表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

41/58

第41話 三人組です。仲良きことは美しき哉です

「今日はみんなに、この先しばらく一緒に活動する三人組を作ってもらうよん!」


昨日も簡単に説明していたらしいが、僕らはクラスの中で三人組を作ることとなるらしい。


昨日説明してたんだ、そんなこと。


テオとシトロさんの存在が気になり過ぎて、全然、聞いてなかったや。



それはそうと、なぜ三人か。


潜行者は基本的に、この三人で行動するからである。


理由は色々ある。


色々た。


知らないわけじゃないぞ?


覚えてないだけで。


「はい、どうして三人なのか、この理由わっかる人ー」


シトロさんの問いに、目をそらす僕とは対照的にスズがピシリと几帳面に手を上げた。


「はい、スズ」


当てられて、スズは「はい」と短く答えると、スッと立ち上がった。


地下坑道ダンジョンに降りる一番小さな昇降機リフトの定員が六名であること。

さらに、セーフルームの広さなどを加味した結果、最小行動単位を三として、これを潜行者はセルと呼びます。

セルを二つ合わせた六名をユニット。

これが、地下坑道探索の基本形となります」


……セルとかユニットとか言うんだ。


無駄にかっけーな。


マチダのおっちゃんはそんなこと言わなかった。


明日、ベーやんとヤスとの三人組で穴潜るかー、くらいの感じだった。


いや、なんだったら三人揃ってないこともあったぞ?


「ベーやん風邪引いたから、今日は二人でええかー」みたいな。


というか、三人組が正式名称だと思ってたわ。


「三名の役割は、一名が主攻。

もう一名が援護。

そして、最後の一名が指示と周辺警戒に当たります。

前方と後方、それぞれにセルを一つずつ配することで、死角をなくす。

これが地下坑道ダンジョン探索の基本形となります」


スズは特に緊張した様子もなく、淀みなくすらすら答える。


スズ、普通にしてたら賢いし優等生なんだよなー。


ちょいちょい、頭のネジが行方不明になるだけで。


「そだねん。

優秀、優秀。

さすがスズ!」


シトロさんが、パチパチと拍手する。


こんな、あからさまに身内びいきして良いのか?


仮にも先生が。


シトロさんは更に補足する。


地下に降りる昇降機には様々な種類がある。


ただ、六人から十二人程度が乗れるものがほとんどであり。


昇降機の前にあるセーフルームと呼ばれる強固なシェルターも、それほど広いわけではない。


備蓄の数も限られている。


そのため、不測の事態が起こった時に籠城できる、あるいはすぐ撤収できる最大単位も六なのだと。


「坑道内は狭いとこがほとんどだし、大人数でぞろぞろ行っても的になるからね。

それと、もう一つ、大人数が駄目な理由があるよー」


シトロさんはそう言ってから、クラスを見渡した。


「じゃあ、じゃあ、新入生代表カナタくん。

行ってみよっか?」


指されたのは、あの新入生代表の少年だった。


僕たちより少し年上。


スズと同い年くらいだろうか?


金髪に青い目。


改めて見ると、こいつもイケメンだな。


……仲良くできなさそうだ。


カナタはすっと立ち上がる。


まものは人を餌、あるいは苗床と認識しています。

そして、自らを狩る脅威だとも理解していると言われています。


人数が増えれば、蛇は集結し、殲滅に動き出します。

大部隊を展開できる地下大講堂などは別として、大規模行軍は格好の的となり、狭い坑道内では動きも制限されてしまいます」


そして、こいつも普通にすらすら説明する。


ケッ!


ちょっと噛んだりしろよ!


と思ったら、なんか、ちょっと照れたみたいにはにかみながら座る。


あら、やだ。


ちょっと可愛いじゃないか。


……くそ、女の子の視線が釘付けではないか!


***


「じゃ、三人組を作ろっか」


シトロさんが言った。


思い出すなー。


前世の小学校とか、僕の高貴で控えめなオーラのせいか、こういうの絶対余るんだよなー。


繊細だから、なかなか一緒に組もうって頼めないし。


……ボッチじゃねーぞ、断じて。


ちょっと、仲良い友達が少なかっただけさ。


「あの、先生」


優等生。


カナタがすっと手を上げた。


「僕らは互いのことを、まだよく知りません。

その、分からないままチームを組むというのは……」


もっともだ。


誰がどんな能力を持っているのか。


魔法使いなのか、戦士なのか。


現状、それすら分からない。


各々の実力や性格も分からないのだ。


「もっちろん、その辺りは任せておいて。

私が勝手に決めるから、心配しなくて良いよん」


曰く、生徒のデータや性格はすべて頭に入っているという。


その上で、一学期の終わりまではシトロさんの決めた三人組。


そこから休みを挟み、二学期までに希望がある者は三人組を入れ替える。


現実の潜行者もそうだが、固定三人が他の固定三人と組んで、六人パーティを作るのが基本になる。


マチダのおっちゃんもそうだった。


ギルドで別のグループと合流して潜るのだ。


そのため、他の三人組……セルは毎回同じとは限らない。


つまり、どういう戦い方をするのか、色々なセルを見ることができるのだ。


その中で、自分に合いそうな相手を探すのも悪くないという。


ただ、とシトロさんは付け加えた。


「もう気づいてる人もいると思うけど、私は皆の知ってる『玻璃珠の魔女』だよん」


教室が一瞬、ざわついた。


「私が考えた三人組はー、実力を出し切ればっ、一番効率よく蛇を狩れるし、成長もできるっ!


仲良しこよしがしたいなら〜オッケイ、好みの相手と組み直せば良いわ」


彼女はきっぱりと言い切った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ