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好き を 求めた 異世界 物語   作者: 三ツ三
ニ章   adventure children
61/70

第二六話 陸棚水晶 ダーゼ・ビズス・スプラクア

楽神祭。


水幸楽神の巫女を中心にしたセカンエンデの一大行事。


町の者達から巫女は称えられ尊敬され最終的には王都スプラクアへ赴く。

それが決められた流れだと、みな羨んでいた。


だが、今その事実に揺るぎを見せていた。



オノス町長の家を襲撃した男は、元巫女である妹の所在を調べていた。

だがその結果は想像をしていた物とは違った物だった・・・。



そしてその情報を得たトゥトゥーは名も知らぬ襲撃者から追われる身となっていた。

まるでその巫女の事実を隠蔽するかのように。




【??????】




「盗聴者は、恐らくジャパニアの人間かと推測されます」



トゥトゥーを襲撃した者達が報告をしていた。


そこはどこかの洞窟なのか地下なのか、ただ薄暗い場所だった。



シェイン

「あぁああああああああああああ!!!!!! そ う で す か !!!」




暗がりの場所でシェインの奇声が響く。


明かりはロウソクの灯火のみ、そんな空間で彼はただ自分の欲が抑えられずに奇声を発していた。



シェイン

「それで? 確保はしたのですか???」


「いえ、現在数名で捜索を進行ty」


シェイン

「か く ほ は???? したのですかと聞いているのですよ?」




部下の顎を鷲掴む。

喋らせないように、顎が破壊される、そんな錯覚を頭に過ぎりにながらも部下は震える。


自分は・・・殺されるのかと。




シェイン

「一刻も早くとっつかまえなさぁああーー!!」


「ぁぁ・・・す・・すぐにぃい・・!」




どうにかして喋り投げられるようにして解放された。


そして部下はその場から逃げるようにして立ち去った。




ヌーター

「ほほぉん、教祖シェインはお優しいのですねー。そんな悠長なことをしていて大丈夫なのですか?」




奥の席に足を組み座っているのはヌーターだった。


眼鏡を上げシェインに問い掛けた。




シェイン

「慈悲深い・・・あぁあ!! なんて慈悲深いのでしょう!! この慈悲深い自分が憎い!! まさに優しさの化身!!!」




一人踊るように大声を上げる。

それをヌーターまるで耳にしていなかった。


自分にとっては本計画が進むことのみが最優先事項である。

計画が順調に進んでいるからこそ少しの障害も残したくないということだ。



シェイン

「あなたも中々の慈悲深さ!! ヌゥゥウウウターー博士ーー! あなたほどに今計画を支持している方はいないでしょぉおおおおうう!!」


ヌーター

「えぇ、きっかけはあなたでしたが、それ相応の労力を費やしたのです。このまま円滑に進んで貰わねば困ります」


シェイン

「でしたらお答しましょぉおおう!!・・・・・・特に問題ありましぇえーん」




まるで馬鹿にしたような顔で話すシェイン。

だがそれを見てヌーターは苛立ちを覚える事もなく納得した。


教祖シェインがそう告げる場合は本当に問題がなかった。


ウェイスの時もあのダンズの時もと、ヌーターは思い返す。



全てはこの計画の為の下準備、実験。



十分な情報を取るための物だった。




ヌーター

「気が掛かりなのは、あのダンズの街で起きたことですねーー。あれは正攻法では無い、事故とはいえ正確な物とは思えない」


シェイン

「問題ないって言ってましたので問題ないかと???」




両手を広げまた馬鹿にしているようなジェスチャーで返すシェイン。


ダンズの一件、つまりはギフトとギフト生成者あるいは生成時の真素を保有しているジーンテルマ保持者の結合。



本来であればあのような結果にはならなかったはずが、ヴェアリアスの横槍と警護団体の人間が装置を横取りし適正もないのに自分で使用してしまった。




ヌーター

「結果として、我々が予想していた物とは全く別物になっていたようですし。もっと言わせてもらえば、あの装置自体に欠陥があったようにも見受けられますが?? 条件は一応に揃っていた、ただ一つの異物が混入した程度で3割にも満たない結果だったなんてどう見ても欠陥だったとしか言えないでしょう?」


シェイン

「あれぇええ???? 博士様ー嫉妬ですかぁー!!?」




ヌーターの言葉通りであればあの実験は結果的には失敗に終わった物。

いくら装置が完璧で条件も満たされているのにも関わらず一人の人間が結合時に含まれただけで結果を大きく阻害した事にヌーターは指摘していた。


あれは自分の開発じゃないからこその指摘。


そう、あれはヌーターが作った物ではないのだ。




シェイン

「まままーーまぁまぁーまぁーま、そう興奮されるでないよですよ博士。今回の装置!あんれは素敵な出来がじゃないですか!! 誇りを持ちましょうーーよぉー!! そう!!素敵な誇りを!!! 略して砂埃ーー!!!っつてねぇえ!!あははははははははは!!!」


ヌーター

「・・・・・・・・・」




シェインの言葉はいつも通り無視しているが、それも不安要素が多すぎることにヌーターは苛立ちを覚えていた。


実のところ前回の開発であった試作型のパラサイトジェムも自信作ではあったが適合する人間が限られていた事に不満があった。


しかもその適合者は最終的に暴走を始めておりいずれ破裂して終わりを迎える物だった。


そして何より長年培ってきたあの兵器獣ケルベロスを破壊した者達が今もこのセカンエンデへと向かっている。



そうヴェアリアスだ。



彼等の存在が一番の不安要素である、そんな物を抱えているのにも関わらず新たな傑作を合同で開発する事がヌーターにとって更なる不満を生んでいたのだ。




シェイン

「心配はいりませんこの計画は必ず成功します何故なら・・・・・・『大司祭様』がそうおっしゃっていましたので」


ヌーター

「ほう・・・あの大司祭様直々に」




大司祭様、つまりはハイトスのトップの人間。


世に出ることのない人物であり、シェイン等幹部でさえあまりお見受け出来ない存在。

ハイトス全てを掌握している者。



何故かシェインの言葉にヌーターは落ち着きを見せていた。



シェインが大司祭の言葉を口にしたその意味を理解したからだ。




シェイン

「"彼女"もしっかりとやっている、問題はないですよ」


ヌーター

「・・・・・・わかりました、あなたの言葉を信じましょう」





会話は終わりと告げるようにロウソクの火をシェインは素手で消した。


辺りは何も見えない暗闇へと変わり、まるで何も無かったかのような空間へと変わった。




全ては計画通り・・・そしてその計画は必ず成功する・・・。



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【セカンエンデへの道中】



全員が中継でトゥトゥーの報告を聞いていた


追手はまいたということで改めて報告をくれていた。



俺は追手が追跡を止めたのか、それともただ泳がされただけなのか疑問い思っていたが最後までトゥトゥーの話しを黙って聞いていた。



そして報告が事実なら、間違いなく・・・。




ナザ

「やっぱり・・・思った通りってわけかよ!」


サナミ

「ずっと続いていたのに、気付けなかったなんて・・・」


シュリー

「少しでも悟られないように周到に隠していた、今私達が悔やんでも仕方ないわ」


サナミ

「うん・・・ごめん」





シュリーの言う通り、その男には悪いがそう切り離させて貰う。

そしてそれを糧に俺達が何としてもそのふざけた物を壊す。


そう誓うしか俺達にはなかった。




トゥトゥー

「これは私の憶測なのですが、巫女に選ばれた者は何らかの理由で自我を失っている可能性があります。 過去の巫女が書き記したとされる字は途中から綺麗な物というわけではありませんでした」




自我が・・・?


ただでさえショッキングな話しなのに更に追い打ちをかけるような事態だな。


トゥトゥーの話を聞きそのメモに書いてある字がどのようなものだったのか目に浮かんだ。

決して最後まで自由に書くことが出来なかった、むしろ字を書くことすら自由を与えてもらえなかった可能性か。


一体彼女は何をされたんだ。




タスケテ。




それは誰かから逃れたかった言葉なのか、それとも・・・自分の命を・・・。




ユミィーリア

「わかりました、では引き続き調査をお願いします、出来る限り私達の先行部隊も向かわせますが、それまで無理をしないように」


ルシュカ

「トゥトゥー、ぬかるなよ」


トゥトゥー

「はっ・・・!」




トゥトゥーの通信が切れる。


全員が言葉を詰まらせていた、予想通り。

だったからこそ言葉が出なかった、さらにその予想を上回る可能性が出てきてしまった。


そんな事態にみな顔しかめていた。




ルシュカ

「カズキ」


カズキ

「ん、どうした」


ルシュカ

「先ほどのトゥトゥーの話についてだが・・・」




わざわざ俺を呼んでさっきの話をぶり返すということは何か心当たりがあるのか?


俺は黙ってルシュカの話に耳を傾けた。



ルシュカ

「的外れかもしれないが・・・自由を奪う、または人間を操作するなんて芸当・・・まさかだが」


カズキ

「・・・・・・・・・」



歯切れの悪い言葉だが、俺達の事を考えて言葉を選んでくれているのだろう。

自分であまりしゃべるのは得意じゃないと言っておきながら必ずこういった場にはしっかりと参加してくれている。

感謝しかない。



そしてルシュカが俺に伝えたいこととは。




カズキ

「パラサイトジェム・・・それが使われてるってことか」


ルシュカ

「あぁ、お前もそう思うか。専門家の意見はどうだシュリー」


シュリー

「カズキにワンクッション入れて話しを振るのは気に入らないけど。概ね正しいと思うわ、それもかなり進化して使われてる可能性が大いにあるわ」




人間に寄生し自我や意識を乗っ取る石。


その石を破壊しないと永遠と人間から血や肉、真素などあらゆる物を吸い続けやがては自壊する物。


それを付けられた人間は通常なら自我を失い身を滅ぼし続けながら本能のままに行動する。


もしそれが改良され自我を失わせ、思うように操作できるようになる可能性はあるとシュリーは語る。



みなそんな事許されるはずないと怒りを覚える。



だがそれを開発した人間はそれを良しとする人間だ。

今は何処に潜んでいるか、結局足取りは掴めなかったが、もし今回の巫女にその技術が使われているならば。




奴もまた、セカンエンデにいる。




そして・・・奴も、ハイトス幹部のシェインも・・・!



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【水幸源の町 セカンエンデ 孤児院】



町長さん宅の襲撃事件から私達はすぐにその場を離れ孤児院に戻ってきた。



ミニア

「ネーネ・・・」




ネーネは建物から出た瞬間に緊張の糸が切れたように倒れた。


すぐに私達は孤児院に帰りベッドで安静にさせた。

マザーは心配はいらないと言ってくれた。


それが聞けただけでみんなほっとした。


それからはオノス町長の言う冒険者ギルドへのお礼とやらは別にいらないということで寄らずにこのまま孤児院にいることにした。


ヒルメはガミガミ言っていたようだがそれは無視したが。




チヨー

「・・・・・・」




チヨーはあれから黙り切りだった。


私達があの場に到着した時には首謀者の男は死んでいた。

チヨーの話では町長が返り討ちにしたと話していた。


それ以外の事は何も話さなかった。



ネーネに関してもわからないとだけ。



チヨーの言葉を疑うわけではないが、一先ずそうゆうことにして場を治めた。




けれどみな口にせずともわかっていた。

何かがあったのだと。


きっとネーネがこんな状態になる理由があった。


理由なんて簡単だ、首謀者があんなことをやった理由。

それに関係があることなんだ。




メレニア

「・・・・・・みんなー! お茶が入ったよー、戻ってきてから何も口にしてないでしょ? こういう時こそ、何かを口にしておきなさい」




シスターが奥からお茶のセットをお盆に乗せて現れた。


ネーネが寝ているところに居たい気持ちはあったがマザーがみんなに行ってくるように言った。


その言葉に甘え、ネーネをマザーに任せて私達は食堂へと向かった。




ヒルメ

「なーーんでわざわざ持ってきたの?」


メレニア

「んーー・・・さぁ?」


ダツ

「なんだそれーー」




シスターの明るさはいつも子供のみんなに笑顔をくれる。

シスターメレニアがこの孤児院に居てくれたおかげで明るく賑やかだったのは間違いない。


引っ込み思案のネーネもみんなと居る時だけは楽しそうにしていた。


なんだかんだあるといつもシスターが全て丸く治めていた。


結局今日だってこうやってセットを持ってきて・・・・・・これはただの間違いな気がする。



そうこう考えてる内に食堂に付いた。


みんな席に着きシスターが入れてくれるお茶を楽しみに待っていた。




ヒルメ

「チーちゃん・・・」


チヨー

「・・・うんごめん、ありがとうヒー」




ヒルメがチヨーの手を握る。


それだけでチヨーがいつもの表情に戻っていく気がした。

やっぱり長年ずっとにいただけあるというのか、物凄く共感した。


あれを私がやっても駄目だし、逆だった場合ヒルメがやってもダメなんだ。


それがわかって、改めて私達は似た者同士なのだと思った。


きっと他の人では入ることのできない空間、その空間には・・・きっと誰も・・・誰も・・・。




ミニア

「・・・・・・」



ネーネにいつも自分で注意しているのに駄目だな。


私も結局あの人の顔を浮かべてしまっていた。




メレニア

「はーーいおまたせーーシスター自慢の特製リラックス効果抜群スーパーティーでーーす」


ケイト

「ただの・・・薬草茶・・・だよこれ?」


メレニア

「相変わらず可愛げがないなーケイトは、愛情が込められているのです愛情が、っささ、みんなで飲もう!」




こうやってリラックスさせてくれるのがシスターメレニアだ。


私達は結局そうやって肩の力を抜いてもらっているのだ。


それじゃあ、とみんなが出されたカップに手を伸ばした時だった。




???

「失礼します!! こちらに先ほど起きた事件を治めた子供達がいると聞いて参りましたーー!!」




私達のティータイムは・・・少しばかり延期になりそうだった・・・。








突然の来訪者に僕達は院の玄関前で驚愕していた。


それは二人の女性が言った言葉に口を開く隙を与えなかったのだった。



ムーゼ

「わたくしは、ムーゼと申します、こちらに仰せられる。ターゼ・ビズス・スプラクア王女殿下の側近でございます」


ターゼ

「ども~・・・」



ん?


今なんて言った?


僕は他の人達の顔を見合わせたがみんな同じ顔をしていた。

ムーゼという女の人は今、笑みを浮かべ手を振っている女の人を・・・王女殿下・・・って。




ダツ

「まーさk」


ミニア

「馬鹿!! あんた本当に怖い物知らずね!」


ヒルメ

「えーーー見たことないからわかんなーーい」


ミニア

「てめぇえええ!!!!」




ミニアの手は足らなかった。


けど、その言葉に僕達はそっと来訪者の方に視線を向ける。




ターゼ

「いやーーよく言われるんだよね僕ー気にしなくていいよーうん」


ムーゼ

「ちょっとお姉ちゃん!! いつも言ってるけど人前の時はしっかりしてって言ってるでしょ!!!」


ターゼ

「あぁーごめんごめん、それじゃあ改めて王女殿下だーー敬えーーふはははは!!」




腰に手を当て胸を張るターゼ王女殿下?


僕達はその行動にただただ言葉を失っていたのだった。

というよりもなんて言っていいのかわからなかった。


それが常人なら笑って済ませていたのに。




ヒルメ

「ぶははははっはh!?」

ミニア

「あんたももう喋るな!!!」


ダツ

「んん!!!んんんんーー!!! んんんんんー!!!」




気が付いたらダツは縄でぐるぐる巻きにされて身動き所か言葉すら発せられない状態になっていた。


そしてそれを見たターゼ女王殿下?は爆笑していた。



ターゼ

「あははははははは!!! ムーゼ見てあれ芋虫!!芋虫だよあれ凄い!!初めて見たあはははははは!!!」


ムーゼ

「ぐぅぅ・・・!!!!」


ターゼ

「あえ??」




「ちょっと失礼」とムーゼさんは王女殿下?を掴み一度院を出ていった。


姿が消え見えなくなった瞬間。




ムーゼ

「だからいつも言ってるでしょ!!!!お姉ちゃんはもっと自覚を持ってくれなきゃ私が怒られるって!!!毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回!!!」


ターゼ

「だって僕・・・久しぶりの外でつい・・・」


ムーゼ

「あなたがそんなんだから外に出れないって何回言わせれば気が済むんですか!!!側近の私の身にもなってくださいってお願いしているでしょ!!それといつも言っているけどその"僕"もやめてっていつも言ってるでしょ!! どうしていつも学習能力が蒸発していくのよ!!ご飯の事はいつも覚えてる癖に!!何!?頭の中はパンとシチューで出来てるの!!?だから腐っていってるってわけ!!?年々!?月々!?それとも秒で!!?」


ターゼ

「ソコマデイワナクテモイイジャン・・・!!!」




あっ・・・多分泣かせた。


声の状況からするに妹のムーゼさんがきっと泣かせちゃった。


いつもの恒例行事なのか、「今日はそれ効きませんから」と頑なに意地を張っているようだが・・・。




ターゼ

「うわぁあああああターーーゼがいじめるぅうううううわぁああああ!!!」




その声は確実にこちらまで届いている。


まるでそれが狙いかのように物凄い大きな声でこちらまで響いてくる。



そして・・・・・・。




ムーゼ

「大変おまたせしてしまい申し訳ありませんでした、よろしかったら少しお話しをと思いこちらに参った次第でございます」


ターゼ

「あはぁあ・・・ムーゼしゅきぃい~~あぁぁムーゼ~~」




・・・・・・・・・・・・。





僕達は更に言葉を失ってしまっていた。


ムーゼさんの腕にひっついて頬で凄い勢いでスリスリしている王女殿下?に流石のヒルメもダツも言葉を失っていた。



これが・・・・・・スプラクア国の王女殿下・・ターゼ・ビズス・スプラクア・・・。



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【セカンエンデへの道中】



カズキ

「そういえばさ、ふと思ったんだけど」



俺は唐突にに通信越しに話しかけた。


それにみなが反応して俺の言葉を待った。




カズキ

「あんまり話しに出なかった、ターゼ王女殿下だっけか」





サナミ シュリー ユミィーリア ルシュカ

「「「「っっっ!!!?」」」」 ガタガタガタガタッ!!!!






何その反応・・・え、なんか俺やっちゃいました????


冗談はさておき、そう言えばあまり話題に出てこなーなんて思っていたが・・・え?




サナミ

「えっとぉー・・・んーっとそうだなー・・・」


ユミィーリア

「あぁー!!そうそう!! 側近のムーゼという人が凄く立派なんですよ!なんでも王女殿下の実の姉だとか!!」


ルシュカ

「おぉ! 私も聞いたことがあるぞ!姉であり妹の王女殿下を自らお守りする為に剣技を学ぶ為に軍に志願したこともあるとか!何でもその剣技の腕が中々と聞いている!!」


シュリー

「それに薬剤医師としての知識も豊富なのよ! 何度か学ばせてもらったことがあるわ! 剣技に知恵! えぇ本当に立派な子だと思うわ!」




なんで、そんなにも早口なの、しかも褒めてる人間違くね?




サナミ シュリー ユミィーリア ルシュカ

「「「「あはははははははははは!!!!」」」」





カズキ

「・・・・・・・・・」






サナミ シュリー ユミィーリア ルシュカ

「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」






え!?

何話題終了!?

この沈黙は何!?



え、本当に俺なんかやっちゃったのか!!!?




カズキ

「待て待て待て!! なんで一斉に通信切ろうとしてるんだよ!!」


サナミ

「カズキさん、世の中には触れてはいけないことがあるんだよ」


カズキ

「え!? そんな話!!? 顔面蒼白!!? 青ざめるほどの何か!!?」


シュリー

「空気読みなさいよ馬鹿・・・最初だってあまり触れないようにしてたじゃない馬鹿・・・」


カズキ

「罵倒が適当だなおい!! 語尾に馬鹿って付ければいいと思ってるだろお前!!!」


ユミィーリア

「はは・・・ははは・・・ふふふ・・・ふははは」


カズキ

「もはやこえぇえーぞ!!? 口から何か出てるし!!! 誰かどうにかしてあげて!!!」


ルシュカ

「ふっ・・・・・・・」カチカチ


カズキ

「カッコつければ通信切っていいわけじゃねーから!!!機械音痴か!!?だから切ろうとするんじゃねーよ!!!」





なんだ・・・。


ある程度は察したが、なんかさっきまでの緊迫感先生が急に頭抱え出したかのようなめちゃくちゃな状態だぞ。



サナミ

「もうやめてって言ったのに嫌だって言ったのにもうやめてって言ったのに・・・嫌だって言ったのに・・・」


シュリー

「理屈じゃないの理屈じゃないの理屈じゃないの理屈じゃないの理屈じゃないの化け物なの」


ユミィーリア

「あぁうぁ・・・うあぁうあ・・・あぁううあう」


ルシュカ

「これは修行これは修行これは修行これは修行これは修行これは修行これは修行これは修行なんだっ」




カズキ

「・・・・・・・・・」




嘘だと・・・ほぼ世界主力と言っても過言ではない奴らが。


こいつらが恐れてるほどの物なのか・・・陸棚水晶のターゼ。



一体どんな奴なんだ・・・!?




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【水幸源の町 セカンエンデ 孤児院】



ダツ

「んんんんんんっー!!!!!」


ターゼ

「さぁー行けー!! 芋虫8号エーックス!!! はいどぉおーはいどぉおー!!」



縄でぐるぐる巻きにされたダツがターゼに馬乗りにされていた。


何度もバシバシとダツを叩く。

痛さからかピョンピョン跳ねているのが面白いのか、物凄く笑っていた。




ターゼ

「とうっ!!!」


ヒルメ

「んんんんんんーー!!!?!?? グフンッ!!!?」




ダツを蹴り飛ばし同じように縄でぐるぐる巻きにされているヒルメへ向けて飛び乗った。


あまりの衝撃にヒルメは気を失ってしまった。




ターゼ

「ありぃ??? ふむ・・・」




気絶しているヒルメを見る。

もう駄目なのかと気持ちを切り替え改めてダツに目線を向けた。




ダツ

「んん!!?!?!? んっ・・・んんーーーーーーー!!!!」



今度はダツを持ち上げぐるぐると回り出す。


徐々に回転は速くなり加速していく。




ダツ

「んんんんん!!! ん・・・ん・・・・・・」




ついにダツも息絶えるように意識を飛ばしてしまっていた。


そしてそんなダツを見兼ねて無慈悲にヒルメが倒れているところへと放り投げた。




ターゼ

「んーーー足りぬ・・・ん?」


ケイト ミニア

「「ひぃい!?!?」




ゆっくりと上半身を左右に振りながらケイトとミニアのもとに近づいてくる。


相も変わらずの笑みを浮かべ二人に近付いてくる。


二人はヒルメとダツの惨状と今も近付く笑みを浮かべるターゼを何度も見る。



このままじゃ・・・やられる!!




ヘスティア

「クワァアー・・・」




宙に浮きながらヘスティアがフラフラと食堂へ入ってきた。


ここへ付いてからマザーとおしゃべりに疲れたのかずっとお昼寝をしていた。

つまりこの状況を理解していないのだ。




ケイト

「駄目だ! ヘスティア逃げろ!!」


ヘスティア

「クゥウン?? ッ!!!?」


ターゼ

「あはぁ・・・・!!!」




ターゼの目線はケイト達から一気に宙を舞うヘスティアへと変わってしまったのだった。


その顔はまさに最高のおもちゃが目の前に現れてしまいいてもたってもいられない顔だった。




ヘスティア

「ゥ・・・クゥ・・・ン・・・!」


ターゼ

「にーーげちゃ・・・めぇえええええええええええ!!!!」


ヘスティア

「クワァアアアアアンッ!!!!?!」




ヘスティアは入ってきた場所を一気に引き返して全力ターゼから逃げていった。


「待てやあぁあああおらぁああー!!!」と汚い言葉を発しながらそれをターゼも物凄い速度で追っていったのだった。







王女殿下が居なくなりようやく食堂は正常に戻った。


私はムーゼという側近とシスターメレニアと椅子に座りこの惨状を静観していた。


私は本能的にあれは動く物に対して反応するモンスターだと悟り心を無にしてた。

その選択肢は正解だっと誇りに思った。




ムーゼ

「では早速本題に入りたいと思いますが・・・チヨーさんでしたね?」


チヨー

「はい」


ムーゼ

「もう一人、女の子がいらっしゃったとお伺いしましたが・・・」


ケイト

「あの・・・もう一人は少し体調が悪くて寝ています」




ネーネの事を言っている、ならばやはりここへ来た理由に検討は付く。


わざわざ王女のその側近が足を運んだということは・・・。




ムーゼ

「そうですか、本来ならご本人に説明をしたかった所でしたが致し方ありません。 私達がこちらへ赴いた理由ですが、巫女の件です。あなた方も知っているとは思います水幸楽神の巫女です」




思った通りの事だ。


私はあえて口に出さんとしてた、その巫女が今回の事件の発端だったと。

この町の事は詳しく知らないから下手な事は言えないという気持ちが強かった。


知識の無い憶測で話してみんなを不安にさせたくはなかったから。



ムーゼは黙っている私達を見て説明を続けた。




ムーゼ

「今回の騒動は過去の巫女の所在不明を訴えた暴動のようなものでした、偽りの情報に惑わされ、冷静さを失ってしまった血縁関係の者の犯行でした。 本来王都へと招かれた巫女はその気を更に清めスプラクア国、いえ、全世界へと祈りを捧げ災いを遠のける役目についております」




祈りで災いを・・・か。


どうしてだろう、ムーゼという人は決して悪い人間じゃないのにも関わらず私にはその言葉一つ一つに嫌悪感を感じてしまっていた。


清め祈り、そして争いの無い世界を作る為に精進する。


もしかしたら本当にその祈りのおかげで救われた人間はいるのかも知れない。

だった素晴らしいことだ。


だけど、その祝福はきっとそうならざる者に贈られる者。

必ずしもみな平等に贈られる物ではない。




ムーゼ

「つまり王都でも巫女、女神官の存在というのは秘匿され守られなければなりません、もちろん王族であるターゼ殿下ですらその所在を掴むことはできません」


チヨー

「なら、本当に存在するかもわからない。その巫女も本当に王都へ行っているかもわからないってことと捉えますが」


ムーゼ

「そうですね・・・おっしゃる通り私達がここで、本当に巫女は生きています信じて下さいと言ってもご納得されないのは重々承知です。 ですが!」


チヨー

「証拠も何も無いのに信じろと言う方が無理」




やっぱり、ただのすり寄りか。

王女まで来て何だと思ったが、これじゃあ口封じにもならないじゃないか。


彼女が言っていることはこれだ、わざわざ自分達がここまで足を運んでやったんだ感謝しろ、それで私達が言うことは真実だから変に口外するなよ意味ないからなということか。


情に訴えに来たようだが、そんな子供騙しに乗ってやる者はここには居ない。



ケイトもミニアも私と同じ意見なのだろう、さっきから納得のいくような表情は一切していない。


このまま話していても埒が明かない。


そんなくだらない事よりもネーネの様子を見ていた方が数倍気持ちが晴れる。

そう思い席を立とうとした時、出入り口の扉がバタンと大きな音を立てた。




ターゼ

「証拠ならあります、それは・・・私自身です」




まるで息絶えた干物のような姿のヘスティアを片手に王女殿下様が現れた。


その登場にみな驚いていた。




ケイト

「どうゆうことですか? 殿下自身とは?」


ターゼ

「言葉通りの意味、私はここの出身・・・一番最初の水幸楽神の巫女なんだから」




その場が一気に静寂へと変わった。


ターゼ王女が・・・元巫女?

頭の中が整理できていない、つまり王女は、王族ではない??



ふと、ムーゼの顔を見る。

ムーゼは目を伏せターゼの言葉が真実である確証を与えていた。



ターゼ

「みんなが思ってる通り、私とムーゼは王族の人間じゃない。ただこの町に流れ付いた姉妹。 ねぇ?ドールブ?」


メレニア

「えっ・・・?」



ターゼが私達の後ろに言葉をかけた、それに私達は振り向いた。


そこには険しい表情のマザードールブが居た。




ドールブ

「シスターメレニア、ネーネの看病を変わってもらえるかしら?」


メレニア

「え・・・あの・・・はい」




マザーの言葉にメレニアは抵抗も無く従った。


その様子に一瞬違和感を覚えたが、それを考える前にマザードールブが口を動かしたのだった。




ドールブ

「お久しぶりですね殿下、聞き慣れた声がまたすると思ったら今度はあなたですか。 王女にもなって全く変わり映えのしない」


ターゼ

「それが僕の持ち味なんで~」


ミニア

「どうゆうことですかマザー! ターゼ殿下はまさかこの院の!?」




ミニアの質問は私も考えていた。


だけどそれならシスターメレニアの反応がおかしい。

完全に初対面のような様子だった。


なのに・・・。




ターゼ

「簡単だよ~・・・ドールブが私達二人の親みたいな物なんだもん」


ムーゼ

「正確には名付け親、ターゼ・ビズス、ムーゼ・ビズスというのはマザードーブルが付けてくれたのですから」




名付け・・・親。


名前がなかったとでも言うのか?




ターゼ

「今でも思い出すよー・・・風の赴くままにあっちの町へーこっちの町ーお腹がすけば盗みをしてはー逃げる毎日ー」


ムーゼ

「・・・・・・・・・」




ターゼは面白可笑しく言葉を並べるが、ムーゼはその逆だ。


まるで昔の過去を思い出さないようにするように顔を背ける。




ターゼ

「んで! そんなある日にだねードーブルに出会ったんだー、それもここで」


ミニア

「ここで・・・?」


ムーゼ

「ここの食糧庫に盗みに入ったんです、ですが見つかってしまったのです」


チヨー

「っ!?」




私はその流れがわかった。


ターゼはそれが彼女等の始まりだったと話す。

流れに流れ付いてここの孤児院に到着した二人は命からがら食糧を求めここへ忍び込んだ。

だがマザードールブに見つかってしまった。


だけどマザーは特段何かするわけでもなく、見逃したそうだ。



嫌な気分だった、まさか・・・まさかここまでわかってしまった自分に。




ターゼ

「それからはもう野良猫の気分だったよねー、顔を出すと子供達にバレナイように僕達にご飯出してくれてね~~いやー今でも思い出すよ母の味ってやつ~??」


ドールブ

「そんな昔話をしにきたのですか? であれば置きとりを」


ムーゼ

「す、すみません!!」



ターゼの話に嫌気をさし話しをドールブが戻した。


ある日を境にターゼとムーゼは孤児院に近付くことは無くなったそうだ。

ドールブも二人の事を忘れようとした矢先。




ドールブ

「次に会った時は楽神祭の巫女の姿をしたターゼとその使いとしてのムーゼだったのですよ」


ターゼ

「あはは~~そうゆことー、だから僕達がここ出身というのはそうゆうこと、ドールブが証人って訳これでわかった???」




笑いながら話すターゼ。


あれ・・・何だろう・・・変な気持ちが湧いてきた。

その感情があまりにもわからなくて不安になってきてしまった。




ケイト

「じゃあ本当に・・・」


ミニア

「その巫女さんは王都に行ってる」


ムーゼ

「はい、ターゼの成果が大きくその見返りに私達は王族の養子となり王女殿下と呼ばれるようになりました、ですが王族としては下も下で扱いは酷い物ですが」


ターゼ

「あはははそれは言わないでよぉ~~~」



笑ってる・・・?


どうして・・・?


あなた達は笑っていられるの?


なんで・・・・・・まるで・・まるで・・・!




ミニア

「チヨー?」


チヨー

「なんでそんな顔が出来るの・・・?」





同じだ。


同じはずだ。


なのに・・・なのになんでこんなにも決定的に違うの。


あなた達と私達は・・・。


何が・・・違うと言うの??




ムーゼ

「どうゆうことですか」


チヨー

「おかしいんだよ」




私の中で何かが壊れそうになっていた。


そうだ、こんなにも似ているなら・・・きっと・・・きっといつか。


ずっと願っているいつか・・・いつかが・・・。



私達にも・・・こないと・・・おかしい・・・はずだ。










『君達は永遠に・・・私の・・・!』










おかしいよぉ!!!!!!










ガタンッ!!!!!!








ミニア

「・・・・・・・・ヒルメ?」



私は口を開けていた。

まるで馬鹿みたいな顔で。


椅子を倒し勢いよく立ちあがったチヨーにヒルメが抱き付いていた。


優しく慰めるように。


治めるように。




ヒルメ

「チーちゃん駄目だよもうーー・・・ごめんね、みんな」




ヒルメはチヨーの手を握り食堂を後にしようとする。



ミニア

「ちょっと! 何処行くのよ!!」


ヒルメ

「えーーっと、し、仕事だよ!! ほら私達仕事目的でここにきたじゃん? だからそれをやりにーーってね??」


チヨー

「・・・・・・・・・」



ヒルメはチヨーに呼びかけるけど、チヨーは一切喋らない。


ただヒルメに引かれるがままに歩いていた、まるで人形のような姿で。




ヒルメ

「ごめんねーー!! あの・・・ネーネにも、言っておいてね。楽しかったありがとうって・・・それじゃあねぇー!!」




二人の姿が消えていく、手を伸ばしてしまった自分いた。


追いかければすぐにでも追い付く。

急過ぎたあまりにも。


けど・・・チヨーがあぁなってしまったのは原因はわかる。



でもそれは、誰かが悪いとかそんな話ではないんだ。



ヒルメ達がどんな境遇で育ってきたのかなんてわからない、けどわかる。

みんなの境遇に比べたら私達なんて微々たる物だ。



微々たる物だからこそその少しがわかるんだよ・・・ヒルメ。




本当に・・・私達は、運がよかっただけなんだ。




もしかしたら・・・ほんの少し違っていたら立っている場所違っていたに違いない。




それが・・・・・・。




ミニア

「っ!!!」





私は追い掛けた。


ここで終わりにしちゃいけないと思ったから!


あの人ならきっと終わりにしないだろうから!!





ミニア

「また会うんだからね!!! 馬鹿あぁあああああ!!!!」





日が沈みきった夜中に私は叫んだ。



私の視界には・・・もう二人の姿はなかった・・・けどきっと届いたはずだ。



私は・・・そう信じてる・・・・・・きっと届いているのだと。


























ヒルメ

「大声過ぎなんだよ・・・・・・馬鹿」



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【水幸源の町 セカンエンデ】



夜が明け・・・ついに到着した。


昨日のトゥトゥーの件もあり予定よりも早くの到着だ。



カズキ

「ここが・・・セカンエンデか」



日が昇る中の町を見る。


ここが、俺達の次の戦場となるのか。


綺麗な町だ、間違いなく今まで訪れた町の中でも上位に入る程のものだ。




これがどうなってしまうのか・・・この時の俺は、まだわからなかった。




























373

「対象・・・確認」


ヒルメ

「はぁ・・・本当にきちゃったよアイツーー」


チヨー

「・・・・・・」

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