第九話 守るもの 守られるもの
中層エリアから救援としてみんなと先へ進んだ。
進むにつれて先輩冒険者が負傷した姿で出会っていた。
救護の為にと僕達は意を決して最後の大型モンスターがいる場所へと足を運んだ。
カズキさんの力で何とか戦いにはなっていたが、決定打に欠けていた。
そんな中で大型モンスターを倒す手段は僕達四人だった。
僕達はカズキさんと協力し、山脈ダンジョンの最後のモンスターを倒すことが出来たのだった。
【山脈ダンジョン 最後の間】
やった・・・。
僕達は大規模クエストの最後のモンスターを倒した。
信じられないでいた。
みんなはその場に倒れ込む。
一気に力が抜けてしまっていた。
今まで緊張に緊張を重ねて戦っていた。
最初の岩のモンスターから始まり、キマイラ。
そして今戦っていた最後のモンスター。
力の糸が切れたかのように・・・。
ブムット
「これはこれは!! 流石は冒険者の皆様! ここまでよく戦ってくれました!! ここにいる物全員に高額の報酬をお約束いたします」
部屋の入口が開きブムット領主が部屋の中へと入ってきた。
今回の部屋はキマイラとは相違があり逃げることは許されない部屋。
つまりはモンスターを倒すと自動的に開く、というものなのだろう。
ブムット領主は、この場にいる冒険者達一人一人に労いの言葉を送りながら部屋の中にさらに進んでいく。
ブムット
「なんと!!? 君らまでここへ辿りついたのですね!!」
僕達四人の所まで来て驚いた顔で眺める。
その頃には僕達も立ち上がり動けるようになっていた。
ブムット
「これは冒険者史にまた新たな伝説が刻まれる・・・いや! これから君達が多くの伝説を作ることでしょう!」
ケイト
「あ、ありがとうございます・・・」
今はそんな事よりも休息が欲しいという気持ちでいっぱいだった。
元気があれば照れ喜んでいただろうけど、僕達はもうへとへと過ぎた。
もしここでまたモンスターと戦うなんて言いだすなら絶対に迷わず逃走を選択するだろう。
ブムット
「これからはもっと忙しくなりますな!! あはははははははっ・・・!!」
高笑いをしながら次の冒険者の下へと向かう。
すると僕達の所にブムットさんと入れ替わりでカズキさんが、近付いてきた。
みんな笑みを浮かべた・・・・
だが、カズキさんの表情は険しく。
僕達に小声で指示を出した。
それを聞いた僕等は驚き、カズキさんに抗議しようとするも急ぐように言われた。
ケイト
「・・・・・・」
気は進まないが、僕達はすぐに行動を起こした。
カズキさんに透明化術技をかけてもらい、移動を開始した。
・
・
・
領主が来た。
ここからは・・・俺の本業だ。
本当の目的を為す。
ブムット
「では、皆さん! お約束はお守り致します!! ここで待ってるも良し、先に戻っているもよしです!!」
カズキ
「その前に・・・他の連中から奪った武器をその場に置け」
俺はブムットの進行を止めるように立ちはだかる。
ミツバを片手に、ギフトへの道を封鎖する。
ムッド
「な、何のつもりだ!!」
カズキ
「相変わらず言葉がわからないか?・・・・・・武器狩りさん」
ムッド
「っ!!?」
動揺したか。
それだけじゃない、他の動ける連中はみな俺に殺意を向け始めた。
ブムット
「一体どうしたのですか? 確かあなたはあの子等の・・・」
カズキ
「そんな事はどうでもいい、ギフトに興味は無い。 ただお前の行為は見過ごせないぞ優男、言われた通りに武器をその場に出せ」
ムッド
「ははは? 一体君は何を言っているんだ、まるで話しがわからないが・・・」
パァアアアアアアアアアアアアアアァアンッッ!!!
歩み寄る優男へと向け引き金を引く。
足元に着弾し歩みを止めた。
ブムット
「・・・・・・」
ムッド
「・・・本当にどうゆうつもりだい?」
カズキ
「時間稼ぎは済んだか? 付き合ってやったんだ感謝しろ」
ふざけた茶番だ。
たった今この部屋には領主と優男のパーティーしかいなくなっていた。
そして同時に入口から領主の私兵がなだれ込んできた。
ムッド
「時間稼ぎ・・・? まるで僕達がこの部屋から関係者以外を追い出すのを待っていたかのいいようだね?」
カズキ
「説明どうも・・・で、返す気はないんだな?」
武器の返還。
ここまで来る間にこいつのパーティー意外の冒険者はみな武器を手放されていた。
どんな言葉を使ったのか興味はないが、いずれもそれなりの物を持っているはずだ。
少なくても、ギフトで手に入れたであろう武器も。
ブムット
「ふふふふふ・・・本当に面白い奴だね君は、あのエイジルトが見込んだだけはあるよ」
ついに化けの皮が剥がれたか。
こいつが・・・黒幕の一人か。
カズキ
「そこまでギフトが必要か・・・一体なんの目的だ」
ブムット
「目的・・・どうですね・・・」
両手を広げ天井を見上げる。
そして不敵な笑みを浮かべ言葉を発した。
ブムット
「信仰心の浄化・・・ですよ!」
カズキ
「っ!!」
こいつまさか!!
カズキ
「全員ギフトに行け!! 早く!!」
俺は首だけを後ろに向け、出口にいる子達へ指示を飛ばす。
団長
「みんな急いで!!」
インカムが宙に浮きながら先導する。
ムッド
「そこにいたのかーあの子達・・・!!!」
ガキィィィイィイイインン!!!
一気に間合いを詰めてきた。
ミツバと剣がぶつかる。
鍔ぜり合うもすぐに奴は後退し距離を取った。
ムッド
「あぁあー行っちゃったかー・・・まぁいいや、どうせここから出れないだろうしね」
カズキ
「出口の可能性がある所に人間を配置・・・あの時と同じか」
俺があの子達を助けた時と同じだ。
大勢の人間を使い、出口を封鎖している。
そして出てきた者を殺し、ギフトを奪う。
それがこいつらのやり方。
ブムット
「あぁー残念です、あの子等にはこのまま純粋な冒険者としていて欲しかった・・・なのに邪悪な意志がそれを阻害する」
カズキ
「邪悪・・・? 俺がその意志とでも言うのか?」
ムッド
「違うのかい? デッドアイ?」
やはり知っていたか。
こうお互いに身バレが起きて初めて会話が成り立つというのも皮肉なものだ。
幸いにもあの子達に聞かれなくてよかった。
ムッド
「恐ろしい瞳だ、まさに見た者全てを殺すと言わんばかりの殺気を放つじゃないか」
カズキ
「俺に挑んでくるってのが、どうゆうことか。理解はしてるんだろう?」
ミツバを優男に向ける。
すると気持ち悪い目付きでミツバを見る。
ムッド
「あぁああー!! ずっと気になっていたんだ! その剣、一体何処のギフトで手に入れたのか! ずっとずっと気になっていたんだ!」
一気に気持ち悪い声を上げ出した。
武器狩りの本性が出てきたという所か。
ブムット
「これ、ムッド。あれは我々の教団に必要な物だ、下手に扱うんじゃないぞ」
ムッド
「わかってるよ・・・パパ!!!」
一気に突っ込んできた。
また同じ様に直線的に。
ミツバで剣を吹き飛ばそうと振るう・・・。
カズキ
「っ!!? ・・・っ!」
変な違和感を感じ俺は奴と距離を取った。
ムッド
「どうしたのかな? さっきまでの威勢が消えたじゃないか」
カズキ
「ふざけた手品だな、それもギフトで手に入れたってやつか?」
ムッド
「その通りさ・・・モンスター相手だとあまり効力が無くてねー大変なんだ」
つまりあの剣は・・・人斬り専門だということか。
ムッド
「いくよぉ!!」
突撃してくる。
すぐにミツバを構え撃ちまくる。
だが全ての弾丸が当たる前に弾かれる。
カズキ
(これが無傷の正体か)
見えない何かで弾かれた。
こいつはこれまでの戦いで深手を負っていなかった。
どれだけブロッカー任せでもほぼ無傷というのはおかしいと思っていたが、ある程度を弾いているのか。
カズキ
「っ・・・!」
奴の攻撃を避ける。
距離を取りながら攻撃を避け続ける、ミツバで防がずに。
ムッド
「逃げてばかりじゃあ、つまらないだろう!!」
攻撃を中断し武器を構えた。
術技か。
ムッド
「レイド・スラッシュ!!!」
更に俺に近付き武器を振り被る。
仕方なくミツバを構えを防御する・・・。
カズキ
「っ・・・!? 何!?」
攻撃がすり抜けて・・・来た!?
すかさず回避行動を取るが、術技が胸部をかすめる。
カズキ
「くぅう・・・!」
反撃にミツバを振るが後ろに下がられ避けられる。
やっぱり違和感じゃなかったか。
こいつの攻撃は・・・すり抜ける。
ムッド
「おやおや? デッドアイなんて名前だけど血の色は赤いんだねー?」
胸部に痛みが広がるが、すぐに回復術技で痛みを飛ばし止血する。
久しぶりのダメージに体が驚いてやがるな。
カズキ
「期待に応えられなくて悪かったな」
ムッド
「あははは、いいや大丈夫だ・・・もっと僕を楽しませてくれれば・・・それでいい!!」
また突撃してきたな。
今度はもっと速い。
術技で加速したか、高速で近付いてくる。
ムッド
「もう逃がさないよぉおお!!!」
だけど、ある程度は掴めた。
こいつは・・・弱い。
突っ込んでくる敵に向け大振りするも避けられた。
ムッド
「取った!!!」
俺の顔面へ剣を突き刺した。
カズキ
「・・・・・・」
俺は寸前で首を傾け避けた。
ムッド
「・・・・・・ぶはぁあああ!!」
優男が血を吐いた。
そしてすぐに距離を取って自分の血を確認していた。
腹部から大量に血が流れている。
ムッド
「何故・・・剣は避けたはず・・・! っ!!?」
驚いた顔をしてくれて嬉しい限りだ。
お前は確かに避けた。
二枚の刃はな。
カズキ
「ミツバはその名の通り、"三枚の刃"だ」
ミツバの底にあるもう一枚の剣が宙に浮く。
蒼光りの糸で本体と繋がっている。
ムッド
「へへへ! 君だってただの手品じゃないか!! そんな物が二度通じると思ってるのかあぁあああ!」
今度は分身して突撃をかけてきた。
だが・・・。
ムッド
「がはぁあああ!!!」
再び腹部に同じ様にミツバの短剣が突き刺さる。
カズキ
「二度通じた・・・が?」
単純に透明化させて忍ばせた。
もちろんミツバの底には短剣があるとフェイクを作って。
カズキ
「浅いんだよ、何もかもが・・・やさお」
ムッド
「こんのぉおおっぉおぉおー!!!」
更に分身を作り加速して襲いかかってくる。
だから浅いと・・・。
カズキ
「っ!!!」
ミツバを片手で振り分身を消した。
本体は・・・俺の背後か?
ムッド
「今度こ・・・、っ!!」
カズキ
「っ!!!!」
確かに速い。
だが読めてる。
左手に持っていた短剣でそのまま同じ腹部を突き刺す。
奴はさらに血を吐く。
もう逃がさないと更に短剣を突き刺す。
ムッド
「な・・・なんで・・・!!」
カズキ
「さっきから言ってるだろ、浅いって・・・」
弱いと感じたのは、単純だ。
こいつは今まで奇襲やその奇抜な攻撃で敵にダメージを与え有利を取っていた。
そのレパートリーは多いのかもしれない。
だが、全ては自分よがり。
自分に酔い過ぎてる。
そんな人間の行動なんて単調だ。
前が駄目なら後だと。
自分が騙してると思い込んで騙されてることにも気付かない。
そして何よりも相手を見ないから、分析も出来てない。
最初の初手で俺を殺しきらなかった時点でこいつの勝ちは無い。
そして・・・ムッドという男は死んだ。
ブムット
「ムッド!!」
カズキ
「さぁ次はあんただ領主様、知ってることを話してもらうぞ」
死体を背に領主へと歩む。
だが他のパーティー共が盾になり邪魔をしようとする。
カズキ
「ウェポンキル」
武器破壊の術技を唱えミツバを両手で思いっきり振った。
風圧が盾になってる奴らを襲う。
「なっ!!?」
「武器が・・・破壊されただと!?」
俺は歩みを止めない。
その姿に全員震えだし、すぐその場を明け渡してくれた。
ブムット
「貴様等!! それでも・・・!、ひぃい!!??」
カズキ
「下請けに逃げられる気分はどうだ?」
可愛い可愛い息子の為に選りすぐりを集めたんだろうが、そんな有象無象が通じるとでも思ったのか。
俺はミツバの剣先を向ける。
カズキ
「さぁ・・・ハイトスの事を吐け」
ブムット
「おのれ、邪悪! 我が死んでも信仰は」
パァアアアアァァァアアアアアアアアンッッ!!!
引き金を引き膝に撃ち込む。
そのまま領主は崩れ落ち尻もちを付く。
ブムット
「あぁあああああああああああああああああ!!!!」
そして逆側の足にも撃ち込もうと角度を変え引き金に手をかけようとした。
ブムット
「・・・っ!!! ま、待ってくれ!!!」
カズキ
「ハイトスの事を吐け」
同じことしか俺は言わない。
こいつが同じ事をしか言わないなら俺も同じことしか言わない。
そして同じことを永遠と続けるだけだ。
ブムット
「わ、私は!! ただギフトを集めるように言われているだけだ! 他の者達もそうだ! ギフトを渡せば幹部にしてもらえると!!」
カズキ
「他の者・・・誰だ」
ブムット
「ギ、ギルドの関係者だ!! ギルドの人間の中にもいるんだ! 本当だ!!」
エイジルトのおっさんの言う通りか。
そしてハイトスの目的はやはりギフトか。
教授の予想通りだな。
そしてこいつにもう用はない。
ブムット
「これ以上はもう!!! 何も知らな・・・!!」
頭部に弾丸を撃ち込む。
頭は吹き飛び、首から上は消え去った。
大量の血が辺り一面に広がる。
そして俺は上を見上げて溜息を吐く。
虚空を見つめるようにして・・・ただ上を見上げた・・・。
・
・
・
・
・
・
私達はギフトへ来ていた。
ケイトもダツもミニアも、みんなギフトの入口が動かないか試している。
一体何があったのか、私達には教えてもらえていない。
だけど、もしかしたらと・・・みんな薄々気付いていた
カズキさんが私達をギフトへと送った理由は簡単だ。
一番安全だからと。
入口は私達が入ってから閉まり、恐らく出口はギフトを受け取らないと開かない。
ダツ
「これからどうすんよ・・・」
みんなが入口操作を諦めて集まった。
私はカズキさんのインカムを握りしめている。
この部屋に入ったと同時に宙に浮かんでいたインカムが落ちた。
前回と違い、ここは恐らく外との通信などを遮断してるんだと思う。
ミニア
「行くしか・・・ないよね」
前へと進むにはここで私達がギフトを受け取らないといけない。
でもそれをすると、クエストの規約違反になる。
ここで私達がギフトを受け取ってしまうと、大規模クエストに参加した人達がどう思うか。
・・・・・・・・・・・。
みんな黙りこんでしまった。
当然考えてる事は一緒なのだろう。
進むには、規約違反をしなくてはならない。
そうすると、私達の冒険者としての道が終わってしまうかもしれない。
ネーネ
「終わる・・・終わりなのかな・・・?」
ミニア
「どう・・・だろうね」
わからない。
カズキさんが今どうなってるのかもわからない。
ここからどうすればいいのかもわからない。
私達は・・・わからない事だらけだ。
なら・・・。
私は力強く手を上げた。
ネーネ
「私は・・・進んで良いと思う!」
みんなの目線を集める。
同時に私の言葉をみんな理解した。
そう、話し合いだ。
今朝決めた事、みんなで決め合う事。
それが私達の、私達だけの新しいルールだから。
ミニア
「進んだら・・・せっかくここまで来たのが無駄になる」
ネーネ
「ここに居続けても、多分変わらないと思う」
ただここで死ぬだけを待つなんて嫌だから。
ダツ
「怒られるの・・・嫌だしな・・・」
ネーネ
「怒られようよ! 怒られるくらい済むなら!」
可能性はきっとある。
進めば、しっかりと正直に話せば。
ケイト
「最悪・・・冒険者になれないかも知れない」
ネーネ
「でも・・・私達は生きてる!」
みんなと一緒に生きていればきっとどうにかなる。
みんながいれば・・・。
ネーネ
「私は・・・みんながいれば、居てくれればそれでいい!」
恥ずかしい台詞。
だけど、本心。
本当はみんなと冒険者に憧れを抱いて旅立った時から気持ちは変わらなかった。
私は、みんなと一緒に居たい。
みんなさえいれば、何も・・・。
何も・・・。
ネーネ
「ごめん・・・嘘付いた、私・・・みんなと・・・」
何も要らないなんて嘘だ。
たった一つ。
一人だけ。
もう一人だけ、傍に居てほしい人がいた。
ケイト
「・・・ネーネ、わかるよ」
ネーネ
「え?」
ケイト
「だって俺等兄妹だもん! 妹のことくらいわかるって!」
私とケイトは、ダツとミニアが出会う前からずっと一緒だった。
親に捨てられてからも。
ずっとずっと・・・。
ずっと私を守ってくれた・・・。
ダツ
「兄妹じゃなくてもわかるぜ!!」
ミニア
「そうよ!! 私達は、友達、親友、仲間でしょ! これからもずっと!!」
ネーネ
「ダツ・・・ミニア・・・!」
関係ない。
そうだよね、私達の考えてることは常に同じなんだ。
これからもずっと・・・!
ネーネ
「帰ったら! カズキさんにいっぱい謝ろう!!」
ケイト ダツ ミニア
「「「うんっ!!! 賛成!!!」」」
私達の話し合いは、全員一致で終わった。
先に進む。
これから何があるかわからないけど。
今は進む。
そして、またカズキさんに会う為に!!
・
・
・
辺りは暗い。
だけど、僕達は足を進めた。
暗い中でただ一つ光り輝いていたから。
ゆっくりと足場を気を付けながら。
ケイト
「みんな気を付けてね」
ダツ
「頭も気をつけろよー」
声を掛け合いながら進む。
光り輝く目的地へと向け。
あれが、この山脈ダンジョンのギフト。
間違いない。
前回と違い、探す手間が省けた。
僕達はただ足を動かし、その場所に到達した。
ミニア
「なぁーにこれ」
ネーネ
「大きい・・・岩?」
遠くから見て何かが光ってるとは思ったが、いざ目の前に来て見ると大の大人二人分くらいの大きさがある。
その光りは眩しすぎず目を閉じずに見上げられた。
ダツ
「ここから・・・どうすんだ?」
正直何も考えていなかった。
こんな時に教授さんが居てくれればどうするのか教えて貰えたのに。
インカムが使えないなら、どうする事も出来ないか。
ケイト
「触って・・・みる?」
ミニア
「みんな一緒に?」
ネーネ
「それが・・・良いと思う」
ダツ
「お・・・おう!!」
全員何故か体を動かし始める。
気合いを入れて全員目を合わせた。
ケイト
「前みたいに、何があっても離さないようにしよう」
前回に倣ってやることくらいしか、僕達には出来ない。
元々知識もないんだから、これが正しいかもわからない。
けど、今はその経験にすがるしかないんだ。
ケイト
「それじゃあ・・・いくよ・・・せーのっ!!」
みんな同時に触れた。
その瞬間一瞬で辺りが光りに包まれた。
そして意識が飛んでしまった。
【??????】
ネーネ
「ミニア! 起きて! ミニア!」
ミニア
「ん・・・ん・・・?」
私達は光る岩に触れた。
光りに包まれて私は意識を飛ばしてしまった。
周りを見渡すと不思議な空間だった。
まるで雲の上みたいな場所だった。
ケイト
「起きた!?」
ダツ
「ったく、相変わらず朝弱いな」
ミニア
「うるさいわね、それに朝じゃないでしょうが」
みんなが居た。
それだけで十二分に安心できた。
私は立ち上がりみんなと笑みを交わし合う。
その瞬間に空間が歪む。
というよりも下に落ちて行っている。
ネーネ
「きゃぁあああああああああああ!!!!」
ミニア
「大丈夫!! 落ちてないって!!」
不思議過ぎる感覚だ。
自分達は足を地面に付けているつもりなのに風景が動きだし、まるで自分達が動いているような感覚。
私達は透明な箱に入った人形のような物だった。
そして風景は変わっていく。
ミニア
「何・・・これ?」
ケイト
「森が・・・燃えてる・・・」
足元から見える光景。
森が燃え動物達が逃げ纏う。
モンスターのような見たことのない生物達も全力で森から避難していた。
そして森を出た先には・・・。
ネーネ
「はっ!! そっちは駄目!!」
ネーネが叫んだ。
私達のいる空間に声が響いただけで、恐らく地上には届いていない。
そして森を出た生き物達は・・・武器を手にした人間に次々と襲われる。
必死に逃げるが、すぐに追いつかれ剣で斬られ、槍で貫かれる。
ダツ
「な・・・なんだよこれ・・・」
今・・・現実で起きていること?
わからない。
けど、不思議と私は・・・両親の言葉を思い出した。
ミニア
「ロスト・・・エンシェント・・・」
それは両親が小さな私にたくさん言い聞かせた言葉。
はるか遠くの昔、争いも無い、平和だった古代。
生き物も人間もみんな楽しく仲良く暮らしていたとされる楽園。
そう、私は教わった・・・。
ミニア
「っ!!?」
また風景が動き出す。
いや、何かを見つけて急降下をしている。
もしかして・・・これは誰かの視点?
私達は誰かの視点を見せられてるの?
全員が見る光景が地上へと変わった。
目の前には羽根の生え、立派な角の生えた狼が一匹。
人間に襲われそうになっていた。
私達の光景だ急に人間に急接近した。
体当たりをしたのだ。
きっと狼を守ったのだ。
お互いの安否を確認し合っていた。
だが・・・。
ケイト
「っ!! 後ろ!!!」
今度はケイトの声が響いた。
だが、私達の視点の正面は助けた狼。
その狼の表情がよく見えた。
そして、私達の視点は吹き飛ばされた。
助けた狼が、こちらに体当たりし庇ったんだ。
ネーネ
「ぁあ・・・!! そんな・・・!」
庇った狼は・・・斧で、殺された。
何度も何度も、息の根が止まってるのに、何度も斧を振り下ろす。
ダツ
「やめろ・・・やめろよぉおお!!!」
ダツが走り出す。
だけど、見えない壁にぶつかる。
ダツ
「やめろよ!! おい!! やめろってぇえ!!」
壁を何度も殴るが壊れる気配が全くない。
やっぱりそうだ・・・これは私達はただ見せられてるだけだ。
介入は・・・出来ない・・・。
光景が動いた。
今度は上空へと戻るように飛び立った。
だが地上からは矢が大量にこちら目掛けて放たれる。
同時に何かに包まれた。
地上しか見えない。
まるで私達は庇われているようだった。
大量の矢は収まることを知らない。
庇っている何かが何度も揺れる。
ケイト
「いいよ・・・! もういいって!!」
きっと矢が当たってる。
何本も何本も、命中した揺れだ。
それでも高く速く、飛ぶのをやめないで飛び続けた。
そして揺れながらも大きな山へと着地した。
中に入り山の中へ入っていく。
ミニア
「まさか・・・」
丁寧に、私達は置かれた。
そして初めて、動いていた物がわかった。
さっき庇った狼と同じ種族。
だけど、羽根の片方はもげてしまい血まみれになり、身体中には矢が何本も刺さり血だらけだ。
私達を見る。
いや、きっと・・・私達が触れた岩を見ているんだ。
凄く悲しそうな顔。
涙を流していないのに、泣いている。
別れを告げるように目を瞑り、ボロボロの身体引きずり足を動かした。
そして・・・姿を消した・・・。
私達はそれをただ眺めていることしか出来なかった・・・。
ネーネ
「っ!・・・ぅぅ・・・!」
ダツ
「どんだけ・・・強いんだよ・・・!」
ケイト
「守った・・・守ったんだ・・・きっと!」
みんな涙を流し、あの狼の代わりにたくさん泣いた。
私も泣いてしまっていた。
あの狼は・・・きっとお父さんだ。
庇った狼はきっと・・・お母さん。
そして守られたこれは・・・。
ただの岩じゃない。
きっと・・・卵・・・。
ミニア
「はっ・・・!」
現実世界・・・?
戻ってきた・・・?
卵から手を離さずみんなの様子を見た。
みんなも目を開け涙を流しながらも卵に触れていた。
離さないように。
両手で触れて。
きっとこの中には・・・あの親子が守ったものがある。
それが今・・・。
ミニア
「ヒビが・・・」
ネーネ
「岩が・・・落ちていく」
少しずつ剥がれるように岩が落ちていき更に光りが強くなる。
徐々に姿を現す。
ミニア
「みんな・・・!」
私の声にみんな頷いて応えてくれた。
きっとこの先には、間違いなく予想している物がある。
この光りの基となっているものが・・・!!
ネーネ
「・・・出た・・・!」
ついに私達の前に姿を現した。
それは・・・抱えて持つことが出来るほどの大きさの卵だ。
ミニア
「っ!!!?」
ダツ
「ぐああぁあ!!」
急激に光りが増し風圧で全員を押し出した。
光りが・・・私達を妨げている。
これが・・・ギフトならすぐにでも届くと思ったのに・・・!
そんな単純な物じゃない。
強い真素の力を感じる。
私達を試してる!?
ミニア
「っ・・・!!」
これ以上近付けない。
みんなも強い光の真素を受けて近付けないでいた。
でも、諦めないでどうにかして前へ行こうとする。
私も負けじと前へと踏み込もうとする。
自分の対内の真素が悲鳴を上げているのがわかる。
きっとこの卵の真素が強すぎるんだ・・・。
なら。
そっちの真素が・・・強いっていうなら!!
ミニア
「これなら!!」
懐から一気に物を取り出す。
【サンダー オン】
ケイト ダツ ネーネ
「「「っ!!?」」」
【ソニック オン】
【ファイア オン】
【アクア オン】
全員が同じ様に属性鍵を起動させる。
これで真素を少しでも足しにして・・・足を動かす。
ミニア
「くぅう!!!」
一歩!
二歩!
少しずつ近づける!!
だけど、光は更に強く輝き出し私達の進行を妨げる。
それでも・・・!!
前へと進みたい・・・!
ミニア
「進むってみんなで決めたんだから!! テューケ!!」
ネーネ
「そうだよ!! 決めた事は絶対にやる!! フロラ!!」
ダツ
「ぜってぇやって!!帰るだよぉおー!! ソルス!!」
ケイト
「帰る為にもぉお!! 今は進むんだ!! フェブラ!!」
一斉にパートナーを取り出す。
真素の風圧に抗いながら属性鍵を接続させ、力を振り絞り回す。
【コンタクト リンクイン】
【コンタクト リンクイン】
【コンタクト リンクイン】
【コンタクト リンクイン】
全員のパートナーが鍵の力を帯びる。
さらに足を進める。
パートナーも光りに負けないように鍵の力を全力で振り絞っていた。
そうだ!
今は私達四人だけじゃないんだ!!
私達には・・・!
このパートナー達がいる!
そしてこの先で待ってる人がいる・・・!!
あの人に、もう一度会う為に!!
更に足を踏み入れた。
その瞬間徐々に卵が宙に浮き出した。
ミニア
「えっ・・・?」
浮き出した卵を見る。
すると・・・不思議な感覚に襲われた。
これは・・・。
ネーネ
「これって・・・!」
ダツ
「あぁ!! 多分間違いじゃないぞ!!」
ケイト
「きっと・・・僕達を・・・!!」
怖がっているんだ・・・!
真人を。
自分の親を殺した真人が怖いんだ。
近付けば近付くほどわかる。
卵が震えている。
来ないで、やめてと、叫んでいる。
ミニア
「・・・・・・」
力の無い者のように・・・恐怖心が暴れているんだ。
みんなを見る・・・。
するとみんな、この風圧に耐えながらも強い瞳でうなずいた。
私も・・・気持ちを落ち着かせた。
きっとみんなも同じ事を考えているだろう。
恐怖には・・・優しさを・・・。
その優しさは・・・あの人の笑顔のような、素敵な物。
ミニア
「私達は・・・敵じゃないよ、だから・・・!」
この想いを届かせる。
伝える為に。
私達は敵ではないと!
ネーネ
「お願い!!」
【アクア フルドライブ】
ダツ
「届けぇええー!!!」
【ファイア フルドライブ】
ケイト
「伝えてみせるんだぁあ!!」
【ソニック フルドライブ】
鍵を一気に限界まで回し込む。
ミニア
「これが私達の!! 想いだから!!!」
【サンダー フルドライブ】
全員の鍵、パートナー、想い。
これが私達の全身全霊を費やした全力全開!
届いて・・・!!!
お願い・・・!!!
少し・・・!!!
後・・・少し!!!
もう・・・一歩!!!
カズキ
「クロッシングブレイヴ・・・」
ミニア ケイト ダツ ネーネ
「「「「っ!!!?」」」」
私達の身体中が光り出す。
背中を押された。
何かわからない・・・けど、力が湧いてくる。
違う・・・力が更に伝わってくる。
他の三人の想いや願いや求めてる物が!
それが・・・力へと変わる!
もう一踏ん張りだ。
もう手が届く・・・!!
ミニア
「みんなぁあああーー!!!」
想いが伝わるなら伝えられるはずだ!!
みんなも一気に気合いを入れる。
そして一気に叫んだ。
ミニア ケイト ダツ ネーネ
「「「「えい!!!えい!!!おぉおっぉおおおー!!!!!」」」」
掛声と共に・・・私達は手を伸ばし・・・。
やっと・・・卵に触れられた・・・。
触れて本当に伝わったんだ・・・きっと届いたんだ・・・。
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俺達一つの卵をみんな抱えていた。
さっきまでの恐怖心は感じないと思う。
どちらかというと落ち着いてるようにも感じる。
みんな卵をただ見つめていた。
ネーネ
「あ・・・」
唐突にネーネが口を開いた。
その反応を見て俺含めてみんなが思い出したかのように口を開けた。
ダツ
「どうやってここ出るんだ?」
全員その場で周囲を見渡す。
元々暗がりでこの卵の光が部屋の明かりだっただから仕方ないとは思う。
明かりを点けよう、みんなそう思うのだが、両手は卵にそえてる為身動きが出来ないなんてことになっていた。
みんな顔を見合わせどうしたものか困っていたら卵がそれに応えるかのように光り出した。
光りは卵からだけではなかった。
それはギフト部屋全体が光りながら崩壊していった。
その光景に少し驚いたが不思議と焦りはなかった。
次々天井の岩が降り注いでる中、俺達は卵を持ち続けて光りの温もりに目を閉じ身を任せていた。
それは一瞬だった。
俺達は瞬間移動でもしたのだろう。
今まで居た岩に囲まれた部屋とは違う場所。
目をゆっくりと開ける。
すると、そこは・・・。
「な、なんだお前ら!!?」
「何処から出てきた!?」
ケイト
「えっ!!?」
ネーネ
「ここ・・・入口!?」
俺達は入口にいた。
山脈ダンジョンに潜る時の場所。
スタート地点に飛ばされた!?
そしてそこには多くの甲冑を着た兵士のような人や見たことのない冒険者らしき人達が武器を片手に俺達を警戒する。
ミニア
「ちょっと待って下さい私達、ダンジョンから」
ダツ
「待てってミニア!!」
ミニアの言葉を遮った。
もの凄く嫌な予感がしたからだ。
だけど、遮った所で・・・。
「へぇーダンジョンからねー・・・?」
「じゃあその手に持ってる物はなんだい?」
次々と武器を取り出し俺達に近づいてくる大人達。
ケイト
「ネーネ! ミニア! 卵を!」
ケイトが二人に卵を任せる。
二人を背に俺とケイトは大人に対峙する。
ケイトが何度も言葉をかけるもの一切耳に入れてくれない。
完全に俺達を狙っている。
間違いなく、あの卵がギフトから持ち出した物だとすぐに察知したんだ。
ダツ
「ちっ・・・! どうするよ!?」
囲まれている。
少しの時間稼ぎなら何とかなるかも知れない。
でもみんなで逃げるにしても卵を置いて行くことなんて出来ない。
ジリジリと大人達が近付いてくる。
ケイト
「みんな・・・合図をしたら一気に卵を持って逃げて」
ケイトの言葉に驚愕した。
全員察した、ケイトは囮になるつもりだ。
ここで応戦しても必ずやられてしまう。
それなら、二手に別れて生き延びることを優先する。
そう言いたいんだ。
ネーネ
「そんなのダメだよ!」
ミニア
「そうよ! みんなで戦えばこの子だって・・・!」
二人の抗議に反応せずに目の前の相手を見るケイト。
俺は近寄り、今にも合図を出そうとするケイトの肩に手をやった。
ダツ
「そう力むなって・・・俺達は、ずっと?」
ケイト
「・・・一緒・・・か」
ケイトの力んだ気持ちが少し緩んだ。
またこいつは・・・なんて考えているけど、状況は全く変わらない。
俺達は・・・ここで戦うことを決意した。
あの卵を守る為に。
みんなで・・・ずっと一緒に・・・いる為に!!
ドゴォオッォオオオォオオオオオッォオオオオオオンッッ!!!!!
何かが周囲を吹き飛ばした。
大人達の悲鳴が響き渡り何が起きてるのかわからない。
俺達は土煙りと風圧を凌ぐことしか専念できなかった。
そして・・・視界が開けてきた。
そこには・・・。
グオォオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!!
猛々しい咆哮と共に姿を現したのは、竜だ。
俺達が見たことのある、光り輝く蒼い翼の竜だ。
まるで俺達を守るようにして立ちはだかっていた。
ダツ
「す・・・すげぇ・・・」
圧巻だった。
竜の一撃で周囲にいる大人を吹き飛ばした。
そして見るだけでわかる。
この竜はここにいる誰よりも強い。
ここまで戦ってきたモンスターなんかよりも強くて、カッコいい。
ケイト
「っ・・・! 誰か降りてきた」
竜の背から二人の女の人が降りてきた。
だけど二人はフードを被り仮面を付けていた。
仮面の人達は何処からか武器を取り出した。
まるでカズキさんがミツバを取り出す時のように突然現れた。
身長の低い人は身の丈ほどの機械仕掛けの杖。
もう一人は二本の剣を取り出した。
「ふふっ・・・」
ダツ
「・・・!」
二本剣の仮面の人がこちらを向いて微笑んだ。
ここは任せろ。
そう言ったように感じた。
ダツ
「多分、味方だ! 俺達の事を助けてくれるんだ」
ネーネ
「あ・・・ありがとうございます!!」
俺達はすぐさまその場から離れる。
壁際へ向い、仮面の人達の邪魔にならないように。
それを感じ取ったのか仮面の一人は一気に大人の集団へ身を投じた。
二本の剣を自在に操り次々と敵を薙ぎ倒していく。
そしてもう一人は遠距離から攻撃していた。
ミニア
「あれ・・・、カズキさんと同じ奴じゃない!?」
ガン、そうカズキさんは言っていた。
引き金を引くと人の貫くほどの真素を発射するという物。
だがその黒紅の服を纏った仮面の人が撃ち込んでる物は違った。
一発撃ち込むと地面全体を吹き飛ばすほどの威力を持った弾丸だ。
一発撃ち込む衝撃で人が水しぶきのように飛んでいく。
「あいつ等・・・まさか!!!?」
グオォオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!!
竜の咆哮が響き渡る。
同時に周囲に光りの羽毛が大量に姿を現す。
ヒラヒラと舞う羽毛は一気に大人達へ向けて襲いかかる。
無数の羽毛は鋭く、素早く、大人達を切り裂いていた。
「がぁああああああああー!!!??!」
「なん・・・だこれ!!? うあぁあああー!!!」
手も足も出ない。
圧倒的な強さ、竜はその場から動かないで次々と敵を倒していく。
二本剣の人も竜の攻撃をしっかりと交わしながらずっと走り続けている。
止まること無く次々と敵を倒していく。
敵の攻撃を避け反撃。
その動作一つ一つがあまりにも早すぎる。
ダンスを踊っているように。
甲冑や武器を破壊する瞬間の煌めく光りが止め処なく続く。
高等の上級術技を使っているわけではない・・・と思う。
ただ自分の身体能力を理解した完璧な綺麗な動き。
俺もケイトも見とれるほどの前衛の動きだ。
ミニア
「凄い・・・」
それだけじゃない。
もっと凄いのは三人の連携だ。
会話をすることも無く的確に戦っていること。
遠距離攻撃は前衛の邪魔を一切していない、それどころか前衛で戦う人へのフォローをしながら撃ち込み続けている。
前衛の人はそれに応えるかの様に常に動き敵の前線を上げさせずにどんどん圧して行く。
ダツ
「これが・・・本当の連携・・・」
ネーネ
「そう・・・だよね、きっと」
俺達は唖然としていた。
これが同じ真人・・・人間なのかと。
圧倒的人数差を軽々と跳ね退ける。
これが、本当に強い人達の・・・戦い・・・。
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カズキ
「ん?」
他の冒険者達を連れて何とかダンジョンの入口まで来れた。
何やら外が騒がしい。
俺は外の異変の確認為一人走る。
入口を出ると、凄い光景を目にした。
竜と二人の人間が戦っていた。
俺はすぐに状況を察した。
「あっ!!! マイ・・・!、んんんーー!!」
竜は一度こちらを見たと思ったらすぐに敵の軍勢に目を向けて攻撃を再開していた。
周囲を見渡すと、隅っこに四人が居た。
カズキ
「大丈夫か、みんな」
駆け寄り声をかける。
みんな軽い返事で終えた。
よく見ると見慣れない物をネーネとミニアが抱えていた。
あれがギフトの物・・・か?
ふと疑問が浮かぶが後にしよう。
カズキ
「一応状況の説明が欲しいけど、もしかして」
俺は予想を子供達に伝えた。
ギフトから出たらここへ飛ばされて、兵士達に包囲されてしまったけど、あの変態集団が助けてくれたのかと。
カズキ
「ぐほぉ!!?!?」
小さい石がおでこに直撃した。
みんな俺の心配をする。
ただ石が襲ってきただけと言っておいた。
俺の予想は当たっていた。
ギフトでの詳しい話しはまた後で話すことにした。
そう、みんなに確認をしていたら戦いの音は沈静化していった。
敵は全滅だ。
誰一人生き延びている者はいない。
そして二人の仮面を付けた人間達は何も言わずに竜へ乗り込んだ。
ダツ
「あ! あの!!」
ダツが声を大にして引きとめた。
そしてみんなで声を合わせて口を開いた。
ケイト ダツ ネーネ ミニア
「「「「ありがとうございました!!!」」」」
感謝の言葉が竜達を見送った。
これで、この子達の大規模クエストは、本当の意味で幕を閉じた。
あまりに過酷な戦いだった。
少なくてもこの子達にとっては・・・。




