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第二十七試合 無名の剣と英雄の剣

作品は完結させております。

安心してラストまでお楽しみ頂ければ幸いです。


たくさんのブックマーク、評価、コメント。

また誤字・脱字報告も全て受け付けしております。


よろしくお願いします。それではどうぞ!


準々決勝、第二試合。


闘技場には、再び大きな歓声が響き渡っていた。


『さあああああ!!』


実況の声が会場全体へ響き渡る。


『続いては準々決勝、第二試合!!』


巨大スクリーンへ二つのシルエットが映し出された。


一つは、星空のような輝きを宿した刀身。


そしてもう一つは――。


重厚な長剣。


『第一回戦、第二回戦と、自らの素性が分からないながら勝ち上がってきた謎の剣!!』


観客席がざわめく。


『その名は――!!名無し!!』


実況は続ける。


『対するは――!!』


スクリーンの映像が切り替わる。


『第一回戦ではミスティルテインの猛攻を耐え抜き!!』


『第二回戦では、あのゲイ・ボルグの十撃必殺を真正面から耐え抜いた!!』


『不折れの聖剣!!』


『デュランダル!!』


――おおおおおおおおおっ!!


会場が大きく沸いた。


『無名の剣か!!』


『それとも、英雄の剣か!!』


『準々決勝、第二試合――!!』


『間もなく開始です!!』


左右の入場口が開く。


先に姿を現したのは――。


名無し。


長い黒髪。


静かな眼差し。


続いて。


反対側の入場口からデュランダルが姿を現した。


身体には、これまでの戦いで刻まれた傷が残っている。


それでもその足取りに迷いはない。


二人はゆっくりと闘技場中央へ歩いていく。


そして向かい合った。


『それでは両者――』


実況が声を張り上げる。


『武器を――』


「待ってくれ」


突然。


メテオスラッシュが口を開いた。


『……え?』


会場がざわつく。


メテオスラッシュは実況席を見上げた。


「一つ、言っておきたい」


『な、何でしょうか!?』


「俺はもう、名無しじゃない」


会場が静かになる。


実況が目を丸くする。


『……と、言いますと?』


メテオスラッシュは少しだけ視線を逸らした。


「前の試合のあと、ソニックブレードが俺に名前を付けた」


「メテオスラッシュ」


その名を口にする。


「それが、今の俺の名前だ」


一瞬の静寂。


そして――。


『な、なんとおおおおおおおっ!!』


実況が叫んだ。


『名無し選手!!』


『いや――失礼しました!!』


実況が勢いよく言い直す。


『メテオスラッシュ選手!!』


観客席から歓声が巻き起こった。


「メテオスラッシュ!!」


「名前が付いたぞ!!」


「名無しじゃねえ!!」


メテオスラッシュは、その声を聞きながら少しだけ目を伏せた。


自分の名前。


まだ本当の名前なのかは分からない。


それでも呼んでくれる者がいる。


それだけで――不思議と胸の奥が温かくなった。


実況も声を張り上げる。


『改めて紹介しましょう!!』


『第一回戦では魔槍ブラダマンテを撃破!!』


『第二回戦では、超音波振動ブレード――ソニックブレードを撃破!!』


『そしてその戦いの中で、石剣の中から姿を現した謎の刀身!!』


『星空のような輝きを宿した剣!!』


『その名は――!!』


『メテオスラッシュ!!』


――おおおおおおおおおおっ!!


再び会場が揺れた。


メテオスラッシュは少しだけ照れたように顔を背ける。


「……そんな大げさに言わなくてもいいだろ」


その隣で。


デュランダルが笑った。


「いい名前じゃないか」


「……え?」


メテオスラッシュが振り向く。


「メテオスラッシュ」


デュランダルは素直に言った。


「名前が付いて、よかったな」


「……」


メテオスラッシュは少しだけ目を見開いた。


そして。


「……ああ」


僅かに顔を赤くする。


「……嬉しい」


デュランダルは笑った。


「そうか」


「……」


メテオスラッシュは照れ隠しのように顔を逸らした。


「……早く武器を出そう」


「ははっ」


『それでは両者――武器を顕現!!』


二人の前に宝珠が浮かび上がる。


メテオスラッシュが手を伸ばす。


デュランダルもまた、宝珠へ手を伸ばした。


二つの宝珠が同時に輝く。


光が収束する。


そして――メテオスラッシュの手に現れたのは。


石剣ではなかった。


細く、長い刀身。


黒とも銀ともつかない不思議な色。


その内部には無数の光が瞬き、まるで刀身そのものが小さな星空を閉じ込めているかのようだった。


淡い光が刀身の中を流れていく。


「……」


メテオスラッシュは、その剣を握り締める。


キィン――。


澄んだ音が響いた。


対するデュランダルの手にも、重厚な長剣が現れる。


幾度もの戦いを越えてきた、不折れの聖剣。


デュランダルは静かに構えた。


『星空を宿す謎の剣――メテオスラッシュ!!』


『そして、英雄ローランの聖剣――デュランダル!!』


『果たして、準決勝へ進むのはどちらなのか!!』


メテオスラッシュとデュランダル。


二人は互いの剣を見つめた。


デュランダルが口を開く。


「……綺麗な剣だな」


「そうか?」


「ああ」


デュランダルは頷いた。


「まるで星空みたいだ」


メテオスラッシュは刀身を見る。


「……俺も、そう思う」


『両者――構えて!!』


二人が剣を構える。


会場が静まり返る。


『準々決勝、第二試合――!!』


一瞬。


完全な静寂。


そして――。


『試合――開始!!』


――ドォォォン!!


先に飛び出したのは、メテオスラッシュだった。


「――ッ!!」


地面を蹴る。


一瞬で距離を詰める。


「速い!」


デュランダルが剣を構える。


――ガキィン!!


二つの剣が激突した。


火花が散る。


「くっ!」


デュランダルが押される。


メテオスラッシュがさらに踏み込む。


「はあっ!!」


横薙ぎ。


デュランダルが受ける。


――ギィィン!!


「重い……!」


「お前もな!」


デュランダルが剣を振り抜く。


メテオスラッシュが後ろへ跳ぶ。


刃が目の前を通り過ぎる。


「危ない……!」


「まだだ!」


デュランダルが追う。


一閃。


二閃。


三閃。


メテオスラッシュは剣で受け流していく。


――ガキィン!!


――ギィン!!


――ザンッ!!


「……!」


最後の一撃がメテオスラッシュの肩を掠める。


血が飛んだ。


観客席が沸く。


『デュランダル選手の一撃が入った!!』


メテオスラッシュは肩を押さえる。


「……やるな」


「お前もな」


デュランダルが剣を構える。


「その剣――」


「何だ?」


「不思議な力を感じる」


メテオスラッシュは刀身を見る。


星のような光が瞬いている。


「俺にも分からない」


「そうか」


「ただ……」


メテオスラッシュが剣を握り直す。


「こいつは、俺の手に馴染む」


「なら――」


デュランダルが踏み込む。


「その力、全部出してみろ!!」


「望むところだ!!」


二人が同時に駆ける。


――ガァァン!!


剣と剣がぶつかる。


メテオスラッシュが押し込む。


「おおおおおっ!!」


デュランダルが耐える。


「ぐっ……!」


メテオスラッシュがさらに力を込める。


一閃。


デュランダルが受ける。


――ザァン!!


「ぐあっ!」


身体が後ろへ飛ぶ。


だが。


デュランダルは倒れない。


地面を滑りながら踏み止まる。


「……まだだ」


メテオスラッシュが構える。


「やっぱり、折れないな」


「ああ」


デュランダルが笑う。


「俺はそういう剣だからな」


再び二人が激突する。


メテオスラッシュの刃が閃く。


デュランダルが弾く。


デュランダルの剣が迫る。


メテオスラッシュが受ける。


互いに一歩も譲らない。


――ガキィン!!


――ズガァン!!


――キィン!!


闘技場に剣戟の音が響き渡る。


「まだだ!」


メテオスラッシュが踏み込む。


「これで――!」


剣を振り下ろす。


デュランダルが受ける。


――ズガァァン!!


「ぐっ!!」


膝が僅かに落ちる。


メテオスラッシュが押し込む。


「終わらせる!!」


「……!」


デュランダルは歯を食いしばる。


そして。


「まだ終われない!!」


剣を弾き返す。


――ガァン!!


メテオスラッシュの身体が後退した。


「なっ……!」


デュランダルが追撃する。


「これが――!」


剣を振り上げる。


「不折れだ!!」


――ズガァァン!!


メテオスラッシュが受け止める。


だが。


その身体が大きく揺れる。


「ぐっ……!」


「まだだ!!」


二撃。


三撃。


四撃。


デュランダルの剣が連続して叩き込まれる。


メテオスラッシュは必死に受ける。


「くっ……!」


「どうした!!」


「まだ……!」


メテオスラッシュが反撃する。


「俺だって――!」


一閃。


デュランダルの頬を浅く斬る。


血が飛ぶ。


「……!」


デュランダルが笑った。


「いい一撃だ」


「まだいける!」


「もちろんだ!」


二人が再び距離を詰める。


戦いはさらに激しさを増していった。


星空の剣。


不折れの聖剣。


二つの刃が幾度も交差する。


そして――。


長い激闘の末。


二人とも、満身創痍となっていた。


メテオスラッシュの身体には無数の傷。


デュランダルもまた、肩で荒く息をしている。


「……強いな」


メテオスラッシュが呟く。


「ああ」


デュランダルも答える。


「お前もな」


メテオスラッシュは剣を見る。


星の光が、弱々しく瞬いている。


「……俺は」


デュランダルを見る。


「勝ちたい」


「なら――」


デュランダルが剣を構える。


「最後まで来い」


「ああ!!」


二人が同時に踏み込んだ。


――ドォォォン!!


メテオスラッシュが剣を振る。


デュランダルが迎え撃つ。


――ガァァァン!!


互いの刃が激突する。


一度。


二度。


三度。


「うおおおおおおっ!!」


「はああああああっ!!」


そして――。


デュランダルが一瞬だけ身体を沈めた。


メテオスラッシュの剣が頭上を通り過ぎる。


「――ッ!」


その瞬間。


デュランダルは踏み込んだ。


「ここだ!!」


剣を振り上げる。


「――!!」


避けられない。


メテオスラッシュが振り向いた。


次の瞬間――。


――ズガァァァァン!!


デュランダルの一撃が。


メテオスラッシュの頭部へ直撃した。


「――ッ!!」


身体が宙へ浮く。


そして。


ドサッ。


地面へ倒れた。


「……」


デュランダルは剣を下ろす。


「メテオスラッシュ……!」


返事はない。


メテオスラッシュは地面に倒れたまま、ぼんやりと空を見つめていた。


視界が揺れる。


音が遠い。


「……なんだ……これ……」


頭の奥が痛む。


その瞬間――。


光が走った。


――暗い空。


――燃え上がる巨大な光。


――遥か彼方から落ちてくる、巨大な隕石。


「……!」


映像が次々と浮かび上がる。


古代の人々。


見たことのない道具。


石を削る手。


そして――。


隕石から切り出された金属。


それを何度も打ち、磨き、形を整えていく。


一本の剣。


星空のような光を宿した刀身。


「……俺は……」


メテオスラッシュの瞳が揺れる。


「……隕石から……」


さらに記憶が流れ込んでくる。


古代人。


彼らが自分を作った。


戦うため。


生きるため。


そして――。


誰かを守るため。


「……そうだったのか」


メテオスラッシュの意識が、少しずつ鮮明になっていく。


自分が何なのか。


どこから来たのか。


なぜ、この剣が手に馴染むのか。


全てが繋がっていく。


「……俺は」


メテオスラッシュがゆっくりと手を動かす。


「古代人の手によって……」


剣へ手を伸ばす。


「隕石から……作られた……」


その瞬間。


メテオスラッシュの目に光が戻った。


「……そうだ」


身体を起こす。


「俺は――」


立ち上がろうとする。


しかし。


「……っ!」


足に力が入らない。


身体が動かない。


「……まだ……」


もう一度。


立ち上がろうとする。


だが。


「くっ……!」


先ほどの一撃が、身体を完全に止めていた。


「戦わなきゃ……」


手を伸ばす。


しかし。


剣には届かない。


「……俺は……」


その様子をデュランダルが静かに見つめている。


メテオスラッシュは、ぼんやりと笑った。


「あーあ……」


その声は、どこか穏やかだった。


「……やっと全て思い出したのにな」


そのまま。


メテオスラッシュの身体から力が抜ける。


ドサッ。


完全に倒れた。


静寂。


実況が息を呑む。


『……メテオスラッシュ選手――』


『戦闘続行不能!!』


観客席がざわめく。


そして――。


『準々決勝、第二試合!!』


実況が声を張り上げる。


『勝者――!!』


デュランダルが剣を静かに掲げた。


『デュランダル!!』


――――おおおおおおおおおおっ!!


大歓声が闘技場を包み込んだ。


デュランダルは勝利を喜ぶことなく、倒れたメテオスラッシュを見つめていた。


「……思い出したんだな」


その言葉に、返事はない。


デュランダルは静かに剣を下ろした。


「なら……」


少しだけ笑う。


「その記憶、大切にしろよ」


こうして。


準々決勝第二試合。


無名だった剣と。


英雄の剣。


過去を知らなかった者と。


歴史を背負う者。


二つの剣は激突し――。


最後に立っていたのは。


英雄の剣。


デュランダルだった。

お疲れ様でした。

読んで下さり感謝致します。


話数は少ないので更新は一日一話の更新となります。

更新時間:毎日12:00となっております。

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