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第二十一試合 力の戦斧と影に迫る鎌

作品は完結させております。

安心してラストまでお楽しみ頂ければ幸いです。


たくさんのブックマーク、評価、コメント。

また誤字・脱字報告も全て受け付けしております。


よろしくお願いします。それではどうぞ!


第二回戦も、五試合目へと突入していた。


ここまで勝ち上がった武器たちは、いずれも第一回戦を突破した強者ばかり。


その中でも――


今回の対戦は、極端な相性を持つ二振りだった。


『さあ! 続いて第二回戦、第五試合です!!』


実況の声が闘技場へ響き渡る。


『登場するのは、第一回戦で圧倒的な破壊力を見せつけた――パラシュ!!』


入場口から、大男が姿を現した。


ただ、その巨体だけで観客を圧倒する。


『対するは――第一回戦、驚異の戦法で神弓ガーンディーヴァを撃破した――デスサイズ!!』


反対側の入場口。


黒い影を纏った人物が姿を現す。


ただ静かに、舞台中央へ向かって歩いてくる。


『正面からすべてを叩き潰す力の戦斧!!』


『そして――相手の死角から忍び寄り、気付かぬうちに命を刈り取る死神の鎌!!』


『果たして勝つのはどちらか!!』


二人が中央へ歩み寄る。


パラシュがデスサイズを見る。


「……不気味な奴だな」


デスサイズは答えない。


ただ、静かにパラシュを見つめている。


「俺は小細工は嫌いだ」


パラシュが笑う。


「正面から来い」


デスサイズの姿が、わずかに揺らいだ。


「……正面?」


次の瞬間。


その姿が消えた。


「――!」


パラシュが目を見開く。


『それでは、両者――武器を顕現!』


二人が同時に宝珠へ手を伸ばす。


『戦闘武器――顕現!!』


光が弾けた。


パラシュの手に現れたのは、巨大な戦斧。


分厚い刃。


重厚な柄。


その存在だけで、凄まじい破壊力を感じさせる。


対するデスサイズの手には――


巨大な黒い鎌。


湾曲した刃が、まるで月のように弧を描いている。


デスサイズは静かに鎌を構えた。


『両者、構えて――』


パラシュが斧を握り直す。


『試合――開始!!』


鐘が鳴った。


その瞬間だった。


「――ッ!」


パラシュが振り返る。


しかし――


何もいない。


「……どこだ?」


次の瞬間。


――ザンッ!!


「ぐっ!」


背中を斬られた。


パラシュが振り返る。


そこには誰もいない。


「……!」


「ここだ」


声が聞こえた。


右。


振り向く。


いない。


左。


いない。


そして――


――ザシュッ!!


今度は脇腹。


「ぐおっ!」


パラシュが斧を振り回す。


――ブォン!!


空を切る。


デスサイズはすでにそこにはいない。


「チッ……!」


パラシュが構える。


「どこにいやがる!」


返事はない。


ただ――


影が動いた。


「……!」


パラシュが斧を振る。


――ドゴォン!!


地面が砕ける。


だが、そこにもいない。


「外した!?」


次の瞬間。


――ザンッ!!


肩。


「ぐっ!」


さらに背中。


「くそっ!」


太腿。


「ぐあっ!」


デスサイズは姿を見せない。


斧を振る。


右。


左。


背後。


前。


すべて空振り。


その間にも。


――ザンッ!


――ザシュッ!


――ザンッ!


パラシュの身体が鎌によって刻まれていく。


『凄まじい!!』


実況が叫ぶ。


『デスサイズ選手、一切姿を晒すことなくパラシュ選手へ攻撃を加え続けています!!』


観客席からどよめきが起こる。


パラシュは斧を構え直す。


「……なるほどな」


息を整える。


「そういう戦い方か」


影が揺れる。


「だったら――」


パラシュが斧を大きく振り回した。


――ブォォォン!!


「まとめて叩き潰してやる!!」


斧が地面を薙ぐ。


――ドォン!!


土煙が舞い上がる。


だが――


その向こうから。


――ザンッ!!


「ぐあっ!」


胸元を斬られた。


「な……!」


パラシュが膝をつく。


「またか……!」


デスサイズは姿を見せない。


パラシュは必死に斧を振り回す。


ブン!


ブンッ!


斧が空を斬る音だけが虚しく響く。


その間にもデスサイズの攻撃は続く。


――ザンッ!


――ザシュッ!


――ザンッ!


パラシュの身体に傷が増えていく。


「ぐっ……!」


「くそ……!」


パラシュは歯を食いしばる。


「一度も……捕まえられねぇ……!」


デスサイズの姿が影の中を滑る。


「お前の斧は強い」


声だけが響く。


「だが――」


背後。


「届かなければ意味がない」


――ザンッ!!


背中を斬られる。


「ぐあっ!!」


パラシュの巨体が揺らぐ。


観客席から悲鳴が上がる。


『パラシュ選手、完全に翻弄されています!!』


『巨大な戦斧を振り回すものの、デスサイズ選手を捉えることができません!!』


パラシュは息を荒げる。


身体中が傷だらけだった。


それでも――


斧を握る手は離さない。


「……へへ」


パラシュが笑った。


「面白ぇじゃねぇか」


デスサイズが止まる。


「何がだ」


「これだけやられて……」


パラシュが斧を構える。


「まだ俺は立ってる」


「……」


「なら――」


斧を振り上げる。


「まだ勝負は終わってねぇ!!」


――ドォォォン!!


渾身の一撃。


しかし――


空を切る。


「……!」


その瞬間。


パラシュの背後。


「ならば……刈り取るのみ」


デスサイズが現れた。


巨大な鎌を振り上げる。


「――ッ!」


パラシュは振り返らない。


見えていない。


だが――


声だけは聞こえた。


鎌が迫る。


その瞬間。


パラシュが呟いた。


「……しゃーねぇ」


デスサイズの刃が迫る。


「ちっと痛ぇが――」


パラシュが左腕を突き出す。


「我慢するか」


――ザンッ!!


鎌がパラシュの左腕へ食い込んだ。


「ぐあああああっ!!」


血が噴き出す。


観客席から悲鳴が上がる。


『パラシュ選手、自ら左腕で受け止めた!!』


デスサイズが目を細める。


「フッ……馬鹿な奴め」


鎌を引き抜こうとする。


だが――


動かない。


「……?」


もう一度引く。


「な……なぜだ」


パラシュが顔を上げる。


苦痛に歪んだ顔。


それでも――


笑っていた。


「ハハッ……やっと捕まえたぜ!」


「何……?」


パラシュが左腕へ力を込める。


筋肉が盛り上がる。


傷口から血が流れ続ける。


それでも――


鎌の刃を、肉が締め付けていく。


「なっ……!」


デスサイズが鎌を引く。


しかし、抜けない。


さらに力を込める。


「離せ……!」


「無理だな」


パラシュが笑う。


「絶対に――」


右手の斧を握り直す。


「絶対に離さねえよっ!!」


デスサイズの目が見開かれる。


「――ッ!!」


パラシュが右腕を振り上げる。


全身の力を乗せる。


肩。


背中。


腰。


脚。


すべての力が、斧へ集まる。


「これで――」


斧が振り下ろされる。


「終わりだぁぁぁぁぁ!!」


――――ドゴォォォォォン!!


凄まじい轟音。


戦斧がデスサイズを正面から捉えた。


黒い影が吹き飛ぶ。


地面を何度も転がる。


そして――


動かなくなった。


パラシュはその場に立っていた。


左腕には深い傷。


全身は血まみれ。


それでも。


右手には、巨大な戦斧が握られている。


静まり返った闘技場。


実況が息を呑む。


やがて――


『……勝負あり!!』


会場へ声が響き渡る。


『第二回戦、第五試合――!!』


一拍。


『勝者――パラシュ!!』


瞬間。


会場中から大歓声が爆発した。


パラシュは斧を肩へ担ぐ。


そして、傷だらけの左腕を見る。


「……いてぇな」


苦笑する。


それから倒れたデスサイズへ視線を向けた。


「だが――」


笑う。


「お前を捕まえるには、これしかなかったみてぇだな」


パラシュはそのまま、闘技場を後にした。


その背中には――


力で影を捕らえた男の、確かな勝利が刻まれていた。

お疲れ様でした。

読んで下さり感謝致します。


話数は少ないので更新は一日一話の更新となります。

更新時間:毎日12:00となっております。

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