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第二十五試合 激闘とその先へ

作品は完結させております。

安心してラストまでお楽しみ頂ければ幸いです。


たくさんのブックマーク、評価、コメント。

また誤字・脱字報告も全て受け付けしております。


よろしくお願いします。それではどうぞ!


第二回戦、全八試合。


その全てが終わった。


闘技場を包んでいた歓声は、いまだ完全には静まっていない。


『――第二回戦を勝ち抜いた七振り、そして一人の英雄!!』


実況の声が、興奮を残しながらも穏やかな調子に変わっていく。


『皆様、本当にお疲れ様でした!!』


会場の照明が落とされ、代わりに巨大スクリーンの光だけが闘技場を照らす。


『それでは――準々決勝開始までの間、しばしのクールタイムに入ります』


大きな文字が浮かび上がった。


『激闘の記録――ダイジェスト!!』


映像が流れ始める。


ミョルニルが護るための力を思い出し、アロンダイトが敗れる瞬間。


天羽々斬が「創られた者」としての誇りを語り、方天戟を打ち破る瞬間。


砕けた石剣の中から、隕石のような刀身が現れる瞬間。


十度、十一度、十二度と刺されながらも、デュランダルが立ち上がり続ける瞬間。


パラシュが自らの左腕を犠牲にして、デスサイズの鎌を捕らえる瞬間。


イージスが最硬の盾そのものを武器に変え、折れた刀を見て笑う瞬間。


打出の小槌が「降参」と呟き、頭を抱える瞬間。


そして――。


ヘラクレスの拳が、アポピスを沈める瞬間。


八つの激闘が、次々と早送りで映し出されていく。


観客席からは、思い出したように歓声や拍手、そして時折笑い声が上がった。


――――


控室の一角。


ミョルニルは、包帯だらけの身体を椅子へ深く沈めていた。


「……勝ったはいいけどよ」


天井を見上げる。


「なんか、身体中痛えな」


隣に座っていた天羽々斬が、静かに答えた。


「当然だろう。あれだけの相手だったのだから」


「お前もだろ?」


「……ああ」


天羽々斬は自分の身体に目を落とす。


「方天戟は強かった」


「アロンダイトもな」


ミョルニルは拳を握った。


「あいつのおかげで、俺は思い出せた」


「護るための力、か」


「……ああ」


ミョルニルはしばらく黙り、それから小さく笑った。


「次の相手、誰になるか分かるか?」


「もうすぐ発表されるだろう」


天羽々斬は目を閉じる。


「だが――誰が相手でも、俺は俺の役目を果たすだけだ」


――――


別の一角。


デュランダルは、治療の光に包まれながら、椅子に深くもたれていた。


全身に刻まれた無数の傷。


その一つ一つが、ゆっくりと塞がっていく。


そこへ、パラシュが左腕に包帯を巻いた状態で歩いてきた。


「よう」


「……お前もか」


デュランダルが目を開ける。


「その腕、大丈夫なのか」


「平気だ」


パラシュは笑う。


「あの鎌野郎を捕まえるためだ。安いもんだろ」


「……無茶をする」


「お前もだろ」


パラシュがデュランダルの傷だらけの身体を見る。


「十数回も刺されて、まだ立ってたそうじゃねえか」


「十五回だ。折れないだけだよ」


「それを無茶って言うんだよ」


二人は互いに顔を見合わせ、それから小さく笑い合った。


「――次は、誰が相手になる」


パラシュが呟く。


デュランダルは静かに答えた。


「分からない。だが」


拳を握る。


「どんな相手であろうと、俺は立ち続ける」


――――


一方、控室のモニター前。


メテオスラッシュ――かつての名無しの剣は、一人スクリーンを見つめていた。


映し出されているのは、自らの刀身が砕けた石剣の中から現れる瞬間。


「……」


手のひらをじっと見つめる。


隕石という言葉。


太古の記憶。


まだ何一つ、はっきりとは思い出せない。


そこへ、イージスが静かに歩み寄ってきた。


全身に巻かれた包帯。


それでも、その足取りに迷いはなかった。


「あなたが、名無し……いえ」


イージスが微笑む。


「メテオスラッシュ、だったかしら」


「……ああ」


「不思議な戦いだったと聞いたわ」


「自分でもよく分からない」


メテオスラッシュは手のひらを見つめたまま答える。


「勝った理由も、あの剣が現れた理由も」


イージスは少し考えてから言った。


「分からないまま戦うのは、怖くない?」


「怖い」


即答だった。


「だが――」


拳を握りイージスへと告げた。


「戦うたびに、何かが見える。少しずつ、何かに近づいている気がする」


イージスは静かに頷いた。


「なら、それでいいんじゃないかしら」


「……お前は」


メテオスラッシュが顔を上げる。


「自分が何者か、迷ったことはないのか」


イージスは視線を落とし


「私は、守ると決めている」


自らの腕を軽く撫でる。


「それだけで、十分だと思っているわ」


「……そうか」


メテオスラッシュは、その言葉を静かに噛みしめた。


――――


そのころ、闘技場のスクリーンには、次の対戦カードが映し出されようとしていた。


観客席のざわめきが、徐々に大きくなっていく。


「次はいよいよ準々決勝だろ?」


「残り八振りって、もう頂点が見えてきたな」


「ヘラクレスはどうなるんだ? あいつ、武器ですらないのに……」


「十二の功業、まだ全部見せてないんだろ」


「怖すぎるだろ、それ」


そんな声が飛び交う中。


『――さあ!!』


実況の声が響き渡った。


『第二回戦、全試合終了をもちまして、勝ち残ったのはついに七振りと一人!!』


スクリーンに、勝者たちの名が一斉に映し出される。


ミョルニル。


天羽々斬。


メテオスラッシュ。


デュランダル。


パラシュ。


イージス。


ケラウノス。


そして――ヘラクレス。


『これより、第三回戦――準々決勝の組み合わせを発表いたします!!』


会場が静まり返る。


文字がゆっくりと浮かび上がっていく。


第三回戦


ミョルニル 対 天羽々斬


メテオスラッシュ 対 デュランダル


パラシュ 対 イージス


ケラウノス 対 ヘラクレス


観客席から、地鳴りのような歓声が巻き起こった。


「マジかよ、ミョルニルと天羽々斬が当たるのか!」


「力と力の激突第二ラウンドだな……!」


「メテオスラッシュ、あの不折れの聖剣と戦うのか」


「イージスとパラシュって、盾と斧じゃねえか、これは硬さの勝負だ」


「そしてケラウノス対ヘラクレス……神話最強決定戦みたいなもんだろ」


控室でも、それぞれの武器たちが、モニターに映る自らの相手の名を見つめていた。


ミョルニルは天井を見上げたまま呟いた。


「……天羽々斬、か」


隣で天羽々斬も同じ文字を見ている。


「奇遇だな」


「ああ」


ミョルニルがニヤリと笑う。


「なら、次も本気でいくぞ」


「望むところだ」


――――


メテオスラッシュは、デュランダルの名を見つめていた。


「……不折れの剣」


拳を強く握る。


まだ自分が何者かは分からない。


だが。


「次で、また何かが見える気がする」


そう呟いた声は、誰にも届かなかった。


――――


パラシュとイージスは、控室の廊下ですれ違った。


「……次は、お前か」


パラシュが左腕の包帯を見せる。


「その腕で、私の盾を壊せるかしら」


イージスが不敵に笑う。


「壊すまでもねえ。粉々にしてやるよ」


「言うわね」


二人はそのまま、互いに視線を逸らさず通り過ぎていった。


――――


そして。


ケラウノスとヘラクレス。


二人はまだ顔を合わせていない。


しかし、それぞれの控室で、互いの名をスクリーンに見ていた。


ケラウノスは天を仰ぐ。


「……半神の英雄、か」


拳を握り直す。


「面白い。神々の血を継ぐ者と、神々の雷を継ぐ者。どちらが真に神に近いか、決めようじゃないか」


一方、ヘラクレスは静かに拳を握った。


「雷霆――親父の武器か」


僅かに口元を緩める。


「懐かしい名だ」


その呟きに、深い意味が込められていることに、まだ誰も気付いていなかった。


――――


『――さあ、皆様!!』


実況の声が闘技場全体へ響き渡る。


『クールタイムは、まもなく終了です!!』


会場の照明が、再びゆっくりと灯り始める。


七振りの武器と、一人の英雄。


それぞれが、それぞれの想いを胸に、次なる戦いへの準備を始めていた。


準々決勝。


その幕が、静かに上がろうとしていた。

お疲れ様でした。

読んで下さり感謝致します。


話数は少ないので更新は一日一話の更新となります。

更新時間:毎日12:00となっております。

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