらが強い?」


蜻蛉切は少しだけ考えた。


「戦ってみなければ分からない」


「はっ!」


方天戟が大声で笑った。


「気に入ったぞ!」


蜻蛉切も槍を持つような仕草をする。


だが、まだ手には何もない。


『両者、宝珠を!』


二人が同時に宝珠を掲げる。


光が走る。


方天戟の手に現れたのは、長大な戟。


三日月のように張り出した刃。


重量感のある長柄。


見るだけで、扱うには相当な膂力が必要だと分かる。


方天戟はそれを軽々と振り回した。


「悪くない」


対する蜻蛉切。


その手に現れたのは一本の長槍。


長い柄。


鋭い穂先。


そして、その姿には一切の無駄がない。


蜻蛉切は槍を一度だけ振った。


風が鳴る。


「……十分だ」


二人が構える。


『それでは――』


会場が静まり返る。


『第三試合――開始!!』


鐘が鳴った。


同時に――。


二人が踏み込んだ。


「ぬおおおおおっ!!」


「――ッ!」


最初の一撃。


方天戟が横薙ぎに振るう。


蜻蛉切は槍を立てて受けた。


ガァン!!


凄まじい衝撃。


蜻蛉切の足元が僅かに沈む。


「――!」


だが、倒れない。


方天戟が笑った。


「ほう!」


そのまま戟を押し込む。


蜻蛉切が耐える。


「いいぞ!」


方天戟の腕が膨れ上がる。


「その程度では倒れんか!」


蜻蛉切は無言。


ただ、足を踏み込む。


そして――。


「――せいっ!」


槍を押し返した。


方天戟の身体が僅かに揺れる。


「何っ!」


蜻蛉切が突く。


速い。


方天戟は戟の柄で受ける。


槍先が弾かれる。


すぐさま戟が返ってくる。


蜻蛉切が避ける。


刃が髪を数本切り飛ばした。


「……速いな」


方天戟が呟く。


「そちらも」


蜻蛉切が答える。


二人の距離が開く。


そして、再びぶつかった。


ガァン!


ガァン!


ガァン!


巨大な戟と長槍が何度も激突する。


どちらも引かない。


どちらも退かない。


一撃一撃が重い。


観客席の空気が変わっていく。


『す、凄い……!』


実況の声にも驚きが混じる。


『これは完全なる力と力の勝負!』


方天戟が笑う。


「日本の槍!」


蜻蛉切が睨む。


「何だ!」


「お前は、これまで何人斬った?」


「……数えていない」


「そうか!」


方天戟が戟を振り上げる。


「なら、俺も数えていない!」


振り下ろす。


蜻蛉切が受ける。


ズンッ!!


床が砕けた。


「ぐっ……!」


蜻蛉切の膝が僅かに沈む。


「どうした!」


方天戟が吠える。


「俺の力を受け止めてみろ!」


蜻蛉切は歯を食いしばる。


「……まだだ」


槍を押し返す。


「まだ、終わってはいない!」


方天戟の目が輝いた。


「それでこそだ!」


二人は同時に距離を取った。


息が荒い。


身体には傷が増えている。


それでも、どちらも倒れない。


会場の誰もが理解していた。


これは技術の優劣ではない。


特殊能力の有無でもない。


ただ――。


どちらの力が上なのか。


それだけを決める戦いだ。


方天戟が戟を構える。


「最後だ」


蜻蛉切も槍を構える。


「望むところだ」


二人が同時に走り出す。


方天戟が叫ぶ。


「うおおおおおおおおおっ!!」


蜻蛉切も吠える。


「――せあああああっ!!」


戟と槍が一直線に交差する。


一瞬。


完全な静寂。


そして――。


ガァァァァン!!


衝撃音。


蜻蛉切の身体が後方へ吹き飛んだ。


「――ぐっ!」


床を何度も転がる。


槍が手から離れる。


方天戟はその場に立っていた。


だが、その左肩には深い傷が刻まれている。


血が流れ落ちる。


それでも、倒れない。


蜻蛉切は起き上がろうとした。


片膝をつく。


もう一度、立とうとする。


だが――。


身体が動かない。


「……無念」


小さく呟く。


方天戟は黙って蜻蛉切を見つめていた。


やがて、戟を下ろす。


「……強かった」


蜻蛉切が顔を上げる。


「お前ほどの男が――」


方天戟は笑った。


「俺をここまで追い詰めたんだ」


蜻蛉切は僅かに笑う。


「そうか」


そして、ゆっくりと目を閉じた。


『――戦闘続行不能!』


実況の声が響く。


『勝者は――』


一拍。


『方天戟!!』


会場が沸騰した。


「うおおおおおおおおおっ!!」


方天戟は戟を掲げる。


その姿は、まさしく戦場を支配する武人そのものだった。


「……日本最強か」


倒れた蜻蛉切を見下ろす。


「悪くなかったぞ」


そして、背を向ける。


一方。


蜻蛉切は運ばれていく途中で、僅かに目を開けた。


「……次は、誰だ」


その言葉は誰にも届かなかった。


こうして――。


第三試合。


中華の鬼神を象徴する方天戟が勝利し


アロンダイト。


ミョルニル。


そして、方天戟。


最強へと近づく三振り目が決まった。

お疲れ様でした。

読んで下さり感謝致します。


話数は少ないので更新は一日一話の更新となります。

更新時間:毎日12:00となっております。

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