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あまり問題ごとに首を突っ込みませんね。セルゼルフは。
朝。事件はいつも突然に起こるものであり、どんなすごい人であっても予測することは困難です。今朝の事件・・・きっかけは朝飯を食べるときでした。私たち不死人族4人と王族の方たちでした。ちなみに王族は4人です。女王である方と、その旦那さん。第一児である娘と、二児である息子がいます。どちらも私たちよりも年上です。
「では。頂きます。」
「はぁーい。」
「いただきまぁーす!」
配られたご飯を食べていました。近くにあったパンをかじります。そのときです・・・すべての始まりは私のこの行動になったのです。
「私の楽しみにしてたパン!」
「あ。ごめんなさい。焼いて返すので許して下さい。」
「だめよ!」
と、イリーと喧嘩になってしまいました。私が悪いのですが、なにか裏があるような怒り方でした。どういうことでしょう?とにかく、【再生魔法:パン】。こんな時には魔法です。美味しさもすべて同じにできています。
「ごめんなさい・・・」
「しょうがないわねぇ。今日の練習に付き合いなさい。」
「はぁーい。」
よく考えれば、イリーのパンを私が食べることがおかしいことですよね?みなさんは右利きです。ここの料理人もそれがわかっているのでパンは右に盛りつけられています。しかし、何故かイリーのパンが私の右側にありました。イリーの右側に用意されているのであれば、私からは届かないはずです。しかし、私が手を伸ばすこともなくイリーのパンを食べました。犯人は・・・イリーです!
学校に到着しました。チームに分かれて練習をしています。イリーはどこか嬉しそうで、声をかけることがなんだか嫌です。どうしてそんなにウキウキ?しているのでしょう?ワクワクでしょうか?危なすぎる彼女は剣を振りまわしながら振り向きました。
「さあ!セル!戦うわよ!」
「え?あ。はい。」
何故でしょうか?どうしてそんなに気分がいいのか分からないまま、私はイリーと対峙しました。ウリーが開始の合図を出してくれます。すると・・・とてつもない速度で私に向かってきました。その時私は納得したのです。新たにスキルを手に入れたことがうれしくて自慢したくて、褒めてもらいたくて私に勝負を挑んできたのでしょう。尻尾で剣を受け止めようとした瞬間にイリーの尻尾が私の尻尾を止めました。予想外です。自分の体を魔力で覆ったあとで【爆発魔法:インプルーボム】。ちなみにインプルーの意味は特にありません。偶然なにかの意味になっているかもしれませんが関係ありません。
爆発で距離を取ることに成功しました。ここで速度の事を褒めないと拗ねてしまいそうだったので、私は彼女を褒めます。
「すごい速度ですね!新しいスキルですか?」
「ふふふ!そうよ!」
「すごいよ。イリー。」
「すごいわ。イリー。」
残り二人はイリーの性格を既に知っている為、すぐに褒めています。しかし、私は思うのです。イリーは褒めすぎると調子に乗る癖があるのです。ほら。ギラギラとした目で私を見ています。絶対に次は魔法を使ってきますよ。しかし、肉体の速度を上げるスキルを使う時は気を付けなければならないことがあります。それは・・・
自分の魔法に当たらないことです。イリーは勢いよく自分の魔法に当たりました。速い魔法なら当たることは無いのですが、今回イリーが使ったのは彼女が最も気に言っている土に関する魔法です。砂と土で汚れてしまったイリーの顔。そこにエリーが水の魔法できれいにしようと思ったようで、イリーの顔に水をかけました。見事に顔はドロドロです。・・・その時、私は寒気がしました。ゾワゾワとした感覚が背筋をなでまわしているような感覚に私は少し不快になったのです。
「ウリー・・・」
「はい?」
「トイレに行きませんか?」
よく思えば朝にトイレに言っていないのです。ウリーは少し考えるそぶりを私に見せましたが、結局行くことになりました。これが友人同士で言うツレションというやつですね。ウリーはどこか恥ずかしそうにしています。そう思えば、学校でウリーがトイレに入る所を見たことがありません。まさかと思いますが・・・
「そんなに緊張しないでください。トイレに入ったからと言って誰もからかったりしませんよ。」
「っ!?はい。そうですね。」
目的地に着くと、ウリーは大便をする個室に入ってしましました。あー。確かに友人同士でツレウンは無いですね。そこのあたり、気が使えていませんでした。もう少し常識や観察眼を磨いたほうがいいようです。用を済ませた私とウリー。手を洗って練習場に向かいました。そこではイリーがエリーにまだスキルの自慢をしているようです。恐らくあれは加速のスキルでしょう。習得するには走り込みがかなり必要です。よく頑張ったのはわかりますが、あんなに自慢されると少し困りますよね。適度に褒めてもらえば収まると思うのですが・・・なんだか放っておきたい気分でした。
学校が終わったらシンがいるパーティに参加します。アンもギルドに既に来ていました。ついでに気が強い・・・名前はなんでしたっけ?
「遅いのだ!」
私の後ろから声が聞こえました。振り返るとそこにはアルベルトが腕組をしながら歩いてきていました。私は腕を組みながら歩く人を久しぶりに見ました。稀にいるのですが最近見ていませんでしたので。と、少女の名前はなんでしたっけ?どうにかして思い出さないといけませんね・・・いい事を思いつきました!
「揃いましたので、さっそく依頼を受けましょうか。ほら。君も速く。」
「え?まあ、そうね。」
必殺技です。女性の名前がどうしてもわからない時や、二股をかけているときに名前を間違えないためなど、様々な理由で使われる愛称。それが〝君〟です。これなら殆どすべての女性を呼ぶことができます。文明がここまで発達していて私はうれしいですよ!まったくぅ!
「なんの依頼受けるのだ?」
「そうですねぇ。一角兎なんてどうですか?森に慣れるためにも。」
「いいわね。それにしましょう。」
「じゃあ行きますか。」
シンがなかなか話に入ってこようとしません。気が弱い性格なのでしょうがないことなのですが、パーティを組んでいる間はみなさんが対等でなければなりません。自分だけ意見を言わないというのもまた役割を放棄しているのと同じことだと言えます。小声で話しかけましょう。
「大丈夫ですか?」
「あ!?はい!大丈夫です!なんだか緊張してしまいまして・・・」
「問題ないですよ。貴方の能力、たぶん隠密とかに特化したものですよね?」
「そうです。影になることができるんです。」
「森の中で自分なりに動いてみてください。魔物は殺せますか?」
「大丈夫です。神様が少し精神をいじって下さったので・・・気が弱い僕でも殺せるようになりました。」
「それはよかったです。迷ったら死にますからね?」
「はい。」
「影で忍び寄って急所を狙う戦い方があなたにぴったりだと思うので試してくださいね。」
「わかりました!」
一方そのころ。王城では他国の外務官を招いて会議という名目の自慢のシアイや、自分の国の軍の強さを表すという食事会が開かれていた。いかに自国が優位に立てるかを水面下で争っている。今回の食事相手はよくこの国と戦争をし、そして現在休戦中の国であった。相手国・・・《アレルギランス》の言っていることはただ一つ。〝俺たちの国は相当強い。おとなしく降伏して鉱石が取れる土地と兵、金をよこせ。それと貿易でも優位に立たせろ〟である。それに対して《パラコミック》が言っていることは〝なにをふざけたことを言っている?貴様らが強い?はぁ?舐めてんじゃねぇーぞ?土地が広いだけの蛮族が。さっさと家帰ってかあちゃんの乳でもしゃぶってな!〟である。
「私たちの国ではよくリュウが出ましてな。それを毎日ほど処理するのが大変なんです。そちらの国ではどうですか?」〝リュウって言ったけど竜だけどな!まあ!俺たちは強いんだぜ!〟
「大変ですねぇ。毎日竜ですか。私たちの国ではドラゴンはあまり出ません。つい最近国の領土内にドラゴンが出現したのですが、気づいた時には騎士団の一人が倒してしまっていました。素材などが手に入らなくて残念です。」〝はぁ?お前たちの領土にドラゴンはでねぇだろ?竜だろ?あぁ?こっちの助っ人はドラゴン倒してんだよぉ!失せろ!〟
「・・・あ!そうでした!国王からこれを預かってきました。お読みください。」〝やはりか。せっかく餌撒いたのにちっとも噂にならねぇと思ったんだ。しかし・・・この国にそんなやつがいるのか?いや!いないに違いない!国を挙げて討伐したに違いない!弱ってるところ申し訳ないが、やろうぜ!〟
女王に渡されたのは《アレルギランス》王族の印が押されている手紙。内容は各国でチーム戦をやろうというもの。国を代表して最大10人で戦わせるというゲームの誘いだった。利益もなにもないこの戦いを断ることは簡単だったのだが、プライドをくすぐることを使者が言った。
「ドラゴンの退治に疲弊しているのであればまたの機会でもよろしいですよ?我が国はいつでもお相手いたします。」〝どうせ龍退治にかなりの数死んだだろ?しゃあねぇーから待ってやろうか?俺たちはいつでもいいからよぉ?〟
「大丈夫ですよ。受けます。日時はここに書かれている場所と時間でよろしいですね?」〝だぁかぁらぁ!騎士が倒したっていってんじゃねぇか!てめぇの耳は飾りなのかぁ?お前の国に最強を送ってやるよ!〟
「では。お待ちしております。」〝恥かかせてやんよ!〟
日時は8日後。セルゼルフの学校で行われる行事の日の次の日であった。
シンも君もアルベルトも戦闘に慣れてきました。いい調子です。私は弱い彼らに群がる魔物を倒しています。彼らの目の前で倒す事によって、魔物がいかに恐ろしいかを身を持って体験してもらっています。問題の一角兎は順調に倒せています。特にシンの活躍が素晴らしいのです。あれと戦うとしたら私はどのように行動するでしょうか?シンの戦いは影を使うことが多く、自分が獲物の影となって拘束するのです。その間にアルベルトと君が攻撃していました。しかし、二人は気づいていませんが、シン一人で倒せる相手だと思います。シンの影は物理攻撃も可能ですので、拘束した状態で急所を影で刺す事ができるはずです。彼らに遠慮しているのでしょう。
「ねぇ・・・セルゼルフ・・・」
「なんですか?」
「さっきからたまに現れる魔物って・・・やっぱりなんでもないわ。あなたはどうしてそんなに強いの?」
「あ。それ俺も気になっていたのだ。」
「いいでしょう。話しましょう。私の過去を・・・」
少しだけ上を向いて歩きだす私についてきてくれる人は誰もいませんでした・・・
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ブックマークをお願いしたいのですが、この話数まで読んでくださっている方たちは恐らくすでにされている方だと思いました。これ以上増えないのでしょうか・・・
キャラ。〝おねぇちゃん〟
おねいちゃんではだめで必ずおねぇちゃんと呼ばなければならないと不死人族のほとんどすべての人に言っている。つまりほとんどすべての不死人族よりも年上ということだが、自称19歳と言い張っている。得意なことは監視魔法であり、不死人族の諜報担当をしている。常にセルゼルフを見ているのはただの趣味である。そう。セルゼルフが個人で活動している最中も見ている。稀にセルゼルフがトイレに入っているところものぞこうとするのだが、彼の結界によって見ることができないでいる。〝もっと小さい頃は見せてくれたのにぃ!〟とよく言っている。ちなみに、19歳と言っているが、〝セル君って孫みたいでかわいいわぁ!〟と言っている。そのことについて誰も何も言わない。




