第二一話 終結末路 コメンスメント
カズキ達が訪れたダンズで起きたブレレント式典事件は南の大陸には大きな反響を生んだ。
国が派遣したとされている警護団体が行った多くの問題、ロエやシャヌア等旧ダンズによる発言で多くのグレイブ国民達が驚かされていた。
国への不信感や噂、臆測が飛び交っていた。
そんな中、悪い情報だけが先行しているわけでは無かった。
北からの使者。
復興支援の村サンリーの存在が南大陸にもその存在を認知されるようになってきた。
今回の事件を体験した者、そして共に復興の為に手を取り合った者達は彼等の存在を認めざる負えなかった。
今も彼等サンリーの人間は、人の為、誰かの為にと手を伸ばしていた・・・。
【北陸ナイクネス タルシナ村】
ケイト
「くそぉ逃がした!! そっちに行ったよぉー!!」
ダツ
「うおぉぉおおおおおおおー!!!!任せろぉおおー!!!」
ヘスティア
「アァァン!!!」
ケイトが逃がした小さな生き物・・・羊だ。
羊の子供が全速力で逃げている、それをケイト、ダツ、ヘスティアの3人で追い掛けていた。
今回のクエスト、というよりもお願いは逃げだす羊を元の小屋へ帰す。
ただそれだけだった。
ミニア
「あんたら本当に元気よねー」
ダツ
「おめぇええも手伝えやーー!!!」
ミニアは一人芝生の上で寝転び両親の本を読み込み勉強をしていた。
完全に休憩、というよりも厳密にいえばただのさぼりだ。
ダツ
「ヘスティアアァアアー!!今だぁああー!!」
ヘスティア
「アオォオォオオオ!!!!・・・ッンェ!!」
羊目掛けて飛び込んだヘスティアは地面に叩きつけられていた。
それも顔面から勢いよく芝生を掘り土の中に顔を埋めるほどに。
ミニア
「ヘスティアに変な事あんまりさせんじゃないわよー!!」
ダツ
「じゃあお前が手伝えyぐっぇ!!!」
追っていた羊とは別の羊がダツへ体当たりする。
綺麗に吹き飛ばされた。
そしてダツも同じ様に地面へと叩きつけられヘスティアと同様に顔を土の中へと埋めた。
ケイト
「ダツゥゥウー!! っ!!?」
ケイトは二人を救出しようと動いた。
だがそこには目を光らせた子羊達が行く手を阻む。
ケイト
「ぇ・・・ぁ・・・うわぁああああああああああ!!!!」
追う側、追われる側。
形勢の逆転である。
コーンッ!コーンッ!コーンッ!コーンッ!コーンッ!コーンッ!
フェーチス
「みんなーー!!! 昼食の用意出来たよーーー!!!」
ミニア
「わーーーい!!!」
ミニアは一人フライパンとオタマを持って現れたフェーチスのもとへと走った。
フェーチスの横にはネーネが鍋を持っていた。
本日の役割分担は至ってシンプル、料理係のネーネはフェーチスのお手伝いつまりは昼食当番。
そしてそれ以外は全員雑用、以上。
ダツ
「んぅぅぅんんんんん!!!!」
ヘスティア
「ンンン!!!ンーーーー!!!!」
ズボォオー!!!
ズボォッ!!!
ダツとヘスティアは片足を持たれ引っこ抜かれた。
ナザ
「何やってんだお前らは」
ダツ
「いやだってさ聞いてよ!!」
ヘスティア
「アンッアンッ!!」
二人同時に逆さの状態で喋り出す。
もちろん顔は土塗れでほぼ真っ黒だ。
ナザ
「はいはい、聞いてやるから飯の前に顔洗ってこーい」
ダツ
「ぇええー? ふぁーーーーい」
ヘスティア
「アウンッ・・・」
今度は同時に落ち込みながら返事をした。
単純な話し空腹なのだろうとナザも察しすぐに降ろしてやった。
ダツとヘスティアは降ろされたと同時に水道所へ今日一番の速さで走り向かった。
フェーチス
「ネーネちゃんありがとうね、凄く助かっちゃよ」
ネーネ
「いえいえいえいえいえ!! フェーチスさんの料理凄いんで何もしてないですよ!!」
ただただ焦るネーネを見てフェーチスは笑みをこぼしていた。
ネーネの反応ももっともだった、彼女はただの飯当番だがそれを口にする人間達がフェーチスの出すご飯に一度も口を出したことがない。
常に料理のレパートリーを欠かさず常にみなの健康を配慮した料理。
恐らくみなフェーチスの料理を100%理解して食べている者はナザくらいだろうと言われていた。
ドスッ・・・!
フェーチスが一人で草原の上で頭の裏に手を組み寝ていた者を蹴り起こす。
カズキ
「・・・っん?」
フェーチス
「暇なんでしょ? お皿並べるくらいしなよー、子供達に全部やらせる気?」
カズキ
「ふあぁーー・・・もうそんな時間か」
・
・
・
タルシナ村の草原の真ん中で8人全員で飯を食べる。
あの後皿を並べ終えた俺はケイトを助けに向かって仔羊に一緒に追いかけ回されたり意味もなくヘスティアに噛まれたりと散々だった。
ナザ
「にしても最近お前寝過ぎだろ? こっち来た時も寝てたし」
ダツ
「あ、それ俺も思った。あんちゃん体調悪いのか?」
言われてみれば確かに。
最近は妙に眠気が身体を支配することが多い、疲れが溜まってるようにも思えない。
子供達と一緒にいると無駄に気疲れでもしているのか・・・。
カズキ
「みんなが逞しくなって暇になってるだけだよ、今までの疲れを癒してるだけって感じだよー」
それとないことを言えてる。
頭はまぁ回ってはいるな。
だが、それを聞いた子供達は少し不安そうではあったがそれ以上は何も言わなかった。
ナザ
「お前相変わらずなんだな、そうゆう所」
カズキ
「え?」
フェーチス
「これじゃあみんなの方が気疲れしちゃうよ、みんなごめんねこんな保護者で」
「「「「いえいえいえいえいえいえそんな・・・!!」」」」
子供達は首を横に振るい否定してくれた。
だが、この二人、ナザとフェーチスは俺をおちょくるのが義務にでもなっているのか。
相変わらずはこっちのセリフだ。
どうしてこういつぞやのジャパニアの事件からヴェアリアスの人間はこう
風当たりが悪いのか。
ネーネ
「そういえば! ナザさんとフェーチスさんもヴェアリアスなんですよね!? あの噂の北陸の英雄さんってどうゆう人なんですか!!?」
ナザ フェーチス
「「えっ・・・?」」
目を物凄く輝かせたネーネの質問に二人は唖然とした。
一応俺がサンリーから来たの人間でサナミ団長とシュリー教授、そしてこの二人もまたヴェアリアスの人間だと説明はした。
最初はとてつもなく驚いていた、ナイクネスの煌煌ノ騎士のサナミさんや世界的に有名な黒紅の天才のシュリー、最近頭角を現し出したタルシナの弓鬼なんて呼ばれ出したナザ、それらが俺の知り合いだと言うことに。
ネーネ
「貧困に苦しむ人達を世界中飛び回って助けていたって本当だったんですね!!」
ミニア
「あーすみません、この子この話になると我を忘れるんで」
ネーネ
「すっごく優しくて!種族間なんて関係なく分け隔てなく接するほどに強くて優しくてカッコいい人! 北陸の英雄さんは本当にそうなんですか!? ミニアがいつも凄いバトルジャンキーで目つきがすっごい怖い人だって言うんですよー!!」
ミニア
「そこまで言ってないって!! ちょっとやめなさいよぉー!!」
身を乗り出してナザとフェーチスに問い質すネーネに誤解を受けるような事を言うなと静止させるミニア。
そんな二人を見たナザとフェーチスは顔を背け・・・。
フェーチス
「強くてっ・・・ふっふ・・優しいっぃい・・ふふふ・・カッコ・・・いぃいい・・・ぶっふふ」
ナザ
「バトルジャンキーで目つき悪くて・っくく・・・!! 怖いっ・・・くくく!!」
俺はあえて触れないで昼食のシチューをお代わりしに鍋へと向かった。
今日のシチューはミルクが濃厚で凄く空腹を満たしてくれる。
やはり本場のミルクを使った料理は違うなぁー。
野菜の大きさも一口で食べれるけれどボリューム感を忘れさせない配慮も完璧だし、食材としての良さをしっかりと失ってないな・・・。
ナザ フェーチス
「「あははははははははっはは!!!!!」」
二人の大笑いが草原の広い大地を震わせた。
ナザは笑いながら何度も地面を叩き、フェーチスはお腹を抑えながら全身を震わせていた。
何故そこまで笑えるのか理解に苦しむ・・・理解したくない。
そんな二人を子供達はキョトンとした顔で見ていた。
いやむしろ少しその状況に困った顔をしていた。
ナザ
「あぁあー!! そんな事言われてるんだ南じゃあ・・・」
フェーチス
「はぁ、ごめんねみんな笑い過ぎて・・・」
ようやく涙を流すほどの大爆笑から離れられたようだ。
俺も黙ってシチューのお代わりを器によそい元の位置へ座り再び食事を黙々と始めた。
ナザ
「ないないないないない!!!」
フェーチス
「そうだよ、ふふふふっ、全部合ってないよ・・・あーでも目つきどうこうだけは合ってるかもだね」
ネーネ
「え・・・? え、ん?」
一体フォローしたいのか事実を捻じ曲げたいのか何が言いたいんだ。
ナザ
「ついこの間だってシュリー博士にめっちゃ怒られて、その時の情けない顔がとてつもなく面白くてさー!」
フェーチス
「その後はね、贅沢にもあのサナミさんから慰めの言葉を貰ってる時も更に情けない顔になってて「もうこの場からいなくなりたい」みたいな表情を一日中してたりねー!」
ネーネ
「ぇーーー・・・」
ダツ
「だははは!! たしかにわかるわー!俺も多分死にたい気分になるよ絶対!!」
ケイト
「ダツ失礼だって! その人が居なくても」
カズキ
「・・・・・・」
北陸の英雄さんも大変だなー・・・。
きっと大変なんだろうなーーちょっとよくわからないけど。
ナザ
「すーぐ怒るしその癖女の子には奥手で不器用な癖にすーぐ変な事に首突っ込むし、おまけに人の話聞かないし鈍感だし」
フェーチス
「食べ物の好き嫌いも多い癖にそれがみんなにバレテないと思ってるし、すーぐに格好付けるしそれですーぐ失敗してみんなから笑われるしすーぐに不機嫌になるし、おまけに子供染みたこと言い出すこと多いし」
ケイト ダツ ネーネ ミニア
「「「「・・・・・・・・」」」」
カズキ
「そこまでにしてやれよ!!! 可哀想だろ!!!」
ガブッ!!
カズキ
「ヘスティアアァアアアアアア!!!!!!」
俺の右腕に歯型が付き昼食は終わった。
これがまるで最後のオチのように・・・勘弁して頂きたい。
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【開発発展街ヴォル 元老院本館】
ヴォルには巨大な元老院と呼ばれる学者の多くが在籍している場所。
人々からは世界の発展に一番に貢献している出発点なんて呼ばれ方もしている場所。
そこに二人の少女が招かれていた。
「では、シュベンザー、助手のネシーよ。今後もよろしく頼むぞ」
ネシー
「かしこまりました、こちらこそ今後ともよろしくお願いします」
トントンッ!!
シュリー
「・・・ぁん?」
肩を叩かれて起きた。
ネシーに叩かれたみたいね、起こしてくれてありがとう。
私は特別何を言うわけもなくネシーと共に部屋を退出した。
ネシー
「もう! 教授! 寝るのは勝手ですが起きるのだけはしっかりしてくださいっていつも言ってるじゃないですか!!」
シュリー
「あーごめんごめんふわぁーー・・・」
どうしてもここへ来ると自己防衛本能が働いていけない。
こうしてネシーを連れてこないと絶対に言い合いになって終わる。
最近ではヴェアリアスの面子もある為と自分で顔を出すようになった。
けれど本質的な元老院の苦手意識は消えることはないのでこうしてネシーが一緒に付いてきてくれている。
シュリー
「それにしても学者見習いがみんなの指令塔としてここまで立派になるなんて思いもしなかったわよ」
ネシー
「そんな事言ってまたさぼったりなんてさせないんですからね、みんなから責められるの私なんですから・・・!」
サンリーの学者見習い達の中間管理職のような地位をネシーは自然と身に付けていた。
もちろん学者としての知識がないと出来ることではない。
ただ"知識しかない"者達と日々を過ごしていたある日に自分がしっかりとしないとこれは駄目だと目覚めた。
サンリーでの学者見習いの領域はある意味で特別視されている部分がある。
もちろん最低限の交流はしっかりとあるのだが、職業柄あまり口を出せる人間はどうしても多くはない。
そんな環境を見兼ねて腰を上げたのがネシーだ。
エレメタルキーの開発に関して何も知らない者達は私の功績だと口を揃えて言うが、私からすると、私の無理難題をやり遂げた見習いの子達とそれをしっかりと支え続けたネシーが一番の功労者だと言えるし思っている。
ネシー
「まぁでも・・・シュリーさんにそう言われるのは・・・別に嬉しくないわけないですけど・・・」
シュリー
「いつも助かってるわ、ネシーありがとう」
ネシーは急に顔を赤くした。
よくカズキの馬鹿が言っている言葉が頭に過った。
ちょろい、と。
でも確かに色々あったネシーを先月親御さんがサンリーに来て私に直々に「娘をお願いします」なんて言われてしまった身としては、このままこの子が仕事に明け暮れた人生を過ごすようなことを考えてしまうとご両親から刺殺されても何も言えない。
やはりここは一度誰かに相談してみなくては。
とはいえサンリーだと誰に相談するのがいい?
ナザとフェーチスの田舎組・・・結構いい線言っているから候補には入る。
第5騎士団の女連中・・・筋肉アマゾネスは意外に出来そう感出てるから候補としてはありかもしれない、眼鏡とちんちくりんエルフは、駄目そう。
鍛冶屋のスキンヘッドハゲ・・・既婚経験あるみたいだけどその奥さんが奥さんだしちょっと却下。
クレエスは・・・的確な状況分析に長けてるから相談というよりも依頼をしたほうがいいだろう。
ユミィ王女は・・・変に大掛かりな事やってこじらせそうだから逆に耳に入れないようにした方がいい気がする。
サナミは・・・頭お花畑の論外。
残るは・・・あの馬鹿・・・・・・ないわね。
それは断言できる、無いと。
ただでさえ首突っ込む癖に変に物事を大きくしてぐちゃぐちゃにする才能が人の30倍あるあいつに何をどう相談すればいいのよ。
むしろアイツを取り扱う上で円滑に進める為の説明書が欲しい相談をしたいくらいよ。
どれだけ人が心配したって見向きもしないあの馬鹿が相談なんかに真面目に・・・真面目に聞き過ぎて変になるんだった。
ネシー
「またあの人のこと考えてるんですか?」
シュリー
「はぁ!?なんで私があの馬鹿・・・あのねぇネシーそれを使うのやめなさいっていつも言ってるでしょ」
ネシー
「これが一番聞くんですよー、たまにサナミ様も連れたりして大変だけど、話し聞いてもらうにはこれが一番ってフェーチスさんが言っていたので」
フェーチス帰ったらしばく、同じような目に合わせてやる。
シュリー
「で、話しって何?」
ネシー
「元老長の話ですよ、水の国『スプラクア』の」
全然聞いてない。
というよりもあの元老長が今日どんな面して喋ってたかなんて覚えてない。
ネシー
「全く・・・元老院が言うにはここ最近スプラクアに学者を元老院を通さないで手配しているってお話しですよ」
シュリー
「ふーん、別に不思議な事でもないでしょ?あそこって昔からそういう「発展は自然がもたらしてくれるから」なんて言ってサンニングを毛嫌いしてたのを改めただけなんじゃないの?」
水の国と呼ばれるほどに水や自然と言ったことを大事にしている国だ。
世界的に見ても少し遅れているように感じる部分はあるが、実際に国の中で争いなどは一番少ない国。
基本的に争い事を嫌う、その理由も自然がどうとかかなり宗教染みたことを真顔で言う国だ。
そんな国が学者を多く招き入れるのは不思議でもないだろうに、ただ元老院を通さなくて老人共が不機嫌になってるだけにしか思えないが・・・。
ネシー
「教授の言う事は確かに間違いないとは思いますが・・・」
この子はしっかりと私の事を教授とシュリーさんとで分けてる。
本当に無駄に器用だな、なんて感想しかない。
そんなどうでもいいことを考えてるとネシーは声量を落とし回りに聞こえないように私に告げた。
ネシー
「噂ですが、何か大掛かりな事を近日やる為に学者を集めてるとかなんとか・・・」
大掛かりねぇ・・・。
ついこの間グライブ国のダンズで色々あったばかりだと言うのに今度はスプラクア。
どうしても自分の表情が歪んでしまっているのがよくわかる。
実際に前回の騒動に自分達も首を突っ込んでしまったことから痛感してしまう。
もう少しゆっくり出来ない物かと。
エレメタルキーだってほぼ完成に近い段階まで来ているのに、ここに来て変な騒動を起こして遅れてしまうような事態は避けたいのが感想だ。
少し想像しただけで大きな溜息が出てしまう。
シュリー
「はぁ、ただの噂話だけでここまで溜息が出るなんて長く生きてて初めてよ・・・」
ネシー
「それは教授が皆さんをなんだかんだで大切に思ってる証拠ですよ、特にあの・・・」
シュリー
「ネシー? そろそろしつこいわよぉー????」
スプラクアか・・・。
さっきも思った通り、神様とかの信仰心かなり根深い国。
大陸領土は世界で一番綺麗とされているからサンリーの活動がほぼ不要な事から情報もあまり入ってこない。
逆を言えば世界からある意味で隔離されているような特殊な場所。
それと言ったきっかけがない限りは関わりはないし関わりたくないというのが本音だ。
一番の恐怖は、見えない事にあるから・・・。
そんな噂話を考えながらもネシーと他愛のない会話をして元老院本館を出た私達。
そこには私達二人を待っていた子がいた。
レイドラ
「おかえりーシュリーネシー」
シュリー
「あら、どうしたのよ迎えなんて聞いてなかったけど」
レイドラが一人干し肉と牛乳を両手に持って待っていた。
いつも思うけど竜の味覚は一体どうなってるのかと考えさせられるが不思議と聞かないでいた。
レイドラ
「うん、なんかねーユミィがみんな連れて来てーって。シュリー達を帰したら次マイロード達の所行く予定なんだー」
ユミィがみんなを召集している。
そしてレイドラが言うマイロード達というのはつまり・・・。
シュリー
「はぁ・・・嫌な予感しかしないわ」
ネシー
「あはは・・・ファイトです教授」
レイドラ
「・・・?」
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それはシュリー達が元老院に到着した時とほぼ同時刻のナイクネス皇国の出来事だ。
サンリーで活動を続けていたユミィーリアとその騎士達の第5近衛騎士団は王都へと足を運んでいた。
予定があった訳ではない、呼びだされたのだ・・・ユミィの父親でありナイクネス皇国の国王ワードン・ゴールーン・ナイクネスに。
【王都ナイクネス城 王の間】
「表を上げよ」
ユミィーリア
「・・・・・・」
国王陛下の側近の言葉で私は顔を上げる。
実の父に会うだけでここまでするのは当然。
きっと昔の私ならそう思っていたに違いないが、最近では不思議と変な気持ちを抱いていた。
勝手に呼び付けておいて時間を使わせて嫌になった。
ただでさえサンリーでの活動、ヴェアリアスとしての活動が忙しいのに勝手な都合で呼び付けて父の前でこんな形を取らされてることに苛立ちを感じていた。
ワードン
「よい、楽にしていいぞ、ユミィーリア」
ユミィーリア
「ありがとうございます、お父様」
とはいえ、何だかんだで無意識に私は嬉しかったようにも思える。
ここ数カ月、それこそ王都を出てサンリーに在住するようになってからは国王陛下のお父様とこうして話すのは久しぶりだからだ。
ワードン
「最近はお前の活躍をよく耳にする、よくやってくれているそうじゃないか」
ユミィーリア
「お褒めの言葉ありがとうございます、これもお父様、ナイクネス皇国の為です」
嘘は言っていない。
ナイクネスの為という言葉は本当に間違いないが正確にいえば世界の為に動いていると言った方が正しい。
もっと言うのであれば私が大切にしたい人達みんなの為。
ヴェアリアスのみんなを支えたいという気持ちがただ結果として形作られたに過ぎないから。
ワードン
「親子水入らずで話したいのは山々だが、時間が惜しい。早速本題に入る」
私はふと驚いた。
表情には出さなかったが、まさか父からそのようなお言葉を聞けることに。
そんなことを言われたら私もお父様と他愛の無い話しをしたい気持ちが出てきてしまう。
だけど昔と違い私もお父様と同じ様に時間が惜しい身、黙って耳を傾けた。
ワードン
「お前にはスプラクアに行って貰いたい、詳細は追って説明させるが、先方国へ使者として友好関係を築いて来い」
ユミィーリア
「水の国に・・・ですか? それはまた突然ですね、私などよりもお兄様や外交官を使われるのが賢明かと進言致しますが」
「ユミィーリア王女殿下! いくらあなたでも国王陛下の前で!!」
ワードン
「構わん」
お父様が右手を上げ側近を黙らせた。
側近の方も大変だ、別に私を敵視しているわけではない、ただの余興。
それを言うのが仕事なのだと、カズキ様が一度言っていたパフォーマンス、必要悪というものだ。
とはいえ、水の国スプラクア。
詳細は後ほどというお話しだったが、本当に突然の話に、しかも私が選ばれたという事が気がかりで仕方なかった。
ワードン
「相手はあの『陸棚水晶』だ、この意味わかるな」
スプラクアの陸棚水晶。
なるほど、ようやくお父様の意図が見えてきた。
スプラクアの陸棚水晶は私と同じくらいの年齢、そして私と同じように現国王の娘。
それを相対させる為に私が呼び付けられた。
なんて迷惑な話だ。
ユミィーリア
「わかりました、このお話しナイクネスの名に恥ぬ結果を国王陛下にお見せいたします」
ワードン
「うむ、お前の兵士共も行かせて構わん、必要とあらばこちらも協力は惜しまない。以上だ、下がってよい」
お父様が席を立ちあがり会話を終えようとした。
が、私は頭を下げながらお父様を止めた。
ユミィーリア
「お父様・・・」
私の言葉に全員が足を止め目線を受ける。
全員が私の言葉を待っていた、何を言うのか。
現国王の足を止めてまで言う言葉は何なのかと。
ユミィーリア
「私に兵士などいません、いるのは・・・お友達です」
側近達は顔を真っ青にしていた。
お父様は・・・それだけかと言わんばかりにすぐに足を動かし王の間を後にした。
けれど、私は見逃さなかった。
長年私はお父様の顔色ばかりを伺い生きてきたからこそわかる。
一瞬だけ笑みを浮かべたのだ。
それが一体どういった意味を持つのかわからない。
自慢気に言うのはおかしいが、お父様の心を見通す者なんていない私でさえ。
だからこそ、今の笑みを私は見逃さなかった・・・そしてそれはきっと誇って良い物だと。
私は勝手に解釈したのだった・・・。
・
・
・
【王都ナイクネス ユミィーリア本邸】
ナイクネス城をユミィと一緒に出て第5近衛騎士団が待機していた本邸に帰った。
その間にユミィ本人から国王陛下からの召集内容を簡単に聞かされた。
そしてそれを近衛騎士団に説明した。
アニエス
「スプラクアだぁー!!?」
バラエ
「わぁああーーい海だーー!!! 海水浴だぁあー!! 水着だぁああー!!」
クリル
「うっせぇえバラエ!! 団長と殿下が喋ってるだろうが!!」
バラエが物凄く喜んでいた。
クリルが黙るように言うも他の子達もそれを聞き少し浮ついた空気になっていた。
それも無理はないとも思う。
ここ最近騎士団のみんなには無理難題を押し付けてしまっている。
東のジャパニアに行ったら反対のサンニングに行けなんて日常茶飯事。
みんな文句の一つも言わずに任務を遂行してくれていた、当然疲れがたまっていないわけがない。
ユミィーリア
「うん! 騎士団みんなで行く事になりそうだし、少しは羽目外しても大丈夫だよー」
「「「「「やったぁああああああ!!!!!」」」」」
サナミ
「あの・・・ユミィがそれ言っちゃ駄目だっていつも言ってるじゃん」
ユミィーリア
「あれー? そうでしたっけーー????」
最近のこの子は本当にたちが悪いというか、元々頭の回転もいいし勉学もずば抜けてはいた。
けれど昔は引っ込み思案で発言は控えていたのに、サンリーに移住してからというもの物凄くたくましくなられた。
私がいつも泣かされるくらいにはそれはもうご立派になられた。
本人は冗談抜きで彼等に出会わせてくれた私達のおかげなんて笑顔で本気で言うものだから更にたち悪いなんて思ってしまう。
バラエ
「はい!はいはーーーい!!質問いいっすかーー!!」
これではまるで旅行前の授業のようだと頭を悩ませる。
バラエの発言を許可しみなが黙りこんだ。
バラエ
「ヴェアリアスの人達もくるんすかーー!? 特に創設者とか!!!」
・・・・・・・・・・。
部屋が凍り付いた。
さっきまで賑やかにしていた部屋が一瞬にして静寂を包み込んだ。
ニーネ
「なんて恐れ多いことを・・・」
アニレナ
「そうゆうとこだぞバラエ」
バラエ
「はえ? なんの事っすかぁ????」
本人はわかっていない、それが一番の問題なのだと誰もが溜息を吐いていた。
もちろん私もその一人ではあるけども・・・。
ふと、ユミィに目線をやった私は目を一気に見開いてしまった。
ユミィーリア
「そんな!・・でも嬉しいけども・・・!まだその!! 心の準備が・・・!」
顔を手で蔽い自分の世界に入り込んでしまっている。
何がどうのなんて説明するのはあえて考えないようにしよう。
変に火種がこっちに飛ぶのだけは避けたいから・・・。
クリル
「お前等なぁー!! いつもいつも!ヴェアリアスと騎士団違うっていってるだろうがー! あの野郎とはなんもないって言ってるだろうが!! ねぇ団長!!」
そうだよ、何もないよ。
そうなんだよ何も無い・・・。
何も無いんだからもうそれ以上話題を出さないで・・・。
「えぇええええ!!!?あれから ま だ 何も無いんですか!!?」
「あれだよあれ!! 子供達!!」
「あっ!私も聞いた、今子供達のお世話で大変だって!!」
「なんてことだぁああ!!! 純粋な子供の力には誰も太刀打ち出来ないのかぁああ!!」
「くっ!!! 私があの時に会話を途切らせたばかりに!!!」
「あんた団長派じゃなかったの!!!?」
「だって団長じゃあ無理だもん!!! 今じゃきっとあの教授先生にすら勝てないもん!!!」
ニーネ
「弱音を吐いちゃダメェエー!! 私達がしっかりしないでどうするの!!?」
「ですが隊長!!! 属性鍵などの件を鑑みるに敵は強大であります!!」
「最新の情報によりますと女の子2名は完全に教授先生の戦力と推測できます、これはかなりの痛手かと」
ニーネ
「ぬおっぉおおおお!!! なんてことだぁあああああ!!!」
私もまた違った意味で顔を覆い隠すように手を当てた。
いつもこうなったらこの子達は手がつけれない。
治まるのをただ見守ることしか出来ない。
クリルは何の話かわかってないし、アニレナは知らんぷりするし、ニーネは・・・なんでかいつも中心人物になってるし。
もう嫌だ・・・どうしてこうなるだろう。
恥ずかしくて死んじゃいそう。
それからはまともな報告会にならなかったのは言うまでもない。
準備等もあることからすぐにサンリーへ全員が帰還することになりレイドラさんを呼び全員が乗り込んだ。
ニーネ
『第33回緊急会議を開始する!!お題は「スプラクア旅行、ドキドキ接近作戦」これは我々第5近衛騎士団の今後に大きく、あまりにも大きく関わる一大作戦だ、みな心して会議に挑むよう心掛けてほしい!!!』
『『『『『『『『『『はいっ!!!!!!!』』』』』』』』』』
レイドラ
「何かあったの??」
サナミ
「ごめんなさい、聞かないでください・・・」
私達はすぐにレイドラさんにサンリーへ送ってもらったのだった。
そんな中でユミィは王都が用意した詳細資料に目を通していた。
それからは改めてヴェアリアスのみんなを召集するようにレイドラさんに頼んでいた。
レイドラさんはいつも人を乗せて飛ぶのは大好きだからと一切断る様子もなく承諾した。
レイドラさんがいるから各地に人を派遣できることを考えると、本当に頭が上がらない。
ニーネ
「ここで争うな!!!! 今我々が一番に考えなくてはいけないのは、彼の方がこの二人以外を選んだ際の我々の存亡だ!! 各派閥同士!今は手を取り合わないでどうする!!!??」
「「「「「申し訳ありません隊長殿!!!!!」」」」」
レイドラ
「本当に大丈夫なの? 泣いてるのサナミ?」
サナミ
「うん大丈夫、もうなんか色々と大丈夫だから」
私が不甲斐ないばかりにこんな事になってしまってる・・・不甲斐ない・・・・・・不甲斐ないんだよねぇーきっと・・・。
サンリーに到着するまでそのよくわからない会議は続いたのだった・・・。
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【北陸ナイクネス皇国 タルシナ村】
レイドラ
「ってことがあったんだけど、ナザとフェーチス言ってる意味わかる?」
ナザ
「だぁあああああははははははははっははははははは!!!」
フェーチス
「ちょ!ちょっとナザ笑い・・くふふ・・もう笑いすぎだってぇもう!!!」
ナザさんがまた芝生の地面を大きく何度も何度も叩いて大笑いしていた。
フェーチスさんはさっきとは少し違く真剣なのだがあまりにおかしいことなのか所々笑っている。
ケイト
「・・・わかる?」
ダツ
「わかねー」
ミニア
「うん」
ネーネ
「んーーーーーー・・・ん?」
昼食を終え片付けも済んだ僕達の前にレイドラさんが空から突然現れ色々と説明してくれたのだが。
僕達は3人の会話をしっかりと聞いてはいたのつもりでも、レイドラさんが覚えている範囲での話だったからかよくわからないでいた。
わかったこととしてはヴェアリアスのみなさんはスプラクアに行くということしかわからなかった。
それもナイクネスの王女殿下様とその騎士団と共に行くという。
なんだか改めて自分達がとんでもない人達と知り合いになれた事に現実味を感じられなかった。
恐らくそれは他の3人もそうだろう。
カズキ
「だから噛み付くなっつてんだろうがお前はよぉぉ!!!!!」
ヘスティア
「アゥウゥウ!!!!」
レイドラさんがここへ来た途端にヘスティアがいつものようにカズキさんにちょっかいを出していた。
いつものようになんて思う自分がいたことに今さらながら気が付いた。
最初の頃はみんなで止めていたのだが、カズキさんが大丈夫大丈夫と言い続けて数週間。
これがいつもの日常になっていた事に僕は慣れとは恐ろしい物なのだと実感していた。
ごめんなさいカズキさん、と心で小さく謝罪した。
ナザ
「んじゃあ王女殿下様のお願いじゃあ仕方ないから、そろそろ行くか」
フェーチス
「はぁ~先が思い当たられるけどねぇー」
レイドラ
「はーーいっと」
レイドラさんが光る真素に包まれて急に大きくなった。
何度か見ることはあったけれどこればからはいつも驚いてしまい中々慣れない。
やっぱり本物の竜なんだろうなぁなんて思っているとナザさんが一番に背中に乗りフェーチスさんの手を取って一緒に乗り込んだ。
カズキ
「痛いってもうわかったから俺が悪かったての!! もう離れてくださいって!!!」
ヘスティア
「アゥウ!! フンッ!!!」
そしてカズキさんもレイドラさんに逃げるようにして乗り込んだ。
乗りこんだ時にはヘスティアはカズキさんから離れレイドラさんの頭に乗っかっていた。
この二人は一番仲が良いのだろうかと思う。
レイドラさんがいる時のヘスティアはいつもベッタリくっ付いている。
ネーネ
「あれ・・・?」
ふと、ネーネが口ずさんだ。
カズキさんが何も言わずにレイドラさんに飛び乗った。
確かにヘスティアから逃げる為だったのかもしれない。
けれど・・・。
ケイト
「えっと・・・」
ミニア
「え・・・え?」
ダツ
「ん? んん??」
みんな困惑していた。
お互い顔を見合ってしまいどうしたらいいのか完全にわからないでいた。
カズキさんはきっとヴェアリアスの件でサンリーへと行ってしまう。
じゃあ・・・僕達は・・・。
カズキ
「・・・? あぁーそっか・・・」
カズキさんは何かを思い出したかのように笑みを浮かべていた。
そしてそのまま僕達に手を伸ばした。
カズキ
「みんなも・・・・・・一緒に行こう」
僕達は・・・意地悪だ。
気を使わせてしまった、最近気疲れさせてしまっているカズキさんに。
言わせてしまったのだそれを。
けれど・・・僕達はきっと悪い子だったのかも知れない、自分が思う以上に。
甘えていた、それも無意識に。
ただカズキさんに、そう言ってもらいたいが為に。
その"言葉"が欲しかった為に。
顔を見合わせる。
きっとみんなも同じだ、いつも通り。
そう、まだ・・・まだいつも通りでもいいじゃないか。
それが今の僕達なんだから。
今はまだこの人に、カズキさんに甘えたいと・・・!
ケイト ダツ ネーネ ミニア
「「「「はいっ!!!!」」」」
僕達は、またカズキさんの手を取った。
何度も何度も伸ばしてくれる・・・この大好きな手を・・・。
・
・
・
ネーネ
「わぁ・・・すごーーーい!!!」
ミニア
「意外ねネーネ、あんたならビビると思ったのに」
私達はレイドラさんの背中に乗って大空を飛んでいる。
こんな光景は当然生まれて初めてだ。
ミニアの言う通り最初は凄く怖かったけれど・・・身体が勝手に動いていた。
この景色を満喫したいと好奇心が恐怖を勝っていた。
ダツ
「うひょぉおおおお!!!! すげぇえええー!!!」
ケイト
「うんっ!!! 空ってこんなに凄いんだ!!」
レイドラ
「やっぱり君達は本当にいいこだなぁー、それじゃあもっと上に飛ぶねぇえー!!!!」
レイドラさんが意気込んだと共に更に上空へと高度を上げた。
さっきまでいたタルシナが見えなくなる程の所まで到達した。
私達はリアタズマの大地の空を飛んでいる・・・目の前には大陸の地図と同じ形した光景。
そんな感想しかでなかった。
フェーチス
「みんなあまり無理しちゃ駄目だよー」
ナザ
「そうだぞー術技張ってるから万が一もあるんだからなー」
「「「「はーーーい!!!!」」」」
乗った時にカズキさんから色々説明は受けた。
レイドラさんが人を乗せる用の術技を発動しているから私達はここに乗れているのだと。
基本は落ちないから安心していいと、でもナザさんが言うように何があるかわからないのだから注意はするようにとも言われていた。
だけど、今の光景を見て注意をする気持ちよりも満喫したいという気持ちがどうしても勝ってしまった。
私はカズキさんを見たけれど、またカズキさんは眠っていた。
本人はレイドラさんの背中はいつも落ち付くからと寝ると言い本当に眠っていた。
長い間カズキさんもレイドラさんと共に世界中を回っていたこともあったようで一番気が休まる場所だとも教えてくれた。
確かに言われてみればここは世界で一番安全な場所なのかもなんて思った。
ここには敵なんて物が居ないに等しいし何よりレイドラさんがいる。
カズキさんの寝顔を見て確信できる、本当にレイドラさんを信頼しているのだと。
そんなレイドラさんに少しだけ嫉妬してしまった自分がいた。
ミニア
「ねぇ、これならさ。先生・・・見つかられるかな」
ミニアがボソッと語った。
先生・・・つまりはあのダンズで出会った私達にたくさんの事を教えてくれ、ヘスティアを卵から孵す事が出来た要因の人。
あのダンズの騒動から私達は次の日にすぐにヘスティアを連れてあの遺跡研究施設に向かった。
だけど・・・。
『あぁーなんか今朝長期休暇取ったみたいで、当分ここには帰って来ないらしいよ? また聞いてなかったの??』
いつもの門番さんに聞いた話しは私達を落ち込ませる物だった。
どうしてもお礼をしたかった。
この子、ヘスティアを見せてあげたかった。
なのに先生は相変わらず私達に何も言わずに姿を消してしまったのだ。
ネーネ
「リュゼル先生・・・」
ミニアの言う通りこれだけ自由に世界を飛び回れたら先生をすぐに見つけることは出来る気がする。
けれどその反面、今目の前に広がる大地の何処に行けば先生に出会えるのか?
そんな不安も一緒に出てきてしまう。
ケイト
「大丈夫だよ、きっと」
ダツ
「俺もそう思う、またどっかでぶっ倒れてるところ見つけれるって俺達なら」
ミニア
「あはははっ! それありそう、あの先生の事だから意外にすぐにまた会える気がする」
みんな笑った。
それに釣られたかのように私も笑った。
みんなの言う通りだ。
確かにいくらに世界中を飛びまわることが出来ても、たった一人の人間と再会するというのは難しい。
だけど、きっとまた会えると願った方が会える気がする。
何の根拠も何もないけど、先生とはまた会える。
そして今度こそ・・・。
ヘスティア
「クワァアァ・・・」
しっかりとお礼をして、もっともっといっぱいお話しをしたい。
それを願うだけでいい、今はそれが良い。
私はこの広い大地に両手を合わせお祈りするようにして願った・・・。
ネーネ
「リュゼル先生・・・必ず・・また・・・」




