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第二十三試合 運と実力

作品は完結させております。

安心してラストまでお楽しみ頂ければ幸いです。


たくさんのブックマーク、評価、コメント。

また誤字・脱字報告も全て受け付けしております。


よろしくお願いします。それではどうぞ!


第二回戦も、いよいよ終盤へ差し掛かっていた。


ここまで勝ち上がった武器たちは、いずれも第一回戦を突破した強者ばかり。


その中でも今回の対戦は――


「運」と「実力」。


まったく異なる二つの力がぶつかる一戦だった。


『さあ! 続いて第二回戦、第八試合です!!』


実況の声が闘技場へ響き渡る。


『登場するのは――第一回戦、予測不能の武器を次々と生み出し、勝利を掴んだ――打出の小槌!!』


入場口から、恰幅のいい大柄な男が姿を現した。


朗らかな表情。


どこか福の神を思わせる雰囲気。


『そして対するは――第一回戦、圧倒的な雷撃によってヴァジュラを撃破した――ケラウノス!!』


反対側の入場口から、白銀の髪を持つ大柄な男が姿を現す。


鋭い眼差しで、静かに打出の小槌を見据えている。


『予測不能!!』


『何が飛び出すか、本人すら分からない打出の小槌!!』


『対するは――雷霆そのものを刃とする、神話の雷撃!!』


『実力で制するのか!?』


『それとも、最後まで何が起こるか分からない運が勝つのか!!』


二人が闘技場中央へ歩み寄る。


ケラウノスが打出の小槌を見る。


「……お前の戦い方は、少々厄介そうだな」


打出の小槌が笑う。


「そうか?」


肩をすくめる。


「俺も何が出るか分からねえんだけどな」


「ならば――」


ケラウノスが目を細める。


「実力で終わらせる」


『それでは――』


二人の前に、それぞれ宝珠が浮かび上がった。


打出の小槌が宝珠へ手を伸ばす。


ケラウノスも同時に手を伸ばす。


二つの宝珠が眩い光を放つ。


『武器――顕現!!』


光が弾けた。


打出の小槌の手に現れたのは――


小さな槌。


そしてケラウノスの手には――


青白い雷を纏った短剣。


『両者、武器を得ました!!』


ケラウノスが短剣を構える。


「始めよう」


打出の小槌も小槌を構える。


『それでは――』


一瞬の静寂。


『試合――開始!!』


その瞬間だった。


――バチィィッ!!


ケラウノスの短剣から、青白い雷撃が放たれた。


「うおっ!?」


打出の小槌が横へ飛び退く。


――ズドォン!!


先ほどまで立っていた場所へ雷が落ちる。


「危ねぇ!!」


ケラウノスは間髪入れず、次の雷撃を放つ。


――バチィッ!!


「うわっ!」


また避ける。


――ズドォン!!


さらに雷。


「くっ……!」


打出の小槌は必死に走り回る。


ケラウノスは距離を保ったまま、次々と雷を放っていく。


「逃げているだけでは、何も変わらんぞ」


「分かってるっての!」


打出の小槌は走りながら、小槌を振る。


「だったら――これだ!」


――ポンッ!


小槌から飛び出したのは――


細長い金属製の棒。


「……?」


打出の小槌が首を傾げる。


「なんだこれ?」


しかし、直後に落ちた雷がその棒へ吸い寄せられた。


――バチィィィッ!!


「おおっ!?」


打出の小槌が目を輝かせる。


「避雷針みてぇじゃねえか!」


金属棒をケラウノスへ投げつける。


「ほらよ!」


ケラウノスは横へ避ける。


「そんなもので俺の雷を――」


雷撃が金属棒へ落ちる。


――バチィィィン!!


「……!」


ケラウノスが目を細める。


「なるほど」


打出の小槌はニヤリと笑った。


「使えそうだろ?」


しかし――


「だが」


ケラウノスが短剣を掲げる。


「それでは決着がつかん」


空から雷が降り注ぐ。


――ズドン!!


――ズドォン!!


――ズガァン!!


打出の小槌は必死に逃げ続ける。


「うおおおおおっ!!」


また小槌を振る。


――ポンッ!


今度は金属板。


「これも使えるか!?」


投げる。


――バチィィッ!!


雷が逸れる。


「よし!」


しかし、ケラウノスは止まらない。


「埒が明かんな」


短剣を構える。


「ならば――こちらから行く」


雷が周囲へ降り注ぐ。


その雷を利用するように、ケラウノスは少しずつ距離を詰めていく。


「……!」


打出の小槌は、それに気付かない。


「これだ!」


――ポンッ!


「今度は何だ!?」


小槌を振る。


――ポンッ!


さらに振る。


――ポンッ!


次々と何かが飛び出す。


「これなら!」


「まだだ!」


打出の小槌は目を瞑りながら、小槌を振ることに夢中になっている。


その背後にケラウノスが迫っていた。


「……気付いていないのか」


すでに数歩先。


ケラウノスが短剣を構える。


「やれやれ」


短剣へ雷が集中する。


「早々に終わらせるとしよう」


打出の小槌は、まだ小槌を振っている。


「次は――」


ケラウノスが踏み込んだ。


「――これで終わりだ!!」


短剣を大きく振りかぶる。


「――ッ!」


その瞬間。


――ポンッ!!


小槌から、何かが飛び出した。


ケラウノスの身体へ無数の針が突き刺さる。


「ぐわっ!!」


「……え?」


すぐそばから聞こえた声に、打出の小槌の動きが止まった。


ゆっくりと目を開く。


目の前に立っていたのは――


全身に無数の針を突き刺され、血を流すケラウノスだった。


「……」


「……」


「…………」


打出の小槌の顔が引きつる。


「あ……」


腰が抜ける。


「え、えええええ!?」


その場へへたり込む。


「ちょ、ちょっと待て!?」


ケラウノスは自分の身体を見る。


「……これは……」


致命傷。


だが。


「まだ……終わってはいない」


ケラウノスは短剣を握り直す。


しかし、明らかに動きが鈍い。


雷も先ほどまでの勢いがない。


一方の打出の小槌も――


「……何出しゃいいんだ?」


小槌を振る。


――ポンッ!


出てきたのは、小さな木箱。


「……」


もう一度。


――ポンッ!


今度は布。


「……」


さらに。


――ポンッ!


小さな石。


「役に立たねぇ!!」


観客席から笑い声が起こる。


ケラウノスも息を荒げながら、打出の小槌を見る。


「……お前も……苦戦しているようだな」


「うるせぇ!」


打出の小槌は小槌を振り続ける。


「もっとマシなの出ろ!」


――ポンッ!


今度は――


大量の縄だった。


「……縄?」


打出の小槌が首を傾げる。


すると。


「うおっ!?」


縄の一端がケラウノスの足へ絡みついた。


「なっ!?」


ケラウノスがバランスを崩す。


「ぐっ……!」


倒れかける。


打出の小槌の目が輝いた。


「……今だ!!」


立ち上がる。


「これならいける!!」


小槌を握り締め、ケラウノスへ向かって走る。


「これで――最後だ!!」


大きく振りかぶる。


「うおおおおおおっ!!」


――ゴンッ!!


小槌がケラウノスへ直撃した。


しかし――


「……」


「……」


小槌が――


ポキッ。


「…………」


打出の小槌の顔が固まる。


「…………あ」


ケラウノスも状況が理解できない。


「何を……している?」


打出の小槌は折れた小槌を見る。


「あああああああああああ!!」


頭を抱える。


「忘れてたぁぁぁぁぁ!!」


「……?」


「これ武器を出すための小槌じゃねぇか!!」


「……」


ケラウノスは眉をひそめる。


「ならば、なぜ殴った?」


「勢いで!!」


闘技場が静まり返る。


そして――


打出の小槌は、折れた小槌を見つめる。


「……」


しばらく沈黙した後。


「……降参」


ぽつりと呟いた。


実況が一瞬、言葉を失う。


『……え?』


打出の小槌が手を上げる。


「俺の負けだ」


『しょ……勝負あり!!』


会場からどよめきが起こる。


『第二回戦、第八試合――!!』


ケラウノスが呆然としたまま立っている。


『勝者――ケラウノス!!』


瞬間。


会場中から大歓声が巻き起こった。


ケラウノスは自分の身体に刺さった針を見下ろす。


「……勝った、のか?」


打出の小槌は折れた小槌を見ながら呟いた。


「……運は良かったんだけどなぁ」


ケラウノスが苦笑する。


「それでも――」


短剣を構える。


「最後に立っていたのは、俺だ」


闘技場へ歓声が響き渡る。


運と実力。


最後に勝負を制したのは――


雷霆ケラウノスだった。

お疲れ様でした。

読んで下さり感謝致します。


話数は少ないので更新は一日一話の更新となります。

更新時間:毎日12:00となっております。

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