表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
断罪された悪役令嬢は死神の花嫁候補~時を戻した代償は、永遠の溺愛でした~  作者: Tubling@アルファポリス恋愛小説大賞「優秀賞」受賞


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/24

王立図書館での騒動


 シモンズのお見舞いに行ってから数日後、王宮内にある王立図書館へ向かった。

 逆行前はグリエル殿下と交流がなかったのでそれほど彼の国について気にしていなかったけれど、今は調べてみようと思っている。

 近頃はお勤めの日に必ず顔を出してくるし、その度に色々な話をするのだ。

 主に彼の国の話が多く、話せば話すほど自分の知識の無さが情けなくなったり……仮にも第二王子の婚約者なのだから他国の事をもっと学ばなくては。

 今日はお勤めはお休みだし、一日中図書館で読書したいわ。

 扉の取っ手に手をかけようとした時、後ろから聞きなれた声で名前を呼ばれる。


 「アンテリーナ」

 「シモンズ! あ……っと、申し訳ございません」


 思わず殿下ではなくシモンズと呼んでしまったわ。

 気まずい顔をする私に、死神さんはなぜか笑顔を向けてくる。


 「俺とお前しかいないから大丈夫だろ」


 心配するなと言わんばかりに、頭にポンと大きな手を乗せてきた。

 なんだか距離が近いような……でももう熱は下がったのね。


 「体調は良さそうですね」

 「ああ、おかげ様でな」

 「私は何もしておりませんよ?」

 「ははっ、まぁ気にするな。 ありがとな」

 「はい」


 どうしたのかしら、本当にご機嫌だわ。

 機嫌が悪いよりはいいのだけど。


 「今日は本でも読みに来たのか?」

 「ええ、グリエル殿下の国について学んでおかなくてはと思いまして」

 「む……なんでアイツの国のことを?」


 殿下の話が出ると途端に不機嫌になるシモンズ……すっかり殿下に対して警戒しているわね。

 理由は分からないけれど、拗ねてる顔が少し可愛くて笑ってしまう。


 「ふふっ。 殿下の婚約者として、他国の事も学んでおかなくてはと思っただけです」

 「そ、そうか……それは良い心がけだな」

 「ふふふっ」


 照れているのか顔が赤くなっているわ……突然王子様らしく婚約者ぶる姿も面白くて笑いが止まらなくなる。


 「なんだよ、そんなに笑うことないだろ」

 「だって……ふふっ」


 「お二人とも、随分楽しそうですね。 僕もまぜていただいても?」

 「「グリエル殿下!」」

 

 まさか本人が登場するとは思わず、二人で声が重なってしまった。

 グリエル殿下は相変わらず涼し気な表情で私に視線を固定しているかのようだった。

 シモンズの方は全く見ようとしない……あからさま過ぎて視線を彷徨わせてしまう。

 でもシモンズも負けじとグリエル殿下に話しかけていく。


 「殿下、俺と仲良くするのはどうだ?」

 「僕はアンテリーナと仲良くなりたいんだけどね」

 「まぁまぁ、そう言わず! 彼女の邪魔になるし、俺たちは一緒に読書しようぜ」

 「え、ちょ……っ!」


 シモンズは図書館の扉を開き、グリエル殿下の腕を引いてズンズン館内を進んで行ってしまった。

 私も慌てて彼らの後ろを追うと、図書館の中は突然現れた二人の殿下の登場で一気に物凄い騒ぎになってしまったのだった。

 今日は学園に通っている方々はいないと思っていたのに、図書館には多くの令息や令嬢がいるわ。

 何かの授業で来ているのかしら……学園が休日の時以外はいつも閑散としているのに。

 私は自分が歓迎される存在ではないと理解しているので、あまり人と会わない時を見計らって図書館に出入りしていた。

 シモンズも人間の前ではミハエル殿下姿だし、王族が2人揃うとさすがに色めき立つわね。

 

 「ミハエル殿下、お会いできて光栄です!」「殿下も調べものですか?」「グリエル殿下~~」

 

 凄い……いつもは悪い意味で注目されてしまう私だけれど、今日はまったく見向きもされない。

 でもちょうどいいわね。

 その方が気楽に図書館を利用できるわ。

 シモンズやグリエル殿下に話しかけられる雰囲気でもないし、気配を消しながら横を素通りする事にした。

 ヘタに殿下たちに話しかけても悪目立ちしてしまうもの……学園に通うことを免除されている身というのもあり、若干気まずさもある。

 そんなことをロザリンドに言えば「お勤めを果たしているのだから気にする必要ありませんわ!」って言うだろうけど。

 

 それに目立ちたくない理由は他にもあって――。


 「あら、アンテリーナ様じゃございませんこと?」


 ひっそりと通り過ぎようとした瞬間、やはり気付かれてしまう。

 ゆっくりと振り向くと、ヒルマリン嬢が腕を組みながらこちらを見ている。

 我が国には御三家と言って三つの公爵家があり、その内の一つであるオルブラント公爵家の令嬢だ。


 「ヒルマリン様、ごきげんよう」

 「学園にも通っておりませんのに、このようなところにいらっしゃるなんて……アンテリーナ様は時間を持て余していらっしゃるのね」


 彼女の言葉に周りの令息や令嬢がクスクス笑っている。

 ヒルマリン嬢は誰がどう見てもミハエル殿下を狙っていて、婚約者である私を昔から敵視しているのは知っていた。

 幼い頃から殿下のお見舞いにも足繫く通い、自分が殿下を支えてきたという自負もあるのでしょう。

 学園ではいつの間にか私の存在は、彼女から殿下を奪った女という事になっている。

 

 「お勤めの合間を縫って来ているだけですわ。 ミハエル殿下の婚約者として恥ずかしくないように努めるのが私の大切な役目ですから」

 

 私は公爵家の令嬢であり神子であり、殿下の婚約者でもあるから……言われっぱなしで縮こまっていては家族にも恥をかかせてしまう。

 こういうのは苦手だけれど、堂々としていなければ。


 「殿下の婚約者としての努めが大変なのでしたら、破棄していただいて一向に構いませんのよ?」


 ヒルマリン嬢の言葉に周りの令嬢や令息がクスクスと笑っている。

 きっと学園では「さっさと破棄すればいいのに」とかそういった話が出ているのよね。

 婚約破棄――――今までもこの婚約にこだわった事はないし、王家から打診された婚約なので特に思い入れはなかった。

 けれど、ふとミハエル殿下姿のシモンズと視線が合うと、なんだか胸が苦しいような気持ちになり、「私は破棄しても構いませんわ」という言葉が出てこない。

 とにかくこの場を離れなくては。


 「それは殿下が決めることですので」

 「俺は婚約破棄はしないぞ、アンテリーナ」

 「殿下……」


 恐らく何が起きてるのかよく分かっていないシモンズは、笑いながらこちらに歩いてくる。

 公衆の面前でこんな恥ずかしい事を堂々と言うなんて――。


 「どうした? 婚約破棄されるかと思ったのか?」


 思い切り顔を覗き込まれながらなぜか心配されてしまう。

 これじゃ私の方が離れがたいみたいでは……それにどうしてか、今日は本当に距離が近くて……!


 「殿下、私の事はお構いなく――」

 「はははっ、照れるな!」

 「照れておりません!」


 死神さんは完全にこの状況を面白がっている。

 彼のペースに乗せられてしまうと令嬢らしからぬ言葉が出てしまいそうだわ。

 もうヒルマリン嬢と話すこともないし、挨拶をしてその場を去る事にした……彼女が怒りで震えているのを見て見ぬフリをして。

 この様子では一階で落ち着いて読書は出来なさそうだから、二階に行こう。

 グリエル殿下もやってきて正面の二階への階段を上っていく。

 ちょうど真ん中あたりまで上っていた時、ヒルマリン嬢が叫び声を上げた。


 「アンテリーナ様!!」


 あまりの大きな声に何事かと振り向くと、憤怒の表情のヒルマリン嬢が足早にこちらへ向かってきていた。

 もうこれ以上話すことはないのに。

 でも相手は公爵家の令嬢なので大事にはならないように、仕方なく話を聞こうとした時、


 「まだ話は終わっていなくてよ!!」


 目の前にやって来たヒルマリン嬢が激高しながら、私の腕を思い切り引っ張った。


 「え……」

 

 その反動でグラッと体勢が崩れ、私の体は背中から階下へと落ちていったのだった。

 

こちらの作品に興味を持って読んでくださり、ありがとうございます^^

もし続きが気になったり、気に入って下されば、ブクマ、★応援、いいねなど頂けましたら励みになります(*´ω`*)

皆さまのお目に留まる機会が増えれば嬉しいです^^

まだまだ続きますので、最後までお付き合い頂ければ幸いですm(__)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ