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第十八試合 鬼神と神剣

作品は完結させております。

安心してラストまでお楽しみ頂ければ幸いです。


たくさんのブックマーク、評価、コメント。

また誤字・脱字報告も全て受け付けしております。


よろしくお願いします。それではどうぞ!


第二回戦、第一試合。


雷神の槌――ミョルニルが、王を守る剣――アロンダイトを破った。


その激戦の余韻が残る中。


闘技場には、再び二つの入場口が開かれた。


『さあ!!』


実況の声が響き渡る。


『続いて第二回戦、第二試合です!!』


観客席から歓声が上がる。


『ここで激突するのは――!!』


巨大スクリーンに、二つの武器の名が映し出された。


『中華の鬼神――方天戟!!』


そして。


『対するは、日本神話の神剣――天羽々斬!!』


歓声が一段と大きくなる。


左右の入場口。


そこから二人の人影が姿を現した。


一人は――。


長い髪。


赤を基調とした戦装束。


鋭い眼光。


その身体からは、戦場を駆け抜けてきた猛将のような威圧感が漂っている。


方天戟。


第一回戦で蜻蛉切を破った男だった。


その口元には、不敵な笑みが浮かんでいる。


そしてもう一人。


長い黒髪。


荒々しい赤い衣装。


鋭い眼差し。


静かに歩くその姿には、どこか神秘的な雰囲気が漂っていた。


天羽々斬。


日本神話において、八岐大蛇を斬ったとされる神剣。


二人は中央で向かい合う。


方天戟が天羽々斬を見て、口元を吊り上げた。


「……また日本の武器か」


天羽々斬の眉が僅かに動く。


「何だと?」


「前の試合でも日本の槍を叩き伏せたばかりだ」


方天戟は肩を回す。


「まさか、また日本の武器が相手になるとはな」


その言葉には、明らかな余裕があった。


天羽々斬は方天戟を見つめる。


「蜻蛉切のことか」


「そうだ」


方天戟は笑う。


「あの槍も悪くなかった」


「……そうか」


天羽々斬は一度だけ目を伏せる。


「強かっただろう」


「確かにな」


方天戟は認める。


「だが、最後に立っていたのは俺だ」


「そうだな」


天羽々斬が顔を上げる。


「だが――」


その目が鋭くなる。


「お前は、あいつを少し勘違いしている」


「何?」


「蜻蛉切は強かった」


天羽々斬は静かに言う。


「だが、あいつは――作られた者だ」


方天戟の眉が動く。


「……何を言っている?」


「お前も同じだ」


「俺と、あの槍が?」


「ああ」


天羽々斬は一歩、前へ出る。


「人の手によって作られた武器」


「……」


「それがお前たちだ」


方天戟の表情から笑みが消える。


「ならば何だ」


「俺は違う」


天羽々斬が自分の胸へ手を当てる。


「俺は――創られた者だ」


その言葉に、方天戟が目を細める。


「作られたのと、創られたのに違いがあるのか?」


「ああ」


天羽々斬は即答した。


「大きな違いがある」


そして――。


「俺は神の力によって創造された」


観客席がざわめいた。


『おお……!!』


実況も声を上げる。


『天羽々斬、自らの出生について語りました!!』


天羽々斬は続ける。


「俺は、人の技術によって生まれた武器じゃない」


「神の力によって生まれた神剣だ」


方天戟が鼻で笑う。


「だから何だ」


天羽々斬を見る。


「神に創られたから強いとでも言いたいのか?」


「違う」


天羽々斬は剣を持たないまま答える。


「神に創られたからこそ――俺には、果たすべき役目がある」


その言葉に。


方天戟は笑った。


「役目?」


「ああ」


「くだらん」


方天戟が拳を握る。


「武器が戦う理由など一つだ」


「勝つことだ!!」


天羽々斬は静かに見つめる。


「……そうか」


「ならば教えてやる」


方天戟が笑う。


「神だろうが、人だろうが関係ない」


「最後に立っている者が強者だ!!」


その瞬間。


実況の声が響く。


『両者、宝珠へ!!』


二人がそれぞれ宝珠へ手を伸ばす。


光が弾ける。


方天戟の手へ、巨大な戟が顕現する。


長大な柄。


三日月のように張り出した刃。


圧倒的な重量感。


方天戟がそれを握る。


「……これだ」


戟を振る。


――ブォン!!


風が唸る。


一方。


天羽々斬の手にも光が集まっていく。


柄が生まれる。


刀身が形成される。


そして――。


一振りの神剣が姿を現した。


天羽々斬はそれを静かに握る。


刀身を見つめる。


「……久しぶりだな」


剣が淡く輝く。


天羽々斬が構える。


『さあ!!』


実況が叫ぶ。


『第二回戦、第二試合!!』


観客席が静まり返る。


『中華の鬼神、方天戟!!』


方天戟が戟を構える。


『日本神話の神剣、天羽々斬!!』


天羽々斬が剣を構える。


『試合――開始!!』


――ドォォン!!


開始と同時。


方天戟が飛び出した。


「うおおおおおっ!!」


凄まじい踏み込み。


一瞬で距離を詰める。


「まずは――!」


巨大な戟が振り下ろされる。


「力で叩き折る!!」


天羽々斬が剣を横に構えた。


――ガァァン!!


衝撃。


天羽々斬の足が地面を滑る。


「ぐっ……!」


方天戟が笑う。


「どうした!」


さらに押し込む。


「神剣とやらも、この程度か!!」


天羽々斬は歯を食いしばる。


「……重いな」


「そうだ!」


方天戟がさらに力を込める。


「これが俺の武だ!!」


天羽々斬が身体を捻る。


戟を受け流す。


「――ッ!」


方天戟の身体が前へ流れる。


その瞬間。


天羽々斬が斬り込んだ。


――ザンッ!!


方天戟の胸元を浅く斬る。


「ぐっ!」


血が飛ぶ。


方天戟が後退する。


「……なるほど」


傷口を手で撫でる。


そして笑った。


「速いな」


「お前が力任せだからだ」


「言うじゃねえか」


方天戟が再び構える。


「なら、もっと速くしてやる!!」


踏み込む。


戟が横薙ぎに迫る。


天羽々斬が受ける。


――ガキィン!!


弾く。


方天戟が回転。


そのまま反対側から振り抜く。


「――ッ!」


天羽々斬が身体を反らす。


刃が髪を切り裂く。


そのまま一歩踏み込む。


斬撃。


方天戟が柄で受ける。


――ギィン!!


二人が離れる。


「……!」


天羽々斬の目が鋭くなる。


方天戟の動きは、明らかに第一回戦より速い。


「お前……」


「気付いたか?」


方天戟が笑う。


「蜻蛉切との戦いで、俺はまだ本気を出していなかった」


「……」


「ここからが本番だ!!」


方天戟が吠える。


巨大な戟が連続して振るわれる。


一撃。


二撃。


三撃。


天羽々斬は受ける。


避ける。


流す。


しかし――。


「ぐっ!」


肩を掠める。


さらに。


「――ッ!」


脇腹を浅く斬られる。


方天戟が笑う。


「どうした!」


「神剣だろう!?」


天羽々斬は後退する。


呼吸を整える。


そして――。


「……なるほど」


剣を握り直す。


「お前は強い」


「当然だ!」


「蜻蛉切を倒しただけのことはある」


方天戟が笑う。


「ようやく分かったか!」


天羽々斬は静かに目を閉じる。


そして。


「だが――」


目を開く。


「俺は八岐大蛇を斬った」


方天戟の笑みが止まる。


「……」


天羽々斬が剣を構える。


「八つの首」


一歩。


「八つの命」


さらに一歩。


「それを全て斬り落とした」


刀身が淡く輝く。


「お前程度の力で――」


天羽々斬が踏み込む。


「俺を折れると思うな!!」


――ズガァァン!!


剣と戟が激突する。


今度は天羽々斬が押し込む。


「なっ……!?」


方天戟が後退する。


「ぐっ!」


さらに一撃。


――ガァン!!


戟が弾かれる。


「くっ……!」


天羽々斬が斬り込む。


方天戟が受ける。


だが。


重い。


速い。


そして――。


一撃一撃に、明確な殺意がある。


「ぐあっ!」


方天戟の肩が斬れる。


「まだだ!!」


方天戟が吠える。


戟を振り上げる。


「俺は――」


全身の力を込める。


「鬼神だ!!」


振り下ろす。


「――うおおおおおおおおおっ!!」


天羽々斬は真正面から受ける。


――――ガァァァァン!!


凄まじい衝撃。


地面が砕ける。


両者の武器が震える。


「ぬおおおおおおっ!!」


「――ッ!!」


方天戟が押す。


天羽々斬が耐える。


「俺は負けん!!」


「……」


天羽々斬は方天戟を見る。


そして静かに言った。


「お前は――」


「何だ!」


「強い」


方天戟の目が見開かれる。


「だが」


天羽々斬が力を込める。


「強さだけでは、神剣は折れない」


――バキィン!!


方天戟の戟が大きく弾かれた。


「なっ!?」


天羽々斬が踏み込む。


「終わりだ」


「――ッ!!」


一閃。


――ザンッ!!


方天戟の胸元が大きく裂ける。


身体が後方へ吹き飛ぶ。


「ぐああああっ!!」


ドォン!!


地面へ叩きつけられる。


戟が手から離れる。


カラン――。


静寂。


方天戟は起き上がろうとする。


「……まだ……だ……」


拳を地面につく。


「俺は……」


身体を起こそうとする。


「最強……だ……」


しかし。


力が入らない。


そのまま片膝をつく。


天羽々斬は剣を下ろす。


「……お前は強かった」


方天戟が顔を上げる。


「だが――」


天羽々斬は静かに続ける。


「お前が俺を見下したように、俺もまた、お前をただの人の武器だと思っていた」


方天戟は黙って聞いている。


「だが違った」


「……何?」


「お前もまた、お前自身の力でここまで来た」


天羽々斬が剣を収めるように下ろす。


「だからこそ――」


「この勝利は、俺のものだ」


方天戟はしばらく天羽々斬を見つめた。


やがて。


「……はっ」


小さく笑う。


「負けたか」


そして仰向けに倒れる。


『――戦闘続行不能!!』


実況の声が響き渡った。


『勝負あり!!』


観客席が一斉に沸騰する。


『第二回戦、第二試合!!』


『勝者は――!!』


天羽々斬が剣を掲げる。


その刀身が、まるで神の光を受けたかのように輝いた。


『天羽々斬!!』


大歓声。


天羽々斬は静かに剣を見つめる。


そして。


「……俺は、創られた」


ゆっくりと空を見上げる。


「神の力によって」


剣を握り直す。


「だからこそ――」


鋭い眼差しを前へ向ける。


「この力を、証明する」


その背後。


スクリーンに、次の対戦カードが表示される。


第二回戦


ゲイ・ボルグ



デュランダル


天羽々斬はその文字を見上げる。


「……次は、あいつらか」


一方。


控室へ戻る方天戟も、スクリーンを見つめていた。


そこには、自らの敗北が記録されている。


方天戟は拳を握る。


「……日本の武器に、か」


悔しそうに笑う。


「二度も同じことは起こらねえ」


だが、その言葉には――。


第一回戦の頃にはなかった、確かな敬意が混じっていた。


こうして。


第二回戦、第二試合。


中華の鬼神と、日本神話の神剣。


力を誇った方天戟を打ち破り――。


次なる舞台へ進んだのは。


天羽々斬だった。

お疲れ様でした。

読んで下さり感謝致します。


話数は少ないので更新は一日一話の更新となります。

更新時間:毎日12:00となっております。

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