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好き を 求めた 異世界 物語   作者: 三ツ三
ニ章   adventure children
36/70

第一話 冒険者見習い


真素という目に見えない力がある世界 リアタズマ 。


この大地には真人と言わる人間。


人間は真人だけではない。


多種族の人々もいる、真人と同じように言葉を喋る動物の見た目をした獣人も多く存在する。




そして、そんな人間達襲う存在。



モンスター。



人間達に容赦なく襲いかかるモンスター。



そんなモンスターを討伐する為に武器を持ち立ち向かう人間達。




冒険者。




冒険者ギルドという組織に属する彼等には国々の枠を超えモンスターと戦う。


そんな冒険者になりたいと正義感を胸に奮闘している子供達。



それを冒険者見習いと呼ぶ。





【森林ダンジョン】



森林にはモンスターが多く生息している。


そんな中に冒険者達は足を運ぶ。



それがクエストと呼ばれる依頼の為に。




ケイト

「ディフェンドプロテクション!!」



襲いかかる大型イノシシのモンスターの攻撃を防ぐ。


盾を構え術技を発動した。



「いいぞ!見習い! そのまま持ち堪えろ!」


ケイト

「はい!」



同行した冒険者の方々と仲間のみんなを守る。


大型モンスターの注意をこちらに引き付けて、その間に攻撃をしてもらう。


だけど防いでいてもダメージはある。


モンスターが何度も何度も頭突き攻撃をしてくる。



ケイト

「くぅ!!」


ネーネ

「ケ、ケイト!」



後方のネーネが声を上げる。


ここを凌がないと他の後方のパーティーに被害が出る。



ネーネ

「か、回復を・・・ピュ、ピュア・ヒーリング!」



ネーネの術技で全身に癒しの光りが広がる。


身体の痛みが消えていく。



ケイト

「ありがとう! ネーネ!」



これなら耐えられる!



「今だ!! 総攻撃!」



先輩冒険者さんからの号令だ!



ダツ

「おっしゃぁあああ!! アイアン・フィストォオオオオー!!!」



見習い仲間のダツが一番最初に攻撃を仕掛けた。


それを追うように次々と大型モンスターへ攻撃が開始された。



「遠距離術技準備! 放て!!」



ミニア

「ダツ退きなさい! エア・ショット!!」



ミニアの遠距離術技。

同時に他の遠距離術技からの一斉攻撃が開始された。





ブヒィィイイイイイイイイイイイーー!!!





大型モンスターが悲鳴を上げた。


もう少しだ!



ネーネ

「あっ! だ、大丈夫ですか!」



ネーネが持ち場を離れ負傷したメンバーの下に走った。


しかし、それを見たモンスターが突っ込んでくる。




ブヒィイイイイイー!!




ネーネ

「あぁあ!!?」


ケイト

「ネーネ!!!」




すぐさまネーネの所に向かい盾を構える。


モンスターの勢いは止まることがない。



ケイト

「ディフェンド・プロテクション!!」



ブヒィイイイイイイイイー!!!




僕の盾で動きを止めるが、モンスターの勢いが強すぎる。


このままじゃネーネごと吹き飛ばれてしまう。



ダツ

「ケイト!!」


ミニア

「ネーネ!!」


ケイト

「くぅううう!!!」




もう駄目だ。


そう諦めかけた時だった。




???

「っ!!!!」




同じパーティーの人が大型モンスターを一撃で吹き飛ばした。




???

「大丈夫か、二人とも」




この人は確か、僕達と同じ見習いの・・・。


確か名前は・・・。




ケイト

「あ、ありがとうございます・・・えっと・・・カズキさん」


ネーネ

「・・・・・・」


カズキ

「立てるか?」




差し出してくれた手を取る。




これが、僕達と冒険者見習いのカズキさんとの初めて出会いだった。





--------------------------------------------------------------------------



【自由の国 リベーダム 北西町 ウェイス】



僕達のパーティーは大型モンスターを倒しクエストを終えれた。


そして冒険者同行してくれた冒険者の先輩方と別れ冒険者見習いだけで祝杯を上げていた。




「「「「乾ー杯っ!」」」」




クエストの報酬を少しだけ貰った。


もちろん少ないお金だけど、僕達にとってこれが生きてく上で必要な供給源だ。



ダツ

「かぁあー! やっぱタルシナの牛乳は最高だぜー!」


ミニア

「飲み過ぎないでよねダツ! 今月も大変なんだから」



みんなでワイワイと夕食を食べる。


僕達4人。


そして今日初めてパーティーを組んだカズキさんも含めてみんなで楽しんでいた。



カズキ

「それにしても凄いな君達は、まだ子供・・・10歳になったばかりだっけ?」


ケイト

「はい! 僕達、孤児院の時からずっと一緒で10歳になったら冒険者見習いになるってずっと言ってたんです!」


ネーネ

「わ、私はまだ・・・9歳・・・ですけど・・・」



恥ずかしそうにネーネは言っている。


ダツと僕は10歳になってミニアだけ一つ上の11歳に今年になると説明した。


カズキさんはそれを聞いて笑った。



ネーネ

「カ、カズキさんは・・・その、なんで冒険者見習いなんですか?」


カズキ

「ん? あぁー・・・まぁ色々あってね」


ネーネ

「あぁ・・・その! ごめんなさい・・・」



ネーネが落ち込んでしまっていた。


確かに少し気にはなっていた。



ダツ

「だよなぁー! カズキのあんちゃんめちゃくちゃつえーのになんでなんだ?」


ミニア

「こら!ダツ!」


カズキ

「あぁーいいよいいよ、気にしてないから」



カズキさんはまた笑いながら応じてくれた。


これが大人の対応というやつか。



カズキ

「んーーっと、お金・・・かな? ちょっと大変でねははは」


ケイト

「そうなんですか」



お金か。


確かに僕達も大変ではある。


初めて4人で冒険者ギルドへ行った時もそうだった。

なけなしのお金をみんなで出し合って防具や武器を買ってようやく冒険者になれたんだ。


ただの正義感や憧れだけでは、上手くいかないもんだ。



カズキ

「でも、本当に困ってるわけじゃないんだ。 その証拠といったらなんだがここは奢らせてもらうよ未来の冒険者達為にね」


ダツ

「マジすか!!?」


ケイト

「えぇ!?」


ネーネ

「そ、そんな・・・」


ミニア

「悪いですって・・・!」



みんなで断るもカズキさんはお店の人にタルシナ牛乳を人数分注文していた。


それだけでは無く、いつものなら食べることの出来ないような高価な食事もじゃんじゃん注文していた。


僕達はその食事を見て食欲が抑えきれずにカズキさんの行為に甘え、料理に手を伸ばした。




ダツ

「うんめぇええーーー!! こんな飯食ったのいつぶりだぁあー!!」


ミニア

「行儀悪い! カズキさんにもっと感謝して食べなさいって!」


ケイト

「でも・・・本当に美味い! ありがとうございますカズキさん!!」




カズキさんはずっと笑顔だった。


まるでこれを見たかったかのような優しい表情だ。



ネーネ

「あの・・・それ綺麗ですね、その腕輪」


カズキ

「ん? あーこれ?」



外して見せてくれた。


見たことのない材質で出来た腕輪だ。

何処となく色合いからしてカズキさんの剣と似ている。



カズキ

「仲間が作ってくれたんだ、お守りって。 戦いの時外したら血を全部吸うって脅されてるんだ」


ケイト

「血・・・ですか?」


カズキ

「あ・・・あー比喩みたいなもんだよ、ふざけた冗談だよ冗談ははは」



カズキさんの笑顔凄く引きつっていた。


本当に冗談なのか疑心になる。

変な汗かいてるし。



そんなこんなでたくさんの話をした。


僕達が南東の水の島国ウォークアの孤児院出身であること。


そこで4人仲良くなってみんなで冒険者に憧れ、絶対に冒険者なろうと夢を語り合ったことなど。



カズキさんはその話しをただ笑いながら聞いてくれた。



みんなもそんなカズキさんの人柄の良さに高揚して必要以上の話しをしてしまうほどだった・・・。










カズキ

「んじゃ・・・気を付けて帰れよー!」




「「「「はーい!」」」」




カズキさんに手を振られ見送られ僕達はいつもの格安の宿屋へと帰った。


本当にご馳走になってしまった。


これはいつかきちんとお返しをしなくてはと心に誓った。



ダツ

「にしてもあんちゃんすげーよな、金がないから冒険者になれないとか絶対に嘘だぜあれ」


ケイト

「うん!僕もそう思った」



今日の料理だって相当な額を軽がる支払っていた。


初めて冒険者パーティーで顔合わせした時も言い方は悪いけど他の先輩冒険者達よりも堂々としていたし、初戦闘で息も上げずに無表情で小型のモンスター達を倒していた。


それだけで無く、ずっと僕等四人の心配もしながら戦闘していた。



ミニア

「あぁーそう言えば聞いたことあるわよ、冒険者になれないっていう北大陸であった話し」


ネーネ

「北部の英雄でしょ!?」



ネーネが話し食い付いた。


この話題になるといつもネーネは目を光らせる。



北陸の英雄。



三つの国が支配しているリアタズマ北部に突如現れた英雄。


ナイクネス帝国では王女様を救い、モンスターの大襲撃から街一つを一人で守り事件の首謀者を撃退した。


次にサンニング王国では違法人体実験で開発された機械仕掛けの兵器を使いの竜と共に難無く撃退。


そして最近では武士の国のジャパニアで、難解な事件を見事解決し首謀者を追い詰め、町に被害が出る前に首謀者を撃退した。



ここ3ヶ月、ネーネはその英雄の事をずっと憧れていると話していた。



ネーネ

「最近だとね! その英雄さんと仲間達が貧困に苦しむ人達を助ける為に世界中を飛び回ってるんだって!」


ケイト

「へぇー凄いな」


ミニア

「えーでも私の聞いた噂だと、凄いバトルジャンキーで目つきがすっごい怖い人だって聞いたよー」



ネーネの噂も実際に先輩冒険者から聞いた話だ。


普段から死んだ様な目をして常に戦いを求めていると。


そしてその目に睨まれた者は生きて帰ることは絶対にないとされた噂だ。

もちろん先輩冒険者さん達は本人を見たことがないとは言っていたが。



ネーネ

「違うもん! すっごく優しくね種族間なんて関係なく分け隔てなく接するほどに強くて優しくてカッコいい人って聞いたもん!」


ミニア

「はいはい、そうですねー」


ネーネ

「んーーーもうミニアーー!!」



ミニアとネーネの追いかけっこが始まった。


僕とダツは追うこと無くゆっくりと歩いていた。





優しくてカッコいい人か・・・。




僕はふと、さっきまで一緒に喋っていたカズキさんを思い浮かべる。




ケイト

「あんな風になれたらいいな・・・」


ダツ

「あん? 何の話? 飯か?」


ケイト

「違うよ・・・!」






そんな良い一日を僕は味わった。


次の戦い、明日に向けてもっと頑張らないと!





-------------------------------------------------------------------------




カズキ

「あぁ・・・今日はとりあえずはって感じ・・・」



インカムを付け報告をする。



カズキ

「大丈夫だよ、言いつけは守ってるし、無駄遣いも・・・してないし」



「#””&#$&#’$%’$’$%457$’$%!!!!!!」



何を言ってるのかわからない。

怒鳴られたのはわかったが。



カズキ

「とりあえず継続して調査するよ・・・報告終了」



まだ何か言いたげだったようだがインカムの電源を落とした。


渡された腕輪を見る。


あの二人はどうも最近心配性というか過保護というか。


覚えてないけど、何となく原因はわかる。



カズキ

「それよりも・・・」



町を見下ろす。


あんな子達が・・・。



カズキ

「早く止めないとな・・・」






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【北西町ウェイス 冒険者ギルド スタンバ館】



夜が明けて朝になった。



僕達四人は早速ギルドへ向い冒険者見習いの同行が許されてるクエストを探す。



ダツ

「これなんてどうだ!?」


ネーネ

「これは・・・無理だよ、見習い同行許可してないよ」



通常なら見習い同行許可をする冒険者パーティーは少ない。


だけど冒険者ギルド本部からどうやら冒険者育成は冒険者がということが掲げられたようだ。


そして最近は僕達見習いが増えたからか同行を許可するクエストが多く貼られてる。



カズキ

「お、早いな」


ネーネ

「カズキさん!」


ケイト

「おはようございます!」



カズキさんがスタンバに入ってきた。


昨日のお礼をして、今日もまたクエストを受けることを話した。



ケイト

「カズキさん! あの・・・よかったら、一緒のクエストを受けませんか!」


ダツ

「おぉ!いいねーあんちゃん一緒だと頼もしいし!」



他の三人も異論なし。


期待を膨らませてカズキさんを見るが、カズキさんは難しい表情を浮かべていた。



カズキ

「んんーーーー、一緒に行ってあげたい気持ちは山々なんだが。ごめんな先約があるんだ」



先約・・・か。



そうだよな、カズキさんほどの人なら数日先のクエストもしっかりと予約をしてるんだろうな。


僕達は自分達の非力さからあまりクエストの予約はしないようにしていた。

こうやって毎日ギルドへ通い、出来そうなクエストを探してる。



ネーネ

「・・・・・・」



みな少し落ち込んで残念がっていた。


そんな中僕の頭に手を置いて、ある物を渡してくれた。



ケイト

「これは・・・?」


カズキ

「お守り、危なくなったらこれを押すんだいいな?」



見たことのない物だった。


これは機械か何かかな?

こんな高価そうな物いいのかな・・・。


そしてカズキさんは僕達を激励してスタンバの奥へと入っていった。



ダツ

「ちぇー楽できると思ったのによー」


ミニア

「怠けたこと言わないの、あんたもクエスト探しなさいよね」



二人はクエスト探しに戻った。



ネーネ

「・・・・・・」


ケイト

「大丈夫だよネーネ、またきっと会えるよ」


ネーネ

「うん・・・」



そして四人でクエスト探しに戻った。




カズキさんから貰った物をポケットにしまった・・・。







-------------------------------------------------------------------------



【洞窟ダンジョン】



あれからクエストを探しても良さげなクエストは無かった。


そんな僕達に先輩冒険者達が声をかけてくれた。



「よーーし、お前ら見習いを見るのが俺達先輩の務めだ! だからと言って甘えるなよ!」


ケイト

「はい!」




声をかけてくれた人達と共に来たのは洞窟ダンジョンだ。


今回のクエストはここの洞窟の調査のようだ。


中にはモンスターもいる為冒険者に安全確認の依頼が来たようだ。


調査くらいならと先輩達は僕達を誘ってくれた。



「前衛はお前らがやるんだいいな? しっかりと勤めを果たせよ」


ケイト

「え?」


ダツ

「おおおっしゃーー腕が鳴るぜ!」



ダツは喜んでいる。


けど、前線ってことは一番前で戦うということだ。

モンスターの攻撃を一番に引き受けなくてはならない。


今までは先輩達が前線で僕達はそのフォローっていう形だったのに。



「よーし! 出発だー!」


ケイト

「・・・・・・」



不安しかない。



でも駄目だ!


いつかはやることになるんだ、ここで弱気になっちゃいけない。



僕がみんなを守るくらいの気持ちでいないと!




そうして僕達は先行して洞窟に入っていった。



















暗い。



先輩達の明かりの術技で辛うじて見える。



だけど先が真っ暗闇だ。



ネーネ

「あぁっ!!」


ケイト

「大丈夫?」



転んだネーネを引っ張り起こす。


本当に転んだだけで安心した。



「こういったダンジョンではよくあることだ! しっかりと気を付けるんだぞ!」


ネーネ

「は、はい、すみま・・・せん」



だけど、ネーネじゃなくてもこんなに暗くて地面も不安定な場所だと転んでもおかしくない。


もっと注意し、先へ進んでいく。



ダツ

「ん? なんだあれ?」



前方に何か動いた。


カタカタ、と物音をたてながらこちらに近づいてくる。



ケイト

「っ! スケルトン!?」



カタッカタッカタッカタッカタッカタッカタッカタッカタッ!




「戦闘準備だ! 見習い共いけー!」




スケルトンが複数襲ってくる。



ダツ

「おっしゃぁー! 任せろ!」


ケイト

「ダツ! 少し待って!」



先陣を切ってダツが突っ込んでしまう。


僕も追うようにして走る。



ミニア

「ネーネ!行くよ!」


ネーネ

「え、あうん!」



四人がスケルトンへ向って走る。



ダツ

「おりゃぁあー!!」



ダツの拳がスケルトンの顔面にぶつかり吹き飛ばしていく。


だが突っ込みすぎて包囲されてる。



ダツ

「やべっ!」



ガキィイィイイン!!!



ダツの背後から攻撃を何とか間に入って防げた。



ケイト

「ダツ、大丈夫!?」


ダツ

「あ、あぁ!なんともないぜ、おっしゃ行くぜ!!」



その場で応戦するダツ。


ダツの動きのフォローをしなくちゃ!



ミニア

「ちょっと二人とも! そんな所で戦ってたら攻撃できない!」


ケイト

「っ!」



ミニアが術技を使ったら僕達に当たる可能性があるのか。

ここは一回引かなくちゃ。



ケイト

「ダツ! 一回引くよ!」


ダツ

「えぇ!? なんて?・・・うおぉお!?!」



スケルトンの攻撃をギリギリかわすダツ。


こっちの声が聞こえない程にスケルトンの応戦で手一杯なのか。



ミニア

「あぁーんもう! ネーネ、回復お願い、私も前線に行く」


ネーネ

「え!? でも・・・わかった・・・」



杖を振り上げスケルトンを叩いて倒してく。


一匹ずつはそんなに強くないからまだ大丈夫だ。


ミニアがネーネを守る形で何とかなっているか。



ケイト

「このぉおー!」



剣を振り回しスケルトンを倒していく。


ダツも一匹一匹確実に倒していく。



ダツ

「ぐわぁ・・・!」


ネーネ

「ダツ! か、回復するよ!」


ダツ

「大丈夫!俺じゃなくて・・・!」



ダツの全身が光り傷を癒した。



ダツ

「ケイト、お前大丈夫かよ!」


ケイト

「うん、まだやれるよ!」


ネーネ

「え・・・え!?」



本当なら僕に回復が欲しかったけど、まだ大丈夫だ。


スケルトンの数も減ってきてる。


このまま一気にやれば勝てる。



ケイト

「うぉおおおおおーー!!!」


ダツ

「このぉおおおおーー!!」



一体!


二体!


三体目!



ケイト

「あと・・・三体!」


ミニア

「離れて! エアショット!!」



空気波の術技が放たれた。


だが僕にスレスレだった。



ケイト

「危っ!?」



でもおかげで二体同時に撃破できた。



ダツ

「ラストォオー! アイアンフィストー!!」




ダツ術技の鋼の拳が最後のスケルトンを吹き飛ばし粉々にした。


そうしてようやく静寂が訪れた。




僕達は、四人だけでの初めての戦いに無事勝利した。




ケイト

「はぁはぁはぁ・・・!」


ダツ

「あぁあーつれぇ・・・マジか」




息が荒い。


前線というのはこんなに疲れるものなのか。

体力作りとかはいっぱいしてきたつもりなのに、こんなにも疲れるなんて思ってもいなかった。



ミニア

「あぁーしんど・・・」


ネーネ

「待っててみんな!今すぐに回復するから!」



ネーネが駆け寄ってきて全員に回復術技をする。


終始回復をしていたからか、効力が薄く感じる。


それだけネーネも必死に戦っていたということか。





「何を休んでいる! 冒険者ならこれくらいじゃへこたれんぞ!」




何もしなかった先輩達の喝が飛ぶ。


まさかとは思ったけど、本当に僕達だけに全て任せるつもりなのか。



ネーネ

「ま、待って下さい! まだみんなの治療が!!」



ネーネが珍しく声を荒げて訴えた。

みんなの事を思って言ってくれている。



「駄目だ! なら帰るか!? ギルドには君等が逃亡したと報告させてもらうがな!」


ミニア

「な、何よそれ!」


ケイト

「ミニア!」



ミニアを止める。


下手に逆らっては駄目だ。


最悪、僕達の見習い権限すら剥奪されかねない。

ここは頑張り所だ。


踏ん張って立ち上がる。



ネーネ

「ケイト・・・」


ケイト

「ありがとうネーネ、みんな! 頑張ろう、まだ始まったばかりだよ!」



そうだ、まだクエストは始まったばかりだ。


こんなところでくじけちゃいけない。


みんなも同じ想いからか立ち上がって答えてくれた。


今はまだ笑みを浮かべる余裕がまだあった・・・。








だけど、そう長くはもたなかった。







-----------------------------------------------------------------------


【草原ダンジョン】



「そっちに行ったぞ!!」



大型の鳥モンスター。



カズキ

「・・・?」



どうやら俺を狙ってるのか?




「逃げろ見習い!!」




先輩冒険者の言葉を無視し上空に武器を構え引き金を引く。





パァアアアアアアアアアアアアアアアアンッッ!!!!!





放たれた弾丸は鳥の頭部貫通させた。



悲鳴も上げずにそのまま落ちてきた。



ピクピクと小刻みに動いているところを見るとまだ生きてるのか



「こ・・・攻撃ぃいいー!! この機を逃すな!!!」



落ちた鳥モンスターに一斉に飛び掛かる先輩達。



それをただ俺は見守っていた。




カズキ

「違ったか・・・」




目的とは違っていた。




空を見上げる。


ふと、昨日一緒に戦ったあの子達の事を考えていた。




カズキ

「何事もなければ・・・いいが」






------------------------------------------------------------------------


【洞窟ダンジョン 中層部】



ケイト

「はぁあああ!!!」



スケルトンの武器を弾く。


奥に進めば進むほどモンスターが強くなっている。



一番最初に戦ったスケルトンは素手だったのに、武器を使ってくるスケルトンが徐々に増えていった。





カタッカタッカタッカタッ!!!




ケイト

「くぅう・・・!」




攻撃を防ぐので精一杯だった。


身体が思うように動かない。



ダツ

「うおらぁああーー!!!」



僕に襲いかかっていたスケルトンを吹き飛ばしてくれた。


だけど、すぐに立ち上がり今度はダツに襲いかかる。



ケイト

「くぅ!」



間に入ってブロックする。


これの繰り返しだ。



ダツが再度攻撃をしようと拳を振り被る。




カタッカタッカタッカタッ!!!!




ダツ

「何!?」



武器を持っていない方で攻撃しようとしたダツを殴り吹き飛ばした。



ダツ

「うあぁああ・・・!!」


ミニア

「ダツ!!!」



ダツもフラフラだ。


いつものダツならあんな攻撃避けれるはず、やっぱり披露があまりにも溜まり過ぎているんだ。



ケイト

「くっそぉおおー!!!」



盾で受けてる攻撃を流す。


スケルトンの持つ剣が腰に刺さる。

流しが甘過ぎた。



ケイト

「ぐぅう!!!!」


ネーネ

「ケイト!!」



でもここしかない!


右手の剣を強く握りしめてスケルトンの頭部に一気に差し込む。


そのまま押し倒し、剣を抜き振りかぶる。



ケイト

「これでぇ!!」



体中の力を腕に集約させて一気に振り下ろす。



僕の攻撃はスケルトンの頭部に直撃し粉々になった。




無事に・・・勝てた・・・。




ケイト

「ぅう・・・!」



その場に刺された腰を抑え座り込む。



ネーネ

「っ・・・!」


ダツ

「ケイト!!」


ミニア

「ケイト!!」



みんなが走り寄ってくる。


初めての負傷を負った。



ダツ

「このポーション使え!」



なけなしのお金で買った僕達の一本だけのポーション。


受け取るのに躊躇してしまう。



ミニア

「いいから、使いなさいってば!」



ミニアがダツから奪い蓋を開け半分飲ませ、残りを負傷した部分にかけた。


おかげで血は止まり痛みも少し楽になった。



「何をボサっとしている! ゴールはすぐそこだぞ!」



ゴール?


照らした先を見ると、大きな石の扉が行先を塞いでいた。


これが、僕達の目的地・・・?



ダツ

「ふざけんじゃーねよ! もうみんなボロボロなんだよ!」


ミニア

「そうよ!何もしない癖に偉そうに!!」


ネーネ

「洞窟の調査なら、ここまでで十分なはずです!」



みんな僕に気を使って・・・。


先輩達への抗議は何回もしてきた。


だけどその度にまるで脅されるかのようにして言う。



「なら帰るんだな! だが・・・もう言わなくてもわかるな?」



報告はする。


そう言い続けるのだ。


何も変わらない。



ネーネ

「なら・・・!」


ケイト

「やめろ! やめて・・・みんな」



立ち上がる。


ポーションを飲んだからと言って疲労まで完治する訳ではない。


それでも立つ必要があった。



「そうだ、それでいい! だが喜べ! あの扉を抜けたら最後だ! 帰ってしっかりと君達が勇敢に戦ったことを私が証明しようじゃないか!」



これが最後。


それなら頑張れるきっと。



ゆっくりと足を動かす。



ケイト

「・・・っ?」


ダツ

「ゆっくりでいい、少しずつでいい」




ダツが肩を貸してくれた。


逆側にはミニア。



そして盾と剣をネーネに取られ身軽になった。



ケイト

「ありがとう、みんな」






【洞窟ダンジョン最深部 遺跡】



扉を開け巨大な広い部屋へ入った。



そこは今までの洞窟とは違う異様を放っていた。



誰かが作ったような物も置いてある。

まさに遺跡と呼ぶのに相応しい。



中へ進む・・・。




ボッ・・・。




ケイト

「・・・?」



火が灯った。



一つ点いたと思ったら一斉に無数の火が灯り部屋を明るくした。



四人その綺麗な光景に圧倒されていた。



だが、次の瞬間にその気持ちは激変した。





ドォォッォオオォオォオオオオオォオオオオオオオオオオオオンッッ!!!!




何かが降ってきた・・・!?



轟音が部屋中に響き渡る。


そして落下した何かが土煙りから顔を出す。






グォオォオアァアアアアアァアアアァアアアアアア!!!






それはあまりにも巨大な咆哮だった。



見たことも聞いたこともない巨大なモンスター。


二足歩行で巨大な斧のような物を持っている。


馬のような顔付きに頭部には角が二本ある。




ネーネ

「っ・・・」


ミニア

「何・・・これ」


ケイト

「逃げよう・・・」


ダツ

「あぁ・・・」



ゆっくりと後退する。


だがその時だった。




ゴゴゴゴゴゴ・・・。




ケイト

「ぇ・・・?」



身が凍えるような思いだった。


あの巨大なモンスターの出した音ではじゃない。


僕達の背後から、来た方向からの音。



扉が閉まる音・・・。



ケイト

「待って!!!」



右手を伸ばし叫ぶ。



だけど・・・僕の声は届けられない。



ダツとミニアは走って閉まる扉を止めようと走るが。




バタンッ・・・!!




ケイト

「・・・・・・っ」



右手が宙へ浮いたまま意味をなさなくなった。


まさかこんなことって・・・。



ダツ

「くそ!! 開けろ!! くそ!!」


ミニア

「聞こえてるんでしょ!!! 開けなさいよ!!」


ネーネ

「そんな・・・」



扉を力ずくで開けようとする二人。


絶望しその場で座りこむネーネ。



僕は・・・。



振り向いた。



その迫ってくる絶望に。





グォオアア・・・。




ケイト

「・・・嘘だ」




もう目の前にいた。



そして拳を振り上げていた。




ドォォッォオオォオォオオオオオォオ!!!





ケイト

「うあぁあああああああ!!!」




直撃はしなかった。


間一髪で避けたが、振り下ろされた拳が地面に叩きつけられた風圧だけ軽々しく吹き飛ばされた。


受け身を取る暇も無く地面に激突した。




カラーンッ・・・カラーンッ・・・カラーンッ・・・!




ダツ

「ケイト!!!」


ミニア

「こんなと・・・やれっていうの・・・!?」


ネーネ

「ぅ・・・ぅ・・・!」




体中が痛い。


それでもと立ち上がるが、それだけで精一杯だ。


みんなを見る。



足がすくんで動けないでいた。

目の前のモンスターに恐怖して・・・。



ケイト

「・・・っ!」



さっきのダメージからか僕の足はすくんでない。



なら・・・。



ケイト

「っ!!」



走る。

大型モンスターへ。



ケイト

(みんなを守るんだ! 僕が!)



盾を構え突撃する。


何かしらの時間稼ぎくらいならできるはずだ!




グォォオオオアアアア!!!!




左からモンスターの右手が襲いかかってくる。


すぐに盾を動かす。



ケイト

「ディフェンド・プロテクション!!!」



術技なら防げるはず・・・!!!





バギィイィイイイイィイイ!!!!




盾が・・・一瞬で・・・。




壊された。




そのまま僕は吹き飛ばされ壁へと激突した。



ケイト

「かぁは・・・ぉぇ・・・」



生きてる・・・。



まだ、生きてる。



目の前のモンスターが・・・こっちに来る・・・?





ダツ

「うおぉおぉぉおお!!!!」





叫びと共にダツがモンスターの足も目掛けて走る。



ダツ

「アイアンフィストォォオォオオ!!!!」



渾身の術技を足へと食らわせた。



だが・・・。



ダツ

「ごわぁあああああ!!!」




攻撃した瞬間足蹴にされダツも吹き飛ばされてしまった。



ミニア

「くぅう!! エアショット! エアショット!! エアショット!!!」




グォオオオオオアアアア!!!




モンスターの口から咆哮と共に見えない空気玉が放たれた。




ミニア

「エアショ・・・、っ・・・!? きゃぁあああああああああああ!!!」




ミニアも軽々と吹き飛ばされてしまった。




せっかく二人が勇気を振り絞って立ち向かったのに。


軽々しく跳ね退ける。



ダツもミニアも、今の一撃で吹き飛ばされダメージを負った。


僕と同じように動けない。



ネーネ

「・・・みんな・・・!」



グォオアア・・・。



ネーネ

「っ!?!?」



モンスターがネーネの方を向いてしまった。


まだネーネは立てないのか。



ケイト

「ネーネ!!逃げろ!!!」


ネーネ

「で、でも・・・!」



やっぱり足がすくんで動けないか。


でも・・・もう・・・。



ケイト

「ぅ!!」



やっぱり立ち上がることも出来ない。


身体に力が入らないんだ。



なら・・・出来ることは。



ケイト

「こっちだモンスター!!! かかってこい!!!」



モンスターの注意を逸らすことくらいしか、ネーネ達を守れない!



グォアア・・・。



僕の願いが届いた・・・。



モンスターがこちらを向き始めた。


そうだ来い!



ゆっくりと大きな足で一歩ずつこちらに接近してくる。



これで・・・いいんだ・・・。









そんな・・・。



ネーネ

「ケイトォオ・・・」



どうして・・・。



ネーネ

「ぅうあ!!」



うつ伏せに倒れる。



どうしていつも・・・!



私はすぐに・・・!



ダツもミニアもすぐに立ち向かったのに。


どうして・・・!



ネーネ

「いつも・・・私は・・・ぅぅ!!」



泣いてばかりしか出来ない。


こんなこと何の意味もないのに!!



いつも三人に助けてもらってばかりで。



こんな弱いのに・・・三人はいつも助けてくれた。



嫌だ!



こんなところで死にたくない。



みんなが死ぬのなんてもっと嫌だ!!!



私なんかを冒険に誘ってくれた三人が死ぬところなんて見たくない!!




ネーネ

「ぅうぅぅん!!!!」



誰か・・・。



みんなを・・・助けて!



お願いします!!!






カラーンッ・・・。




ネーネ

「っ!!?」




何かが手に触れた。




『お守り、危なくなったらこれを押すんだいいな?』




これは・・・ケイトが渡された・・・。




振るえる両手で拾い上げる。




ネーネ

「お願い・・・お願いします!みんなを・・・助けて・・・!」




噂の英雄はみんなに優しくて、カッコよくて、強い・・・。




どうか・・・私達にも・・・救いの手を・・・。




ネーネ

「おねがぁあああああぁあああぁああああーい!!!!」











【トラベリング オン】





手に持っていた物が喋った・・・?




その瞬間の出来事だった。






グォアォオォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!






悲鳴と共に大型のモンスターが・・・遠くへ急に・・・吹き飛んだ?




ダツ

「っ!?」


ミニア

「何・・・が?」


ケイト

「・・・あれは」




ネーネ

「・・・ぇ?」




うつ伏せの状態から見上げる。



そこには蒼い衣を着た三枚刃の剣を片手に持つ男の人が・・・立っていた。





カズキ

「みんな・・・よく頑張ったな」



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