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Are you ready?  作者: 和島祥加
第一章 ~ゲーム~
7/10

間話 〜ユークリウッド最高議会 第一議題〜

※現段階での、本編との関係はございません。

ただ、書きたくなっただけです。読み飛ばしても、話の内容は分かります。

ここはユークリウッド王国、最高議会室。国中から集められた難問を検討し対処していくのが仕事である。


長方形のテーブルに座る五人の議員と一人の議長。

それぞれの議員には動物名がつけられており、狐、猫、豚、狸、梟。議長は議長だ。

全員が真剣な表情で、今日も深刻な議題に立ち向かっていた……。



「最高議会を開議する。今日の議題は何か」

議長の声に、梟が手をあげた。


梟は自慢のひげを撫で、ふふんと鼻を鳴らした。

「今日は私から。


最近治安の悪化が著しいとの報告があった。暴力事件、窃盗、強盗、痴漢など。改善するための案を出してもらいたいと、治安部からの提出だ」


重苦しい声に全員の顔が曇る。


「それは直ちに直さねばなりますまい」狸が言う。


「しかし、何をどうすればいいか」狐が頭を抱きかかえた。


その場に沈黙が積もる。


いつものように、最高議会は暗い。彼らの決断が国の命運を左右しているということに、責任を感じていたのだ。その重圧は計り知れない。



「こういうのはどうでしょう」


「どうした、猫」

猫は立ち上がった。


その禿げた頭は知的なイメージを植え付けさせる。黒縁の眼鏡をきりりと上にあげつつ、彼は言う。


「はい議長。私が提案いたしますのはファッションコレクションでございます。


一つのお題を提示し、みなが自分で考えた服装を着こなしてそれを披露する。国民の力が結集し、一つの行事を生み出すのはとても良いことでございましょう」


「ふむ、悪くないな。その線でいくとして、お題とはなんなのだ」


今回は早く終わると言わんばかりに議長の声は明るい。


議員諸君の口もほくそ笑んでいた。

しかし、猫の言葉が、それらに衝撃を与えた。


「それは以前、ハチ様が言っておられた、



ジャポンのヴルマにございます」


その言葉に、最高議会には電撃が落ちたような空気になった。


狐が目を泳がせる。

狸が下唇を噛んだ。


室内は沈黙に伏した。


オホン、議長は咳をした。

「猫の意見は却下する。他にないか」


議長の重苦しい言葉に、猫は席についた。暗い部屋、顔色は分からない。



「こういうのはどうでしょう」豚が慎重にいった。


「王様が演説をするのです。そして盛大に祭りをする。ジャポンでは、祭りは人を繋げるらしいではないか」



再びテーブルは明るさを取り戻した。



「それはいい提案ですな豚よ」

「ありがたき幸せ、狐よ」


「確かに、祭りならば全員の参加が頷ける。そうなれば国民同士の仲もよくなるというもの。よくやったぞ」議長も褒めた。


「では、王の服装はどのようにいたすか。王も成長しておられる故、新調せねばなりますまい」梟が低く唸るように言う。


「それは今まで通り、王服でいかがでしょう」豚の言葉に狸は鼻で笑った。


「なにがおかしい」

「豚よ、ジャポンの祭りはそのように硬くはない。全員が騒ぎ同じような喜びを抱くからこそ一つになれるというもの。そこに王様の席がなくてどうする」


「確かに正論だ。しかし、どうすればよいのだ」議長は唸る。


その時だった。



「ヴルマ」猫の声に全員の顔があがる。


「王様はヴルマを履くべきであります。否、すべての国民がそうするべきだ」


ごくり、と誰かが唾を飲み込んだ。

梟の血走った目が猫を見据える。


「……これも却下だ。祭りなど俗臭のするものは遺憾とす。他に案はないか」




「くぅ、ここまで苦戦するとは。治安の悪化も侮れない」


「諦めるな狸。まだ何かあるはずだ」狐は狸の肩を叩いた。


もはや国力を上げてでも、この状況を改善せねばなるまいと、彼らは拳を固めた。



「少し思考を変えるのはいかがでしょう」梟が細く言った。


「一致団結、ではなくあえて競わせるのです。

戦いの中で結ばれる絆ほど、強固なものはない」


議長が梟を睨む。

「なるほど、それはいい考えだ。梟、よくやった」


「ではどんな種目で競うべきか」狸の声に、猫が反応する。


「わた……」

「私は」猫が発言する前に狐がそれを制した。


「私は騎馬戦、というものはいかがかと。ジャポンの武将の如く、帽子を被り、互いのを取り合う。馬となりし三人の礎、そして彼らは信じるのです、上に乗る騎士を」


「よい、よいではないかっ! それだそれに決まりである」


議長の言葉に、空気は和らいだ。


「では、武装束を決めようではないか。狸よ、描きたまえ」


「もちろんだ」


狸は手持ちのキャンバスに、鉛筆を取り出した。


「では。上は白装束。手に布があると危険性があるため、腕までである」

「胸にはそれぞれのチーム名を記載する。下はどうするか」

「馬となる三人が足を持つため、滑るのはいかん。袴はできるだけ短く、これでいこう」


「できた」狸の言葉に他五人はため息を吐いた。


「見せてみよ」


議長の言葉に狸はキャンバスをひっくり返した。


そこにはブルマを穿いた少女が描かれている。


「こ、これはっ」

「ダメだ、これはいけない」

梟と狐の反感に猫が言った。


「もう認めよ。最初から分かっていたことではないか。正直になれ」猫は神々しくいった。

豚は悟りを開いている。


「ああ、猫の言うとおりだ。これが私たちの決定。治安部及び王様に報告しよう。何、心配はいらぬ。私が責任を持っていうのだから」


議長、五人の声は重なった。

そこには暗い部屋はなく、光が差し込んでいた。



ーー王室。


「……ということでありまして、騎馬戦を行おうと思のですが」

議長の言葉にイチは逡巡する。


「議長よ」

「はっ」

「俺が演説すれば終わるだろ」





結論。王の演説により、治安の悪化は止まり、平和なユークリウッドへと戻った。

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