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好き を 求めた 異世界 物語   作者: 三ツ三
ニ章   adventure children
38/70

第三話 最終終着点 ギフト


僕達のを救ったのは、自分達と冒険者見習いの男の人。


だけどその力は天と地ほどの物。

以前に一度だけパーティーを組んだことのある、カズキさんだった。


更に僕達に戦い方をカズキさんのお仲間からたくさん教えてもらった。



帰り道を失ってしまい僕達はカズキさんと共にダンジョンの最深部へと進み、再度大型モンスターと戦った。



僕等四人は教えてもらったことをしっかりと実践しカズキさんと共に大型モンスターの討伐に成功したのだった。





【遺跡ダンジョン 最深部 大広間出口前】



遺跡ダンジョンの最後の大型モンスターを倒した僕達五人は一度休息を取っていた。


カズキさんから受け取った属性鍵をお返しし休息の団欒を楽しんでいた。



ネーネ

「カズキさんって北陸出身だったんですか!?」



僕等はカズキさんの事をたくさん聞いた。


特にネーネは前のめりになり思いついたことを口に出し聞いていた。



カズキ

「と言っても小さい村・・・何だけどね」


ネーネ

「じゃあ! あの・・・北陸の英雄って知ってますか!?」


カズキ

「北陸の英雄・・・?」



カズキさんはこちらの南陸にはつい最近来たそうでこちらの事情をあまり詳しく知らないようだ。


南陸では最近北陸で起きた事件が噂で話題になり、その中心人物である北陸の英雄が巷では騒がれていることを。



ネーネ

「知らないんですか!? 大襲撃事件、兵器獣戦線、正唱和誘拐未遂、四守護家人食い事件とかを治めたっていう凄い人なんです!」


カズキ

「あぁー・・・確かにそんな事・・・あったような気がする・・・よ」



歯切れが悪い回答だ。

もしかしたら小さな村というのは、本当に小さな村なのかもと、少し無礼な事を考えてしまった。



ネーネ

「凄いんですよ! 凄く強く頭も良くて勇敢で正義感が強くてカッコよくて! おまけに種族間なんてものも一切気にしない優しい人なんですよ!!」


ミニア

「でも! 目が凄く怖くて常に死んでいて睨まれたら一貫の終わりのバトルジャンキーなんですよ!!」


ネーネ

「だから違うもん!!」



また言い合いが起きてしまった。

ミニアもネーネをおちょくるのやめればいいのに・・・。


ふとカズキさんの方を見たら目に手を当て下を向いて何かショックを受けているようだった。

負傷でもしたのかな?



ケイト

「カズキさん・・・大丈夫ですか?」


カズキ

「あーうん、ごめんちょっと目にゴミが入った・・・だけ・・・うん」



そっかよかった、大事でなくて。


でも目から涙を出すくらいに大きなゴミが入ったのか、それは大変だ。





カズキ

「よ~し、みんな休憩終わりだ~・・・そろそろ行くよ~」





カズキさんの掛声で僕達は立ち上がり出発の支度をした。


ほんの少しだけカズキさんの元気がなかったと思ったのは僕だけだったのかもしれない。



そんな事を考えながら、この大広間の出口の扉に手をかけたのだった・・・。




--------------------------------------------------------------------------



【遺跡ダンジョン ギフト】



大型モンスターの居た大広間から抜け僕達は言葉を失った。


正確には見たことのない光景に言葉が出なかった。



ただ思ったことは。



綺麗。



それにつきた。


岩だらけの広間だがその岩が光り輝いていて奥までしっかりと見えるくらいに明るかった。



カズキ

「シュ・・・教授さん今いいか?」



カズキさんがインカムで教授さんと話していた。

どうやらこの光景を教授さんに教えているみたいだ。


すると先ほどのようにインカムが浮遊し、教授さんの声が聞こえた。



教授

「あらギフトじゃない、みんな頑張ったのねお疲れ様」


ネーネ

「あ、ありがとうございます!」


ミニア

「教授お姉さまと、属性鍵の力のおかげです!」


教授

「そう、私も鼻が高いわ。 カズキ後でお話しね」



教授さんが笑顔でカズキさん相手にだけ顔色を変えているのが声だけでわかった。



そして教授さんがこのギフトと呼ばれる物を教えてくれた。



多くのダンジョンの中には最深部の更に奥に稀にこういった最初に辿り着いた者にのみ許されたご褒美があるということだ。



それがここ ギフト 。



冒険者や学者さん達はみなそう呼んでいるようだ。


このギフトには大量の財宝だったり伝説の武具だったり、希少な宝石などが眠っている場合が多くあるようだ。


これだけに冒険者になった人は多いが、ギフトはまさに稀で、今回のようにもう調査済みなのにも関わらず突然現れたりする為狙ってギフトに訪れることは難しいようだ。



教授さんもその一人だったらしくて昔はギフト巡りの為に世界中旅をしていたという。



カズキ

「ってことは初代のあれも・・・」


教授

「まぁそうゆうこと、あんた本当に運がいいのか悪いのかわからないわね」



カズキさんが口に手を当て考え事をしていた。

教授さんの言葉を聞く限りカズキさんも何処かのギフトへ足を踏み得れたことがあるようだ。



そして教授さんは僕達へ何か近くにないか調べるように言った。



ダツ

「って言っても岩が光ってるくらいで何も・・・」



ダツの言う通り特別な物は特に見当たらないが・・・。



ネーネ

「これ・・・何かな?」



ネーネが何かを見つけたようだ。


そこには光り輝いた読めない字のような物がただの岩に書かれていた。



教授

「どれどれ・・・?」



教授さんが解読してくれた。


やっぱり凄い人なんだ、こんな字聞いたことも見たこともないのにわかるんだ。



教授

「・・・・・・」



黙って解読を続けていた。


だけど、すぐにわかったようだ。



教授

「うん、みんな、自分の武器をその岩に当ててごらんなさい、その文字が消えるまで絶対に離しちゃ駄目、わかった?」



武器を?

全員、武器を取り出し言われた通りにしようとする。



カズキ

「俺も?」


教授

「一応やってみたら? 多分意味ないと思うけど」


カズキ

「ならいいや」



結局カズキさんはやらないみたいだ。


剣は出したまま僕達を見守る。



ケイト

「じゃあ・・・みんな行くよ・・・せーのっ!」



僕の掛声と同時にみんな武器を岩に当てた。



ミニア

「な!? 何これ!?」


ネーネ

「駄目! 絶対に離しちゃ!」


ダツ

「って言ってもなんだこれ!」



突然、僕達の武器を通じて僕達の周囲が白く光り輝き出した。


全員眩しく目を瞑ってしまったが武器は手放さずに岩に当て続けた。



カズキ

「おい、大丈夫かあれ」


教授

「近く災いが起きる。未来ある成長者よ、自らの力を掲げよ、摩れば自らの成長と共に成長する力を授ける。 リアタズマの為に」



教授さんが何かを言っている気がする。


だけど耳鳴りなのか、全身に不思議な感覚が襲い上手く聞き取れなかった。



苦痛はない、まるで骨まで光りが入り込んで何かを調べられてるような感覚だ。



そして手に持っている武器が自分の一部のようになっていくような感覚に支配される。

教授さんに言われなかったら絶対に離していた。


もう自分が武器を持っているのかどうかすらわからないくらいだ。



けど、絶対に離してはならない。



それだけを考えながら僕は光りが消えるのを待った。









・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・。








光りが治まった・・・。



目がチカチカする、何度も瞬きをしてようやく目が落ち着いた。



岩の文字は消えていた。

それだけでは無く、広間中の岩の明かりも消えてしまっていた。



カズキ

「ライトスフィア」



カズキさんが明かりの術技を使ってくれた。


おかげでまたよく見えるようになった。


すると・・・。



ダツ

「何だこれ!!!??!?」



ダツが大声を上げて驚いていた。


みんなダツに目線が行った。



ダツ

「俺の!!!! 俺のナックラーが!!! カッケェエエエエー!!!」



手に持つダツの武器が色も形も変わっていた。



ミニア

「私のも凄い!! 軽いし、何よりも綺麗!!」



ミニアの武器も形も色も変わっていた、材質も木だった物から見たことのない材質になっていた。



ネーネ

「私も私も! なんか可愛い!!」



物凄く喜ぶネーネ、元々大きくなったらと長い期間使う予定だったから大きい奴を買って使っていた。

それがネーネにピッタリのサイズに先ほどの二人と同じように変化していた。



ケイト

「はあ・・・!」



期待を膨らませゆっくりと自分が手に持っている剣と盾を見た。


形も色も何故だろうか凄く僕好みになっていた。


まるで自分にピッタリになるように作られたような最適な重さ。

今まで重いと感じていた物、だけど一切感じなくなった。



教授

「よかったわね、それがあなた達専用の武器よ。今後あなた達の成長と一緒にその武器も成長するってあの文字に書いてあったわ」


ダツ

「マジですか!?」


ミニア

「成長って・・・これ生きてるんですか!?」


ネーネ

「でも、聞いたことあるよ! 優秀な冒険者の人達はギフトで手に入れた武器をずっと使い続けてるって、それと同じってことですか!?」



そうか、確かに僕も聞いたことがある。

実際に凄い冒険者さんは何十年も同じ武器を使っていると話してた人もいた。


つまり僕達もその一員・・・!?



教授

「簡単に説明すると、その武器にはあなた達の真素がしっかりと練り込まれて変化した物で常に自分の真素と連結されてるってわけ。 だからあなた達が成長すればその武器達もそれに応じて成長するって仕組み」


ミニア

「そうなんだー・・・これに私の真素が・・・」


ネーネ

「だからあの光りが身体の隅々まで入り込んでたんですね・・・」



ネーネの言う通りだ。

あそこまで僕達に光りを浴びせていたのはこの武器を生成する為だったのか。



ケイト

「あ、カズキさんが作ってくれたおまじないもしっかりと残ってる」


教授

「あら、そうなの? いいこと聞いたわ、みんなありがとうね」


ダツ

「いやーそれほどでもないっすよー!!」



カズキさんがくれた属性鍵の力も今後も継続して使える。

よく見ると今までの癖などもしっかりと残っているような気もする。


教授さんのお話しによれば今後新たな力の付与に応じて成長していく。



みんな自分達の武器に見惚れていた。



カズキ

「・・・・・・」



そんな中カズキさんを優しく見守っていた。


自分もやりたかったとか、そんな気持ちの目ではない。


まるで何かを懐かしむような。



ケイト

「カズキさんも・・・その、やらなくてよかったんですか」


カズキ

「ん? あぁーそうじゃないんだよ、ただね・・・」



三枚刃の剣を取り出し、優しく微笑みながら見つめた。



カズキ

「俺も、最初ミツバを手した時みんなと同じ気持ちになってたなぁーって」


ネーネ

「ミツバ・・・?」


カズキ

「こいつの名前・・・今後死ぬまで多分この剣と一緒に過ごすと思ったから名前を付けたんだ。 どんなことがあっても一人じゃないってさ」


教授

「・・・・・・」



名前・・・。


そうか、最初にあった時も、一緒にご飯食べている時も、僕達を助けてくれた時も。


ずっと大事にしていたのはそういう意味があったからだったのか。



何かの思い出の物なのかと思っていたけど、いざ自分がそれを手にして物凄く納得した。



ネーネ

「はあー・・・! なんかいいですね、それ!」


ミニア

「うん! 私も! あんたに名前付けたい!」


ダツ

「俺も俺も! って言っても思いつかねーなぁー!!」


ケイト

「名前か・・・うん!」



みんな更に武器に愛着が湧いていた。


持ち上げこれからは必要以上に大事にしようと決意した。



教授

「はぁ・・・あんたの変な所が移っちゃったじゃない」


カズキ

「でも、嫌いじゃないだろ?」


教授

「ふっ・・・馬鹿っ」




こうして、僕達のダンジョンクエストはようやく終わりを告げたのだった。


最低な不幸の経験の代償は凄く最高な経験と、物凄く最高な贈り物だった。



そして一番の贈り物は・・・カズキさん達と出会えた事。





この事は僕含めて全員が忘れることはきっとないだろう・・・。












【遺跡ダンジョン 出口】



ギフトの中には小さな道が出来ていた。

道中にはモンスターもいない一本道だった。



そしてついに僕達は・・・ダンジョンを抜け出し、地上へと帰ることが出来たのだった!



ケイト

「いやったぁああああああああああー!!!!」



夕陽の明かりを見てつい大声を上げてしまった。



ダツ

「うおぉおおおおおおおおおおおおー!!!!」



ダツも僕に負けじと大声を上げた。


出た場所は草原だった。



ネーネ

「あ・・・!」


カズキ

「本当だ・・・出口が潰れた」



カズキさんとネーネは振り向いた。


僕達が通ってきた道穴が崩れて塞がれてしまった。



これも教授さんが教えてくれた事通りだった。


ギフトが現れる時は出口先もバラバラであるようで、ギフトを受け取った者達がその道を通ると自然現象で出口が封じられもう一度通ることは出来ないと教えてくれていた。



そして幸運にも僕達がいる場所は出発したウェイスから凄く近くで位置的には町から南西の方角の場所だった。


これなら日没には町に戻れそうだ。



ダツ

「早く帰って飯にしようぜ飯!!」


ネーネ

「うん! 私もお腹ペコペコだよ・・・」



みんな安心感からか一気に疲労が顔に出ていた。



死闘からの絶望、そして救済。

それだけでも今まで受けたクエストの中でも一番に辛い物だった。


だけど僕達はそこから学習を経て、大奮闘・・・そしてご褒美。



本当に濃い一日だったと痛感する。



ミニア

「今日くらいは奮発してもいいんじゃないネーネ」


ネーネ

「んーーどうだろうはー・・・」


ダツ

「カズキのあんちゃんがいるじゃん!!」


ケイト

「何言ってるんだよダツ!! 流石に失礼過ぎるだろ!!」



とは言う物のみなカズキさんの方を見た。


すると・・・みなカズキさんの雰囲気が変わっていた事に違和感を覚えた。



カズキ

「あぁ、別に問題ないよ・・・ただ・・・」



口は笑みを浮かべている。


だけど、目が・・・いつもの笑っている瞳ではなかった。



カズキ

「出てこいよ、ついてきてる奴。透明術技、見えてるぞ」



パァアアアアアアアアアンッ!!!



ケイト

「っ!?」



カズキさんが僕達が歩いてきた道に向け発砲した。


ダンジョン中に教えてもらった。


ミツバさんの引き金を引くと弾丸という並大抵の人間を一撃で殺すことが出来る光る物を撃つことが出来ると。



それが今、僕達には見えない何かの足元に撃ち込まれた。



カズキ

「子供達の前だが・・・次は当てるぞ」



カズキさんは僕達に顔見せないように背を向けている。


だけど、その声質から今までの優しい声質とは真逆の物。

僕でさえ恐怖を覚えるほどの殺意のこもった物だった。



それを相手も感じたのか、ゆっくりと何も無い所から一人の男の人が姿を現した。



「ほう~、俺が見えたか。お前さんやるなー」


カズキ

「お前、一味か」


「何のことだろうねー?」



カズキさんの問に聞く耳を持っていなかった。

それでもカズキさんはミツバさんを降ろさずにずっと男の人に剣先を向けていた。



「俺はただ・・・巡回をしていただけさ」


カズキ

「・・・・・・」



男の人は、何かを隠してる。

僕だけじゃなくてもここにいるみんなが思っただろう。


この人は・・・何か嘘をついていると。



カズキさんは何かを口にしたいはずなのに、言い返せないでいた。

そう思った。



これは・・・僕達に気を使っているからだ。




「そう、俺様はただ・・・ここらへんで何か不審な奴らを見つけたら、すぐに報告するように言われてるんだよー、例えば・・・こんな時間に子供達だけで町の外にいるような子達がいないか・・・とかね?」


ネーネ

「まさか・・・」


ミニア

「こいつ・・・あの時の」


ケイト

「・・・っ」



寒気を感じた。


カズキさんが言った一味。


まさか、この人は、あの時の。




僕達を置き去りにした先輩冒険者の一味!?





カズキ

「ちっ、この子達に今後は手を出さないということなら見逃してやる、さっさと失せろ」


「おぉー怖い怖い、じゃあー俺は失せますよ・・・俺はね」



ミニア

「っ!? 誰か来た・・・!?」



ミニアの言葉で振り返る。


遠くから人影が・・・冒険者達が大勢こちらに向けて走ってきていた。



目的は・・・僕達なのか・・・。



ネーネ

「カズキさん!!」


「だぁああっははははははは!!! まさか生き延びてたなんてな! お前達を見つけた時はビビったぜマジで!」




もう隠す気もない様子で高笑いをしていた。


やっぱりこの人は、最初から僕達を狙って・・・。



まさか、本当の狙いは僕達の・・・ギフト・・・武器!?



ダツ

「んにゃろぉお! てめぇえー!!!」


カズキ

「駄目だ・・・!」



飛び出そうとするダツを腕を出し止めるカズキさん。



ダツ

「どうしてですか!! こいつ悪者でしょ!!」


ミニア

「そ、そうですよ! こんな奴ら倒しちゃっても!」


カズキ

「駄目だ!!!」



カズキさんが初めて怒鳴った。


その言葉にみな驚きそれ以上は何も口にしなかった。



カズキ

「君達には、そんな事をして欲しくない」


ケイト

「でも、カズキさん・・・!」


カズキ

「うつ伏せになって顔下げて目を閉じて耳を塞ぐんだ。いいな、俺が君達に触れるまで絶対に顔を上げちゃ駄目だ」


ネーネ

「それって・・・カズキさん・・・」



みんながすぐにカズキさんの言葉の意図を理解した。


それはつまり、僕達に・・・。



人が死ぬのを見せたくない。



そうゆうことだ。



カズキ

「いいから、やるんだ」



カズキさんの言葉がまた冷たくなった。


だけどみんな言うことを聞かないでいた。


あの事が本当に許せない。

そんな事もしたくない。



僕達は・・・本当はそこまで、綺麗な子達じゃない。




ケイト

「カズキさん・・・ごめんなさい」


ネーネ

「ケイト・・・」


カズキ

「・・・・・・」



言うしかない。


だって、カズキさんに・・・嫌われたくない。


これを言ったら、嫌われるかもしれないと黙っていた事が僕達にはあった。


少なくても僕にはある。


今それを言うしか・・・。




ケイト

「僕・・・人を、殺したんです。この手で」


カズキ

「っ・・・」




ほんの少しだけ反応した。


背中で越しでもわかった。


僕達の面倒を見てくれてたシスターから言われていた。

過去の事は絶対に人に言ってはいけないと。



でも僕は・・・カズキさんには知ってほしかった。



ダツ

「俺も・・・いっぱい悪いことたくさんした」


ミニア

「私は、取り返しのつかないことしました」


カズキ

「・・・そうか」



幻滅・・・された。


カズキさんはこちらを振り向かない。

ただずっと男の人に剣先を向け続けていた。



やっぱり、言うべきじゃなかったのか・・・。



僕のせいで・・・。



ケイト

「みんな・・・ごめん」


ダツ

「いや、ありがとうな言いだしてくれて」


ミニア

「うん・・・逆にごめんね」



やっぱり、みんな同じ気持ちだったのか。


ここで黙っていたらきっと僕達は後悔する。


大好きなカズキさん達に隠し続けないといけなくなる。



カズキさんのあの笑顔が、苦痛に感じてしまう。



きっと・・・そんなのは耐えられない。




これは、報いというやつなのかもしれない。


こんな僕等が少しでも良い思いをしてしまった。




僕達はきっと・・・今後もこうやって・・・。






生きていくに違いない・・・。


















カズキ

「俺の方こそ、ごめんな」






カズキさんが謝罪した。





カズキ

「子供扱いしちゃって」










ケイト

「え・・・?」



みんな顔を上げた。


気が付いたら、さっきまで立っていた男の人は血を出し倒れていた。


死んでる・・・。



カズキ

「でも・・・これだけはわかってくれ、君達はもうそんな事をする必要はない、約束してくれ。 もう絶対に、同じ事はしないって」


ケイト

「っ・・・!」



シスターと・・・同じセリフ・・・。


僕は・・・涙を流してるのか。


目が熱い。


徐々に鳴き声が聞こえてきた。



みんな・・・泣いている。




カズキ

「もう目を背けろなんて、言わない。 だけど」




カズキさんがこちらを振り向き僕達の目線までしゃがみこんだ。




カズキ

「俺が今からやることは、良い事じゃない。 それをしっかりと肝に銘じてくれ、 これは・・・君達が絶対にやっちゃいけない事だからだ」



真剣な顔で僕達を見つめて言った。


今までの優しい笑顔じゃない。


だた真剣に、僕達を一人の人間として見てくれている目だ。


子供扱いでは決してない。




しっかりと向き合ってくれた。





僕は、我慢が出来なかった。



必死に抑えていた物が。


感情が。


溢れてしまった。



ケイト

「うあぁああああああ!!!」


ダツ

「あぁああああああああああ!!!!」


ミニア

「うえぇえええええええええええん!!!!」


ネーネ

「ぅぅっ・・・カズキっ・・・さん・・・!」



みんなカズキさんの懐へと抱き付いた。


それを優しく両手で包んでくれた。




泣いていいと。

今だけは泣いていいと。




僕達はカズキさんの優しさと強さに、思いっきり甘えたのだった。





「お別れの挨拶は終わったかい!」




背後から声が聞こえた。


聞いたことのある声。


僕達を置き去りにした・・・あの声が!





ついに。


ここまで来たんだ。













カズキ

「いや、始まりの挨拶だ。 勘違いするな老害」



俺は最後にみんなの頭を一撫でして立ち上がった。


すんなりと離れてくれ、そして俺の背後に回ってくれた。


本当によく出来た子達だ。


この子達に出会えてよかった。



俺は心底そう思った。

みんなは俺をトラブルメーカーだと罵るが、俺はその分たくさんの事を教えてもらった。


求めていた物以上の物をこの子達からもたくさんもらった。



後ろ向きに考えれば酷い世界共言える。



だけど、今俺の背には儚くて尊い者達。

今後の未来には絶対に必要子供達がいる。



この子達こそ、絶対に俺達が守らないといけない者達。


救いの手を差し伸べなきゃいけない者達だ。



カズキ

「この老害共の手から・・・な」


「老害!? はっ! 年長者は敬うものって教わんなかったか若造」


カズキ

「黙れ、そして帰れ。貴様等は静かに家に引き篭もってるのが世の中の為だとわからないのか」


「なんだとぉお!!!」



老害が更に前へ踏み出す。


それが合図なのか、後ろの取り巻き達も武器を取り出していた。



本当に汚い連中だ。

容姿的にも持っている武器も性根も汚い。


救いようがないな。



カズキ

「決まりだから一応言っておいてやる」



上空へミツバを向け発砲する。


無駄に大きな音をたて。

老害だから聞こえなかったなんて言わせない為にも。



カズキ

「その場に身ぐるみを剥いで、帰って残りの生涯を家で過ごすと約束するなら見逃してやる。 無駄に寿命を縮めなくてもいいぞ?」



先ほどの発砲と俺の殺意を含めた言葉に何人かうろたえている。

そんな奴らだとは思っていた。


だが・・・流石老害。

身体を震わせながらもこちらに怒りの眼差しを向けている。




「舐めやがって・・・若造風情がぁああ・・・」




もうこうなったら対話は無理だ。


こっちは最初からその気はないがな。


この子達に手を出した時点で、許すつもりなんて毛頭無いからな。




カズキ

「いいかみんな、よく見ておけ。 さっき君達が手に入れた力の、将来の可能性を、そしてその意味を」




それだけを子供達へ伝えた。


戦いが始まる。



いや・・・一方的な暴力だ。





「お前等掛かれぇぇえええええ!!!! っ!!!!!??!!??」



一斉に走り込んできたと思ったら一斉に止まった。



カズキ

「ファミリアンブラスター、さっきの発砲・・・忘れてないよな?」



幻影銃を5機展開した。


一歩でも近づけば全員を射殺するつもりだ。


懸命な判断だと思ったが、どうやらそうではないらしい・・・。



「うおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」



やっぱり一瞬怖気づいただけか。



カズキ

「ブラスト」



剣を前へ向けた瞬間幻影術技から一斉に弾丸を撃ち込んだ。


胴体に当たれば即死、手や足に当たっても一撃で粉砕するだろう。


自動射撃。


あいつらの運次第だ。



「ひ、怯むなぁ・・・!!」



情けない声だ。


もちろんこれで終わらせるつもりなんて無いがな。



カズキ

「バレット マルチルドブラスター」



術技を唱えると共に引き金を引く。


ミツバの剣先から無数の弾丸が有象無象を襲う。


それをただ適当に何か向けて撃つわけでも無く何度も何度も無駄に引き金を引く。



「がぁあああ!!!」


「ひぃいいいい!!! ごおあぁっ!!」



悲鳴がただただ響く。


緑の草原が血と死体で赤く染まっている。



やっぱりこんな物を子供達に見せるわけにはいかなかったか。

トラウマ物になるかもしれない。



いや・・・何を俺は思っているんだ。



俺が今見せてるのはそんな物の為じゃない。


本当にわかってもらう為だ。


俺は嫌われてもいい。



力はどうゆう物なのか、彼等が手にした希少な力は、こういった物の為に使ってはいけない。


だが、こんな事が出来てしまう可能性を秘めていると。


自分達が今持っている物の恐怖を見をもって知ってもらい為に。




カズキ

「フルブレイクブラスター」



一番固まっている集団へ向けて引き金を引く。


無駄に大きくして弾丸を撃ち込んだ。



当たった者には死を。


かすめた者には苦痛と恐怖を。



「ひぃぃ・・・もう・・・駄目だ・・・!!!」



ついに出たか。


逃走。


だから最初に帰れと言っただろうに。


どうしてこんなにも話しを聞かない奴らばかりなんだ。




カズキ

「逃がさないがな・・・フリーブロブラスター」




同じ角度で術技を発動させる。

引き金を何度も引いた。


放たれた弾丸全てが逃げる者だけの頭部を貫通させた。


自由に動き回り、まだ抗おうとする者達を避け、俺の暴力から逃げようとする者のみを適格に殺していった。



今度は盾を持った集団が固まっていた。


また貫通弾の術技でもいいが。



カズキ

「レインブラスター」



その集団の上空に向け引き金を引いた。


大型の弾丸が飛び目標地点で大きな球体へと姿を変えた。


そして弾丸の雨を盾集団に浴びせた。


頭の兜を吹き飛ばし防ごうと上へ向けた盾には容赦なく大量に穴を空け粉砕する。


為す術の無い者達から弾丸のシャワーで体中が蜂の巣になっていく。






カズキ

「まだまだあるぞ、老害共」




ついに俺は足を前へと進めた。


一歩も動かないで来る奴に向かって斬るつもりだったが一向に幻影銃までたどり着けないでいたからだ。



カズキ

「スレイヴスラッシュ」



剣を横にかえしで二回振るった。


振るった場所には大量の光球が出現し集団の外側へと飛んで行き着弾音と共に吹き飛ばしていた。




「く、くそぉおおおおおおおおー!!!!」




ただのやけくそか、一矢報いたいのか。


多くの奴らが突撃をかけてきた。


それも意味はないがな。




カズキ

「チェーンズバインド」




特別手を構えることも無く術技を発動させた。




「ぐぅう!!!」


「なんでこれ! 動けない!!!」


「卑怯だぞお! 正々堂々戦・・・、っ!!」




首を刎ねた。


薄汚いにも程がある。


聞くに堪えない時はこれをするのが一番だ。



ミツバや大事な服に汚い血が付くことは本当に嫌だが。

今回ばかりはすまない。



そんな事を考えながらも動きを封じた奴らを真っ二つにしていく。



「これ以上やらせんぞ化け物め!!!」



大きな丈夫そうな盾を持って走ってくる。

副隊長クラスか? 威勢良く突撃してくるな。



普通の斬撃でも盾は破壊できそうだが・・・。



カズキ

「スラッシュセイバー」



術技で答えてあげた。


盾を破壊。


同時に鎧ごと真っ二つにし、一撃で殺してやった。




カズキ

「さてと・・・お前で・・・最後みたいだが」


「ひぃい!! くくくく・・・くっっそぉぉおぉおおおお!!!!」



最初の若造若造と年長者ぶってた奴。


前までなら殺さないで容疑者として牢屋にぶち込むなんて考えていただろうが、録画機のおかげでまあなんとかなるだろう。



一生懸命フラフラと走ってきた。



こんな奴がリーダーなんて思うとこの死骸共も気の毒だと思った。



カズキ

「ウェポンキル」



ガキィイインッ・・・バギィイイイイイイイイイイイイッッ!!!!!



振り被ってきた剣をただの鉄の欠片までに粉々に壊した。



衝撃が想像以上に大きかったのかその場で尻もちをついた。


ガタガタと震え、許しを乞い始めた。



「許してくれ・・・命だけは・・・、金ならいくらでも払うからぁぁぁぁ・・・」



俺がして欲しい事はもう一番最初に話した。


それがわからないんだ、話す気もない。



だが一つだけ確認しておく必要があるな。



カズキ

「誰の差し金だ、見習い達を使ってダンジョンを調査してたのは」



それが、俺がウェイスにきた目的だ。


危うく聞きそびれる所だった。



「し、知らないんだ!! 本当だ!! ただ特別クエストとして受けただけなんだ! 本当だ!!」



あの不気味不敵おっさんの言う通りってことか。


本当に知らないだろうなこの老害は。



カズキ

「そっかじゃあ・・・さよならだな」


「おおおおおお、お前・・・まさか・・・デッ・・・、っ!!???」


カズキ

「ボリュームキル、それ以上は・・・子供達がビックリしちゃうから駄目だ」



声を消した。


本人は声を出していると思っても声が聞こえない、不思議な感覚を味わせて上げて、首を刎ねた。











カズキさんがリーダー格の首を刎ねて。


戦いは終わった・・・いや、戦いなんて呼べるものじゃなかった。



僕達は・・・ただ黙ってその光景を見ているしかできなかった。



言葉を失っていた。



カズキさんはこれが、もしかしたら自分達が今後出来てしまうかもと言った。


今手にしている武器達が、その可能性を秘めていると。



そしてこれが、絶対にやってはいけないことだと・・・。





ミニア

「・・・ゆう」





この沈黙を破ったのは、ミニアだった。




ミニア

「北陸の・・・英雄・・・」




ミニアが言った言葉。


いつもミニアがネーネにふざけからかっていた時の言葉。


それが脳裏によぎった。



それと同時に、今までの優しいカズキさんとネーネの言っていた言葉も一緒に思い出した。



まさに・・・今自分達が見ている光景と、助けてくれた時の光景が。


そう思わせていた。


だけど・・・。




ネーネ

「わかんない・・・けど・・・」




もう僕達には、正直関係なかった。


みんなそう思っていた。



今目の前にたった一人立っている人がどんな人間だろうと関係ない。



ただ僕達を救い、一緒に笑い、色々な事を教えてくれて、今までじゃ体験出来ない経験積ませてくれた。

今も僕達の目の前で現実を突きつける。




僕達と、真剣に向き合ってくれた、たった一人の僕達と同じ冒険者見習い。






カズキさんという、男の人。







ただそれだけで、十分だった。












カズキ

「オブジェクトリカバー」


俺は、血みどろの服を術技で元に戻す。


服を戻すというよりも血を元の場所へと戻したと言った方が正しい。



子供達・・・ケイト達が俺を見ていた。



怯えているのか・・・。



カズキ

「・・・・・・」



無理もないか。

自分でも無駄に過剰にやった。


けどこれでいい。



これでもし、冒険者をやめると言うならそれでもいい。



それでもきっとこれは無駄じゃない。



そう信じた時・・・。



子供達が走ってきた。



それは俺から逃げる為ではなかった。




むしろ俺の名を呼び近寄る。



真剣な眼差しで。




カズキ

(本当に・・・申し訳ないな、意地悪なことばかりして・・・)





本当に色々、反省することばかりだな・・・。












-クロッシング・ブレイヴVer2取得-





そうか、面倒見ろってことかミツバ・・・。




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