第十八話 展示式典 ナイトメアズ
ブレレント博物館の式典まで残り 0日
展示式典 開会
【旧ダンズ跡地】
カズキ
「来たか・・・」
目を見開き来客を予想よりも早い御到着だ。
黒ローブ
「対象を確認」
ヒルメ
「今日は全力でいくよーー!!」
チヨー
「今度こそ負けない」
人数は予想通り、3人。
相手の現戦力じゃあ当然だろう。
俺は誘導、というよりもこちらもこの3人を相手にする人間はいない。
自然とこういった形になるのは仕方ない。
カズキ
「ふぅ・・・それじゃあ・・・始めるぞ・・・!!」
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【ブレレント博物館】
シャヌア
「若様を返してもらうぞ!! ドーンツ!!」
ドーンツ
「はっ!! やれるもんならやって見やがられってんだ!!!」
ドーンツは何かを地面へと投げ付けた。
投げつけたそれは地面で弾け光り出し次々とモンスターを呼び出した。
ハイウルフ、オーク・・・多くのモンスターが一斉に警護団体以外の人間を襲い始めた。
会場は大混乱だった。
すぐにシャヌアの旧ダンズの者達はモンスターの対応に走る。
ケイト
「一体何が・・・!」
ダツ
「まずいぞ! 応戦するぞ!!」
ネーネ
「待って!! 避難民の誘導が優先だよ!」
ミニア
「そうね・・・! 先生この子をお願いします!!」
リュゼル
「・・・わかった」
ケイト等子供達4人とリュゼルはすぐさま行動を開始し博物館内にいる逃げ惑う人々を守りながら避難誘導をしていく。
モンスター一匹一匹はケイト達にとってはいくら居ようが雑魚も同然。
だが、ここには展示式典に来ている一般市民達がいる、それを無下にすることは彼等には出来ない。
ケイト
「大丈夫ですか!? 立てますか?」
「す、すまない・・・大丈夫だ」
モンスターに応戦しながらの戦い。
子供達にとってはあまりに難易度が高い戦いになった。
「う・・・うわぁあぁああああ!!!」
ダツ
「こんのぉおお!!! 走れ! 急いで!!」
ケイトとダツが前衛で動き周りモンスターから人々を救出していく。
モンスターの数は減ることを知らず次々と放り投げられる物から湧き出てくる。
ネーネ
「みんなさん急いでください! 振り返らないで!!」
ホールの入口は大混雑。
我先にと人々はこの博物館から外に出ようと必死だった。
ミニア
「っ!! くっそー! 警護団体は一体何をしてるのよ!!」
ミニアの言っている事はもっとも、今応戦しているのはミニア達のようなその場に居合わせた冒険者や戦える者と、式典に乱入してきた人達だ。
なのに警護団体は一切動かない、それどころか市民を守ろうとしている乱入者に対し攻撃をしている。
子供達は一体どうゆう状況なのか全くわからなかった。
乱入者達がモンスターを出していない?
まさかモンスターを出し無差別に攻撃を開始したのは警護団体?
子供達には考えを纏めるほどの余裕はなかった。
ドーンツ
「ふへへへ、てめぇ等が来なきゃこんな事にならなかったのになぁ~」
シャヌア
「ふざけた事言いやがって!! ここまで仕掛けておいてよくも!!」
ドーンツの言うことも一理あるようにも思う。
市民達からしたらシャヌア達の方が反逆者なのだから。
だが、シャヌアやカズキ達はそれを承知で動いている。
何故この機会を狙ったのか、何故この式典じゃなくてはいけなかったのか。
シャヌア
「これだけ大勢の人間を・・・これからどうするつもりなんだ!!!」
ドーンツ
「さぁーーなぁー! ただ、このガキとこいつ・・・」
ピュリファーリング。
ドーンツは見せびらかすかのようにしてシャヌアに向ける。
シャヌアの見覚えのある物。
ロエのお父様、ダンズ本来のご当主の腕輪。
ドーンツ
「"一つ"にするには・・・真素が必要らしいぜ? それも死んでようが生きてようが関係ない、人間のな????」
シャヌア
「貴様ぁぁあああ!!!」
シャヌア一人で警護団体の相手をする。
更にモンスターも多くいる中一人で戦い続ける。
シャヌアの部下達はみな、市民の防衛に向かわせている。
ここでそんな中で動けるのシャヌア一人だけ。
・
・
・
博物館の中はモンスターだらけだ。
市民を庇いながら戦う事に苦戦しながらも何とか全員を守っている。
モンスターは増えていく一方、とにかく被害を与えないように立ちまわる。
ミニア
「もうすぐで出口だ!」
ミニア達も逃げ遅れた人々と共に走る。
だが、先導していたケイトとダツの足が止まり全員の足が止まった。
ケイト
「嘘でしょ・・・!」
ダツ
「まさか・・・出れないのか」
ネーネ
「どうして!?」
みなが見た光景は出入り口でモンスターと戦ってる人達の姿だった。
戦えない物達を背にし乱入者達が市民を守っている。
「出してぇえええ!! 出してくれぇええー!!!」
「怖いよぉお!! ママァア!!!」
「やだぁああ!! 死にたくなぁああい!!」
市民達の断末魔が耳に響く。
出口に到達したのに、ここから出ることを許されないでいる姿に子供達はただ立ち酸くしてしまっていた。
「小僧!!! 避けろ!!!」
ケイト
「えっ!?」
一匹のハイウルフがケイトを体当たりで吹き飛ばす。
その姿を見てやっと、みな我を取り戻した。
ミニア
「っ! エアショット!!」
ハイウルフが次に狙いを定める前にミニアの術技で一撃で倒した。
呆けてしまったことにみな苦い顔を浮かべ迫りくるモンスターに再び応戦する。
ケイト
「くぅぅ・・・!」
「馬鹿野郎!! ぼうっとしてっからだ!!」
ケイト
「・・・・・・あなた達が・・・あなた達が式典を襲ったからじゃないんですかこんな事になったのは!!!!」
ケイトが怒りをぶつけた。
こんな事態になったのは式典に乱入してきた人達が問題なのだと、男に問いかける。
だが、男はすぐには答えなかった・・・答えるかどうか躊躇する。
子供相手に表情を隠しきれずに。
ケイト
「なんですかその顔・・・事情があるなら教えてくださいよ!!!!」
「言えるわけないだろ!!! ここに今何人の人間がいると思ってるんだ!!!」
人。
つまり・・・人がいると言えないような事。
ただでさえ大混乱なのに、それ以上の事が起きるとでも言うのか。
ケイトは男の言葉に圧倒されていた。
人相が怖いからじゃない、本当にこの男は悪意を持って式典の襲撃なんてことをしたわけじゃない。
それが・・・伝わった。
・
・
・
【旧ダンズ跡地】
カズキ
「つまり・・・貴様等の計画はロエとピュリファーリングの一つにするのが目的、その為には膨大な真素が必要になる!」
金髪が飛んで大斧を振り下ろす。
そして次に黒ローブが近接で一気に俺の間合いを詰める
最後に全てを凌ぎ切った俺の隙を黒髪が遠距離から一気に仕留める。
スタッ・・・!!
カズキ
「だから多くの人間を博物館に閉じ込め、人々から真素を奪い取って計画の燃料にする・・・それがお前等の筋書きか」
チヨー
「ペラペラとうるさい」
ヒルメ
「マジムカつくーー!!!!」
黒ローブ
「勝率の変動はない、このまま続行する」
三人が一気にまた動き出す。
こいつらの相手をするのが俺の目的。
だがそれだけじゃない、俺が会場に行かない理由は、外からその結界を破壊する必要があるからでもある。
カズキ
「っ!!! ふあぁあああ!!!!」
ミツバを猛烈な力で振るう。
風を巻き起こし近付いてくる3人を吹き飛ばす。
カズキ
「さぁ・・・お前らの知ってることはなんだ、ハイトスはこれが最終段階ってわけじゃないんだろ?『光輪計画-コウリンケイカク-』ってのはなんだ!!!」
チヨー
「あなたと会話をするつもりはない」
ヒルメ
「はいこれですって教える馬鹿が何処にいると思ってるんですかーー!??!!」
黒ローブ
「提示許可は下されていない」
今ので少しはわかった。
黒ローブ以外、あのアンリバンデット二人も計画に絡んでる可能性があるのか。
やはりハイトスに関わりがある読みは間違いなかった。
カズキ
「だったら全部話してもらうぞ・・・ファミリアンブラスター、リリース」
辺り一面に幻影銃を展開する。
正確には展開じゃない・・・隠してあったのを全て見えるようにしただけだ。
黒ローブ
「っ・・・!」
そう、見えるようにしただけ。
こいつらが来るまでの間、ここ等一帯に大量に術技で幻影銃を設置させてもらった。
卑怯なんて言わせない。
言う前にその強気の態度を消し飛ばす。
チヨー
「なにこれ・・・」
ヒルメ
「っ・・・チーちゃんは絶対に守るから!」
カズキ
「やれるもんならやってみろ・・・・・・ディスチャージ」
幻影銃の銃口が全て敵へと向き引き金が引かれる。
無数の弾丸が彼女等へと放たれる。
避けることも防ぐこともできるだろう、2、3発は耐えれるだろう。
だがこれは完全なる物量。
普通の人間ならまず死ぬのは確実。
カズキ
「普通なら・・・な」
常に引き金が引かれ弾を撃ち続けている次々と打ち落とされていく。
数はまだまだある、どれだけ打ち落としても心配はない。
ここで警戒するのは・・・。
ヒルメ
「うおぉおぉぉお!!!!」
額から血を流す金髪が飛び込んでくる。
重い一撃が俺の居た地面へと激突し地面を粉砕した。
チヨー
「このぉおおお!!!!」
黒ローブ
「・・・っ!!!!」
さらなる連撃。
全てをかわす。
そして上空へと一気に飛びあがる。
ヒルメ
「逃がすかぁあああああああああーー!!!!」
金髪が地面を蹴り俺に向かって飛んでくる。
斧を構え更なる追撃を試みる。
ガシャッ!!!
ヒルメ
「っ!!!」
カズキ
「・・・・・・」
ミツバを地面へ構えトリガーを引く。
放たれる巨大な光が飛んできた金髪へと覆う。
照射した攻撃は地面を貫き、あの大斧で作った穴の10倍以上の穴を俺は作り上げた。
ヒルメ
「はぁ・・・はぁはぁ・・・ありがとうチーちゃん」
チヨー
「はぁはぁ・・・間に合って・・よかた」
寸前で黒髪が庇ったか、あの歳でいい判断力だ。
まだまだ脅しが足りないというなら・・・いくらでもあるぞ!!
ミツバを空高く掲げる。
高く、高くと真素の意識を集中させる。
カズキ
「スレイヴスラッシュ・・・っ!!!!」
高く上げたミツバを一気に振り下ろす。
光り輝く斬撃波。
二人に休みを与えぬまま振るい飛ばした。
チヨー
「ヒーッ!!!」
ヒルメ
「う、うんっ!!!!」
武器を強く握る。
斬撃波を今からでは避けれない、やることは一つしかなかった。
これを受け止め耐えるしか・・・。
黒ローブ
「防御術技 アサナイト・シェルス」
黒ローブの女が二人の後ろで手をかざす。
光る防壁を何枚も何枚も展開する。
斬撃波は展開した防壁を軽々しく破壊していく。
威力の減衰、それが狙い。
そして最後の一枚が突破、破壊され3人同時に吹き飛んだ。
一瞬持ちこたえることは出来た。
だがほんの一瞬だけでは、あの攻撃を止めることなんて無理だ。
カズキ
「さて・・・これでどうだ」
攻撃は通った。
だが致命傷ではないのは間違いない、あれで少しは懲りてくれるとありがたいのだが・・・。
土煙りが晴れていく・・・。
黒ローブの女が二人の前に立っていた。
寸前で庇ったか、迎撃に術技を使ったのだろうか奴の獲物の小太刀が壊れていた。
刃を折れ、右手も衝撃で血を流しローブもボロボロになり今まで被っていたフードまでもが焼け斬られ・・・。
素顔が・・・。
カズキ
「・・・・・・どうゆうことだよ・・・」
背筋が凍り付いた。
どうしてこいつ・・・。
目が離せなかった、今まで何度も何度もこいつとは戦ってきた。
戦う度に強くなっていたのは間違いない、それでも俺は負けなかった。
そんなこいつがどうして・・・。
カズキ
「なんなんだよ・・・、なんでお前は・・・・・・。
『煌煌ノ騎士』
と同じ顔をしているんだ」
髪も目も違う色。
だがあまりにも似すぎている・・・瓜二つなんてほどじゃない。
頭がおかしくなりそうだ。
まさか姉妹・・・そんな事は聞いたことがない。
ならあれは一体どう説明するんだ・・・。
黒ローブ
「ローブ破損の為破棄する、武装の交換が必要、試験用最終武装を使用」
懐から二つの武器を取り出し両手で構え・・・。
パァアアンッッ!!!!
カズキ
「・・・っ!!?」
銃声・・・?
今のは俺が撃った物じゃない・・・。
頬から血が流れた。
何かが、俺の頬を掠めた。
物凄い速度の物、しかも遠距離から・・・。
これは、間違いない。
カズキ
「なんでお前が・・・"銃"を持ってる・・・!」
二丁の銃を構えたそれは・・・こちらに銃口を向けていた。
その構え方が更に既視感を頭に響かせる。
目は幻覚のようにあの彼女を写し込む。
黒ローブ
「射撃補正に調整が必要、威力に支障なし・・・戦闘継続っ!」
パァアアンッッ!!
カズキ
「くっ!!」
敵の弾丸を弾く。
まだ頭の整理が追いついていない、動揺も隠し切れるはずもない。
今度は耳が彼女の声で再生し始め脳をさらに困惑させる。
駄目だ、完全にメンタルがいかれてやがる。
パァアアンッッ!!パァアアンッッ!!パァアアンッッ!!パァアアンッッ!!
ただただ撃ち込まれる攻撃を防ぎ続ける。
奴は俺に近付きながらずっと発砲をやめない。
近付けば近付くほど、俺の心が乱れる。
カズキ
「くっ・・・このぉお!!!」
俺は闇雲に踏み込んでいた。
ミツバを振り上げ奴目掛けて叩き斬る構えで飛びかかる。
黒ローブ
「近接行動、変形」
両手の銃が形を変え・・・光り輝く・・・剣!?
突然銃から光りの剣がミツバを鍔迫り合った。
銃の次は剣・・・しかもレーザーブレードかよ・・・。
カズキ
「なんだお前・・・その銃、その剣・・・その顔は!!!」
黒ローブ
「問いかけ内容に疑問、これは銃と呼ばれる物では無い、複合型真素光熱刀剣の試作型・・・顔、それは問いの理解が不能」
カズキ
「お前は一体何だよぉぉ!!!」
力を振り絞り一気に振るい吹き飛ばす。
光剣を一度しまい銃口をこちらに向ける。
373
「名前の確認と判断、回答・・・私はハイトス研究番号373」
カズキ
「番号だと・・・?」
373
「肯定、番号が固有名称」
ハイトス研究番号・・・。
なんだ・・・何が一体・・・どうなってるんだ。
これも奴らの光輪計画の一つなのか、いや違う!
こいつと初めて会った時にはまだ計画は始まっていなかったはずだ。
つまり・・・まだ何かを奴らは隠してるのか・・・。
秘密裏に動いているものがまだあるっていうのか。
カズキ
「っ・・・!」
駄目だ。
全く脳が働かない。
一体これまで俺は何をやってきたんだ。
奴らの陰謀を暴くのに尽力して・・・。
373
「時間会得完了」
ヒルメ
「復っっっっ活ーーー!!!!」
カズキ
「っ!?? くそ!」
完全に不意をつかれた。
フルスイングした攻撃が直撃し吹き飛ばされ地面に膝を付いてしまった。
カズキ
「っ・・・ぶはぁ・・・」
辺り所が悪すぎる。
骨も何本か逝ってやがる。
激痛が全身に絡みつく、あれを食らったら終わる・・・思った通りだというのに。
これでありとあらゆる事がボロボロ、人心共にズタズタだ。
ヒルメ
「おっしゃぁあーー!!! 一本!!!」
チヨー
「急に動きが悪くなった・・・一体どうして」
373
「回答、心の乱れを感知」
駄目だ、痛みが更に幻を激化させていく。
373がずっとあの人に見えて仕方がない。
今の状況でこの三人を一人で相手に出来るのか・・・これで・・・。
ヒルメ
「叩くならーー・・・」
チヨー
「うん、今がいい」
373
「賛同」
三人が一気に俺目掛け・・・飛び込んでくる・・・。
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【ブレレント博物館 大広間】
「くそぉ!! シャヌアの姉御まだなのか!!」
「そんなの知るかよ! 目の前のことでいっぱいだっつうの!!」
戦いは永遠と続いていた。
僕達もあの乱入者さん達と共にモンスターを迎撃している。
みんなで何体ものモンスターを倒すが数が減る気が全くしない。
ずっと後方で回復に専念しているネーネもいつまでももつはずがない。
ダツ
「くそぉ!属性鍵で一気にやるか!?」
ミニア
「駄目よ!それじゃあこっちが本当にもたなくなる!」
ダツ
「じゃあ! どうするってんだよ!! このままじゃあ先にこっちが息切れするぞ!」
どの道僕達はこの消耗戦であまりに不利だ。
この場所からは動けない、ここを動いたら・・・。
「助けてくれぇ・・・神様・・・!」
「やだよ・・・怖いよ・・・」
この人達を置いてはいけない。
そんなことだけは・・・。
ケイト
「くそぉ! あの! さっき言っていたことってどうゆうことですか!? 勝算があるみたいなことを言っていたようですが」
「あんっ!? ガキが何言ってやがる!」
ケイト
「ガキって・・・そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!!? 何かあるなら教えてくれても!!!」
「なら、目の前の事をどうにかしてみろ!! そうしたら話してやるよ!!!」
駄目だ。
何一つ教えてくれない・・・。
これじゃあ何も出来ない。
こんな状態じゃあ何も突破口なんて見つからない・・・。
「ぐわぁああああああああ!!!」
「ゴスー!! くそやろうがぁああ!!!!」
「耐えろ!!! 耐え抜くんだ!!!」
そんなの・・・無理に決まってる・・・。
このままじゃ・・・全滅してしまう・・・。
もう僕が諦めかけた時だった、ネーネが一人乱入者さんの男の人へ近付いた。
ネーネ
「なら・・・私達はこれから単独で行動します」
「はぁああ!!? お前こんな状況で何を」
ネーネ
「何も教えてくれないのなら、私達四人は自分でその突破口を探してきますこの意味、わかりますよね?」
ネーネは一人、大人の男の人。
人相も怖い、武器も持っている人に。
脅迫していた。
今までの迎撃戦で僕達の方が圧倒的にモンスターを相手していたのは誰が見ても明白だった。
ここには冒険者さんやこの乱入者さんのような大人の人が多くいる。
ネーネ
「子供が四人抜けるだけです、何も問題ないですよね」
「な・・・何、子供が・・・!!」
ネーネ
「何度でも言います、その子供が抜けても・・・何も問題ありませんよね?」
懸命に震えを耐え、ネーネは訴えた。
言葉にはしない、この状況を自分なら打開できる、してあげるから情報を教えろ。
大人達はただ指示に従っているだけだ、きっと下手な指示を出すわけにもいかない。
だけど・・・悪いけど、今はそんな物に任せるわけにはいけない。
「・・・・・・」
ネーネ
「・・・・・・」
「ホールだ・・・そこに敵のボスがいる」
ネーネ
「ありがとうございます! 必ず、何とかしてみせます!!」
ネーネの願いは届いた。
すぐさま僕達はモンスターと対峙しながら役割分担を決めた。
ミニア
「とは言ってもどうする? もうあのおじさん達へろへろだよ?」
ケイト
「二手に別れるしかない、回復のネーネは残った方がいいし遠距離の術技のミニアが多分一番今モンスターを倒してると思う、だからホールには僕とダツで行こうと思うんだけど」
ダツ
「あぁ、それが一番良いと思う、さっきからおっさん共が邪魔で動き辛いたらねぇーし」
ネーネ
「うん、私もまだまだ回復できる、二人とも気を付けてね」
うん、全員が賛同しすぐに行動を起こす。
ネーネとミニアはその場に残り、大人達の援護。
僕とダツでタイミングを見計らってモンスターの中を一気に最短でホールまで突っ切る。
ケイト
「よし・・・行くよ!!!」
ダツ
「行くぜケイト!!」
二人同時に地面を蹴りあげた。
モンスターの中央へ向うのではなく天井へ飛び移った。
モンスターもこちらに意識が来る。
鳥のモンスターがこちらを攻撃しようとするがミニアの術技がそれを打ち落とした。
その援護を信じていた。
速度を落とすことなく僕等は走り続けた。
ダツ
「ケイト!!」
ケイト
「わかってる!」
こちらを一切見ていないモンスターの集団。
ネーネ達の所までは距離があるが・・・。
今ここで!
ケイト
「っ!!」
そして集団の真ん中に落ちる瞬間に術技「ウィンディスラッシュ」をぶつける。
衝撃波で周りのモンスターも壁に叩きつけられる。
止まることなくそのまま一気に地上を走り抜ける。
ダツもまた同じ様に別の集団のヘイトをこちらに向けさせ僕と共に走る。
ダツ
「よっしゃこのまま一気に行くぜ!!」
ケイト
「全速力でいくよ!」
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【ブレレント博物館 式典ホール】
ドーンツ
「はははははははは!!!! 最初の威勢も減ってきたんじゃあねーのか!!?」
シャヌア
「ちぃい!!」
ドーンツが放り投げた物から次々とモンスターが現れる。
警護団体の連中よりもそっちの方が厄介過ぎる。
まさかここまで、手こずるなんて思いもしなかった。
これじゃあ外のみんなも耐えきれない。
一か八か・・・いや駄目だ。
ここで私が死んではそれこそ意味が無くなる。
もうそう考えるのはやめたんだ。
シャヌア
「だが・・・!」
このまま続けていても・・・勝算なんかない。
ドーンツ
「ふあはははは、ほらほら、苦しめ苦しめ!泣きながら許しを乞えよ!! あぁあああっははははっはっははははは」
コートス
「ドーンツさん、もう良いでしょう、さっさと彼にリングを」
ドーンツ
「黙れ!! 俺に指図するな!! てめぇえもころされてぇえーのか!!?あん!?」
ドーンツの性格はわかっていたつもりだ。
だから今すぐに若様をあのリングに触れさせることはないと踏んでいた。
その予想は当たっていた。
だが、このモンスターは・・・あの眼鏡か!
あの眼鏡が用意周到にこんな物を大量に準備してやがったのか。
シャヌア
「くそぉ!!」
モンスターを踏み台に蹴り飛ばし高く飛び立ち、一気にドーンツ達がいる檀上へと飛び込む。
シャヌア
「ドーーンツゥゥゥゥウーー!!!」
ドーンツ
「はっ!!! あめーんだよ!!!」
檀上へ到達した瞬間。
何か見えない物に妨げられた。
防壁!?
まさかこの檀上にも仕掛けをしてるのか!?
シャヌア
「くそぉおあ!!」
蛇腹剣をめいいっぱい振り被り防壁にぶつける。
だがビクともしていない。
これじゃあ・・・本当に・・・。
シャヌア
「・・・っ!?」
地上に目線を向ける。
そこはモンスターの群れが落ちる私を待ち構えていた。
このまま落ちれば・・・私は・・・。
ケイト ダツ
「「うおおおおぉおおおおおおー!!!」」
ボォォォオォォォオオンッ!!!
何かの叫び声と共にモンスターの群れに何かが突っ込んだ。
一瞬の出来事で何があったのかわからなかった。
だがおかげで私はただ地面に体を叩きつけられるだけで済んだ。
ケイト
「大丈夫ですか!!?」
ダツ
「てか、お姉さんが味方でいいんだよな!? あっちは人質みたいなのいるし」
強打した肩を押さえながら立ち上がり状況を確認する。
私の両脇には小さい姿の冒険者・・・子供が二人立っていた?
若様と同じくらい、一体この子達は・・・。
ダツ
「ケイト! 状況収集頼むぞ! 俺がモンスターの相手をする!」
両手の拳を構え再び現れたモンスターの群れへと飛び込んでいった。
それを止めようとするも逆に剣士の子に止められてしまった。
ケイト
「僕達はあのモンスターを止めにきました、どうすれば止められるかしってますか?」
冷静に私を見つめ問いただす。
一瞬説明するのを躊躇してしまったが、この子の真っ直ぐな目を見てその戸惑いは晴れた。
この達は・・・強い。
シャヌア
「あの豚の隣にいる眼鏡だ・・・あいつがこのモンスターを準備した奴だ、あいつに聞けばいいがこの檀上に上がることg」
ガキィィィイィッィイインッ!!!!
私の言葉を聞く前に檀上へ剣を振り下ろしていた。
剣が弾かれる猛烈な音が響き渡った。
ケイト
「ダツ!!」
ダツ
「待ってたぜ!!?」
子供達は懐から何か装置のような機械を取り出した。
【ソニック オン】
【ファイア オン】
それを自分の武器に付けた瞬間に真素が一気に吹き荒れた。
ダツ
「フレイミー・・・!!!」
ケイト
「ウィンディー・・・!!!」
一気に飛び上がった。
コートス
「まずい!!」
ダツ
「ナックルゥウウー!!!」
ケイト
「スラァアアーッシュ!!!」
バリィィイィイインンッッ!!!!!
二人の息はぴったり、同時攻撃で一撃であの防壁を破壊した。
その勢いのまま二人は眼鏡とドーンツへと掴み掛かろうとする。
コートス
「エアーズフォース!!!」
眼鏡が右手をかざし術技を放った。
大きな衝撃波で二人が簡単に吹き飛んでしまった。
シャヌア
「っ!? くぅ! うおぉおおああああ!!!!」
防壁が壊れたなら・・・!!
私はすぐに飛び出し檀上へ飛び付く。
だが・・・。
シャヌア
「くぅっ!!!!」
再び防壁が私の行く手を妨げる。
なんてことをしてしまったんだ私は!
何を呆けていたんだ!
彼等がせっかく作ったチャンスを手放すなんて!!
最悪だ!
ドーンツ
「へ・・・へへ・・・へへへへへへへへふふふふあぁああはははははははははははははっははは!!!! あぶねぇ!あぶねぇ! 惜しかったなぁあ!!? せっかく救いのヒーローが現れたのによーー!!?あぁああはははっはははははははは!!!」
・
・
・
あの眼鏡の冴えない男、相当焦ってたってことは、間違いじゃないな。
あと少しで届いたってのに、くそっ!
ダツ
「いててて・・・ケイト大丈夫だよな」
ケイト
「うん、まだやれるよ」
よし、俺もケイトもまだ戦える。
真素は少し不安ではあるけど、あとは気合だ。
属性鍵もあるんだ負けるわけねぇ・・・!!
コートス
「っ! スリーエッジ用に取っておいたが仕方ない!」
眼鏡の男が何かを地面に叩き付けた。
その瞬間辺りのモンスターが一気に消えた。
いや・・・まさか合体してる・・・?
消えたモンスターからは真素だけがその場に残り檀上の前に集まり出した。
どす黒い。
何かどす黒い色の球体が現れ・・・。
ンンンンンォォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!
大型モンスター・・・。
手にはなんの骨かわかんねーハンマーみたいなのを握りしめ現れた。
絶対に当たったらひとたまりもねー。
ダツ
「はは・・・マジかよ」
ケイト
「あれは・・・デーモンだ、先生の所で見た本とそっくり」
ンンンンォォォォ!!!!!
巨大な骨振りまして俺達目掛けて攻撃してきた。
一発で会場をハチャメチャにしやがった。
馬鹿じゃねーの、なんつうもん出しやがったんだあいつ。
くそ、これじゃあ壇上に近づけね!
ダツ
「っ!!?」
気を抜いてたわけじゃない。
俺はしっかりとデーモンの動きを見ていた。
ただ・・・このデーモンの動きが早かった・・・。
ケイト
「ダツゥゥウーーーーー!!!!
拳が俺を地面へと叩き付けた。
防御も出来なかった・・・完全に直撃だ。
ダツ
「ぁ・・・ぐ・・・うぅ・・・」
感覚が無い・・・体が動かない。
意識が・・・。
デーモンが骨を振り上げる俺目掛けて・・・。
シャヌア
「っ!!!!」
ボオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!
俺は・・・助けられたのか・・・?
どうなってんだ・・・。
シャヌア
「おい!! しっかりしろ!! 意識を持て!!!」
ダツ
「ぅう・・・ぁぁ・・・」
何も聞こえ・・・ない。
無音が続く・・・。
ボオォォオオオオオオオオオオン!!!
だが轟音と地響きは伝わっ・・・た。
デーモンの攻撃・・・。
標的は俺達じゃない・・・なら。
ダツ
「ケイ・・・ト・・・」
助・・・けない・・・と。
俺が・・・あい・・つを・・支え・・・。
・
・
・
ケイト
「うぅぅぅうあおおぉお!!!!」
属性鍵をフルドライブで起動させて攻撃を押し止めてる。
僕のこの術技で弾くことが出来ない・・・!
盾を両手で持ち全神経を使って受け止める。
とてつもなく重い。
こんなの一体どうすればいいんだ・・・!!
ケイト
「・・・アクセルアップッ!」
僕は一気に踏み込んだ。
一か八かの賭け、骨の下を一気に掛け走りデーモンの足元まで向かった。
当然リーチはあちらの方が上、だけどその分小回りは効かないはず・・・。
ンンンンオォオォォオオオオオオ!!!!!
ケイト
「うぅぅぅううう!!!!!?」
とてつもなく巨大な咆哮。
咄嗟に耳を塞いだのに鼓膜が破れてしまう。
もはや耳なんて関係なく内蔵も脳にまで振動が響く。
ケイト
「うっ・・・うぅう」
立ってられない・・・!!!
地面に膝を付こうとした瞬間・・・目の前には、振り上げられた足が・・・。
ケイト
「・・・・・・」
一瞬だった。
僕は蹴り飛ばされ固定されている椅子を何個も突き壊し壁に激突した。
壁に穴が出来た、体が貼り付いたように動けない。
いや、正確には・・・体をもう動かすことが出来ないでいた。
ケイト
「ぁ・・・ぅぁ・・・がぁ・・・」
言葉が出せない。
僕達は・・・負けた。
ダツも・・・一撃で・・・。
ごめん、守れ・・・なく・・・て。
カズ・・・キ・・・さん。
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【ブレレント博物館 大広間】
「くそがぁああああ!!!!」
次々とモンスターの餌食になっていく。
人が・・・簡単に食われていく。
ネーネ
「っ!! はぁ・・・はぁはぁ・・・、はっ!!?」
ミニア
「ネーネェエー!!!!」
私達後衛が前線で戦っている。
こんな状況になってしまった。
ネーネ
「ぅうあぁ!!! はぁああ!!!」
ミニア
「ネェーネェエエ!! 早くこっちに!!!」
完全に包囲されてる。
回りも上も。
ネーネ
「このぉお!! んんっ!!!」
ミニア
「くぅう!! 倒れろよぉぉ!!!」
戦ってた大人達はみなやられた・・・。
私達も全力で援護した、けれど・・・モンスターはそれをあざ笑うかのように休む暇も与えずに襲いかかってくる。
「ぎゃあぁあああああ!!!! ぁああ!!」
「うあわぁあああ!! くるなぁあああ!!!!」
「助けてぇええええ!!!! やだぁあぐあぁああ!!」
悲鳴が鳴り止まない。
ミニア
「あぁあああああああああ!!!!!」
ネーネ
「うあああああああああああ!!!」
まるでみんなの悲鳴を聞かないように私達は叫び続けた。
とにかく叫んだ。
聞きたくない、見たくない。
こんなことになるなんて・・・思ってもみなかった。
ネーネ
「うっ・・・!!!」
ミニア
「ネーネ!!!?」
ネーネが・・・。
嘘・・・やだ・・・。
ミニア
「ネーネ!!! 返事して!!! ネーネェエエ!!!」
何も聞こえない。
悲鳴が全てを掻き消す。
さっきまでネーネがいた場所が・・・モンスターの群れに・・・。
ミニア
「ネェエーーネェエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!」
もう・・・もう・・・・・・!
ミニア
「っ・・・!!」
ガァアアアア!!!!
引っ張られる。
ミニア
「ぐぅうがはっ!!! ぐぅぅぅ!!!」
マントが首を締めて・・・息が・・・でき・・・。
ミニア
「離せぁあ!! 離・・・っせ!!! うぅぅう!!!」
嫌だ・・・。
嫌だ・・・・・・。
誰か・・・助けて・・・。
カズキ・・・さん・・・・・・助け・・・。
虚空竜 レイドラ
「グゴォオオオオオオァアオアオアァオオオオオオオオオ!!!!!!!」




