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第十四試合 雷霆と金剛

作品は完結させております。

安心してラストまでお楽しみ頂ければ幸いです。


たくさんのブックマーク、評価、コメント。

また誤字・脱字報告も全て受け付けしております。


よろしくお願いします。それではどうぞ!


第十三試合。


異色の宝具対決を制したのは、打出の小槌だった。


その勝利を称える歓声が、闘技場を包み込む。


『さあ、皆様!!』


実況の声が響き渡った。


『第一回戦も、いよいよ残すところあと二試合!!』


観客席から大歓声が上がる。


『続いては第一回戦、第十四試合です!!』


歓声が次第に静まっていく。


『この試合で登場するのは――』


実況が言葉を溜める。


『どちらも神話に名を残す、雷の神具!!』


左右の入場口が開く。


そこから二人の人影が姿を現した。


一人は、白銀の髪を持つ大柄な男。


筋骨隆々の身体。


長い髭。


その姿からは、圧倒的な威厳が漂っている。


もう一人は、黒い長髪を後ろへ流した男。


鍛え上げられた身体。


鋭い眼差し。


その全身から、ただならぬ気配を放っている。


二人が中央へ歩み寄る。


『まずは、こちら!!』


白銀の髪を持つ男が宝珠へ手を伸ばす。


『古代ギリシャ神話において、主神ゼウスが振るった雷霆!!』


男の手から宝珠へ光が走る。


次の瞬間。


空気が震えた。


轟音。


閃光。


光が男の手へ集まっていく。


やがて、その光が一本の短剣へと形を変えた。


刀身は銀白色。


しかし、その刃の表面には無数の電撃が走っている。


『その名は――ケラウノス!!』


観客席から大歓声が巻き起こる。


ケラウノスが短剣を軽く振る。


バチバチと青白い雷が刀身から迸った。


『ケラウノスとは、ゼウスが用いる雷霆を意味する神具!』


実況が声を張り上げる。


『その力は雷そのもの!!』


ケラウノスが短剣を構える。


『そしてこの短剣は、ただの刃ではありません!』


刀身が一瞬、雷へと変化する。


『雷を刃として凝縮した、神話の雷霆そのものなのです!!』


観客席からどよめきが起こる。


ケラウノスは何事もなかったかのように短剣を握り直した。


続いて、黒髪の男へ実況の声が向けられる。


『対するはこちら!!』


黒髪の男が宝珠へ手を伸ばす。


『インド神話において、雷神インドラが振るった神聖なる武器!!』


宝珠から光が溢れ出す。


男の右手へ集まっていく。


光が形を成す。


そこに現れたのは――。


中央に握りがあり、両端が鋭く突き出した独特な形状の武器。


『その名は――ヴァジュラ!!』


観客席からどよめきが起こる。


ヴァジュラが静かに構えられる。


『ヴァジュラは雷そのものを象徴する神具であり、インドラが振るう雷撃の武器!!』


ヴァジュラの周囲に電撃が走る。


『その形状から、金剛杵とも呼ばれる神聖なる武器!』


実況が叫ぶ。


『雷を刃として宿すケラウノス!!』


『雷そのものを象徴する金剛杵、ヴァジュラ!!』


二人の間で、空気が震える。


『神話を代表する二つの雷が、ここに激突します!!』


ケラウノスが短剣を構える。


ヴァジュラが金剛杵を構える。


『両者、構えて――』


二人が睨み合う。


『試合――開始!!』


――ズドォォォン!!


開始直後。


ケラウノスが地面を蹴った。


「――ッ!」


一瞬で距離を詰める。


短剣が閃いた。


「はあっ!!」


ヴァジュラが横へ振られる。


――ガキィン!!


金剛杵と短剣が激突する。


その瞬間。


ケラウノスの短剣から雷が爆発した。


「ぐっ!」


ヴァジュラが弾き飛ばされる。


「なるほど」


ヴァジュラが体勢を立て直す。


「近接戦か」


「雷を遠くから落とすだけが、俺の戦い方じゃない」


ケラウノスが短剣を構える。


「こいつは雷を刃にしたものだ」


刀身が青白く輝く。


「ならば――」


ヴァジュラが踏み込む。


「こちらも近距離で応じよう!」


金剛杵が振り下ろされる。


――ガァン!!


ケラウノスが受け止める。


二つの神具が激しくぶつかり合う。


「おおおおおっ!!」


「はあああああっ!!」


一撃。


二撃。


三撃。


金剛杵と雷刃が何度も交差する。


そのたびに雷が弾ける。


――バチィッ!!


――ズガァン!!


――ガキィン!!


観客席から歓声が上がる。


ヴァジュラが金剛杵を突き出す。


ケラウノスが身体を捻ってかわす。


そのまま懐へ入り込む。


「もらった!」


短剣が閃く。


「――ッ!」


ヴァジュラが金剛杵を立てる。


――ギィン!!


刃が金剛杵へ食い込む。


その瞬間。


ケラウノスの刀身が――。


雷へ変化した。


「なっ!?」


雷が金剛杵を伝う。


「ぐああああっ!!」


ヴァジュラが吹き飛ばされる。


地面を転がる。


「……なるほど」


ヴァジュラが立ち上がる。


「その刃……実体だけではないのか」


「そういうことだ」


ケラウノスが短剣を構える。


「雷は形を持たない」


刀身に雷が集まる。


「だから――どんな形にもなれる」


ケラウノスが短剣を振る。


――バチィィィン!!


雷の刃が伸びる。


ヴァジュラが金剛杵で受ける。


「ぐっ!!」


押し返される。


「ならば――」


ヴァジュラが金剛杵を掲げる。


「雷には雷を!」


――ズドォォォン!!


空から雷が落ちる。


ヴァジュラがそれを受け止める。


金剛杵へ巨大な雷が収束する。


「これが――ヴァジュラだ!!」


金剛杵から巨大な雷撃が放たれる。


ケラウノスが横へ跳ぶ。


「――ッ!」


雷撃が地面を抉る。


「まだだ!」


ヴァジュラが次々と雷撃を放つ。


――ズドン!!


――ズドォン!!


――ズガァン!!


闘技場を雷が駆け巡る。


ケラウノスは走る。


跳ぶ。


避ける。


その身体を掠める雷。


「くっ……!」


しかし。


ケラウノスの口元には笑みが浮かんでいた。


「……面白い」


空を見上げる。


雲が集まり始める。


ヴァジュラが気付く。


「……何?」


ケラウノスが短剣を天へ掲げた。


「雷なら――」


空が暗くなる。


「俺の方が上だ!!」


――ゴロゴロゴロゴロ……。


巨大な雷鳴。


ケラウノスの短剣へ、空から無数の雷が集まっていく。


短剣の刀身が消える。


そこに残ったのは――。


巨大な雷の刃。


「――ケラウノス!!」


ケラウノスが振り下ろす。


――――ズドォォォォォォン!!


巨大な雷撃がヴァジュラへ叩き込まれる。


ヴァジュラも金剛杵を掲げる。


「――ヴァジュラ!!」


――バチィィィィィン!!


二つの雷撃が正面衝突する。


闘技場全体が白く染まる。


「ぐあああああっ!!」


「ぬおおおおおっ!!」


雷と雷。


神具と神具。


一歩も譲らない。


しかし――。


徐々に。


ヴァジュラの雷が押され始めた。


「な……に……!?」


ケラウノスが一歩踏み込む。


「雷なら――」


さらに一歩。


「俺の方が上だ!!」


雷撃がさらに強くなる。


ヴァジュラが後退する。


「くっ……!」


さらに押される。


「ぐああああああっ!!」


最後の一撃。


――――ズドォォォォォォン!!


巨大な雷がヴァジュラを包み込んだ。


爆発。


煙。


静寂。


やがて。


煙の中からヴァジュラが姿を現す。


膝をついている。


それでも立とうとする。


「まだ……だ……」


ヴァジュラが立ち上がろうとする。


しかし。


力が入らない。


そのまま片膝をついた。


ケラウノスは静かに見下ろす。


そして――。


『勝負あり!!』


実況の声が響き渡る。


『第一回戦、第十四試合!!』


観客席が固唾を呑む。


『勝者――!!』


ケラウノスが短剣を天へ掲げる。


短剣の刀身が一瞬、巨大な雷へと変わる。


轟音が闘技場を揺らす。


『ケラウノス!!』


大歓声。


ケラウノスは雷を纏った短剣を下ろし、静かにヴァジュラを見つめる。


「……強かった」


そして空を見上げる。


「だが――」


轟く雷鳴。


「雷の王は、俺だ」


闘技場に再び雷鳴が響き渡った。


雷霆と金剛。


神々の雷を巡る激突。


その頂点に立ったのは――。


ケラウノスだった。

お疲れ様でした。

読んで下さり感謝致します。


話数は少ないので更新は一日一話の更新となります。

更新時間:毎日12:00となっております。

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