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不死後衛の苦悩  作者: すろれっさー
騎士団長は後衛です。
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 戻った後で私が話し始めます。その壮絶な過去を口から出すたびに私の芯はどこか熱くなります。よく考えれば私が生きていたことはまさに奇跡であることがわかりました。少しみなさんを見てみます。

 そこにはだれもいませんでした。悲しくないですよ?寂しくもないですよ?先に行っている人達を見つけて駆けよります。


「もうすぐ目標の数ですよね?帰りましょうか。」

「わかったのだ。」


 ギルドに帰りました。分配された報酬を受け取ったあと、私はシンと出かけました。訓練です。内容はどうしましょうか?私と模擬戦?いえ。彼は暗殺が主体ですので、殺さなければなりません。魔物相手の方がいいでしょう。


「じゃあ、いろいろな魔物を倒しますよ。」

「はい。」



 シンの戦闘成果はかなりよかったです。ただし、気が付いたことがあります。光の強いところや、光系の魔法を使われたら終わりですね。私は彼のサポートをしながら、ただ温かく見守ることで私の役割を果たしていると思っています。


 学校で授業と文化祭?体育祭?の練習とパーティでの依頼とシンの訓練が続くと時は【光魔法】のように速く過ぎ去っていきました。そして今日は体育祭。名前は体育祭でいいのでしょうか?上級生の話を盗み聞きしている限りではいろいろな呼び方がありましたが、体育祭が一番多かったような気がします。以後、私は体育祭と呼びます。戦いなどは全てトーナメント戦ですので、一度負けたら即終了というなんとも厳しいものでした。しかも、対戦相手はランダム。対策がまったく立てられない状態です。噂では教師が上級生にいい思いをさせるように下級生と戦わせるらしいです。

 その噂は真実でした。個人戦の対戦相手は現在6年生です。ちなみに私は早生まれ?遅生まれ?ですので、みなさんよりは年齢がひとつ下なんです。6年生の時は15歳ですからね。さて、チーム戦の相手は5年生です。運が悪いのか、既に仕組まれていたことなのか。私は後者だと思います。あ。後衛という意味ではないですよ?後ろの者ですけど!

 まずは余興種目である障害物競争から。障害物は毎年変わってしまい、数は数多です。物理的に障害物がある道や、魔法などの罠もあります。とにかく速く進むのは困難なのです。今回はどのような障害なのでしょうか?始まる前に9割ほどの障害が紹介されます。残りの1割は瞬発力や判断力を試すものなので公開されていません。初めに巨大な壁があります。ほんとうに巨大な壁です。少し上に人が2人ほど入ることができる穴があります。そこまで行くには階段か坂道を選ばなければならないでしょう。壁の先には泥沼があり、さらに溶岩の道、飛び越えることはできないであろう巨大な穴、逆風、結界、シークレットゾーン、魔法の罠が大量にある道です。最後に匍匐前進で網を抜けて旗を取った順で勝ちです。問題は旗を一番で取らなければならないという点。なぜなら、旗は召喚式らしいので、一度取ると1分ほど新たな旗が出てこないらしいです。その1分の間に戦闘があるのです。

 競技が始まりそうです。私たちは参加者全員でスタート位置に立っています。このスタート位置でさえもランダムで決まります。もちろん上級生は真ん中あたりです。卑怯ですよね?あ、それともう一つ。この競技の怖いところは罠が増えるということです。おもに上級生によって新たな罠が追加されます。


「さぁ!始まりました!障害物競争です!今回は教師陣が張りきったので難易度マックスですよ!」

「やりますか。さあ。十秒前!10!9!8!・・・2!1!」〝パン!〟


 開始の合図と共に一斉に走り出しました。私はまだ走り出しません。と、いうのも・・・


「おっと!おっと!一名だけまだ進んでいませんよ!えっと・・・あれはセルゼルフさんですね。」

「どうしてまだ走り出さないんでしょうかぁー!」


 みなさんが階段か坂道を登り始めてしばらく・・・中腹を進んでいる時に私が走りました。外部ではアナウンスが響いている気がしますが、会場内には聞こえないのです。私が登らずに残っていた理由はただ一つ。坂を上って穴を通るよりも影を破壊した方が早いじゃないですか?種族スキルはそのためにあるんです。


「大変な事態が発生しましたぁ!壁破壊です!セルゼルフ選手が魔法の爆撃によって壁を破壊してしまいましたぁ!しかもなんと!瓦礫を何故かきれいに並べています!そんなことができるのであれば初めから使えばいいのにぃ!」


 硝子に乗って進みました。泥沼ですが、私には関係ないのです。泥を凍らせて進みます。そこにある仕掛けを施しました。ついでですよ。ついで。


「セルゼルフ選手!沼すべてを凍らせて進んでいます!どういうことでしょうか!?規格外にもほどがあります!普通は腰ぐらいまである泥につかりながら進むのですよ!」


 お次は溶岩の道ですね。よくもこんな道を作れたものです。ここはこれでいいでしょう。


「溶岩の道が両サイドに開いています!まるで彼を避けるかのように道が出来上がっているのです!いったいこれはどういうことなのでしょうかぁ!」


 使い終わった溶岩は【氷魔法】で凍らせて障害物に早変わりです。岩でできた茨ですので刺さるとかなり痛いと思いますよ。お気を付け下さい。今度は穴ですか?ジャンプはできそうにないですね。私は優しいので橋をかけてあげますよ。


「セルゼルフ選手!今度は穴に橋をかけてしまいましたぁ!お?ようやく壁を抜けたようですね。しかし、セルゼルフ選手の勢いは止まりません!あぁ!沼が!凍っていると見せかけて上辺だけだったぁ!ハマってしまっています!頑張って下さいねぇ!」


 後方を硝子で見るとそこには沼の氷を炎で溶かしている人がいました。なるほど。溶かせばいいのですよね。そんなに溶かしたいのであれば溶かしてあげましょう。私は逆風をものともせず魔法を使いました。


「おっと?沼が融けていく?あ!これは!熱くなっているようです!悶絶しています!しかし!皮膚の状態をみるに火傷はしないが熱いという温度になっている!優しい!優しいぞ!セルゼルフ!」


 結界とシークレットゾーンに到着です。結界はなんだか緩かったので強い結界に直してあげました。こんな弱い結界ではすぐに破られてしまいそうでしたからね。シークレットゾーンから魔力を抜くとただの道になってくれました。しかし、それではかわいそうなのでしっかりと罠を増やして元のようにしました。足の踏み場の無いほど罠だらけにしてしまったのは少しだけ美学に反するかもしれません。私はただの旗を手に取り、旗の力でそのまま一位の表彰台に転移しました。


「どういうことでしょうかぁ!聞こえますでしょうか!Aクラスの歓声がぁ!一年生にして!他を圧倒する実力!すごすぎます!えー気を取り直して二位から先の様子を見ましょう。」

「ちょっと!待って下さい!シークレットゾーンの先!大量の罠があるその場所をセルゼルフ選手は走りましたよ!罠が発動していません!」

「異様ですねぇ!」



 セルが一位を取ったようね。でも個人戦では負けないの。ウリーもエリーも個人戦の出場は止めたけど、私は個人戦で一位を取って見せるわ。なによ!あの尻尾!全く使ってないじゃない!半分くらい私にくれないかしら?ちょっと相談してみる。会場の魔力が少し変ね。これは調べてみる必要があるかもしれないわ。

 調べた結果、どこかにかなり強いやつが紛れこんでいることがわかったわ。それも、セルの近くに集まってるみたい。どういう訳か知らないけど、もしかしたらもしかするかもしれないわね。ちなみに障害物競争は中止になったわ。一位のセルの妨害が激しすぎてゴールまでたどり着くまでに体力の限界がきたみたい。それもそのはずよ。シークレットゾーンに多数の転移陣があったの。出場者全員がスタート位置まで戻されたわ。それが6回ほど続いて辞退者が続出したの。8回目で全員辞退したわ。



 次は的当てですか。この競技は少しずつ的が遠ざかっていくので、その都度的に当てるという種目です。簡単でしょ?


「ではこれから的当て種目に移ります。この競技では相手の妨害は禁止となります。セルゼルフ選手は十分気を付けてくださいね。」

「え?私ですか?」


 妨害なんてしたことありましたっけ?まあ、いいでしょう。たぶん司会の人もノリでやっているだけでしょうから。私たち参加者は広大な会場の端に並んでいます。あ?疑問に思いませんでしたか?そんなに広大な土地があるのか。それは魔法ですべて解決です。便利でしょ?

 会場の半分ほどに的が並んでいます。参加者の数だけ的があるのです。それぞれ、自分の的に当てなければ失格です。気を付けなければなりませんね。


「では開始してください。」


 〝パスッ!〟という音がしました。無事的に当てることができたようですね。他の人は詠唱している最中です。上級生は全員といっていいほど高い杖を持っています。羨ましいですね。私もオーダーメイドの超高性能な杖が欲しいですが、問題は3つ。素材、職人、金。そこらの量産品ではだめんです。小人族が作るほどの高性能じゃないとだめなんです。ちなみに、純人族と小人族はどちらもものづくりに特化していますが、純人族は量産が得意で小人族は一つ一つの手作りが得意です。性能では小人族で、数と作るまでの時間は純人族です。私は小人族が作ってくれたものを使いたいです。


「おっと!まだ詠唱に入っていないセルゼルフ選し・・・的に!セルゼルフ選手の的に岩が刺さっています!すでに的に当てていたセルゼルフ選手!」


 当たった確認が済んでから、的がさらに離れていきました。次はあれに当てればいいのですね。丁度他の人が初めに設定された距離にある的に向けて魔法を放ったところでした。私はそれに構うことなく新たに設置された的に当てました。ラークイーグルに当てるよりも簡単でした。



「また!セルゼルフ選手が一番!最大距離はなんと!18キロ!そして時速90キロで移動する的に当てていました!彼はまだ余裕だった様子!底が無い!底なし沼のような実力の持ち主です!」


 次は魔力弾の距離を競うものですね。しかし、私はすでに18キロまで飛ばしていましたので、その距離を越える者が現れてからするそうです。


「はたして!18キロを超えることができるのか!18キロを超えない限り!一位にはなれません!全力を尽くして下さい!」


 結果から先に言いますと、18キロを超える人はいませんでした。私が一番であるようですね!魔法対処法戦では私は敵なしでした。魔法は私がすべて分解していますため、そもそも私に当たることはないのです。他にも魔法耐性が高いと言われている龍人族の生徒も中にはいたようですが、私は完全に分解でき、その人はダメージを少なくするだけだったので私が勝ちました。一番大変だったのは魔法を使う教師だったようです。残る戦いはチーム戦と個人戦だけのようです。思いましたが、残された二つ以外はすべて後衛の種目ではないですか?

読んでいただきありがとうございます。うぬぼれでした。毎日更新の方よりも遅いですよね。すみません。

キャラ。〝サファエル〟

セルゼルフの父。セルゼルフの誕生日に剣を贈るという提案をセルゼルフの母にした張本人。ちなみにもらった剣は今は異空間の中にしまってある。

戦闘スタイルは物理攻撃。本人とセルゼルフは魔法を使って敵を倒していると思っているようだが、実際は零距離で魔法を発動させて敵を殴っている。そんな父を見て育ったため、セルゼルフは魔法の使い方を本能的にしか知らない。ちなみこのサファエルは近距離戦闘では天才であり、セルゼルフが国を出るきっかけになっている。さすがに不死人族国王には勝てないが、それに近い近距離戦闘技術を持っている。現在はアルケディヤの城でセルゼルフ母に甘えている。

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