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断罪された悪役令嬢は死神の花嫁候補~時を戻した代償は、永遠の溺愛でした~  作者: Tubling@アルファポリス恋愛小説大賞「優秀賞」受賞


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約束 ~シモンズSide~


 『天界』『人間界』『冥界』――――この世界は大きく分けて3つの世界が存在する。


 俺たちが住むのは『冥界』

 死神たちが連れてきた魂を選別し、現世での行いにより輪廻の輪から外れた者たちが住んでいる。

 魂と言っても形は様々だし、ほとんどが宝石のような石状のもので、その色なども様々だ。

 死神がその魂を導いている時、人間の目にはたまに夜空に浮かぶ星々のように見えている時もあるらしい。

 その魂にもたまに変わった形のものもあるが……まぁ冥界にいるような魂は、綺麗な見た目のはいないけどな。

 彼らを管理するのが死神、そして死神を統べるのは死神四天王、そして……冥界に存在する全ての者の頂点に君臨するのは冥界神だ。


 俺はと言うと、死神の姿をして人間界を飛び回っているが――――


 『シモンズ兄さん! 僕に雑務を押し付けてすぐに人間界に行くのをやめてもらえます?!』

 

 ミハエルとして執務室で仕事をしている俺の前に突如現れたのは、弟のディランだ。

 人間には姿が見えないからと、言いたい放題大声でまくし立ててくる。


 「うるせぇな――今仕事中だ」

 『冥界での仕事をして下さい!!』

 「そんなのお前と親父でやればいいだろう? 俺は忙しいんだ」

 『冥界の仕事を放っておいて、人間界の仕事をしているなんておかしいですから!!』

 「あ――――うるさい」

 『この際ハッキリ言わせてもらいますけど! あなたは次期冥界神になる存在なんですよ!!』


 はぁ――……またこの話か。

 そう、俺は死神としてその辺を飛び回っているが、冥界神(親父)の息子だ。

 世襲制なのもあって、長男である俺は次期冥界神になるのが決まっている……すげぇ迷惑。

 この真・デスサイズも次期冥界神であるという証。

 正直まったくやる気のない俺にとって無用の長物。

 ディランがやればいいのに。

 俺よりも細やかな心配りが出来るし、真面目だし、適任なのに変な風習のせいで俺がなるっていうのがな……俺は自由気ままにあちこち飛び回るのが好きだし、性に合っている。

 それに祖母さんが人間だったのもあり、その血のせいか人間界の居心地が良くて居座りながら魂を集めるのが楽しい。

 それに――――


 「そばにいなきゃいけないヤツがいるんだよ」

 『……なっ……まさか……兄さんもお祖父様のように人間の女性に……? お祖父様がどんな末路をたどったか、知っていますよね?!』

 「当たり前だろ! そんなんじゃねーって……”約束”があるんだよ」

 『?』


 ディランは心底分からないといった表情で首をかしげている。

 そりゃそうだ……俺と、この体の持ち主であるミハエルと交わした約束だから。

 でもそれは二人だけの約束だから、身内と言えども話す気はない。

 その約束の為に俺はコイツの魂と肉体を自分の中に取り込み、そのままミハエルに成り代わったのだ。

 

 『まったく……人間の肉体と魂を取り込むなんて。 兄さんが冥界神の息子でなければそんな芸当、出来ないんですからね』

 「俺だってこんな事したの初めてだって」

 『当たり前です!!』


 ディランのヒステリック具合は誰に似たんだ?

 母さんか……見た目は超真面目で大人しそうなのにな。

 まぁ心配するのは分かる。

 俺自身の存在にも関わるから、このやり方は禁忌に近い。

 祖母さんの血が流れていなかったら、拒絶反応起こして力が暴走していたかもなー。

 俺だって誰にでもこんなことをやるわけじゃない。

 

 ミハエルとの約束を守る為。

 そしてあの女、アンテリーナの魂を手に入れる為には必要な事だったのだ。

 長い間人間界を放浪していた俺でも初めて見る、極上の輝きを放つ女神像を模った魂――。

 

 あれほどの輝きを持つ魂を見たことがない。


 初めて見た時の衝撃と言ったら……おそらく天界の者達も狙っているだろう。

 自分たちの仲間に加える為に。

 まぁアンテリーナ達姉妹で力を合わせてこの国に結界を張ってるから、簡単に奴らは入り込めないから心配する事はないんだが。

 結界周りを天界の者が飛んでいるのをよく見かけるからか、落ち着かね――……。

 あの魂を天界の奴らにくれてやるものか。

 あれは俺のものだ、俺だけのものに――――


 「兄さん、どうかした? 瞳の色が変わってるけど……」

 「……いや、気にすんな」

 

 やべ……自分でもあの女の魂に執着している自覚はある。

 ミハエルと同化してから12年経ち、今もアンテリーナが王宮に来ている姿を時々見かける程度だ。

 その度に見惚れるほどの魂の輝き――。

 今日も遠目から見たが、相変わらず輝いていたな。


 「今度は顔がニヤけてる」

 

 ディランに言われて顔が緩んでいた事に気付く。

 慌てて引き締め、咳払いをして話題を変えることにした。

 

 「ゴホンッ! まぁ俺たち冥界の者にとって人間界の10年くらい大した年数じゃないだろ?」


 気を取り直してディランにそう告げると、弟は諦めたようにお袋のことを話し始める。

 

 『それは、まぁ……そうですけど……母さんがうるさいので、ここにいるのもあと20年が限度ですよ』

 「はいはい」

 『まったく……母さんには僕が適当に誤魔化しておきます』

 「すまないな、弟よ! 持つべきものは優秀な弟だな~~」

 『はぁ……』


 俺の言葉に深いため息をつくディラン。

 でもそれ以上詰めてくることもなく、渋々冥界に戻って行った。

 やっと帰ったか。

 まぁ20年もあればアンテリーナの魂をゲットできるだろ。

 

 俺たちは同意なく生きている人間の魂を刈る事は基本的に禁止されている。

 

 人間の平均寿命をあまり深く考えていなかった俺は、その時は軽く思っていたのだ。

 まさか例の事件により、彼女の魂が真っ黒に染まり、一切の輝きがなくなってしまうとは……思ってもいなかった。


 

こちらの作品に興味を持って読んでくださり、ありがとうございます^^

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皆さまのお目に留まる機会が増えれば嬉しいです^^

まだまだ続きますので、最後までお付き合い頂ければ幸いですm(__)m

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