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断罪された悪役令嬢は死神の花嫁候補~時を戻した代償は、永遠の溺愛でした~  作者: Tubling@アルファポリス恋愛小説大賞「優秀賞」受賞


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10/12

お忍びデート(?)


 子供の死神が襲ってきた事件もあり、その日のお勤めが終わって帰邸するとあっという間に眠りに落ちていった。

 夢の中での私はロザリンドを無事に救う事ができて、死神さんとの魂の契約も白紙になったのか、家族と笑い合っている。

 こんな都合の良い光景……あるはずがないと分かっているので、夢の中なのに夢だと分かる。

 でももう少しだけ浸っていたい――。

 そう思ったところで目が覚めてしまうのだった。

 目尻から伝う涙を拭いながら、時間が巻き戻った現実を噛み締める。


 今私は生きていて、家族を不幸にしてしまった未来をやり直せるのだ。

 昨夜は子供の死神さんがやってきてすっかり有耶無耶になってしまったけれど……逆行してから大神官や王太子殿下、ミハエル殿下姿のシモンズと交流し、誰がロザリンドを殺害した犯人なのか考えをめぐらす。


 一番有力なのは大神官フェラガモート……でも今のところ、逆行前と相変わらず友好的なので、なぜ私が邪魔なのか、なぜロザリンドを……公爵家を潰したのか分からない。

 彼はロザリンドの事をことさら可愛がっていて、彼女を手に掛けるとは未だに思えないのよね。

 

 王太子殿下の真意も分からないけれど、殿下もまたロザリンドを深く愛しているはず。

 私が邪魔なのは理解出来てもロザリンドを狙う人間が誰なのか、ますます分からなくなってしまうわ。


 「はぁ……」


 ため息をつき、焦る自分を落ち着かせる。

 ベッドの上で天を仰いでいると、突然ノック音とともに扉が開かれ、当の本人であるロザリンドがベッドに飛び込んできたのだった。


 「お姉様~~~おはようございます!」

 「おはよう、ロザリンド」


 まだ起きたばかりの様子ですぐに私のもとへ来たのか、無造作な金色の髪を撫でる。

 

 「お姉様……私、お姉様にお聞きしたいことがあります」

 「何かしら」

 「お姉様がお勤めの日……民に奇跡が起きたと国中大騒ぎになったのですけど、覚えています?」

 「え……っと……」


 ロザリンドが言っているのは恐らくシモンズが私の力を増幅してくれて、いつもよりもお勤めを張り切ってしまった日のことよね。

 あれが奇跡と呼ばれているのは今知ったけれど。


 「ええ、覚えているわ。 私は普通にお勤めをしていただけだけれど」

 「普通でこんなことが出来るなんて……さすがお姉様です!」


 なんだか違う方向に勘違いされてしまったわね……戸惑いつつもあえて否定せずにいる私に瞳を輝かせる妹。

 若干罪悪感を感じてしまう。

 

 「その事がどうかしたの?」

 「大神官様が私が行ったと言いふらし始めたのです……あの日はお姉様の日だって誰もが分かっているのに!」

 「そう」


 大神官なら言いかねない。

 本当に私のことが気に入らなかったのね……逆行前と違う行動をした事によって徐々に明らかになってくる。

 でもどうしてそこまで邪険にされるのかは分からないけれど。


 「お姉様は悔しくはないのですか?! 私は悔しくて悔しくて……反論したのですけど、結局誰も異をとなえないので押し切られてしまって……」


 そうでしょうね。

 あの大神官に口答えできる人は神殿内にはいないもの。

 陛下ですら度々言いくるめられてしまう事もあるくらい、彼の求心力は高い。

 神官長様は神官の中で最上位というだけで、神殿の最高位である大神官に盾突く事は出来ない。


 「ロザリンド、大神官様には出来る限り従うように、ね」

 「どうしてですの?! あんな人……!」

 「確かに善人には見えないかもしれないけれど……王国内でも大変な権力を持つお方だから。 あなたに何かあったらと思うと心配なの」

 「お姉様……」

 

 これは私の本音。

 ロザリンドの最期を知っているだけに……誰が犯人か分からない状態で、あまり彼女の敵を作りたくはない。

 妹は直情的なところがあるから、敵を作りやすい一面もある。

 家族の為に正義を貫こうとする姿勢は本当に素晴らしいし、ロザリンドの美しいところでもあるから、こんな事を言わなくてはならないのが心苦しいけれど。


 「ほらほら、可愛らしい顔が台無しよ」

 「だって……哀しいのはお姉様なのに……私の心配をするんだから」

 「うふふっ」


 私に抱きつきながら、私の為に嘆いている妹……なんて愛おしいのだろうか。

 私はあまり表情が変わらないので、イマイチ何を思っているのか伝わらないのかもしれない。

 そこで私から彼女を抱擁し、優しく頭を撫でてみた。


 「ロザリンド、ありがとう。 あなたがそう言ってくれるだけで私は頑張れるの」


 妹は満足したのか、満面の笑みを浮かべ、ベッドの上を転がっている。

 ロザリンドは幼い頃とあまり変わらないわね。

 こんな事を言っては怒られてしまいそうだけれど。


 「そうだわ、今日は二人ともお休みの日だからお出かけしましょうって話していたわよね」

 「そうなのです! それが楽しみで早く起きてしまったの」

 「ふふっ。 では身支度を整えて食事をしてから行先を決めましょう」

 「はい!」


 ロザリンドが元気よく返事をして、颯爽と部屋から出ていった。

 相変わらず嵐のようだけれど、可愛いが勝っていて微笑ましくなる。

 私は使用人たちに手伝ってもらい、身支度を整えてホールへと向かい、軽い食事をとることにしたのだった。


 ~・~・~・~・~


 「お姉様と二人で回りたかった……」

 「ロザリンド……そんなことを言っては王太子殿下に失礼よ」

 「だって……」


 妹がなぜガッカリしているかと言うと私たちのお出かけに、変装した王太子殿下とミハエル殿下が同行する事になったからだ。

 これには私も驚きを隠せない。

 突然邸が騒がしくなったと思ったらお二人がやって来て、私達が出かける事を知るとすぐに従者に指示を出して変装し、共に王都の街エルミネスへお出かけすることに。

 シモンズはこういうのが好きそうだけれど、王太子殿下がこんな事をなさるなんて――。

 プラチナ色の髪を綺麗にブロンズ色のカツラの中に収め、服装も平民の服を着ているのでまったく王族には見えない。

 もちろんシモンズも同じなので、完全にお忍びでのお出かけといった感じだ。


 「ロザリンド、安心してくれ。 ちゃんとそこかしこに護衛を配置している」 

 「そういう問題ではありませんわっ!」

 「怒った君もキュートだ」

 「もう黙っていただけません?!」


 王太子殿下の言葉を聞き、見渡してみると、本当に5mごとに配置されているのではというくらい、不審な人がソワソワしながら立っている。

 逆に怪しいと思うのだけど。

 護衛も大変ね……ロザリンドも大変そうだし。

 王太子殿下って妹の前だとこういう感じなのね。

 私が呆れているとシモンズが寄ってきて、自身の変装を得意げに見せてくる。


 「どうだ? 王族には見えないだろう?」

 「ええ、確かに……」

 「まぁ平民の恰好をしていても俺の美しさは隠し切れないけどな!」


 物凄い自信満々に言い放つので、逆に面白くなってしまう。


 「ふふっ。 そういう事にしておきましょう」

 「アンテリーナ、お前笑ってた方が可愛いんだからもう少し笑え。 今日も楽しめよ」


 突然優しく微笑むから何かと思えば……ほんの少し心臓がうるさい気がするのはお出かけで高揚しているからかしら。

 でもすぐにいつもの調子のシモンズに戻り、子供のようにはしゃぎ始める。


 「こんなに人が溢れてる中に来るのは初めてだぞ……!」


 とても目が輝いているわ。

 恐らく彼が見ているのは人々の魂に違いない……これだけの人がいれば、彼のお眼鏡にかなう魂を見かけてもおかしくはないわね。

 今は私の魂に執着しているようだけれど、その内他に目移りして興味がなくなったり――――

 そこまで考えて、少し胃のあたりがチリッとした気がする。

 朝の食事を食べ過ぎたのかしら……?

 痛みは一瞬だったようで、もう痛くはないわ。


 「アンテリーナ? どうした」


 突然顔を覗き込まれ、驚きのあまり声が上ずってしまう。


 「な、なんでもありませんわ! さぁ見て回りましょう」

 「そうだな!」

 

 思いがけず4人になってしまったけれど、気を取り直してエルミネスの街中を歩いてみる事にしたのだった。

 

こちらの作品に興味を持って読んでくださり、ありがとうございます^^

もし続きが気になったり、気に入って下されば、ブクマ、★応援、いいねなど頂けましたら励みになります(*´ω`*)

皆さまのお目に留まる機会が増えれば嬉しいです^^

まだまだ続きますので、最後までお付き合い頂ければ幸いですm(__)m

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