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好き を 求めた 異世界 物語   作者: 三ツ三
ニ章   adventure children
40/70

第五話 大規模参戦 クエスト


お使いクエスト。


それは意外にも想像と違っていたものだった。


町の中で終わるような報酬の少ない依頼だと思っていたが、荷馬車を借りて町の外に出て大量の荷物を受け取る物だった。


僕達だけの冒険だった。


カズキさんと一緒にみなで旅を楽しんでいたその夜、モンスターの夜襲に襲われた。

僕達四人はすぐに応戦した。



先日ギフトで頂いた新しいパートナーを手にし戦った。



今まで一緒に戦ってきた仲間とこれから一緒に戦っていく新たな仲間と共に初めての夜襲を勝利した。




【自由の国リベーダム 街道】



朝になり僕等は早速目的地に向け出発した。




だけど、そんな僕達を阻むようにモンスター達と何度も戦っていた。


多くの種類のモンスターとも戦い、各自のパートナーも馴染んでいた頃だった。



僕達のクエストの折り返し地点である、目的地が見えた。




ケイト

「あっ! あれ!」



僕は指を示す。


そこには人間がいた。


そして・・・。



ミニア

「襲われてるじゃん! 助けに行かないと!」



みなすぐに荷馬車を飛び出し襲われている人を助けに走った。


カズキさんも後方からすかさずミツバさんを片手に襲いかかるモンスターに弾丸を撃ち込んでいく。



カズキ

「あれ? あの人・・・」



なんとか間に合って、モンスターと人の間に入る。



ケイト

「大丈夫ですか!?」


???

「はえ!? 君等一体!?」


ダツ

「冒険者だぜ! 見習いだけどな!」



敵の数は少ない。


これならいける、けど油断はしない。



ミニア

「おじさんこっち!」


ネーネ

「私達の後ろに隠れてて下さい!」


???

「お、おおきに―!」



感謝? されて襲われていたおじさんはカズキさんが乗る僕達の荷馬車の方へ走っていった。


それを確認した僕達はモンスターへと視線を送り戦闘を始めた。







???

「ひぃ・・・はぁはぁ・・・助かり申した・・・」



へろへろになりながら荷馬車に近付いてきた。


やっぱりと確信して俺は荷馬車の上から声を掛けた。



カズキ

「お久しぶりですね、セイトーさん。相変わらずお忙しそうで」


セイトー

「はぁはぁ・・・え!?カズキはん!?」



間違いなく商人のセイトーさんだった。


まさか今回の配達人はセイトーさんか。

偶然って凄いな。



セイトー

「カズキはん!? どうしてこんな所に!?」


カズキ

「クエストお使いのね、偶然にも運び屋の本業に似たクエスト受ける羽目になってね」



簡単に事の事情を説明する。


本当ならあの子達のフォローをして上げたいが、今の子達ならあの程度余裕だと判断しセイトーさんと喋る。



セイトー

「はあー・・・カズキはんのお弟子さん達だったんでっか! まあ何とも勇敢な子達と思ったら・・・!」


カズキ

「いやーまぁ、そんな物・・・なのか?」



弟子か・・・考えたこともなかったな。


確かに傍から見たらそう見えるのか。

あの領主もそう感じていたのかもしれないな。



セイトー

「となると・・・カズキはん、大丈夫でっか?」



急にセイトーの声が急に変わった。


この声色は・・・何か裏があるのか。



カズキ

「情報交換・・・と、いこうか」


セイトー

「話しが早くて助かります!」



今回のクエスト、俺達は領主からは簡単な物資だと教わっていた。


だが、セイトーさんの様子を見るにそう簡単な物じゃない様子だ・・・。



一筋縄ではいかないということか・・・溜息を出し、セイトーさんと情報交換を行った・・・。









戦いは僕達の優勢だった。


いつもの陣形よりも各自で遊撃する立ち回りでモンスターを倒していった。


敵は僕達よりも弱い、これなら負けない戦いよりも早く終わらせるように動いた方がいいと、ネーネからの提案だった。



ダツ

「これで・・・ラストォー!!!」



最後のモンスターをダツが倒して戦いは無事に僕達の勝利で終わった。


ミニアが僕達に周囲の敵が居ないことを教えてくれ僕達は警戒を解いた。



改めて周囲を見るとそこには僕達とは違う荷馬車があった。



あのおじさんは荷馬車から降りてここまで誘導したのかな? 荷馬車を狙われないようにと。



でも一人だったし・・・。



ケイト

「んーー・・・」


ネーネ

「ケイトー? 置いてくよー?」



他の三人はカズキさんとさっきのおじさんが待つ僕達の荷馬車へと向かっていった。


それを追うように僕も後を追って向かう。





荷馬車に戻ると、カズキさんとおじさんが何やら楽しそうにおしゃべりをしていた。



二人は近付く僕達に気付く。

おじさんが僕達に駆け寄り、感謝の言葉を送ってきた。



セイトー

「ほんまおおきに!! まさかカズキはんのお弟子さん達だったなんて思いもしまへんでしたー! 勇ましい子達とは思って任して正解でしたわー!! ワイはけったいな商人セイトー言いますよろしゅうな!」



お弟子さん・・・?


この商人さんはカズキさんのお知り合いみたいだ。

ニヤニヤと笑いながら一人一人に銀貨一枚を手に握らせた。



セイトー

「あぁあー!みなまで言わんでよろしゅー! これは助けてくれたお印と未来のえい・・・勇敢な冒険者様への投資やから気にせんで受け取ってくだされな」


ミニア

「未来の・・・」


ネーネ

「勇敢な・・・」


ダツ

「冒険者様・・・!」



みんなセイトーさんの言葉に乗せられていた。

しっかりと銀貨を握りしめ喜んでしまっていた。


まぁどちらかと言うとカズキさんのお弟子さんって言われたのは嬉しかったんだけど・・・。



カズキ

「ほらセイトーさん、お仕事しなくていいの?」



荷馬車を動かしセイトーさんが乗ってきた荷馬車へと向かうカズキさん。


それに気付き、セイトーさんが今回のクエストの目的の人であることに気が付いた。


早速ポーチから受け取り書類を取り出す。



ケイト

「そう言えばセイトーさんはお一人で来られたんですか?」


セイトー

「まさかー、そんなわけあらへんよって言いたいやが、手違いなのか何なのか、予定してた護衛冒険者はんが来なくてねー、この仕事を取り止める訳にいかんかったから一人でここまで来たっちゅうわけよ」



そうゆうことか。


だからこんな事になってしまったのか。



セイトー

「まあーでもカズキはんに出会えたんが、不幸中の大幸いでしたわ」



物凄く喜んでるように見える。


僕もカズキさんを見上げて見るとインカムを付け何かお話しをしていた。


もしかしたらセイトーさんの救助の手配でもしてるのかな?




そんな話をしていると二つの荷馬車が近付きセイトーさんの荷馬車を見ることが出来た。



ケイト

「うわぁー・・・これ全部ポーションですか!?」



中には箱詰めされたポーションが大量に入っていた。


ポーションだけでなく状態異常に効く薬などの入った木箱がぎっしりと入っていた。



カズキ

「んじゃあみんなこいつを運ぼうか」



一個一個の箱は軽くはないが、持てない重さではなかった。


僕達は役割分担を決め運び出しに早速取りかかった。


主に荷馬車には女子二人を乗せて僕とダツが二つを往復するように動いた。



そんな中カズキさんはセイトーさんとお話しがあると言って離れて会話をしていた。


さっき思った救助の件かな?



少し気になるけど今はこの作業に集中しよう。



割れ物だから下手して落としちゃったりなんかしたら弁償物だしな!



僕達だけじゃなくてみんなに声掛けをして頑張ろうと励まし合った。



ミニア

「にしても凄いねこの量・・・ウェイスで何かお祭りでもあったけ?」



ミニアの言う通り、この量は見たことも聞いたこともない。


もちろんウェイスでお祭りがあるとは聞いたことはないが、何かあるのは間違いないとは思う。



ケイト

「気になるけど・・・あんまり詮索しない方がいいよ」


ネーネ

「そうだね、ブムットさんに怒られたくないしね」



変な事に首を突っ込んであの町に居られなくなるのは正直嬉しくない。


逆にしっかりとこのクエストを終わらせて顔をブムット領主さんに売るくらいの気持ちでいた方がいい。



改めてみんなで気をつけようを声をかけ僕達は積み荷の作業に集中したのだった・・・。











そうして無事にセイトーさんの荷馬車から僕達の荷馬車へと物資を運び終えた。


途中カズキさんが戻り一緒に手伝ってくれて思った以上に早く終わった。



セイトー

「ほんま大助かりですわー、見習い君達も今後も御贔屓によろしく頼んますなー!」




セイトーさんに受け取り印を頂き書類をポーチにしまった。


そして、セイトーさん一人を置いて僕達は荷馬車に乗り込む。


するとカズキさんが一度待つようにと言った。


手綱を握るダツが何故と聞くと。




カズキ

「面白い物が見れるよ」



カズキさんが笑みを浮かべ言った。

その時だった。



ミニア

「っ!! 見て! あれ!!」



ミニアが上空を指差す。


それに倣い全員上を見上げる。



そこには青い大空に光り輝く翼を持った何かがこちらに近付いてきた。




ネーネ

「もしかして・・・竜!?」




徐々に近付いてきた姿が見えた。


ネーネの言う通りだった。


蒼い光り輝く翼を持った竜が僕達目掛けて飛んできた。




「マイロ・・・!!!、んっーーーー!!!!!」





ん? 何か今喋った・・・?




竜が口を開いたと思ったら急に黙り出した。


目の前まで来た。



ダツ

「うわぁあーすっげぇえーー!!! 本物の竜だぁあー!!!」


ケイト

「うん! 凄い・・・! カッコいい!!」



カズキさんの面白い物とはこれの事だったのか。


まさかこんな物が見れるなんて一生無いだろうに。



カズキ

「知り合いの知り合いの知り合いが、こういった人助けをしてる人達の知り合いでさ・・・」



知り合いの知り合いの知り・・・んん??


ちょっとよくわからなかったが、カズキさんが手配したということなのだろう。


本当にこの人の人脈には驚かされてばかりだ。



セイトー

「ほな! おたっしゃでねーみんなー!!!」


ケイト ダツ ネーネ ミニア

「「「「はーーいっ!!!」」」」



手を振りみんなでお別れの挨拶をした。

セイトーさんが荷馬車を竜へと動かしていた姿を見ていたら、僕は初めて竜に二人の人間が乗っている事に気が付いた。




ケイト

「・・・・・・」



二人ともフードを被って顔は見えなかった。


けど、二人とも、女の人だということはわかった。



ずっと、僕等の荷馬車を見つめていた。




「っ・・・ふふふ」



ケイト

「あっ!!」



一人が僕の事に気付いて小さく手を振ってくれた。


それに返すように僕も手を大きく振った。



ネーネ

「どうしたの?」


ケイト

「え、二人の女の人が竜に乗ってたんだ」


ミニア

「えぇ!!!?!??」



ネーネとミニアがすぐに荷馬車の後部から顔を出すが、もう離れすぎて見えなくなっていた。



手を振ってくれた人。



なんだか優しそうな人だったな・・・。




カズキ

「・・・・・・ふふ」



こうして僕達の生まれて初めての竜との初お披露目が終わった。



またカズキさんに凄く貴重な体験をさせてもらった。



いつか、カズキさんに何か本当に僕達だけで感謝の恩返しが出来ないかななんて、僕は考えていた・・・。




それからの道中みんなテンションがずっと高かった。



ダツ

「あの竜めちゃくちゃカッコよかったよなぁー!!!」


ネーネ

「うん! 最初怖いと思ったけど、なんか凄い可愛いって思った!!」


ミニア

「違うわよ! あれは綺麗よ! 見たでしょあの光る翼! あぁーー夜だったらもっと綺麗なんだろうなーー!!」


ケイト

「あぁー!確かに! 夜だったらもっと綺麗に見えるんだろうねきっと!!」



みんなずっと竜の話題で持ちきりだった。


カズキさんは少し休むと言って珍しく隅で休んでいたが、別に騒いでも大丈夫だからと言ってくれた。


ぶっちゃけると僕達はお構いなしに騒ぎ続けてしまっていた・・・。









「んんんんんんんんんーーーみんないい子だね!」



わてを乗せた竜はんが凄く喜んでいる。


何か通信でもしてるんやろか。



「はぁ・・・!やっぱり生で見るのは違うわね、少し高揚しちゃった・・・!」


「そうだね!もう凄くいい子達で涙出そう!!」



何か三人感極まっているようだったのであまり口出さんほうがええなこれは。



改めてカズキはんに感謝や。



セイトー

(まぁ・・・カズキはんが一緒なら大丈夫やろ)



これから起きる事。


それを想像すると、あの子達は本当に幸運やな。



少なくても今はそう思い、わてにはあの子達の健闘を祈ることにした・・・。




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【街道 道中】




セイトーのおっさんと別れた俺達は何ごとも無くまた夜を迎えた。


もちろん道中モンスター達に襲われたみたいだが、俺を起こす事も無く撃退したとみな自慢げにして話していた。


めっちゃくちゃ褒めてあげた。



そして今も夜の野営と食糧調達は自分達がすると息巻き俺は休んでるようにとお願いされてしまった。



本当に心強くなってくれてありがたい限りだ。



みんなのお言葉に甘えて俺は荷馬車の中でインカムを付け腰を落ち着かせ座り連絡を取った。




エイジルト

「んー、そろそろ連絡来ると思っていたよ」



ギルドのエイジルトのおっさんに連絡を取っていた。



カズキ

「このクエスト、まさかあんたの仕業じゃないだろうな?」



問い詰めた。


だが白を切られた。


少なくても選んだのはあの子達だと、それ一点張りだった。



カズキ

「最初からおかしいと思ったんだよ、冒険者が来る予定だと思い込んでた依頼主。見習いじゃあ難しいような内容、こんなのギルド側が普通止めるだろ」


エイジルト

「さあー、私のあずかり知らぬ事ゆえに何も知りませんよ」



溜息が出る。


本当に何から何までやらせるつもりだなこのおっさん。


この子の護衛任務を逆手に。



エイジルト

「なんにせよ、その様子では順調のようで安心しましたよ」


カズキ

「心にもない事を・・・で、本題だが。例のクエスト」



世間話は終え本題に入る。


エイジルトも真剣な声に変わり応対する。



エイジルト

「順調に進んでいるようですよ、もしかしたら今みなさんが運んでいる物が届き次第という事になるかもしれません」



やっぱりこいつはそのクエストに関する物だったか。


セイトーさんもそのことを風の噂で耳にしていた。


冒険者のボイコットもそれが関係していると話していた事から考えると相当規模の大きな物か。



エイジルト

「もし・・・ですが、最悪の場合は最終目標だけはお願いしますよ」



最悪の場合・・・。


珍しくふざけたことを言う。



カズキ

「全部だ・・・絶対に守りきる」



声を低くエイジルトに少し殺意を増し言い放った。


それを聞き安心したのか、俺に謝罪し町に着いたらギルドによる際の報酬金を上げておいたことを教えてくれ通話を終えた。




カズキ

「はぁ・・・」




溜息ばかり出る。


今俺が望む求めている物・・・それは・・・。




ネーネ

「カズキさぁーーんっ!!! ご飯出来ましたぁああー!!」


ダツ

「あんちゃん早くぅううー!!!」


ミニア

「起きてるの知ってますからねー!」


ケイト

「みんなで食べましょぉおーう!!!」




これだ。



今はこれだけでいい・・・。





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【北西の町ウェイス】



あれからすぐに僕達とカズキさん一行は無事にウェイスへと帰還できた。


しかもまだお昼で予定よりも早く到着出来たとカズキさんが褒めてくれた。


そして僕達はすぐにブムットさんの御屋敷へ荷馬車を運ばせた。



ダツ

「あーん? なんか多くね?」


ミニア

「そうね、本当になんかお祭りあるのかな?」



みんな不思議そうに町の光景に目をやる。


多い。


そう、見たことのない冒険者さん達が町にたくさん集まっていた。



「おぉおー見習いの坊主達! 元気してたかー!!」


ケイト

「あぁ! お久しぶりです!」



確かカズキさんと初めて会った時に同行させてくれた先輩冒険者さんだ。


顔を覚えててくれて嬉しいな。


荷馬車を止めて話す。



「随分と成長したな、これクエストか?」


ケイト

「はい! これからブムットさんの所に運ぶ所なんですが・・・これから何かあるんですか?」


「あれ? 知らないの!?」



先輩冒険者さんに驚かれてしまったが丁寧に教えてくれた。



どうやら近くの山脈にある広大なダンジョンにギフトが現れた可能性があると噂されている。


その際にモンスターが大量に出現する恐れがある為に冒険者ギルドとこの町の領主さんであるブムットさんが大規模なクエストが企画されているようだ。


もちろんまだ公けな情報は出ていないが、我先にとその山脈に向かった者達は帰ってこない事が多くあり、現在ではギルドが立ち入り禁止にしているという。


最終的に町の脅威になりかねないことから現在その大規模のクエストをギルドと共に準備を進めているという物らしい。



そしてその噂を聞き駆け付けた冒険者達がこの町に集まっているということらしい。




「そうゆうこった、坊主達ももしかしたら参加できるかもな! じゃあな!」


ケイト

「あ、ありがとうございました!!」




手を振るいお別れした。


馬を歩かせると同時にみんなもその話題を早速口に出す。



ミニア

「いいねー! 大規模クエスト!」


ダツ

「いいなぁー!!! 俺達もいけるかなー!?」


ネーネ

「んー・・・どうだろう、私はあまり気が進まないかな、危なそうだし」



ネーネの言う通りだ。


確かに僕達は以前に比べて格段に強くなったのは間違いないが。


それは底辺よりマシになった程度だ。


本当の冒険者さん達の足元にも及ばないだろうし。



ダツ

「まぁーそうだけどさー、あんちゃんはどう思う!?」


カズキ

「ん? そうだな・・・しっかりとした先輩冒険者に同行出来ればやられはしないと思うよ、運が良ければな」



カズキさんの最後の言葉が全てを物語っていた。


運が良ければ。


しっかりとした先輩冒険者に同行出来るかどうかも運。


その後の戦いも運。


ギフトが本当にあるかも運。


一番乗り出来るかも運。



そういうことだろう。



珍しくカズキさんは笑みでは無く何か考え事をしながら答えてくれていた。


もしかして、カズキさん。



ケイト

「カズキさん、大規模クエストの事知ってたんですか?」


カズキ

「ふふ・・・勘が鋭いな」



微笑んでくれた。


当てられた事が嬉しかったのか、笑みを浮かべてくれた。



カズキさんも詳しくは知らないみたいだが、この今僕達が運んでる積み荷がその大規模クエストの物資の一部の可能性があることを教えてくれた。


それを聞いて改めて背筋がぞっとした。


積み荷に何かあったらと思うと本当に無事よかったと安堵する。




カズキ

「そんなに気になるなら、今から会う人に聞いてみたらどうだ?」




冗談半分に提案してきた。


みんなその提案に言葉を失っていた。



領主であるブムットさんに聞く・・・。



それからみんな言葉を失い・・・考え込んでしまったのだった・・・。







考えに考え、答えを出せないまま、ブムットさんの屋敷前に到着してしまった。


門番さんもすんなり通しくてくれて屋敷に入る。



ブムット

「おぉおー!! お早い御到着で!」



僕達の到着に急いで駆けつけてくれた。


荷馬車を降りブムットさんにセイトーさんから受け取った契約受取書をお渡しした。



ブムット

「うんうん! 素晴らしいですね!! ありがとうございます! お疲れでしょうからよかったら中でお茶でも出しましょうか?」


カズキ

「御気使いありがとうございます、ただすみません、これから用事もありますので」



カズキさんも降りてきた。


そして荷馬車を止めるのはここでいいのかなどの指示を聞いていた。


そっかそこまで考えないと、なんて呆けてしまっていた。



ブムット

「いえいえ、こちらで結構ですよ。では改めてありがとうございます、これでクエスト完了です。 すぐにギルドの方へ連絡をさせて頂きますね」



クエスト完了。


心中でガッツポーズを取った。



ケイト

「ありがとうございます!!」



勢いよくお辞儀をする。


その姿を見てブムットさんは笑う。



ブムット

「いやー見違える物ですねー、指導者が素晴らしかったということですかな?」


カズキ

「そう思います? びっくりするくらい何もしてないんですよこれが・・・」


ブムット

「ほぉーそうでしたか・・・これは失礼致しました」



二人が・・・僕等を褒めてくれている。


みんなも荷馬車から降りてきて喜んでいた。



本当に無事にクエストが完了したという実感を噛み締めていた。




ブムット

「では、私はこれで・・・少し忙しいものでしてね」



忙しい・・・。



そうか・・・。



ケイト

「あの!」



つい屋敷に戻るブムットさんを引きとめてしまった。


立ち止まり振り向いてくれた。



ケイト

「だ、大規模クエストって! 本当にあるですか!?」



空気が一瞬凍った。


ブムットさんも言葉を出さなかったが、大きく笑い答えてくれた。



ブムット

「そうかそうか、まぁここまで噂が広がってしまうと秘密にもできんか」


ケイト

「やっぱり・・・!」


ブムット

「そうだよ、近々ギルドから冒険者達に通達があるだろう。君達が参加できるかはわからないがねー・・・」



やっぱり本当にあるんだ。。



大規模クエスト。



ありがとうございますと、もう一度お辞儀をした。


それを見たブムットさんは今度こそ屋敷へと帰っていく。



そして僕達も御屋敷を後にした。



それからの僕達は大規模クエストの事で頭がいっぱいに話をしながらギルドへと足を運んだ。









【冒険者ギルド スタンバ館】




「はい、お疲れ様でした。 何か手違いがあったみたいなのによく頑張りましたね」



受付のお姉さんにも褒めて褒めてもらった。


報酬を取り言ってくると言って僕達にイートスペースで待つようにと告げ奥へと入っていった。



ケイト ダツ ネーネ ミニア

「「「「乾杯っっ!!!!」」」」



それから僕達はすぐにタルシナ牛乳を注文し祝杯を上げていた。


昼食を取っていなかったので一緒に食事を取ることにした。



ダツ

「あれ? あんちゃんは?」


ミニア

「エイジルトおじさんに用があるから、先に食べててって言ってたでしょ」



スタンバに到着して早々にカズキさんは奥の部屋に入って行った。


報酬は自分は何もやってないから僕達に全額くれると言った。


流石にそれはと思いはしたので、話しあっていた。



そこに丁度受付のお姉さんが報酬の硬貨袋と受け取り書を持ってきてくれた。



ケイト

「えっ!!? こんなにいいんですか!?」


「えぇ、迷惑料も込みだからね。今後は私達も気を付けるようにしますのでってね」



硬貨袋が重かった。


以前ほどの物じゃないにせよ、合せるとちょっとした小金持ちに僕達はなっていた。


それを見たちゃんと出口から離れた席に座るネーネはさらに頭を悩ませていた。


受取書を何度も見返す。



お姉さんの言う通り迷惑料が含まれている。


そして本来の料金は訂正されていた。


僕達の簡単なお使いクエストではなかった為に報酬額が跳ね上がっていた。


その額に負けないくらいに迷惑料も記載されていた。



つまりほぼ2倍の量の金額を受け取ることになる。



「何度見ても変わりませんよ」


ケイト

「そ、そうですよね・・・」



意を決し、受け取り印の場所に僕の名前を書いた。



「はい、改めてお疲れ様! ゆっくりして行ってね」



ケイト

「・・・・・・」


ダツ

「なぁ・・・今俺らの手持ちっていくら?」


ミニア

「ネーネ・・・?」


ネーネ

「多分・・・50倍くらい」



ネーネの言葉にみな絶句した。


みんな開いた口が塞がってなかった。



カズキ

「おぉー今日のも美味そうだな・・・ん?どうした?」





昼食を取るのに僕達は凄く時間が掛かってしまったのだった・・・。











僕達はスタンバを出た。



その後カズキさんの提案によりお金の件は無事に終わった。


本当に少ない金額だけを受け取りこの話は終わりと言った。



そして今までの僕達では考えられない量のお金の件も無事に解決した。



ギルドが管理しているというお金を預けることが出来る物を利用することにした。


銅貨数枚の手数料がかかるものの大量の硬貨を手元に置くのは危ない為、今までネーネが持っていた金額を各自で持つようにし他全てをギルドへ預けた。


だが、結局その引き出しなどの手続きが必要になる小さい結晶石をネーネが持つことになり気が気ではなかった。



カズキ

「大丈夫だよ、そのキャッシュカー・・・えーっと結晶石が盗まれたってまた再発行じゃなくて・・・作ってもらえるから」


ネーネ

「は・・・はい・・・」



慰めるも中々気持ちは元に戻らないようだ。


そんな時にカズキさんから素敵な提案をしてくれた。



カズキ

「よかったら、君達の孤児院に少し仕送りでもしたらどうだい? お世話になった人も喜ぶよ」


ケイト

「えぇ!? そんなこと出来るんですか!?」



どうやら簡単に手続きが出来るようだ。

少し手数料を取られるようだけど、ギルドがお金を孤児院に僕達の手紙などと共に送ってくれるという物があるらしい。



ミニア

「シスター喜ぶかな!?」


ケイト

「きっと喜んでくれるよ!」



早速それをやろうと、ギルドに戻ろうとしたが、カズキさんに止められた。



カズキ

「ちょっと待って、送る金額まだ決めてないんだろう?」



カズキさんの言う通りさっき聞いたばかりだし考えてなかった。


でも多い方が喜んでもらえると思うし。



カズキ

「仕送りはいつでも出来る、それよりも今日は・・・」



カズキさんスタンバを背に歩きだした。


僕達は顔を見合せてからカズキさんの後を追うようにしてスタンバを後にした・・・。




少し歩き、とある広場に来た。



中央に噴水があり、この町の中央の大きな広場だ。



ここは泊まっている宿屋とスタンバの通り道の為いつも通っている場所だ。



本来なら見慣れた光景なのだが・・・。




ネーネ

「えぇ!? 何これ!?」


ダツ

「すげぇー!! 武具屋さんがいっぱいだ!!」




みんな広場の光景に驚く。


最近の僕達は驚いてばかりな気がしたが、今の光景も圧巻だった。


荷車が大量に並べられていてほとんどの人が敷物を強いて武具の販売をしていた。



カズキ

「噂を聞き付けて鍛冶屋や商人が駆け付けてるってセイトーさんに教えてもらったんだ、だからこれを見てから仕送りを決める。 それでどう?」



そうか!


仕送りはいつでも出来る。


けど今目の前の光景はあの大規模クエストがあるから、そうゆうことだったのか。



カズキさんが止めてくれて本当によかった・・・。




ナザ

「うおぉおお!!! 早速見に行っていいよねあんちゃん!!?」


カズキ

「人にぶつからない事、迷惑をかけない事、無駄な買い物はみんなで話し合ってからする事、で集合場所はここ。これだけは絶対に守れるなら行ってよし」


ケイト ダツ ネーネ ミニア

「「「「はーーいっ!!!」」」」




僕達は抑えられない高揚感を爆発させて行く。


ダツは勢いよく走っていく。

僕もその後を追うようにして付いて行く。



ミニア

「行こう!」


ネーネ

「うん!」



ネーネとミニアも二人手を繋いで端から見て回ろうとしていた。




カズキ

「日暮れには戻るようになぁーー! って聞こえないか」








みんな走り去っていった。


本当に元気な子達だ、朝からクエストでモンスターとも戦っていたというのにこの張り切り具合はいったい何処から出てくるのか。


まだ若いはずだと思う気持ちが少しくすむ・・・。



とは言う物の、確かにここまで大きな市場になると俺でもテンション上がるな。



でもまぁ必要な物は特にないと思うので適当に見て回る程度にしていたが・・・。




カズキ

「あれ・・・ゴドフのおっさんじゃん」


ゴドフ

「あん誰がおっさ・・・おぉカズキか、ってそうかここが例の町だったか」




知らないで来てたのか。


しまった、来るなら色々頼んでおくべきだった。



ゴドフ

「嬢ちゃん達から聞いてるぜ、子供達の先生してるんだって?」


カズキ

「まあな、教えてもらうことの方が多いがね」


ゴドフ

「ははははは、そいつは違いないわ」



ゴドフの並べてある商品を見るが、殆どがもう売り切れている。


残りは安物か値の張る物ばかりが残っていた。


防具の方も同じようなもので。


インナー、服は・・・ほぼ完売だな・・・。



ゴドフ

「あー防具で思い出したが、あの方がめっちゃカンカンに怒ってたぞ、なんでもっと早くに教えてくれなかったのか!って」



あの方・・・?


あぁー今俺が来ている服を作ってくれた人か。




ゴドフ

「猛り狂って子供達に会いに行くって言い出してみんなで止めるのに必死だったぞ」


カズキ

「ははは、どうせ教授先生と団長様が変な自慢話ばかりするからだろう?」


ゴドフ

「ご明察! 改めてお前らの村に来てよかったぜ、こんな飽きない毎日を送らせて貰ってるからな」


カズキ

「それはどうも」




二人して笑い合う。


ついでに進捗状況を聞いてみると、村の装備とかの量産も無事に終わりそうだと話していた。


今日ここに来たのは、村長の提案みたいで気晴らしにどうかと言われたらしい。


売る物も特にないと言って断ったが、ゴドフの鍛冶弟子達がやる気になってしまったようで、ゴドフもそれに乗せられちゃったみたいだ。


そしてその噂を聞き付けたあのお方もやる気を出してしまったらしく沢山防具をデザインし作りゴドフへ送り付けてきたようだ。


もちろんウェイスでやることはあの方、だけでなく他の面々も知らないみたいだった。



カズキ

「この事内緒にして置いた方がいいだろう」


ゴドフ

「だな、何言われるかわかったもんじゃねーな」



特にあのお方が知ったら本当に難癖付けてこの町に来るだろうからな。


触らぬあの方に祟りなしだ。



そんな事を話していると・・・。



ネーネ

「カズキさんっ!!」



みんなの声が聞こえた。


振り返り見ると四人みんないた。


最初別々に行動していたのにも関わらず結局みんなで行動する事になったようだ。



ゴドフ

「おぉーお前さん達が例の子達だな」


ダツ

「え・・・あ、初めまして・・・」



みんな委縮している。



カズキ

「っっっっっぷ!!!」



その光景につい口を塞ぎ下を向いて顔を隠してしまった。


それを見たおっさんは激怒した。


更にそれを見たみんなが更に委縮する。



ゴドフ

「あぁー怒鳴ってすまんな、俺はゴドフ、今笑ってる奴の村に引っ張り込まれた鍛冶屋だ」


カズキ

「ぶっ!! くくくくくっっ!!!!」


ケイト

「あっ! カズキさんの・・・お仲間さんですか!」



ケイトが気付いた。


その言葉にみんな今までの委縮が吹き飛び一斉に自己紹介を始めた。


そして目を輝かせゴドフの品を見渡す。



ゴドフ

「とは言ってもわりぃな、お前さん達に合うような物持ってきてないんだ」


ミニア

「いえ! だってこの服とか凄い綺麗に出来てますね!」


ネーネ

「もうちょっと大きかったら買ってたのになー」



あぁーあ、あの方が聞いたら喜び狂いそうな事を。


でも実際あの方の服は本当に村でも人気であり、特に女性からは本当に魅力的に感じる物らしい。



ダツ

「くそぉ!! この甲冑着てぇーなぁー!!!」


ケイト

「流石に僕達のサイズはねぇ・・・」



まぁしょうがないよな。


ここに出してる8割はみんなに合わないだろう。


武器は持ってるので大丈夫にしろ、防具や服くらいはあると思ったが少し見込み違いだったか。


少し反省していたところ、ゴドフのおっさんが何か閃いた顔をしてみんなに待つように言い荷車の中に入っていった。


みなその光景を静かに待っていたらゴドフは何かを手にして持ってきた。



ゴドフ

「丁度4本あってよかったよ。 よかったらこれ貰ってくれ」


ケイト

「・・・・・・ナイフ?」



みんな受け取り鞘から出して見る。


丁度子供が持ったら短剣くらいの大きさになる立派な代物だ。



ゴドフ

「こいつは俺が作った特製だ、モンスターに使うのもいいが、どちらかというと冒険の時に使うのに便利なもんだ、とにかく固くて肉を切ったり枝を切ったり、採掘する時にも使えるってもんだ」



ミニア

「えぇ・・・そんな物いいんですか?」



確かにここにはみんな買い物にきた。


ただ、今手に持っている物は並べられている商品よりも明らかに別格な物だとみんな勘付いた。



それもそうだ。


確かに商品も凄い物だけど、これはゴドフの指導でお弟子さん達が作った物。


他の店に比べたら十二分に良い物だが、その指導をしていたゴドフ本人が作った物が別格なのは当たり前が。



ゴドフ

「あぁ! そこの奴がお前さん達に世話になってるみたいだからな、そのお礼だ」


ネーネ

「そんな! お世話なんて・・・」


ダツ

「逆に俺達が迷惑ばっか掛けるのに・・・」



今度は違う意味で委縮してしまっていた。


だけど、ゴドフはしゃがみ込みみんなに微笑みかける。



ゴドフ

「こいつ、案外色々とよわっちいからよ。お前さん達が見てくれてた方が俺達も安心なんだわ」





また余計な事を・・・。




でもその言葉のおかげかみんなの表情が安らいでいく。



そして受け取ったナイフを鞘にしまい強く握りしめた。




ケイト ダツ ネーネ ミニア

「「「「ありがとうございますっ!!!」」」」


ゴドフ

「おう! 頑張れよ!!」




そうしてみんな立ち上がりナイフを大事そうにし自分のゴドフの指導で腰に装着していった。


自分のその姿を見て更に感銘をみな受けていた。


まだ時間あるからもっと見ておいでと、伝えた。



ゴドフにみんな丁寧に挨拶していき、みんなと別れた。




ゴドフ

「なるほどな、あの二人がうるさくなる意味がよくわかったよ。あの子達がギフトの為だけに利用されたなんて思ったら、俺でも全員皆殺しにするな」


カズキ

「あぁ・・・だけど、まだ終わってない」




あの虐殺なんかはまだ手ぬるい。


俺はあの子達を守る、守る事が出来た。


だけどそれ以外にも多くの見習いの子達、人達が犠牲になってた。



それを見過ごすなんて、あの子達を見ていたら余計に出来ない。



絶対に追い詰めてやる。



この事件の黒幕を。





ポンッ・・・。




肩に手を置かれた。



ゴドフが真剣な目でこちらを見る。



ゴドフ

「耳が腐るほど聞いたと思うが、お前は絶対に無理をするな」


カズキ

「わかってる、死んでもあの子達を守るさ」


ゴドフ

「違う・・・あの子達の"為にも"だ」



目線を合わせる。


本当に真剣な眼差しだ。



やっぱり・・・何かを隠してるか・・・。



俺には絶対に言えない何か・・・。




俺が無理をしたらあの子達に危険が及ぶ?




これじゃあまるで俺が爆弾か何かみたいじゃないか。




カズキ

「あぁ、わからないけど。細心の注意は払うよ」


ゴドフ

「頼んだぞ、カズキ」




わからない事は出来るだけ考えないようにしてた。




だけど、今はわかってることが大事だった。




これからの大規模クエスト。





恐らく俺とあの子達は参加させられることになるだろう。





その為にも、今出来る事を俺は考えるようにした。



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