↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
17/33

第十七試合 守る者と護る者

作品は完結させております。

安心してラストまでお楽しみ頂ければ幸いです。


たくさんのブックマーク、評価、コメント。

また誤字・脱字報告も全て受け付けしております。


よろしくお願いします。それではどうぞ!


第二回戦。


その幕が上がった。


第一回戦から続く熱気は、未だ闘技場を満たしている。


クールタイムを終えた観客たちも、再び席へ戻り、これから始まる戦いを待ち構えていた。


『さああああ!!』


実況の声が響き渡る。


『皆様、お待たせいたしました!!』


巨大な闘技場全体が歓声に包まれる。


『これより――第二回戦を開始します!!』


大歓声。


スクリーンへ、最初の対戦カードが表示される。


『第二回戦、第一試合!!』


そして。


二つの名前が映し出された。


『アロンダイト!!』


『対するは――ミョルニル!!』


観客席からひときわ大きな歓声が上がる。


第一回戦を勝ち抜いた十五振り。


その中でも、特に印象的な勝利を収めた二振りだった。


『守る者と、力で勝ち上がった者!!』


実況が叫ぶ。


『果たして第二回戦、その勝者となるのはどちらなのか!!』


左右の入場口が開く。


まず、左側から一人の男が姿を現した。


青いマント。


その下には、白銀の鎧。


静かな眼差し。


一歩。


また一歩。


足音を響かせながら、アロンダイトは闘技場中央へ向かって歩いていく。


その表情に、余計な感情はない。


ただ静かに。


これから始まる戦いを見据えている。


『まずは――アロンダイト!!』


歓声が上がる。


『白銀の鎧を纏い、青きマントを翻す守護の騎士!!』


アロンダイトは中央で足を止めた。


そして。


静かに前方を見つめる。


反対側。


右側の入場口が開く。


そこから現れたのは――。


大男だった。


赤い髪。


鍛え上げられた肉体。


全身には、これまで幾度となく戦場を駆け抜けてきたことを物語る無数の傷跡が刻まれている。


そして、その肩には黒い外套。


大きな身体を揺らしながら、ゆっくりと歩いてくる。


『対するは――ミョルニル!!』


観客席が大きく沸く。


ミョルニルは中央へ歩み寄る。


そして、アロンダイトと向かい合った。


「……」


ミョルニルは何も言わない。


アロンダイトもまた、黙っている。


二人の間に、静かな緊張が生まれる。


『両者、第一回戦ではそれぞれ異なる戦い方で勝利を掴みました!!』


実況が続ける。


『アロンダイトは、最後まで守り抜くことで勝利を掴んだ!!』


『そしてミョルニルは――圧倒的な力で相手を打ち倒した!!』


観客席から歓声が上がる。


『果たして、この二人が激突した時――!!』


実況の声が熱を帯びる。


『力が勝つのか!!』


『それとも――守る意志が勝つのか!!』


アロンダイトが前を見る。


ミョルニルも拳を握る。


『それでは――!!』


実況の声が闘技場全体へ響き渡る。


『両者、武器を顕現!!』


二人の前に、それぞれ一つの宝珠が浮かび上がった。


アロンダイトが宝珠へ手を伸ばす。


ミョルニルも同時に手を伸ばす。


二つの宝珠が眩い光を放つ。


光が収束する。


アロンダイトの手に――一振りの剣が現れた。


白銀の刀身。


その存在だけで、静かな威厳を放っている。


ミョルニルの手には――巨大な槌が現れた。


圧倒的な重量感。


握られた瞬間、その周囲の空気が震える。


『出ました!!』


実況が叫ぶ。


『聖なる剣――アロンダイト!!』


『そして――雷神の槌、ミョルニル!!』


ミョルニルが槌を肩へ担ぐ。


「……行くぞ」


アロンダイトは剣を構えた。


「望むところだ」


『両者、構えて――!!』


一瞬。


静寂。


『試合――開始!!』


――ドォン!!


開始と同時。


ミョルニルが地面を蹴った。


速い。


巨体からは想像できないほどの速度。


「おおおおおおっ!!」


ミョルニルが槌を振り上げる。


アロンダイトは動かない。


ただ。


剣を構える。


「――ッ!!」


ミョルニルの槌が振り下ろされた。


――ズガァァン!!


アロンダイトが受け止める。


地面が砕ける。


衝撃が闘技場を走り抜けた。


アロンダイトの足が僅かに沈む。


「……重いな」


ミョルニルが笑う。


「だろ?」


槌を押し込む。


「俺は――力なら誰にも負けねえ!!」


アロンダイトの身体が後退する。


一歩。


二歩。


そして――。


ミョルニルが槌を振り抜いた。


――ドゴォン!!


アロンダイトの身体が吹き飛ぶ。


地面を滑る。


観客席から歓声が上がる。


『ミョルニル!!』


『やはり凄まじい力です!!』


アロンダイトはゆっくり立ち上がった。


白銀の鎧には傷が入っている。


それでも。


その眼差しは変わらない。


「……なるほど」


剣を構え直す。


「ならば、こちらも真正面から受けるまでだ」


「そうこなくちゃな!!」


ミョルニルが笑う。


再び突撃。


槌が振られる。


アロンダイトが剣で受ける。


――ガァン!!


横薙ぎ。


――ギィン!!


斬撃。


ミョルニルが槌で弾き飛ばす。


――ドン!!


一撃。


二撃。


三撃。


激しい攻防が続く。


アロンダイトは剣で受け。


避け。


斬り返す。


しかし。


ミョルニルの力は圧倒的だった。


剣と槌がぶつかるたび。


アロンダイトの身体が押し戻される。


「くっ……!」


ミョルニルが叫ぶ。


「どうした!!」


槌を振り下ろす。


「守るんじゃなかったのか!!」


――ズガァン!!


アロンダイトが吹き飛ばされる。


膝をつく。


ミョルニルが迫る。


「終わりだ!!」


槌が振り上げられる。


その瞬間。


アロンダイトが立ち上がった。


「――まだだ」


剣を構える。


「私には――護るものがある」


ミョルニルの動きが止まった。


「……護るもの?」


アロンダイトは静かに頷く。


「王を」


「……」


「民を」


ミョルニルの表情から、笑みが消える。


「そして――」


アロンダイトが剣を握り締める。


「その者たちが生きる場所を」


ミョルニルは槌を握ったまま、動かなかった。


「……護る、か」


その言葉。


どこか遠い記憶を刺激する。


赤い髪。


黒い外套。


巨大な槌。


そして――。


無数の戦場。


雷鳴。


アースガルズ。


神々の姿。


自分を信じてくれた者たち。


その姿が、ミョルニルの頭の中を駆け抜けていく。


「……俺は」


拳が震える。


「何のために……」


第一回戦。


ただ力を振るった。


相手より強ければいい。


槌が重ければいい。


敵を倒せばいい。


そう思っていた。


だが。


「違う……」


ミョルニルが呟く。


アロンダイトが見つめる。


「俺は……」


ミョルニルが槌を見る。


「力を見せるために戦ってたんじゃねえ」


その目に、初めて明確な光が宿った。


「護るためだった」


ミョルニルの周囲で、雷が弾ける。


「アースガルズを」


――バチィッ!!


「神々を」


――ズドン!!


「そして――俺を信じてくれた民を!!」


巨大な雷が闘技場を照らす。


アロンダイトは静かに剣を下ろした。


「……思い出したか」


ミョルニルが笑った。


「……ああ」


槌を強く握る。


「お前のおかげだ」


そして。


ミョルニルが構える。


「だったら――俺はもう一度、護るために振るう!!」


雷鳴が轟いた。


『おおおおおおおおっ!!』


観客席から大歓声が巻き起こる。


ミョルニルが走る。


アロンダイトも走る。


二人の武器が激突する。


――――ズドォォォォン!!


雷と斬撃がぶつかり合う。


アロンダイトは一歩も退かない。


「ならば――」


剣を振り上げる。


「その意志、私が受け止めよう!!」


――キィィィン!!


ミョルニルが槌を振り抜く。


「うおおおおおおっ!!」


――ズガァァァン!!


二人の力が正面から激突する。


アロンダイトの剣が押される。


白銀の鎧に亀裂が走る。


「ぐっ……!」


それでも。


アロンダイトは倒れない。


ミョルニルも押し切る。


「これで――!!」


雷が槌へ集中する。


「終わりだ!!」


巨大な雷撃を纏ったミョルニルの槌が振り下ろされる。


アロンダイトは最後の力を振り絞る。


「――護る者の剣を……!!」


剣を振り上げる。


「受けてみろ!!」


――――――ズドォォォォォン!!


轟音。


閃光。


衝撃。


闘技場全体が揺れる。


そして。


静寂。


二人の姿が止まった。


アロンダイトの剣は、ミョルニルの肩口で止まっている。


一方。


ミョルニルの槌は――。


アロンダイトの胸元を捉えていた。


「……」


アロンダイトの膝が落ちる。


ガクッ。


剣が地面へ突き刺さる。


「……見事だ」


アロンダイトが静かに呟く。


「護る者の力……か」


ミョルニルは槌を下ろす。


「……ああ」


そして、アロンダイトを見つめる。


「お前が思い出させてくれた」


アロンダイトは薄く笑った。


「それなら――私の敗北にも意味はある」


そのまま、静かに目を閉じた。


『勝負あり!!』


実況の声が響き渡る。


『第二回戦、第一試合!!』


観客席が固唾を呑む。


そして。


『勝者――!!』


ミョルニルが天へ槌を掲げる。


その周囲に雷が走る。


『ミョルニル!!』


――――ズドォォォン!!


雷鳴が闘技場を揺らす。


大歓声。


ミョルニルは槌を下ろし、静かに目を閉じた。


「……ありがとうな」


誰に向けた言葉なのか。


それは本人にも分からない。


ただ。


自分が何のために、この力を持っていたのか。


今なら分かる。


力は、誇示するためのものではない。


誰かを倒すためだけのものでもない。


護るべきものがあるからこそ――。


振るう力に意味がある。


第二回戦、第一試合。


守る者と護る者。


その勝者は――。


ミョルニルだった。

お疲れ様でした。

読んで下さり感謝致します。


話数は少ないので更新は一日一話の更新となります。

更新時間:毎日12:00となっております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。