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断罪された悪役令嬢は死神の花嫁候補~時を戻した代償は、永遠の溺愛でした~  作者: Tubling@アルファポリス恋愛小説大賞「優秀賞」受賞


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笑顔が可愛い ~シモンズSide~


 翌日――まだ夜が明けてもいない時間に、誰もいないはずの室内に王太子の声が響き渡る。


 「ロザリンドのところへ行こうと思う。 君も来るだろう?」

 「は?」


 すでに着替えも済ませたガスパールが、ベッドの隅で腰をかけていた。

 やたらと輝きを放っているのが腹立たしい……人間姿の時は人間と変わらない生活をしているから眠くて仕方ねぇ……。

 

 「お前、今何時だと……」

 「もうすぐ小鳥のさえずりが聞こえてくる時間だよ。 起きて今日の作戦を立てようではないか」


 作戦って……まったく話しが通じないし、意味が分からん。

 

 「何をする気だ……」

 「聞いてくれたか?! 今日はだな……」


 眠い頭にガスパールのテンション高い声が響いてくる。

 頭がいてぇ…………今日も今日とてロザリンドのことを延々と話し、これから彼女に会いに公爵邸に行くと意気込んでいる。

 天界のヤツは皆こんなにお気楽極楽なのか?!


 「今から行ったら迷惑かかるだろうが! 少し落ち着け!!」


 俺に常識を問われていることをもう少し恥じろ。

 一旦コイツを落ち着かせて人間の食事をとってから公爵邸へと行くと、アンテリーナとその妹が街に行く予定だということが判明する。

 王太子姿のガスパールは喜んで同行すると言い始めた。

 その時のロザリンドの迷惑そうな顔といったら……恋に浮かれたガスパールはまったく気付いてねぇな。

 呆れつつアンテリーナの方へチラリと視線を移すと、少し戸惑っているのか控えめに苦笑している。

 今日はいつものローブにベルトを巻いたドレス姿ではなく、出かける用の軽装だ。

 

 「初めて見る服装だな」

 「そうですわね。 この方が動きやすいですから」


 ほんの少し頬が赤く染まっているような……照れているのか?


 「まぁ、いいんじゃないか? 似合ってると思うぞ」

 「……ありがとうございます」


 ホッとした表情でほんの少し笑っている。

 

 ギュンッ。

 

 また一瞬胸が苦しくなったような気がする……前にもあったコレは何の現象だ?

 胸の真ん中がドクドクしているような――――人間の体は脆いからな、ミハエルは病弱だったし気を付けなければ。

 相変わらず女神像を模ったアンテリーナの魂の輝きは変わらず、この輝きが妙に懐かしくて無性に手に入れたくなるんだよな。

 双子のロザリンドも同じような魂を持ってはいるものの、輝き方も色も全然違う。


 「とにかく街へ行こうぜ」


 俺がそう言うと、ロザリンドが王太子を睨みながら語気を強める。

 

 「私はお姉様と行きたいのですけど」

 「ロザリンド、君には護衛が必要だ。 私が付いて行くから安心したまえ」

 「護衛は別に付けております!」


 だんだんとロザリンドが哀れになってくる……ガスパールに執着されたが最後だな。

 なぜこれほどまでに妹の方に執着するかは聞いていない。

 あまりにもどうでもよかったのでロザリンドに絡みまくっているガスパールを引きずりながら馬車に突っ込み、皆でエルミネスの街に行くことになったのだった。


 ~・~・~・~・~


 街は沢山の人々の魂が溢れ、あちこち目移りしてしまう。

 どの魂も普段から目にする宝石のような魂だが、時々変わった形の魂や輝きも様々で面白い。

 でもどの魂を見てもどうしても欲しいと思うものはない。

 チラリとアンテリーナの方を見ると、王太子とロザリンドのやり取りに微笑んでいて、思わず手を伸ばしてしまいそうになっているのに気付き、手を引っ込めた。


 「アンテリーナ、お前笑ってた方が可愛いんだからもう少し笑え。 今日も楽しめよ」


 俺が欲しいのはコイツの魂だ。

 でもなんとなく控えめに笑っているのを見ると、もっと笑わせたくなる。

 表情は控えめなのに魂は喜びを隠せていないんだよな。


 「こんなに人が溢れてる中に来るのは初めてだぞ……!」


 自分のおかしな言動や行動を誤魔化すようにはしゃぐ。

 そんな俺を見て微笑んでいるのを見ると、色んなことがどうでもよくなっていったのだった。

 

 そして俺たちはどういうわけかカフェに来ていて、パルフェというクリームとフルーツたっぷりのスイーツというヤツを頬張っていた。

 ロザリンドは不機嫌だし、ガスパールはロザリンドがアンテリーナにベッタリなもんだから終始アンテリーナを敵視しているし、雰囲気悪すぎる。

 そのせいですっかりアンテリーナから表情が消えていた。

 魂の輝きも落ち着いてしまっている。


 「ほれ」


 クリームやフルーツを乗せた匙を有無を言わさずアンテリーナの口の中に入れてやった。

 途端に表情が輝き、頬を染めながら噛みしめている。


 「こちらも美味しいですね」

 「だろう?!」


 今日一番の笑顔を向けてくるアンテリーナ……その笑顔を見た瞬間。


 ギュンッッ。


 今度は強めに胸が苦しくなった。

 なんなんだ……?

 俺は本当に病気になってしまったのではないか?

 何度も胸が苦しくなるなんて、明らかに体に異変が起きている兆候だ……ドクドクするのも激しくなっている気がする。

 何度も深呼吸をしてなんとか落ち着かせようとする。

 さっきまですっかりしぼんでいたアンテリーナの魂は輝きを取り戻し、本人も美味しそうにパルフェを堪能し始めた。

 

 ホッ。 


 アンテリーナが元気になるとさっきまでの胸の苦しさなくなり、じんわり温かくなってくる。

 自分の体調が良く分からないが、目の前でアンテリーナが笑っているし、まぁ良しとしよう。

 隣でガスパールに思いっきり絡まれているロザリンドを放置しながら、自分のパルフェを平らげていった。


こちらの作品に興味を持って読んでくださり、ありがとうございます^^

もし続きが気になったり、気に入って下されば、ブクマ、★応援、いいねなど頂けましたら励みになります(*´ω`*)

皆さまのお目に留まる機会が増えれば嬉しいです^^

まだまだ続きますので、最後までお付き合い頂ければ幸いですm(__)m

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