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第二十六試合 神を護りし者と神に創られし者

作品は完結させております。

安心してラストまでお楽しみ頂ければ幸いです。


たくさんのブックマーク、評価、コメント。

また誤字・脱字報告も全て受け付けしております。


よろしくお願いします。それではどうぞ!


第二回戦。


その全てを勝ち抜いた八人。


その中でも――。


特に大きな変化を遂げた二人がいた。


一人は、雷神の槌。


ミョルニル。


そしてもう一人は――。


日本神話の神剣。


天羽々斬。


二人は、既に一度。


同じ闘技場で戦う者たちを見ていた。


だが。


今度は違う。


自分たち自身が――。


刃を交える。


『さあああああ!!』


実況の声が、闘技場全体へ響き渡る。


『皆様!! 大変長らくお待たせいたしました!!』


観客席から歓声が巻き起こる。


『これより準々決勝を開始いたします!!』


巨大スクリーンへ文字が浮かび上がる。


準々決勝。


第一試合。


『ミョルニル!!』


『対するは――!!』


一拍。


『天羽々斬!!』


――おおおおおおおおおっ!!


会場が揺れた。


観客たちも、この組み合わせを待ち望んでいた。


「ミョルニルと天羽々斬か!」


「どっちも第二回戦で化けた奴らだぞ!」


「雷神の槌と、八岐大蛇を斬った神剣!」


「これはヤバいぞ……!」


歓声が鳴り止まない。


やがて。


左右の入場口が開いた。


先に姿を現したのは――。


ミョルニル。


赤い髪。


鍛え上げられた肉体。


黒い外套。


ゆっくりと歩きながら、ミョルニルは闘技場中央へ向かう。


その表情には、以前のような荒々しさだけではない。


確かな覚悟が宿っていた。


そして反対側。


天羽々斬が姿を現した。


長い黒髪。


赤い戦装束。


鋭い眼差し。


こちらもまた、以前とは違う。


ただ勝つために戦う者ではない。


自らの存在そのものを証明しようとする者の目だった。


二人が中央で向かい合う。


しばし沈黙。


ミョルニルが先に口を開いた。


「……さっきぶりだな」


ミョルニルが笑う。


「お前とは、一度話してみたかった」


「何?」


「あの時」


ミョルニルは拳を握る。


「あの時——アロンダイトに言われたことを……」


天羽々斬は黙っている。


「護るために振るう力」


ミョルニルが自分の手を見る。


「俺はあの言葉で、自分が何者だったのか思い出した」


そして。


天羽々斬を見る。


「お前も、方天戟との戦いで何かを見つけたんだろ?」


天羽々斬は静かに頷いた。


「ああ」


「なら――」


ミョルニルが笑う。


「今度は、互いに見つけたものをぶつけ合おうぜ」


天羽々斬の口元が僅かに緩んだ。


「……望むところだ」


『両者、武器を顕現!!』


二人の前に宝珠が浮かび上がる。


ミョルニルが手を伸ばす。


天羽々斬も手を伸ばす。


二つの宝珠が眩く輝く。


光が収束する。


ミョルニルの手に――。


巨大な槌が現れた。


ミョルニルはそれを握る。


――バチッ。


槌の周囲に雷が走る。


一方。


天羽々斬の手にも光が集まる。


柄。


刀身。


そして――。


一振りの神剣が顕現した。


天羽々斬は静かに握り締める。


『雷神の槌――ミョルニル!!』


『そして、日本神話の神剣――天羽々斬!!』


実況の声が響く。


『両者ともに、第二回戦で大きな変化を遂げました!!』


『果たして、この準々決勝で勝利を掴むのはどちらなのか!!』


ミョルニルが槌を肩へ担ぐ。


「……行くぞ」


天羽々斬が剣を構える。


「ああ」


『両者――構えて!!』


一瞬。


静寂。


『試合――開始!!』


――ドォォォン!!


先に飛び出したのは――。


ミョルニルだった。


「うおおおおおおっ!!」


地面を蹴る。


巨大な身体が一気に距離を詰める。


天羽々斬は動かない。


剣を構える。


「――ッ!!」


ミョルニルの槌が振り下ろされる。


――ズガァァァン!!


天羽々斬が受け止めた。


衝撃が闘技場を駆け抜ける。


地面が砕ける。


「ぐっ……!」


天羽々斬の足が沈む。


「やっぱり――重いな!!」


ミョルニルが押し込む。


「だったら!!」


槌を振り抜く。


――ドゴォン!!


天羽々斬が吹き飛ぶ。


だが。


空中で身体を回転させ――。


着地。


「……なるほど」


天羽々斬が剣を構え直す。


「第二回戦の時より、さらに重い」


ミョルニルが笑う。


「お前もな!」


天羽々斬が踏み込む。


「――ッ!!」


一閃。


ミョルニルが槌で受ける。


――ガキィン!!


火花が散る。


天羽々斬が身体を捻る。


二閃。


三閃。


ミョルニルが槌で弾く。


「速え!!」


「お前もな!」


天羽々斬が斬り込む。


ミョルニルが後退する。


「くっ!」


肩口を浅く斬られる。


血が飛ぶ。


観客席が沸く。


『天羽々斬の斬撃が入った!!』


『しかしミョルニルも止まりません!!』


ミョルニルが傷口を手で拭う。


「……やっぱり、お前の剣は厄介だな」


「ならば――」


天羽々斬が構える。


「斬られなければいい」


「簡単に言うなよ!」


ミョルニルが笑う。


「だったら――」


槌を振り上げる。


「俺も簡単には当てさせねえ!!」


雷が走る。


――バチィッ!!


ミョルニルが槌を振る。


雷撃が地面を走った。


「――ッ!」


天羽々斬が跳ぶ。


その足元を雷が駆け抜ける。


着地。


その瞬間。


ミョルニルが迫っていた。


「もらった!!」


槌が横薙ぎに迫る。


天羽々斬が剣を立てる。


――ガァァン!!


凄まじい衝撃。


天羽々斬の身体が後方へ滑る。


しかし。


剣を地面へ突き立てて踏み止まる。


「……まだだ」


ミョルニルが笑う。


「そうこなくちゃな!!」


再び突撃。


槌。


剣。


雷。


斬撃。


何度もぶつかり合う。


――ガキィン!!


――ズガァン!!


――バチィッ!!


観客席から歓声が巻き起こる。


「すげえ!!」


「どっちも一歩も引かねえ!!」


二人の武器が幾度も交差する。


そして。


ミョルニルが槌を振り下ろした。


天羽々斬が受ける。


――ズガァァン!!


「ぐっ!!」


膝が僅かに落ちる。


ミョルニルが押し込む。


「どうした!!」


「……!」


「これで終わりか!?」


天羽々斬は歯を食いしばる。


そして――。


静かに言った。


「……違う」


ミョルニルの動きが止まる。


「私は――」


天羽々斬が剣を握り直す。


「この力を証明するために、ここまで来た」


剣の刀身が淡く輝く。


「だから――」


天羽々斬が押し返す。


「まだ終われない!!」


――ガァァン!!


ミョルニルの身体が後退した。


「おおっ!?」


天羽々斬が踏み込む。


一閃。


――ザンッ!!


ミョルニルの胸元を斬る。


「ぐっ!!」


さらに。


二閃。


三閃。


ミョルニルが槌で受ける。


だが。


押される。


「くっ……!」


天羽々斬が叫ぶ。


「お前が護るために力を振るうのなら!!」


剣を振り上げる。


「私は――!!」


ミョルニルが槌を構える。


「自らの存在を証明する!!」


――ズガァァン!!


正面衝突。


二人の武器が弾き合う。


ミョルニルが後退する。


天羽々斬もまた後退する。


互いに息を切らす。


「……強いな」


ミョルニルが呟く。


「ああ」


天羽々斬も答える。


「お前もな」


二人が同時に笑った。


だが。


次の瞬間。


ミョルニルが槌を天へ掲げる。


「だったら――」


空が暗くなる。


雲が集まる。


雷鳴が響く。


「最後は――」


巨大な雷が槌へ落ちる。


――ズドォォォン!!


ミョルニルの全身が雷に包まれる。


「俺の全部を叩き込む!!」


天羽々斬も剣を構える。


「ならば――」


刀身が強く輝く。


「私も全てを懸ける!!」


二人が同時に走り出す。


「うおおおおおおおっ!!」


「はああああああっ!!」


ミョルニルが槌を振り下ろす。


天羽々斬が剣を振り上げる。


――――――ズドォォォォォォン!!


雷と神剣。


二つの神話が正面から激突した。


閃光。


轟音。


衝撃。


闘技場全体が揺れる。


観客席から悲鳴と歓声が入り混じる。


「うおおおおおおっ!!」


「どっちだ!?」


光が晴れていく。


二人は――。


まだ立っていた。


ミョルニルの肩から血が流れている。


天羽々斬の鎧にも、大きな亀裂が入っている。


「……まだ」


ミョルニルが槌を握る。


「まだ終わってねえ!!」


天羽々斬も剣を構える。


「私もだ!!」


再び。


二人が踏み込む。


今度は――。


ミョルニルが先だった。


「うおおおおおおおおっ!!」


槌が迫る。


天羽々斬は避けなかった。


「――ッ!!」


剣を横へ構える。


そして。


「受ける!!」


――ズガァァァン!!


槌と剣が激突する。


天羽々斬の足元が砕ける。


しかし。


耐えた。


ミョルニルの目が見開かれる。


「なっ――!?」


その瞬間。


天羽々斬が剣を返す。


「これが――」


一閃。


「神剣だ!!」


――ザンッ!!


ミョルニルの身体が大きく揺らぐ。


「ぐあっ!!」


槌が手から離れる。


ガランッ。


静寂。


ミョルニルが片膝をつく。


「……くっ」


手を伸ばす。


だが。


槌を握り直す力が残っていない。


天羽々斬もまた、ふらつきながら立っている。


ミョルニルは顔を上げた。


そして――。


笑った。


「……やられたな」


天羽々斬は剣を下ろす。


「まだ、立てるか?」


「いや」


ミョルニルは苦笑する。


「今回は無理だ」


『……!!』


実況が息を呑む。


ミョルニルがゆっくりと両手を上げる。


「俺の負けだ」


静寂。


そして――。


『勝負あり!!』


実況の声が響き渡る。


『準々決勝第一試合!!』


観客席が一斉に立ち上がる。


『勝者――!!』


天羽々斬が静かに剣を掲げる。


『天羽々斬!!』


――――おおおおおおおおおおっ!!


凄まじい歓声が闘技場を包み込んだ。


天羽々斬はしばらく剣を見つめる。


そして。


ミョルニルへ向き直った。


「……ありがとう」


ミョルニルが笑う。


「何がだ?」


「お前と戦えたことだ」


「……そうか」


ミョルニルは立ち上がろうとする。


しかし。


「っと……」


ふらつく。


天羽々斬が手を差し出した。


ミョルニルがその手を見る。


「……武器に手を貸してもらうとはな」


「嫌ならいい」


「いや」


ミョルニルがその手を取る。


「ありがたく借りるぜ」


天羽々斬がミョルニルを引き起こす。


二人は並んで闘技場を見つめた。


ミョルニルが呟く。


「お前、証明できたんじゃねえか?」


天羽々斬が目を伏せる。


「……まだだ」


「え?」


天羽々斬は前を見る。


「私は、まだここからだ」


その瞳に、さらなる覚悟が宿っている。


「創られた者として、どこまで行けるのか」


ミョルニルが笑う。


「なら、次も勝てよ」


「ああ」


「俺の分までな」


天羽々斬は静かに頷いた。


「任せろ」


こうして。


準々決勝第一試合。


雷神の槌と、日本神話の神剣。


護るための力を思い出した者と。


創られた者としての誇りを胸に刻んだ者。


二つの神話が激突し――。


最後に立っていたのは。


天羽々斬だった。

お疲れ様でした。

読んで下さり感謝致します。


話数は少ないので更新は一日一話の更新となります。

更新時間:毎日12:00となっております。

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